MFゴーストの車一覧~人気の海外スポーツカーが多数登場
『MFゴースト』は、2017年から2025年2月まで週刊ヤングマガジンで連載された公道レースを題材とした漫画作品です。単行本は全23巻で完結し、シリーズ累計発行部数は500万部を超えました。作者のしげの秀一氏は、1990年代のスポーツカーやラリーカーが多数登場する人気漫画『頭文字D』の作者であり、『MFゴースト』は頭文字Dの約15年後の世界を描いた続編として構成されています。
『頭文字D』の主人公の搭乗車両はトヨタスプリンタートレノAE86型(通称「ハチロク」)でしたが、『MFゴースト』の主人公であるレースドライバー片桐夏向はトヨタ86を愛車としています。
主人公がトヨタ86という比較的安価なスポーツカーに搭乗する一方、『MFゴースト』のライバルたちは、日産GT-Rやポルシェ911、ランボルギーニ、フェラーリなど、国内外のハイスペックなスポーツカー、スーパーカーに搭乗しているのが特徴です。
この構図を成立させているのが、MFGの独特なレギュレーションです。車両重量が重いほど太いタイヤを装着できる「グリップウェイトレシオ」がほぼ唯一の規定で、パワーのある重量級マシンにはグリップの高いタイヤ、軽量級マシンには細いタイヤが割り当てられます。数値上の性能差がそのままタイム差にならない仕組みが、86でスーパーカーに挑む物語を支えています。
MFゴースト主人公やライバルたちの搭乗車種一覧
『MFゴースト』で主人公やライバルたちが公道レースを行う際の搭乗車種をご紹介。新車発売価格1000万円越えのハイスペックなスポーツカーが多数登場します。
ZN6型 トヨタ・86 GT/片桐夏向
2012年発売のFRスポーツカー。スバルとの共同開発により2.0L水平対向エンジンを搭載し、最高出力は200PS。「86」の車名は、AE86型トレノ&レビンに由来。GTの当時の新車価格は298万円。参戦車のなかで最も非力な部類だが、車両重量約1,230kgの軽さと重心の低さで旋回性能を稼ぐ設計。実際に運転席に座ると、着座位置の低さとボンネットの見切りの良さが際立ち、鼻先の向きを感覚でつかめる。ブレーキングから立ち上がりまでの挙動が読みやすく、腕の差がそのままタイムに出るタイプの1台。
R35型 日産・GT-R NISMO/相葉瞬
主人公カナタのライバル瞬は、国産スポーツカーNO.1の呼び声高い日産GT-Rニスモに搭乗。2013年9月、公道走行可能な「量産市販車」として、当時のニュルブルクリンク北コースの最速ラップタイムを記録した。3.8L V6ツインターボは600PSで、アテーサE-TSによる4WDが路面へ確実にトラクションを伝える。重量級ゆえにタイトコーナーでは不利だが、雨天や高速コーナーでの安定感は参戦車のなかでも突出。
982型 ポルシェ・718ケイマンS/ミハイル・ベッケンバウアー
2016年登場の3代目ケイマン。2代目までの水平対向6気筒を4気筒ターボに変更(2019年に6気筒のGT4を追加)。718ケイマンSは2.5リッターで、最高出力350PS、最大トルク430Nm、当時の価格869万円。「シュツットガルトの刺客」の異名を持つミハイルは、コースの性格に合わせてケイマンS・ケイマンGTS・ケイマンGT4を使い分けており、いずれも982型のポルシェで統一。ボディカラーも白系で揃えられている。ミッドシップならではの切り返しの速さは、峠を模したMFGのコースと相性が良い。
ランボルギーニ・ウラカン LP610-4/大石代吾
大排気量NAエンジンを好む大石の愛車は、V10エンジンを搭載した2014年発売のウラカン。ルーフの4本ラインは日本の折り紙から着想を得ている。LP610-4はベースモデルだが、当時の価格2,971万円。似てないがアウディR8は兄弟車。5.2L V10自然吸気は610PSで、アクセル操作がそのまま挙動に返ってくるレスポンスの良さが持ち味。4WDによるトルク配分でリアが暴れにくく、ハイパワー車としては御しやすい部類。
アルピーヌ・A110/沢渡光輝
2017年に40年ぶりの復活を遂げた新型A110。1977年に生産終了となった名車アルピーヌを現代風にリメイクしたエクステリアが特徴。全長約4.2m、全幅1.8mの2シーターで、車両重量は約1110kg。当時の価格790万円~。1.8L直4ターボは252PSと数値は控えめだが、参戦車中トップクラスの軽さがそれを補う。間近で見ると、丸目4灯と絞り込まれたフェンダーの造形が初代A110をそのまま現代解釈したものだと分かる。カナタの86と同じく、軽さで勝負する側の1台。
991型 ポルシェ・911 GT3/石神風神
2011年登場の7代目911。搭乗モデルは2013年発売のGT3。2017年のマイナーチェンジ後、4.0L水平対向6気筒NAエンジンは最高出力500PS/最大トルク460Nm、当時の価格2,115万円。石神はMFGを2連覇したディフェンディングチャンピオンで、「高性能な車の性能をそのまま引き出す」という合理主義から、勝つための道具として911 GT3を選んでいる。9,000rpm付近まで淀みなく回るNAの伸びと、RR特有の立ち上がりのトラクションが武器。
ポルシェ・911カレラGTS/ジャクソン・テイラー
8号車のジャクソン・テイラーが駆るのは991型の911カレラGTS。3.8L水平対向6気筒の自然吸気で430PS、ワイドボディとスポーツシャシーを組み合わせた走行志向のグレード。GT3ほど尖らせず、公道を含む幅広い速度域で扱えるバランスが持ち味。テイラーはライバルへの敬意を欠かさない人物として描かれ、ベッケンバウアーや赤羽、沢渡を高く評価しつつ、カナタの走りを勢力図を変える存在として注視する立ち位置。
フェラーリ・488GTB/赤羽海人
2015年~2019年発売。フェラーリのミッドシップスポーツカー458イタリアの後継車種として登場。デザインや車名は1975年発売「308」のオマージュ。3.9リッターV8ツインターボエンジン、670馬力、当時の新車価格3,070万円。ターボながら過給の遅れをほぼ感じさせない制御が特徴で、コーナー進入時の姿勢変化が読みやすい。数字の暴力に頼らず一貫したハンドリングを持つ点が、峠形状のコースで効いてくる。
アウディ・R8 クーペ V10 Plus/坂本雄大
2016年発売2代目R8。5.2リッターV型10気筒のNAエンジンが最大の特徴。アルミ、カーボン、マグネシウム使用の軽量ボディに、クアトロフルタイム4WDシステムを搭載。「V10 plus」は610馬力、当時の価格2,900万円。ウラカンと基本構成を共有しながら、こちらは高速域での直進安定性と姿勢の落ち着きに振られており、同じV10でもキャラクターが分かれている。
C190型 メルセデスAMG・GT S/大谷洋介
ポルシェ911の競合車種として投入されたメルセデスAMGの高性能スポーツカー。4.0リッターV8ツインターボ搭載で、「S」グレードの最高出力は522PS。F1世界選手権のセーフティーカーにも起用された。当時の価格1,993万円。エンジンを前車軸より後方に置くフロントミッドシップで、長いノーズの割に高速域の安定感が高い。重量級のためタイトコーナーの連続では不利になりやすく、コース選択で結果が変わるタイプ。
BMW・M6クーペ/M4 DTMチャンピオンエディション/柳田拓也
「コーナーの魔術師」の異名を持つ柳田拓也は、F13型のM6クーペで参戦。4.4L V8ツインターボは560PSで、中速域からの加速は参戦車のなかでも屈指。その後、世界200台限定のM4 DTMチャンピオンエディションへ乗り換える。3.0L直6ツインターボ500PSに大型ウイングとスプリッターを組み合わせた、DTM直系の公道モデル。重量級のGTから軽量な高剛性クーペへ移った変化が、そのまま走りの性格の変化として描かれている。
レクサス・LC/ E・ハンニネン
2017年にレクサスが発売したラグジュアリークーペ。V6搭載ハイブリッドLC500hとV8エンジン搭載LC500が存在。ハンニネンの搭乗車は社外エアロを装着したLC500で、5.0L V8自然吸気は477PS。開幕戦では予選11位から同順位で完走したものの、以降は本戦に駒を進められず出番を終える。間近で見ると、リアフェンダーからテールへ絞り込まれる面の抑揚が深く、GTとしての存在感がレース車両群のなかでも異質。ロングホイールベースゆえ高速コーナーは得意だが、タイトな区間では軽量スポーツに分がある。
FK8型 ホンダ・シビックタイプR/前園和宏
2017年発売5代目シビックタイプR。トランスミッションは6速MTのみ。2017年4月にはニュル北コースで当時のFF市販車最速タイムを記録した。過去のタイプRと違い、通年販売されており、当時の価格450万円。2.0L VTEC TURBOは320PSで、2,500rpmから最大トルクが立ち上がる中速型。物理学の博士号を持つ理論派として描かれる前園の走りと、データで詰めたようなFFの旋回性能がよく噛み合っている。
NC1型 ホンダ・NSX /前園和宏
2016年に発表され、日本では2017年から納車が始まったハイブリッドシステム搭載の2代目NSX。3.5LのV6ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載した四輪駆動車で、システム最高出力は581PS。製造国はアメリカだが、NSX専用9速DCTは日本で製造。当時の価格2,370万円。前輪の左右モーターを独立制御し、コーナー中にノーズを内側へ引き込む制御は、従来の4WDとは別物の旋回感覚。前園がシビックタイプRから乗り換えた1台。
ロータス・エキシージ シリーズ3/ 八潮翔
2000年初登場。ワンメイクレース用に開発したスポーツエリーゼの市販化モデル。2012年に登場したシリーズ3は、1.8L直4エンジンから、トヨタ製3.5リッターV6スーパーチャージャーエンジンに刷新したモデル。車両重量1トン台前半に350PS以上を積む構成で、電子制御はごく最小限。ステアリングを切った瞬間にノーズが向きを変える反応の速さは、参戦車のなかでも際立っている。
アルファロメオ・4C/北原望
2013年発売、アルファロメオ初の量産ミッドシップスポーツカー。直列4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを搭載し、全長4m未満、フルカーボン製モノコックボディにより乾燥重量わずか895kg(エアコン標準装備の日本仕様は1050kg)。当時の価格849万円。実際に触れてみると、パワーステアリングを持たないステアリングの重さと、カーボンタブの狭い開口部をまたいで乗り込む所作が、市販車離れした成り立ちを物語る。路面情報の伝わり方は市販車でもトップクラスだが、限界付近では唐突にリアが出るため腕が問われるタイプ。
DB型 トヨタ・スープラ/諸星瀬名
高橋啓介の弟子・諸星瀬名の愛車は2019年生産開始のGRスープラ。86で手腕を振るった多田哲哉氏が開発責任者を務めている。86より100mm短い2470mmのショートホイールベースに、スポーツカーらしい低重心が特長。峠で気持ち良く走れる1台。瀬名の搭乗車は2.0L直4ターボのSZ-Rで、直6モデルより前が軽く、切り返しの速さで勝負する構成。1,550rpmから最大トルク400Nmが立ち上がるため、コーナー立ち上がりの鋭さは数値以上。
FD3S RX-7/高橋啓介(番外)
『頭文字D』で赤城レッドサンズのエースだった高橋啓介も、瀬名の師匠としてイエローのFD3S RX-7とともに登場。654cc×2のロータリーエンジンにシーケンシャルツインターボを組み合わせ、ノーマル出力は255PS。前作から続くこの1台が画面に入るだけで、MFGの世界が『頭文字D』の地続きにあることが伝わってくる。
MFGの舞台になった実在の道はどこか? 箱根周辺のコースを解説
MFGのコースは、神奈川県の箱根周辺に実在する有料道路や県道がモデルです。『頭文字D』が群馬の峠を舞台にしていたのに対し、こちらは観光ドライブルートとしても知られる道が使われています。
- 開幕戦「小田原パイクスピーク」:アネスト岩田ターンパイク箱根がモデル。標高差の大きい上り主体のコースで、パワーのある車両に有利な構成。小田原本線の通行料金は普通車900円
- 第2戦「芦ノ湖GT」:芦ノ湖スカイラインがモデル。中高速コーナーが続き、コーナリング性能とタイヤの持ちが問われる区間。本線・湖尻線の通行料金は普通車1,000円
- 第3戦「ザ・ペニンシュラ真鶴」:真鶴道路(真鶴ブルーライン)がモデル。延長約4.5km、制限速度60km/hの海沿いルートで、通行料金は普通車200円
- 椿ライン(県道75号):タイトコーナーが連続する下り主体のワインディング。無料区間で、聖地巡礼の定番ルート
通行料金や営業時間は改定されることがあるため、訪れる前に各道路の公式情報を確認しておくと確実です。いずれも一般車両が走る観光道路であり、MFGのようなハイスピード走行が成立する場所ではありません。制限速度の範囲でも高低差と眺望を十分に楽しめる道が揃っています。
MFゴーストに登場しなかった国産車と兄弟車「スバルBRZ」の扱い
『MFゴースト』には、国内外のスポーツカー、スーパーカーが多数登場しました。一方で最後まで参戦車として登場しなかった国産スポーツカーもあり、マツダ・ロードスターや日産フェアレディZ、そしてトヨタ86の兄弟車であるスバルBRZがその代表例です。
「スペック的に劣る車が高性能車に打ち勝つ」のがイニDとMFゴーストの共通コンセプト
前作『頭文字D』では、型遅れのAE86(ハチロク)に乗って、マツダRX-7、三菱ランサーエボリューション、ホンダNSXなどの強敵を、車両重量の軽さやコースの特徴を上手く活かし、最終的にはドライビングテクニックによって打ち勝つのが大きな見どころでした。
『MFゴースト』の主人公カナタ・リヴィントンの愛車がトヨタ86で、ライバルたちの車がフェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーなのは、このコンセプトを受け継いでいるからです。車重に応じてタイヤ幅が決まるグリップウェイトレシオというレギュレーションが、軽量な86に勝機を残す装置として機能しています。
兄弟車対決の代わりに描かれたのは「86同士」ではなく世代を超えたハチロクの系譜
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頭文字Dに登場するカローラレビン -
カローラレビン -
カローラレビン
前作『頭文字D』では、意外な強敵として、トヨタスプリンタートレノAE86の兄弟車であるカローラレビンAE86型、最終決戦では同じトレノのAE86型が登場しています。同じハチロク同士にもかかわらず、そのバトルは熾烈を極めました。
トヨタ86とスバルBRZは兄弟車ながら、ノーマル状態の乗り味やサスペンションのセッティングは異なります。同型対決という形は『MFゴースト』では採られず、代わりに描かれたのが、AE86から86へと受け継がれた「非力な軽量FRで格上に挑む」という系譜そのものでした。カナタの86に前作の記憶を重ねる読み方が、この作品の楽しみ方のひとつになっています。
劇中車は今どうなっている? 参戦車両の現行状況
連載開始から完結までの約8年間で、劇中車を取り巻く状況は大きく変わりました。作中で当たり前のように走っていたモデルの多くが、すでに生産を終えています。
- トヨタ86(ZN6):2021年に2代目GR86(ZN8)へバトンタッチ。排気量は2.0Lから2.4Lへ拡大され、最高出力は235PSに
- 日産GT-R(R35):2025年8月をもって生産終了。約18年にわたる生産に幕
- GRスープラ(DB型):2026年3月に生産終了。最終特別仕様車として「A90ファイナルエディション」が設定された
- ホンダNSX(NC1):2022年のType Sをもって生産終了
- シビックタイプR(FK8):2022年に6代目FL5へ移行し、現在も国内で販売が続く数少ない参戦車系譜
- アルファロメオ4C:2020年に生産を終了
- ロータス・エキシージ:2021年に生産を終了し、後継はエミーラへ
- アウディR8:2024年に生産を終了。V10自然吸気の系譜はここで途切れた
- ランボルギーニ・ウラカン:後継のテメラリオへ移行し、V10自然吸気からハイブリッド化へ
- フェラーリ488GTB:F8トリブートを経て、現在はV6ハイブリッドの296系へ
- メルセデスAMG GT(C190):2代目C192へ移行
ガソリンエンジン車が絶滅危惧種になりつつあるという作品の世界観設定は、連載当初は近未来の想像でした。それが完結までの数年で現実のほうから追いついてきた形になっており、劇中車リストは2010年代後半の内燃機関スポーツカーを記録した資料としての価値も帯びています。
MFゴーストはクルマ好きのツボを押さえた公道レース漫画
MFゴーストは、ガソリンエンジンは既に廃れ、電気自動車や燃料電池車などが自動運転システムによって制御されている近未来を舞台にしています。そんな中でも、あえてガソリンエンジンを搭載したスポーツカーでレースを行うのが主人公をはじめとするMFGのドライバーたちです。
もちろんこうした舞台設定は、現実の自動車業界の流れを踏まえてのこと。
自動車に関する知識がなくても楽しめますが、運転が好きなクルマ好きやスポーツカー好きは特にツボにハマるのではないでしょうか。
原作は2025年2月に最終回を迎え、同年6月発売の第23巻で完結しました。テレビアニメは第1期が2023年、第2期が2024年に放送され、第3期の2026年放送が発表されています。さらに完結後には、『頭文字D』『MFゴースト』の系譜を継ぐ新連載『昴と彗星』がヤングマガジンでスタートしました。群馬の峠から箱根へ、そして次の舞台へ。公道最速をめぐる物語はまだ続いていきます。