ハイオクとレギュラーはどう違う?燃料に使うガソリンの疑問を解決
新しく自動車を購入する時に、選ぶ基準の1つになるのが燃料です。トヨタや日産など各メーカーは販売する自動車にプレミアムガソリンかレギュラーガソリンを指定しています。最近ではディーゼル使用の自動車もありますが、殆どの車がガソリンを燃料としているので、その場合は必ずプレミアムかレギュラー、どちらかを給油しなければなりません。
ここで疑問が生まれます。
「レギュラーガソリン使用車にハイオクを給油するとどうなるの?」
「ハイオク使用車にレギュラーガソリンを給油するとどうなるの?」
「ハイオクとレギュラーガソリンを混ぜて給油するとどうなるの?」
それぞれの燃料の値段や色や性質などの違いや、指定された燃料以外を給油した場合にどのような現象が起こるのかを解説します。
ハイオクとは「高オクタン価ガソリン」の略称でレギュラーガソリンよりもオクタン価が高い燃料のこと
ハイオクとは「高オクタン価ガソリン」と呼ばれる、自動車を動かすための燃料です。「プレミアムガソリン」とも呼ばれレギュラーガソリンよりオクタン価が高いガソリンのことを指します。
エンジン内部で不完全燃焼が起こると金属が振動し、エンジンからカンカン音がなることをノッキングと呼び、ノッキングが激しくなるとエンジンがダメージを受けて、故障の原因となります。
このノッキングが起こらないようにオクタン価を高くしたガソリンが「ハイオク」と呼ばれる自動車燃料です。
オクタン価とはアンチノック性を示す値のこと
エンジン内部の自己着火のし難さとノッキングの起こり難さを耐ノック性やアンチノック性と呼びます。これらの数値を示すのが「オクタン価」の値です。オクタン価の数値が高いほどノッキングが起こり難くなります。
高性能のエンジンの場合では、空気と燃料を強く圧縮する必要があります。圧縮比が高いほどエンジンの力がアップしますが、自然発火しやすくなります。自己着火し難く、不完全燃焼で起こるノッキングを防ぐために「オクタン価」の高いハイオクを給油することになります。
スポーツカーやカスタマイズカー、高級車などはエンジンが高性能なので自動車燃料にハイオクを指定されることが多くなります。
レギュラーガソリンとは?一般的な自動車燃料で「JIS K2202」規格をクリアする燃料のこと
自動車の燃料として最も多く消費されているのがレギュラーガソリンです。JIS K2202で規格されている燃料で、夏の暑さでも燃料が気化せず、冬の寒さでもエンジンが始動し、腐食しないことが求められています。
ターボを搭載しているような高出力を出すスポーツカーや高級車以外の車では、殆どがレギュラーガソリンを自動車燃料としています。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いは「オクタン価」
ハイオクとレギュラーガソリンの違いは「オクタン価」の違いです。オクタン価の違いはJIS品質規格で定められています。
- レギュラーガソリンのオクタン価は89.0以上
- ハイオクガソリンのオクタン価は96.0以上
オクタン価が高いと自己着火し難いため不完全燃焼が起こり難く、エンジン内部でのノッキングを防ぐことができます。エンジンの仕様により自動車燃料にレギュラーガソリンかハイオクのどちらを使うのかが区別されていることになります。
そしてもう一つの大きな違いが燃料の料金です。レギュラーガソリンとハイオクの料金差は約10円です。自動車の維持費を少しでも抑えたい方は、レギュラーガソリン使用の車を検討しましょう。
レギュラー車にハイオクガソリンを給油しても大丈夫
レギュラーガソリン仕様の自動車にハイオクガソリンを入れるとどうなるのでしょうか。結論から言うと「全く問題ありません」。特に大きなメリットもないためハイオクガソリンを給油する意味もありません。
理由はレギュラーとハイオクの違いは「オクタン価」だからです。不完全燃焼を抑えノッキングし難くするハイオクはレギュラー仕様車でも使う事ができます。
レギュラー車にハイオクを入れると燃費が良くなる、走りが良くなる、などと言われることがありますが実際は効果がありません。ハイオクガソリンには洗浄剤が配合されていることが多いのでエンジン内部を綺麗にしてくれる効果は多少期待できます。
しかし目に見える効果は少なくハイオクとの価格差も考えると、レギュラーガソリン仕様の自動車にはレギュラーガソリンを給油したほうが良いでしょう。
ハイオク車にガソリンを入れると故障する可能性もある
ハイオクを給油するよう指定されている車にレギュラーガソリンを給油してしまうと、故障の原因になります。こちらもガソリンの「オクタン価」が関係しています。
オクタン価の特性はノッキングし難いことにあります。ハイオク仕様の自動車は高性能のエンジンを積載しているため燃料を高圧縮しています。レギュラーガソリンを燃料にするとオクタン価が低いため不完全燃焼を起こしてノッキングの原因となってしまうため、ハイオクを燃料としている自動車にレギュラーガソリンを給油するのは避けましょう。
しかしハイオクを指定している自動車の中にも「ハイオク仕様車」「ハイオク専用車」があり、ハイオク仕様車には緊急時のレギュラーガソリンの給油をすることが、販売するメーカーで認められています。
あくまでも緊急時なのでレギュラーガソリンを給油し続けると故障の原因となります。また、「ハイオク専用車」にレギュラーガソリンを給油するのは厳禁となっています。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンを混ぜるとどうなる?2つのケース
ハイオクガソリンとレギュラーガソリンを混ぜるとどうなるのでしょうか。
まずはレギュラーガソリン仕様車にハイオクガソリンを混ぜたケースを解説します。
レギュラー仕様車にハイオクガソリン混ぜるのは問題なし
この場合は全く問題ありません。レギュラーとハイオクの違いはオクタン価です。
- レギュラーガソリン+高オクタン価=ハイオクガソリン
と考えると分かりやすいでしょう。
ハイオクはレギュラーガソリンと混ざりあうので不具合も全くありません。ただしハイオクを給油するメリットもないため指定されているレギュラーガソリンを給油したほうが経済的です。
ハイオク車にレギュラーガソリンを混ぜるとトラブルになることも
ハイオク専用車にレギュラーがガソリンを混ぜるのは避けましょう。これはオクタン価の違いからエンジントラブルになる危険性があるからです。
しかしハイオク仕様の自動車にはレギュラーガソリンとハイオクガソリンを混ぜて給油しても問題はありません。給油するときには自動車の説明書に明記されている「オクタン価」を確認しましょう。
仮にオクタン価が95と指定されている場合をモデルに考えると
- オクタン価90のレギュラーガソリンを半分
- オクタン価100のハイオクガソリンを半分
給油します。その場合は平均のオクタン価95の燃料が出来上がります。指定されている95のオクタン価を満たしているので自動車のパワーもそのままに故障もなく走行します。
メーカー指定の燃料を給油するのが安心
ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの違いは「オクタン価」の違いと覚えておきましょう。また大きく捉えがちな価格差も長いスパンで考えるそこまでの差はないことが分かります。
例えば年間10,000km走行の車で燃費が10km/lと考えるとレギュラーガソリンとハイオクガソリンの価格差は10,000円となります。現在の自動車はECU(エンジンコントロールユニット)の進化により、ノッキングが起こった場合にエンジンを最適に調整してくれますが、年間1万円で愛車のハイパフォーマンス状態を守れるのであれば、自動車メーカーが指定する燃料を給油するのも良いのではないでしょうか。