4WDのチェーンは前輪と後輪どっちにつけるのが正解?
タイヤチェーンは、前輪か後輪どちらかのタイヤ2本に装着すればよく、一般的にFF式なら前輪、FR式なら後輪と「駆動輪」側につけるのが基本。
しかし、4WD車の場合、前輪につけるべきか、後輪につけるべきか、FFやFRという区分がないため、どちらの装着が正解かわからない方も多い。もちろん「四輪駆動だから」と4本すべてにチェーンを装着する必要はない。
4WD車のチェーン装着について解説し、車の知識がまったくない人にも、チェーンの装着場所はどのように決まっているのか、わかりやすく説明。
4WDのチェーン装着箇所はクルマの説明書の「寒冷時の運転・注意点」に書いてある
結論から言ってしまいますが、パートタイム4WDでもフル4WDでも、チェーンの装着位置を知りたければ、車の説明書を見るのが1番正確です。
クルマの取り扱い説明書は、レンタカーなどでも多くはダッシュボードに入れてあるはずですし、現在発売されている車ならインターネット上で閲覧できるようになっています。
目次をざっと見て、「寒冷時の使い方・注意点」といった項目を探しましょう。そのカテゴリにタイヤチェーンについても記載があり、前輪・後輪のどちらに装着すればいいのか説明してあります。
4WD車に急いでタイヤチェーンを装着する必要がある人はこれで問題は解決したでしょう。
そのうえで、なぜ自分の車は前輪なのか、チェーンの装着場所はどのように決まっているのか知りたい人は、以下を読み進めてみてください。
前輪?後輪?タイヤチェーンの装着位置はどのように決められているのか
まずは、タイヤチェーン装着に関わるクルマの駆動方式の見方を簡単に説明します。
タイヤチェーンは、前か後ろ、どちらかのタイヤ2本に装着するのが一般的です。
前後のどちらに装着するべきかは、駆動輪を見ればわかります。駆動輪とは、車が走行する際にエンジンが主に動力を伝えているタイヤのことです。
2WDはFF式なら前輪、FR式なら後輪に装着するのが基本
4WDではない2WDには、FF、FR、MR、RRなどがあります。前側のアルファベットはエンジンの置き場所、後ろが駆動輪を指しています。
FF式は「フロントエンジン・フロントドライブ」、つまり前側にエンジンを置き、前輪を駆動させている車という意味です。FR式なら「フロントエンジン・リアドライブ」前側にエンジンを置き、後輪を駆動させている車という意味です。
MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)、RR(リアエンジン・リアドライブ)などもありますが、多くはスポーツカーなので除外します。
とにかく2WDの場合は後ろのアルファベットが「F」なら前側にチェーン、「R」なら後ろにチェーンを装着すると覚えておけばOKです。
4WDにも「ベースの駆動輪」が存在するので、チェーンはトルク配分の大きい側につける
4WD(「AWD」とも言う)はその名前の通り、四輪すべてを稼働する「four wheel drive」の意味です。外車やスバル車では「AWD」という呼び方をしますが、これも「all wheel drive」で意味は同様。
しかし、「4輪すべてを稼働する」といっても、前輪と後輪の力配分が常に5:5ということはありません。パートタイム式でも、フルタイム式でも、必ずベースとなる駆動輪が存在します。
そのため、前二輪か、後ろ二輪か、よりトルク配分が大きいタイヤ側にチェーンを装着するのが基本となります。
4WDで同車種に2WDがある場合は、2WDと同じ側に装着すればほぼ間違いない
同車種で2WDと4WDの両方がラインアップされている場合、4WD車のベースとなる駆動輪も2WD車と同様なことが多いです。
例えばオフロード性能が高いと人気の軽自動車スズキ・ハスラーですが、2WD車はFF(前輪駆動)です。説明書にもチェーンは前輪に装着するように記載があります。
4WD車で後輪にチェーンを装着すべき車種
現行型の日本の普通乗用車の多くはFF(前輪駆動)式ですので、前輪装着の4WD車の方が多いのは間違いありません。しかし、中には後輪にチェーンを装着すべき4WDも存在します。
トヨタはフルタイム4WDのプラドと人気の高いハイエースなどが後輪にタイヤチェーンを装着
トヨタは、フルタイム4WDのランドクルーザープラド、パートタイム4WDのFJクルーザーなどの四輪駆動車のタイヤチェーンは後輪に装着する必要があります。
また、ワンボックスカーとして人気のハイエース(200系)も後輪、クラウンやマークXなどの伝統あるセダンも2WD車は後輪駆動のため、4WD仕様車は後輪にチェーンを装着してください。
トヨタ車で後輪にチェーンを装着する車種一覧(バス・トラック一部除く)
プラド/FJクルーザー/クラウン/マークX/ハイエース/ハイラックス/ライトエースバン・トラック/ピクシストラック/ピクシスバン・ライトエースバン・トラック/レジアスエース/ラッシュ/86(FR車・4WD車なし)
スズキはジムニーやエブリイワゴンが後輪にチェーンを装着する必要あり
現行のスズキ車で後輪にチェーンを装着すべき車種は、なんといっても軽自動車の4WDジムニーです。派生車種で普通自動車のジムニーシエラも同様に後輪にチェーンを装着してください。
2WD車はFR式のエブリイワゴンも、4WD車は後輪にチェーンを装着する必要があります。
三菱パジェロは後輪にタイヤチェーンを装着
三菱を代表する4WDパジェロもタイヤチェーンは後輪に装着する必要があります。
一方で、ミドルサイズSUVのアウトランダーや人気ミニバンであるデリカD:5などは前輪装着のため、説明書をよく確認してください。
スバル、日産、ホンダ、マツダ車で後輪チェーン装着の乗用車は少ない
商用利用がメインのバンやトラックを除き、現在販売されているスバル、日産、ホンダ、マツダの乗用車は後輪にチェーンを装着すべき車種は少数です。
4WDに定評のあるスバルですが、インプレッサ、XV、フォレスター、レガシィ、レヴォーグなどはすべて前輪にチェーンを装着と説明書に注意書きがあります。
ホンダの SUV車であるCR-Vとヴェゼルも前輪装着、マツダのクロスオーバーSUVである CX-3、CX-5、CX-8もすべてチェーンは前輪装着です。
以上は代表車種として挙げただけですので、もちろんこれ以外にも「チェーンは後輪」とする4WD車も存在します。タイヤチェーン装着の際には、説明書を必ず確認してください。
C-HRはチェーンの装着不可!スタッドレスタイヤへの切り替えが現実的
クロスオーバーSUVとして人気のトヨタC-HRは、特殊なので注意が必要です。
2WD車は前輪駆動なので、本来なら4WD仕様車も前輪にチェーン装着…と言いたいのですが、「タイヤとボディのクリアランス(隙間)が少ないため、18インチタイヤを装着しているとチェーンは装着不可」と説明書に記載されているのです。
C-HRの場合はチェーン装着ではなく、スタッドレスタイヤを選択した方が良いでしょう。
インチダウンして、クリアランスが少なくても装着しやすい金属チェーンを使うのもありかもしれません。チェーンの装着位置は「前輪」と説明書に記載されています。
4WDのチェーン装着位置を要確認!スタッドレス不可・チェーン必須な場面が増える可能性あり!
4WDは一般的には雪道に強いため、よほどの悪天候出ない限り、スタッドレスタイヤさえ履けば大体の公道は走行できるはずです。
しかし、スタッドレスではなくチェーンで乗り切りたいという人もいるでしょうし、2018年12月には全国13カ所でタイヤチェーンを装着しなければ通行できない道路区間が定められました。スタッドレスタイヤのみは不可で、チェーンが必須です。
今後も対象地域は拡大する見込みですので、タイヤチェーンの装着はドライバーとして覚えておきたいところです。
前輪・後輪どちらに装着するのか説明書で確認したら、自分が装着しやすいと思えるタイヤチェーンを購入しましょう。実際に雪道を走行する前に、1度練習しておくことをオススメします。