トヨタの看板車種・スポーツカーのアイコン的な時代もあったセリカが2026年以降に復活?搭載が予想されるパワートレインや採用が見込まれるエクステリアなど
自動車業界ではかねてから噂があったセリカの復活について、トヨタのチーフエンジニアである甲斐氏がアメリカの自動車専門誌「Road & Track」誌で再登場を予感させるコメントを残した事により現実味を帯びてきました。
初代モデルが1970年に登場し、2006年4月に7代目までが生産を終了するまでの期間中にトヨタの看板車であり、スポーツカーのアイコン的な時代もあったセリカの復活は日本のみならず世界の車市場に大きなインパクトを与えます。
復活の可能性が高まってきた新型セリカが搭載する予定のパワートレイン、採用する見込みのエクステリア、販売価格や燃費について予想を交えて紹介していきます。
セリカが水素エンジンを搭載するFCVになり復活する噂
セリカの新型モデルが2026年に発表されるという噂があり、パワートレインには水素エンジンを採用する可能性があるとのこと。
これはセリカのベースになる、GRカローラが関係しているようです。
GRカローラはトヨタがレースなどのモータースポーツに投入するモデルで、内燃機関に水素を使うFCV(燃料電池車)です。次期セリカのベースがGRカローラになる場合は、セリカのパワートレインも水素を使うFCVになるようです。
セリカの内燃機関がFCVの場合は、燃料インフラ問題があり一般ユーザーは手を出し難くレース専用車両になることも考えられます。そのため一般ユーザー向けにはラインナップが拡大しているプラグインハイブリッドや100%電気で走るBEVをパワートレインにするモデルもラインナップするかもしれません。
GRセリカはトヨタの新世代デザインのハンマーヘッドを採用か
GRブランドから発売が予想されるセリカのデザインで最有力なのが2026年に発売する新型プリウスや2代目C-HRなどに採用する、トヨタの新デザインアイコンのハンマーヘッドです。
キーンルックをベースに左右のヘッドライトにコの字を配した、シュモクザメをイメージするスタイルで、発売が期待されるGRセリカのスポーティな性格にもピッタリの次世代デザインになっています。
トヨタが2017年8月にアメリカで「セリカ」の商標権を申請したことなどから推測すればセリカが復活する可能性は高いと判断できる
トヨタは2017年8月31日に米国特許商標庁に「セリカ」の商標権の再登録申請を行いました。また、トヨタのチーフエンジニアでありスープラの開発にも携わる甲斐氏は、アメリカの自動車専門誌「Road & Track」誌のインタビューで、「スープラを復活させたので、次はセリカとMR‐2」「私たちはセリカを復活させたい。MR2を復活させたい」との趣旨の発言を残しています。
そういった情報を根拠として推測すれば、セリカが復活する可能性は十分に高いと判断できます。
新型セリカの誕生は2026年以降となる見込み
セリカは初代モデルが1970年に登場して以降、アメリカ市場において等に人気の高い車でした。新型モデルも当然のように、アメリカ市場を意識するはずです。そのため、同車のコンセプトカーは早ければ2019年に開催するいずれかのモーターショーで披露すると考えます。
欧州市場で先行発売されるスープラの復活が2019年5月17日に予定されている事を考えると、新型セリカの誕生のタイミングは2026年以降になると考えられます。
新型セリカのエクステリアは「86」をベースとしながらも往年のファンも魅力するために歴代モデルの特徴的なデザインも採用する可能性が高い
2026年以降の誕生が予定される新型セリカのエクステリアは、「86」をベースとしながらもテールランプや前後のバンパーは独自のデザインを採用して個性を発揮すると思われます。
復活を熱望する往年のファンをも魅了するために、同車は6代目セリカの丸目4灯あるいは7代目セリカのような特徴的なヘッドランプのデザインを進化させて採用する可能性が高いと判断します。
新型セリカは、最近のトヨタ車の主流である大型グリルを採用し、フロントフェンダーは左右に張り出させてより立体的とし、一体型タイプのスカートを装着させて迫力を向上させて、攻撃的かつレーシングカーテイストのエクステリアを完成させると予想します。
復活すれば8代目となる新型セリカは、コーナリング時の視界を更に確保するためにフロントピラーはスリム化させて、アンダースカートは大胆にえぐって吸気口を目立たせて、先端の空力技術を採り入れるエアロパーツを設置して、スポーツカーとしての動作性を追求するものと期待します。
TNGAテクノロジーの一部を採用する見込みの新型セリカは、最終モデルSS‐2の最高出力190PSを超えるハイパワーを実現させるパワートレインが搭載される見込み
2026年以降の発売が期待される新型セリカは、「もっといいクルマづくり」を目指すためにトヨタが開発した次世代車両技術であるTNGAテクノロジーの一部を採用すると思われます。
その中でも可能性として高いのは、現行型カムリが搭載する2.5LダイナミックフォースエンジンとTハイブリッドシステム(THS2)を組み合わせパワートレインです。新型セリカが同パワートレインを採用するとすれば、スポーツ仕様車用にチューニングする可能性が高いです。
その次に可能性として高いのは、現行型86が搭載する2.0Lの水平対向4気筒エンジンに改良を加えたパワートレインの搭載です。
新型セリカがいずれのパワートレインを採用するにしても、7代目の最終モデルである2005年式のセリカSS‐2の最高出力である190PSの数値を大きく上回って、250PS以上のハイパワーを実現する可能性が高いと判断します。
新型セリカは第2世代のトヨタセーフティセンスを搭載させるなどして、現行型「86」よりも安全性を高める可能性が高い
復活すれば8代目となる新型セリカは、先行車あるいは歩行者に対する衝突回避および被害軽減を可能とする「プリクラッシュセーフティ」等をパッケージングする第2世代のトヨタセーフティセンスを搭載する可能性があります。
第2世代のトヨタセーフティセンスを搭載して、横滑り発生時に、ブレーキとエンジン出力をシステム側が自動制御して車両の安定性を確保する「VSC」や、坂道発進をサポートする「ヒルスタートアシストコントロール」等の装備も充実させる事で8代目セリカは、現行型「86」よりも安全性を高める事が期待されます。
新型セリカが現行型カムリと同様のパワートレインを採用すれば実燃費20km/L以上も期待できる
新型セリカが、現行型カムリが搭載するハイブリッドシステムを導入すれば、燃費面においてもカムリと同様の数値をクリアする事が見込まれます。
カムリのJC08モードの燃費値は28.4km/L~33.4km/Lで、その値を実燃費に換算すれば約20km/Lの数値となります。カムリ以上に多数のエアロパーツを搭載する事が予想される新型セリカでは、実燃費20km/L以上も期待できます。
復活が期待されるセリカは86やスープラのように他社とタッグを組んで開発される可能性が高い
トヨタのスポーツカーである「86」はスバルとのパートナーシップから誕生しました。2019年5月17日に発売のスープラはBMWとタッグを組む事で復活を実現しました。
近年、スポーツカーの開発費用は高騰しています。それにもかかわらずにスポーツカー需要は、大衆車と比較すれば少ないのが現状です。またスポーツカーは、他の車と共有できない多くの特定コンポーネントが必要となってくるのがネックとなります。
例えば、スープラで使用されているサスペンションパーツは、カムリやカローラのようなセダンには流用できません。
そういった諸事情があって、スポーツカーを単一メーカーだけで全てのツールにわたって投資して開発・製造するにはリスクがあります。そのため、各自動車メーカーはリスクを分散するために、企業の枠を超えてスポーツカー仕様のコンポーネントを共有するなどして、他社との共同開発を積極的に進めています。
復活が期待されるセリカも、86やスープラと同様に他社とタッグを組んで共同開発を進める可能性が十分に高いと判断します。
新型「セリカ」は86やスープラといったトヨタの他のスポーツカーと差別化するために4WDをラインナップする可能性が高い
新型セリカは86や、2019年5月17日復活するスープラといったトヨタの他のスポーツカーと差別化するために、4WD駆動を導入した車もラインナップする可能性が高いと判断します。
VWの「ゴルフR」やスバルの「WRX STI」などのように全ての車輪が駆動する、4WDタイプのスポーツカーのニーズは一定以上あります。4代目から6代目までの歴代セリカは前輪・後輪が駆動する4WD車もラインナップしていました。
そして、世界ラリー選手権でセリカの4WDモデルが活躍していた影響もあって、セリカは4WD駆動のスポーツカーとしてイメージしているファンも多くいます。そのため新型「セリカ」においても4WDモデルのラインナップが期待されます。
復活すればトヨタのスポーツカーシリーズでは中位モデルとなる新型セリカの販売価格は400万円前後になると予想
2019年に欧州市場での先行発売が予定されているスープラの販売価格は、ライバル車となるポルシェ・ボクスターよりも価格を抑えた700万円以下となる見込みです。
復活すればトヨタのスポーツカーシリーズではスープラの下位モデルとなり、かつ86の上位モデルとして位置付けられる可能性の高いセリカの価格帯は、諸条件を考慮すると400万円前後になるとCOBBYは予想します。
車種 | 価格 |
---|---|
新型スープラ(予想) | 6,800,000円~ |
新型セリカ(予想) | 4,500,000円~ |
86(現行型) | 2,623,320円~ |
車名は「天上の、神秘的な、神々しい」を意味するスペイン語をルーツとするセリカは、1970年から2006年まで製造されていたトヨタを代表するスポーツカー
セリカの車名は「天上の、神秘的な、神々しい」を意味するスペイン語のcelicaからきています。1970年に誕生した初代セリカは、「ダルマセリカ」とも呼ばれ当時の若者たちに熱狂的に支持されました。同車は、今でも中古車市場でプレミア価格がつくほどの人気を保っています。
初代モデルが1970年に誕生して、7代目モデルが2006年4月に販売を終えるまでの期間中、セリカは世界ラリー選手権に参戦して輝かしい功績を収めて、各時代の先をゆく斬新なデザインを採用してきました。
40年近くも長きにわたって、世界の車好きを魅力し続けてきたトヨタを代表するスポーツカーであるセリカが復活するインパクトは大きいです。
日本初のスペシャリティカー セリカのモデルチェンジ遍歴
セリカはトヨタが販売していたハードトップ・クーペ型の乗用車で、斬新なデザインが話題になり、北米や欧州にも輸出されていた人気のモデルです。モータースポーツでも活躍していました。
セリカ初代 A20/30型(1970年~1977年)
1970年12月、通称「ダルマ」で親しまれることになるセリカがデビューしました。2ドアハードトップクーペで、「1600GT」に人気が集中しました。
1972年8月、マイナーチェンジを実施。モータースポーツベース車として「1600GTV」を追加。
1973年4月、3ドアリフトバックモデル「LB」が登場。「LB2000GT」に人気が集中しました。
1974年1月、マイナーチェンジを実施し、エンジンフードの長いLBのデザインがクーペにも統一されます。
1975年10月、マイナーチェンジを実施。ボディサイズが拡大され、インテリアではダッシュボードに大きな変更が施されました。
1977年、特別仕様車「ブラックセリカ」を発売。
セリカ 2代目 A40/50型(1977年~1981年)
1977年8月にフルモデルチェンジを実施。エンジンはシングルキャブとツインキャブで6種類の用意がありました。11月には1.8LモデルのエンジンがOHV・シングルキャブに差し替えられます。
1978年3月、上級モデルの「セリカXX」が登場します。5月には3速AT車が1600GT以外の1.6Lモデルに追加されました。9月には一部改良が実施され、環境性能が向上。
1979年8月、マイナーチェンジでフロントグリルが変更されました。
1980年1月、カリーナの姉妹車として4ドアセダンの「セリカカムリ」が登場。8月、リアサスペンションがGT系リフトバックのみ、セミトレーリングアーム式サスペンションに変更。
セリカ 3代目 A60型(1981年~1985年)
1981年7月、キャッチコピー「世界、新CELICA」を掲げてモデルチェンジを実施。ターゲットを若い世代に絞られます。リフトバックとクーペの2種類が設定されました。
1982年9月、1,800ccツインカムターボGT-T系を追加。10月、200台限定でWRC・グループB公認用のGT-TSを販売。1983年8月にマイナーチェンジ実施。
セリカ 4代目 T160型(1985年~1989年)
1985年のモデルチェンジでは流動感のある滑らかな曲線のスタイルになり、コロナクーペとカリーナEDと姉妹車になりました。
1986年、「GT-FOUR」が登場。映画「私をスキーに連れてって」の劇中車に採用されたことから大人気となりました。
1987年8月、マイナーチェンジ。1,600ccDOHCが廃止となり、2,000cc 16バルブを追加。10月にはコンバーチブルモデルも追加になりました。
1988年5月、1,800ccモデルをDOHC化することで、全モデルがDOHCに。
セリカ 5代目 T180型(1989年~1993年)
1989年、5代目モデルチェンジ。個性的で未来感覚のあるフォルムになりました。
1990年8月、コンバーチブルの追加。上級グレードとして「TYPE-G」を設定。さらに、GT-FOURをワイドボディにした「GT-FOUR A」が登場。1991年8月、一部変更と「GT-FOUR A」の廃止。9月、WRCのエントリーモデル「GT-FOUR RC」を発表。
1992年8月、限定300台の特別仕様車「LIMITED 300」を発売。
1993年10月、6代目と入れ替わりで販売を終了しました。
セリカ 6代目 T200型(1993年~1999年)
1993年10月にフルモデルチェンジをして6代目に。剛性の向上と軽量化が図られ、全モデルが3ナンバーになりました。グレードは「SS-Ⅰ」「SS-Ⅱ」の2種類。
1994年2月、WRCエントリーモデルの「GT-FOUR」が登場。WRC仕様車は国内限定2,100台で販売されました。9月にはコンバーチブルモデルを発売。
1997年12月、マイナーチェンジを実施し、エンジンにVVT-iを採用。
1999年、7代目と入れ替わりで販売を終了。
セリカ 7代目 T230型(1999年~2006年)
1999年9月、フルモデルチェンジで7代目に。縦長のヘッドランプが特徴的なフォルムです。ボディはダウンサイジングされ、走行時の安定性が向上しています。
2006年4月、7代36年続いた歴史に幕を閉じ、販売終了になりました。
セリカのモデル | 販売年表 |
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初代 A20/30型 | 1970年~1977年 |
2代目 A40/50型 | 1977年~1981年 |
3代目 A60型 | 1981年~1985年 |
4代目 T160型 | 1985年~1989年 |
5代目 T180型 | 1989年~1993年 |
6代目 T200型 | 1993年~1999年 |
7代目 T230型 | 1999年~2006年 |
スープラに続きセリカとMR‐2が復活すればトヨタのスポーツカーメーカーとしてイメージは強まる
スープラに続き、2026年以降にセリカと日本初のミッドシップ市販車であるMR‐2が復活すれば、トヨタのスポーツカーメーカーとしてのイメージは強まります。
トヨタは、世界をリードするハイブリッドシステムを搭載して圧倒的な低燃費を実現するエコな車を製造するメーカーであるとの認識が強まっていますが、スープラに続いてMR‐2やセリカが復活すれば、同社のスポーツカーメーカーとしての認知度は高まります。