ガソリン携行缶とは?使い方や補充方法、灯油を入れてもいいの?
ガソリン携行缶とは、フューエル缶やバツ印が入ったグリーンのものはジェリ缶とも呼ばれ、ガソリンを持ち運ぶための金属製容器のことです。ツーリングなどの遠距離を走るときや、車やバイクのほかに電気を作る発電機や畑をたがやす耕運機の給油にピッタリです。
ですが、ガソリン携行缶を正しく使わなければ火災や爆発などの危険が伴いますし、携行缶では長くても半年ほどしか保管することができません。
そこで、ガソリン携行缶の正しい使い方や注意点、セルフスタンドで補給することはできるのか、デザインがおしゃれな物があるので灯油缶として使えるのか、どんな時にフューエル缶を使うのがベストなのかなどガソリン携行缶について紹介。
ガソリン携行缶とはガソリンを運搬するための金属製の容器
ガソリン携行缶とは、金属製の容器内にガソリンを入れて運搬するためのものです。ツーリングなどの遠距離を走るとき、夜の時間帯でガソリンスタンドが開いていない時、発電機や耕運機などガソリンスタンドに持っていくのが難しいものへの給油などに便利です。
しかし、ガソリンは気化する液体で、引火しやすい性質もあるので、使い方を間違えるととても危険です。火の気がある場所で内部の圧力を抜かずにフタを開けると、ガソリンが噴き出すので引火・爆発の危険性があり、実際に祭りの会場でも大きな事故がありました。
容器のサイズは750mlなどの小さなものから20リットルと大きなものまで様々あり、容量が大きくなるにつれて重く、単純にガソリンの量が多いので引火した時の危険性も高くなります。
フューエル缶は正しい使い方をすれば便利なものですので、安全に使う方法を知っておきましょう。
安全にガソリン携行缶から給油をする手順
フューエル缶からの給油をする際には、どのような手順で行えばいいのでしょうか?基本的なガソリン携行缶からの給油手順を紹介します。商品によっては違うものもあるので、製品に付属している説明書をよく読んでから行うことを絶対に守ってください。
また、ガソリン携行缶への給油はセルフスタンドで行うことが出来ないので、従業員が給油してくれるフルサービスのスタンドで給油するようにしてください。
1:携行缶が冷めていることを確認
まず開ける前に携行缶自体が冷めていることを確認します。缶自体が熱くなっていると内圧もかなり高い状態なので内圧逃がしをする時にかなりの勢いで気化したガソリンが空中に出てきますし、すぐにキャップを開けた場合ガソリンが噴き出して周囲に飛び散り非常に危険です。
素手で缶の各所を触ってみて、熱く感じるときは自然に冷めるまで放置しておいてください。
2:エア調整ネジを少しずつ緩める(最も重要!)
ガソリン携行缶には、給油を行う注ぎ口と、エア調整口の2ヶ所の穴があり、まずはエア調整ネジの小さいほうを少しずつ緩めて内部の圧力を逃がします。開ける前に周囲にタバコを吸っている人がいないか、火を扱っているところがないか確認をしておきましょう。
この時には一気にエア調整ネジを緩めず、少しずつ開けて「シュー…」と音がしてきたら一旦開けるのを止め、音が落ち着いたら再び少しずつ開けていきます。
中のガスが抜ける音がしなくなったら完了で、注ぐ時にエア調整の穴からガソリンがこぼれないよう締めておくと安心です。
3:注ぎ口をゆっくりと開けて漏れがないように確認しながらノズルを取りつける
エア調整ネジから圧力を逃がしたのを確認したら、注ぎ口をゆっくりと開けてノズルを取り付けます。この時にも残っているガスがある場合があるので、ゆっくりと開けるようにしてください。
ノズルは斜めに取りつけず、しっかりと取りつけることで、ノズルの根本からガソリンがこぼれるのを防ぐことができます。注ぎ口にノズルを取りつけるとき、ゴミなどの異物が入らないよう注意が必要です。
4:ゆっくりと給油して劣化や錆びが発生しないようにガソリンは使い切る
ノズルを給油口に差し込んだらゆっくりと傾けて給油していきます。エア調整ネジを開けて入れると給油も早いですが、穴からガソリンが漏れ出すこともあるので、慣れていない時は軽く締めたまま給油するといいでしょう。
この時は、携行缶に入っているガソリンを全て使い切るようにしてください。残ったまま保管しておくとガソリンが劣化したり水分によりタンクの内側に錆びが発生する場合があります。
ガソリン携行缶は重さや取り回しのしやすさで10リットルが使いやすい
ガソリン携行缶からの給油で大切なのは、「取り回ししやすい重さ」と「ガソリンを残さずに使い切ること」です。発電機など小さいものに使うときは1リットルの小さいもので十分ですが、自動車に使う場合は10リットルの容量のものが使いやすいです。
日本のガソリン携行缶は、ほとんどの場合20リットルの容量がラインナップしていますが、20リットルだと携行缶自体が重く、ガソリンを満タンに入れておくと更に重たくなり、給油の際などに取り回しがしにくいと考えられます。
10リットル缶だと満タンに入れても20リットル缶に比べて重さは約半分ですし、トランクから持ち上げる時や給油の時にも楽々扱うことができます。
また、ガソリンスタンドの給油のように満タンで自動的にストップするわけではないですし、タンクの容量が小さい軽自動車などでは20リットルを入れるとあふれる可能性もありますので、10リットルがちょうどいいサイズになると考えられます。
「たった10リットルの給油」でも、燃費のいい車では20.0km/L以上走るので、計算上200kmは走行可能になります。給油するごとに「前回の満タン給油から走った距離」と「ガソリンが満タンまで入った量」を割って自分の車の燃費を計算しておくと安心です。
ガソリン携行缶は灯油タンクとして使える?
ガソリン携行缶は灯油のポリタンク代わりに使えるのでしょうか?ガソリン携行缶はレギュラーガソリンや軽油を入れて携行するための試験に合格した容器ですので、灯油も問題なく使うことができます。
ガソリン携行缶は、赤く丸いものだけではなく、ステンレスの角型やグリーンで縦型のジェリ缶などミリタリーなものまでデザインは様々です。部屋や玄関に置いておくのに赤や青のポリタンクだと浮いてみえますが、デザイン性の高いガソリン携行缶を置いておくとオシャレに見えるメリットがあります。
ですが、1つの容器にガソリンと灯油を入れ替えつつ使っていると、家族や他の人が使ったときにストーブへガソリンを誤給油する可能性もあるので、自分だけではなく他の人も分かりやすいように入っている油種を大きく示しておくことを忘れないようにしてください。
車内でガソリン携行缶を長期保存するのは避けよう
緊急時の補充用に便利なガソリン携行缶ですが、ガソリンの保管用として使うことは好ましくありません。ガソリンは腐るもので酸化して劣化していくので、何ヶ月も前のガソリンを自動車に使うと燃費が悪くなることがあります。
どうしても保管する時には、直射日光に当たらない平らな場所、温度変化の少ない場所、ガソリンを満タンにしておくといいでしょう。
また、緊急用として車内にずっと積みっぱなしにしておくのは大変危険で、夏場は車内の温度が40℃以上になることもあり携行缶が熱くなる、振動によりキャップなどが緩みガスが抜けていくと車内に充満し、ライターの火で簡単に引火するので大変危険です。
ガソリン携行缶は空の状態で容器だけ保管して使う時に給油がベスト
ガソリン携行缶は夜間の走行などガソリンスタンドが開いていない時間帯に移動するとき、満タンから走行可能な距離以上走る時などに給油できる便利なものですが、扱い方を1歩間違えば火災などの事故につながるものです。
ガソリン携行缶には使うことが分かっている時に、フューエル缶へ給油して持っていくことがベストです。いつ使うか分からないけど、入れておけば安心だと思っていても、ガソリンは酸化して劣化するので、いざ必要になった時に使おうと思っても粗悪なガソリンになっている可能性もあります。
また、灯油タンクとしても使えるので、ステンレスやジェリ缶などを玄関先に置いておくとオシャレに見えます。スチール製の携行缶はサビが出やすいので、錆びに強いステンレス製のものがおすすめですよ。