革シートと布シートはどちらがいい?メリット・デメリットと選び方

車のシート選びで迷う方が多いのが、革(レザー)シートか布(ファブリック)シートかという問題です。グレードが上がるにつれて本革や高級合成皮革が採用されることが多く、オプションで選択できる車種も数多くあります。
それぞれに明確なメリットとデメリットがあり、ライフスタイルや使い方によってどちらが適しているかは異なります。この記事では革シート・布シートの特徴の違いに加え、お手入れ方法や近年普及している人工皮革についても詳しく解説します。
革シートのメリット:高級感・耐水性・ほこりのつきにくさ

本革シートには製法や種類の違いがあり、「アニリン」と呼ばれる染料で染めたあとに顔料を薄く吹き付けるセミアニリン本革はLEXUS車によく使われています。革ならではの風合いを強く引き出したナッパレザーはマツダの上級グレード車やメルセデスベンツに採用されています。
本革シートの最大の魅力はその高級感ある見た目と質感です。適切なお手入れを続ければ、月日が経つにつれて独特の味わいが増していき、長く楽しめる素材です。革調の匂いも車好きにはたまらない魅力のひとつでしょう。
機能面では、動物の革ならではの耐水性と、静電気が発生しにくくほこりが立ちにくい性質が挙げられます。ファブリックシートでほこりの多さが気になる方にとっても、革シートは快適な選択肢となります。
革シートのメリットまとめ
- 天然素材ならではの高級感と質感。使い込むほどに味が出る
- 水濡れへの耐久性が高い
- 静電気が発生しにくく、ほこりが溜まりにくい
- 汚れを拭き取りやすい(表面がコーティングされているため)
革シートのデメリット:価格・蒸れ・汚れ・季節による温度変化
革シートには使い勝手の面でいくつかの注意点があります。まず購入・オプション費用が高額になりやすいことが最大のネックです。
また、通気性が低く夏場に蒸れやすい点と、冬場はシート表面が冷たくなりやすい点も気になるポイントです。パーフォレーション(穴あき)加工されたレザーは通気性が改善されますが、そうでないものは特に日本の気候では蒸れを感じやすいです。シートヒーターが内蔵されているモデルも増えていますが、装備が増えることでさらに価格が上がりがちです。
さらに、汚れが目立ちやすく、特に衣類との擦れによる着色が起きやすい点も要注意です。雨の日に濡れた衣服のまま乗車したり、デニム素材など色落ちしやすい衣類を着用して乗ることは避けるのが得策です。汗をかく夏場も汚れやすく、日常的なケアが欠かせません。布シートと比べてやや滑りやすいことも覚えておきましょう。
革シートのデメリットまとめ
- 価格が高い(オプションや上級グレードに設定されることが多い)
- 通気性が低く、夏場に蒸れやすい(パーフォレーション加工品を除く)
- 冬場は表面が冷たくなりやすい
- デニムなど色落ちしやすい衣類で着色しやすい
- 布シートと比べて滑りやすい
白系の革シートは特に汚れが目立ちやすい。シートカラーの選択も重要
車へ乗り込む際に擦れて付きやすい革シートの座面サイドの黒い汚れ
革シートのアームレストや背もたれなど、衣類との接触が多い部分は特に汚れが付きやすい
ホワイトやベージュ系の革シートは清潔感がある一方、汚れが非常に目立ちやすいです。上の画像は使用開始から1年が経過した状態ですが、ひじ掛けや背もたれなど衣類が擦れやすい部分の黒ずみが目立っています。シートカラーを選べる車種であれば、汚れが目立ちにくいブラックやブラウンを選ぶのも実用的な判断です。
チャイルドシートを使う場合は革シート保護マットが必須
子どもがいる家庭で革シート車にチャイルドシートを装着する際は注意が必要です。革の厚みや品質によってはもとに戻らない凹みや傷がつくケースがあります。
赤ちゃん用品店やカー用品店で販売されている滑り止め加工付きの保護シート・保護マットを座面に敷いておけば、傷の防止だけでなく飲み物やお菓子のこぼれによる汚れも防げるため、一石二鳥のアイテムです。
革シートのお手入れ方法:専用クリーナーで優しく丁寧に
純正クリーナー以外ではシュアラスターの「レザークリーナーケアフォームS-61」が推奨される
革シートのお手入れは、純正専用クリーナーまたは水で薄めた中性洗剤で汚れを拭き取り、きれいな水で洗剤を取り除いたあと、乾いた布で水分をとって日陰で乾燥させるのが基本です。ゴシゴシ力任せに拭くとレザーが傷むため、常に優しく丁寧に行うことがポイントです。
《革製品のお手入れ》
- 純正専用クリーナーまたは水で薄めた中性洗剤(約5%)をやわらかい布に含ませ、汚れをふき取ります。
- きれいな水にひたした布を固くしぼり、残った洗剤をふき取ります。
- 乾いたやわらかい布で水分を取り、風通しのよい日陰で乾燥させます。雨などでぬれたときにも早めに水分をふき取り、乾燥させてください。
【注意】
・硬いブラシや布で強くこすると、傷がつくことがあります。
・シンナー、ベンジン、ガソリンなどの有機溶剤や、アルコール、塩素系漂白剤などでふかないでください。変色・シミの原因になります。
・直射日光に長時間さらすと、変質・縮みなどの原因になります。長時間駐車するときは、サンシェード(日除け)を使用するなどして直射日光をさえぎってください。
・シートがぬれたときはすぐに乾いた布で水分をふき取ってください。表面に水分が残っていると硬化・収縮など変質の原因になります。
・ビニール製品を長時間シートの上に置かないでください。変質・変色の原因になります。
市販品ではシュアラスターの「レザークリーナーケアフォームS-61」がよく知られています。LEXUSではディーラーオプションで専用カーケアサービスが用意されており、レザークリーニング・レザープロテクトといったシートケアのほか、ボディやホイールのコーティングなども対応しています。
布シートのメリット:コストが安く、通気性・保温性に優れ、手入れも手軽

ほとんどの車に標準採用されているのがファブリック(布)シートです。軽自動車から普通車まで幅広く採用される理由として、まず低コストで生産できることが挙げられます。
日本の高温多湿な気候において、蒸れにくい通気性の良さは非常に重要なメリットです。夏場も革シートほど蒸れを感じにくく、冬場も冷たさを感じにくい適度な保温性があります。また、滑りにくいため体が安定しやすく、ドライビングポジションが崩れにくい点も実用的なメリットです。耐久性が高く、念入りなメンテナンスをしなくてもある程度の状態を保ちやすいのも日常使いには嬉しいポイントです。
布シートのメリットまとめ
- 価格が安く、多くの車種に標準採用されている
- 通気性が良く、日本の気候でも蒸れにくい
- 冬場も表面が冷たくなりにくい
- 滑りにくく体が安定しやすい
- 耐久性が高く、日常的なメンテナンスの負担が少ない
布シートのデメリット:高級感に欠け、ほこりやニオイが溜まりやすい
布シートは革シートより安価なぶん、見た目の高級感では劣ります。近年はデザイン性の高いファブリックシートも増えてはいるものの、レザーシートと比べると質感の差は否めません。
また、繊維の中にほこりや砂が溜まりやすく、静電気も発生しやすい点はデメリットです。飲み物や食べ物でいったん汚してしまうと、布の繊維に染み込んだ汚れを完全に落とすことは難しい場合もあります。消臭機能のない布素材ではニオイが気になることもあります。
布シートのお手入れ方法:専用スプレーとシートカバーで清潔を保つ
布シートの日頃のお手入れには布シート用の洗浄スプレーが便利です。
ソフト99の「布シート&マットクリーナートリガー400」は高い洗浄効果・消臭効果を持つ布シートケアの定番品
ソフト99の「布シート&マットクリーナートリガー400」は、布シートに吹き付けて専用ブラシでブラッシングしたあとに乾拭きするだけで使えます。ミントの香りで消臭効果もあり、手軽さと洗浄力を兼ね備えた定番アイテムです。
子どもがいて汚れが心配な家庭には、シートカバーの使用がおすすめです。汚れや飲食物のニオイからシートを守れるうえ、着脱して丸洗いできるタイプなら清潔を保ちやすくなります。購入の際はサイドエアバッグ対応かどうか、また自分の車のシートに適合するかどうかを必ず確認してください。
革シートと布シートの中間の選択肢:人工皮革・合成皮革シート
近年は本革と見分けがつかないほど質感が向上した人工皮革・合成皮革を使ったシートが普及しており、高級車にも積極的に採用されるようになっています。本革より低コストでありながら、機能性やメンテナンス性が高い点が評価されています。
東レのウルトラスエードは、毛髪の約20分の1の細さの超極細繊維を立体的に絡み合わせたスエード調人工皮革で、ホンダ・スバル・レクサス・マツダなどの国内メーカーをはじめ、ランボルギーニなど海外のスポーツカーにも採用されています。リサイクルPETや部分植物由来PETを使った環境配慮型素材としても注目されており、インストルメントパネルや天井など、シート以外の内装部材にも使われるようになっています。
セーレンのネオソフィールは日産車の一部グレードなどに採用されてきた合成皮革です。ファブリックとのコンビシートとして一部に使用されているケースもあります。
安価な合成皮革(特にポリウレタン製)には空気中の水分と化学反応して表面がボロボロになる「加水分解」という劣化現象があり、寿命が3〜5年程度とされることもあります。一方、自動車メーカーが純正採用する高品質な人工皮革は加水分解への耐性が高く、10年以上の使用に耐えるよう設計されているものも多いです。 素材選びの際はこの点も確認しておきましょう。
また、環境意識の高まりから、ボルボは新型EVから本革シートを廃止し、テスラも段階的に本革の使用を廃止するなど、欧州メーカーを中心にレザーフリー・インテリアの採用が広がっています。 人工皮革・合成皮革は高級感と実用性を両立する素材として、今後もさらなる普及が見込まれます。
革シートと布シートはどちらも一長一短。ライフスタイルに合わせて選ぼう
革シートは高級感・耐水性・ほこりへの強さが魅力ですが、価格が高く、蒸れやすさや汚れのつきやすさというデメリットもあります。布シートは価格が安く通気性・耐久性に優れますが、高級感や汚れの落としやすさでは革シートに劣ります。
また、人工皮革・合成皮革という第3の選択肢も充実してきており、純正オプションや標準装備として採用される車種も増えています。見た目の質感を重視しつつメンテナンスの手軽さも求める方には有力な選択肢になります。
最終的にはデザインや予算だけでなく、日常のお手入れの手間や使い方、家族構成なども加味してシートタイプを選ぶことをおすすめします。















