タイヤチェーン装着義務化(チェーン規制)とは?乗用車も対象・全国13区間を解説
2018年12月から施行された「チェーン規制」により、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が出るような異例の降雪時には、全国13区間でタイヤチェーンの装着が義務化されています。規制はトラックなどの大型車だけでなく乗用車を含む全車が対象です。スタッドレスタイヤを装着していても、チェーンなしでは規制区間を通行できない点が最大のポイントです。
新たに「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」という標識も新設されました。丸く青い看板にタイヤとチェーンが描かれたデザインで、通常時はカバーで隠されており、規制発令時に初めて表示されます。どの区間が対象か、違反した場合の罰則はどうなるか、どんなチェーンが使えるかをまとめて解説します。
チェーン規制が発令される条件と目的
チェーン規制は常時かかっているわけではありません。気象庁および国土交通省が「大雪特別警報」や「大雪に対する緊急発表」を行うような、異例の大雪が予想・発生した際に発令されます。発令の可能性は通常2〜3日前に発表されるため、日本道路交通情報センターや国土交通省のウェブサイトで事前に確認することが重要です。
規制の目的は、通行止め時間を短くすることです。以前は大雪時に集中除雪のため全面通行止めにしていましたが、チェーンを装着した車両は除雪前後のタイミングでも通行できるようにすることで、交通渋滞を最小限に抑える狙いがあります。2018年以前に国道8号線や北陸自動車道などで発生した大規模な立ち往生がきっかけとなり、制度化されました。
チェーン規制の対象区間は全国13か所(高速道路7区間・国道6区間)
国土交通省と警察庁が指定したチェーン規制の対象区間は、勾配の大きい峠部で過去に大規模な立ち往生や通行止めが発生した場所が中心です。チェーンの着脱場や規制解除まで待機できる場所がある区間に限られています。現在、規制区間は以下の13か所です(当初から変更なし)。
チェーン規制の対象区間一覧
- 上信越道:長野県信濃町ICから新潟県新井PA間の25km
- 中央道:山梨県須玉ICと長坂IC間の9km
- 中央道:長野県飯田山本ICと園原IC間の10km
- 北陸道:福井県丸岡ICと石川県加賀IC間の18km
- 北陸道:滋賀県木之本ICと福井県今庄IC間の45km(13区間中最長)
- 米子道:岡山県湯原ICと鳥取県江府IC間の34km
- 浜田道:島根県旭ICと広島県大朝IC間の27km
- 国道112号線:山形県西川町志津から鶴岡市上名川の27km
- 国道138号線:山梨県山中湖村平野から静岡県小山町須走字御登口の9km
- 国道7号線:新潟県村上市の大須戸から上大鳥の16km
- 国道8号線:福井県あわら市熊坂から笹岡の4km
- 国道54号線:広島県三次市布野町上布野から島根県飯南町上赤名の12km
- 国道56号線:愛媛県西予市宇和町から大洲市松尾の7km
規制対象の都県は、長野・新潟・山梨・福井・石川・滋賀・岡山・鳥取・島根・広島・山形・愛媛の12県です。雪が多いイメージの北海道には規制区間が設定されていません。なお、規制区間は将来的に拡大するとされていましたが、現時点では当初の13区間にとどまっています。
スタッドレスタイヤでもチェーン規制には対応できない・乗用車も全車が対象
チェーン規制で最も注意が必要なのは、スタッドレスタイヤを装着していてもチェーンなしでは規制区間を通行できないという点です。大雪時の峠の下り坂では重量の大きい車両ほどブレーキをかけてから止まるまでの距離が長くなるため、4WD車も例外ではありません。規制が発令されると乗用車・大型車を問わず全車が対象となります。
規制区間の手前には「チェーン着脱場」が設けられており、検査員がタイヤチェーンの装着状況を確認します。チェックを受けた時点でチェーン未装着の場合は、その区間への進入ができなくなります。この確認自体での罰則や反則金はありませんが、チェック体制を無視して大規模な渋滞を引き起こした場合は道路交通法違反となる可能性があります。
チェーン規制に対応できるタイヤチェーンの種類と選び方
タイヤチェーンには複数の種類があります。チェーン規制に対応できるのは、カー用品店などで「タイヤチェーン」として市販されている製品であれば基本的に問題ありません。ただし、薬剤をタイヤに吹き付けるスプレー式は規制区間での使用が認められていないため注意が必要です。
タイヤチェーンの種類と特徴
- 金属チェーンタイプ:凍結路での制動力・登坂力に優れ安価でコンパクト。走行時の振動や騒音が出やすく、コンクリート路での連続走行でチェーンが傷みやすい
- ウレタン・ゴムタイプ(非金属製):雪道・凍結路どちらでも性能を発揮し振動・騒音が少ない。金属製より軽く扱いやすいが価格はやや高め
- 布製カバータイプ(スノーソックス等):取り付けが最も簡単で収納場所を取らない。国土交通省が認める規制対応チェーンとして位置づけられており、現在では高速道路でも金属チェーンの同等品として認められている
- スプレー式:タイヤに吹き付けるだけで手軽だが、チェーン規制区間での使用は不可。突然の雪への緊急対応用として携行する程度にとどめること
なお元記事では「布製(ソック)はチェーン規制区間で使えない」と記載していましたが、これは誤りです。国土交通省は布製カバータイプ(アラミドなどの特殊繊維製)をチェーン規制に対応するチェーンの種類として明確に認めています。スプレー式のみが規制区間で使用不可となっています。
チェーンは駆動輪に装着するのが基本です。FF車(前輪駆動)なら前輪、FR車(後輪駆動)なら後輪、4WD車はメインの駆動輪(車種によって異なるため取扱説明書で確認)に装着してください。また、自分のタイヤサイズに合ったチェーンを選ぶことが必須です。いざという時に慌てないよう、購入後は試着・装着練習をしておくことを強くおすすめします。チェーン規制区間の手前にあるチェーン着脱場でも装着できますが、慣れていないと時間がかかります。
雪道をノーマルタイヤで走ると交通違反・罰則の対象になる
チェーン規制とは別に、雪道や凍結路をノーマルタイヤ(夏タイヤ)で走行すること自体が昔から交通違反です。こちらはチェーン規制の発令に関係なく、雪道・凍結路で適切な冬用装備がない場合に適用されます。
雪道・凍結路をノーマルタイヤで走行した場合の罰則
- 違反点数:なし
- 反則金:6,000円(普通車)
- 罰金:5万円以下
毎年雪が降る地域では冬タイヤへの交換が当然のため意識されにくいですが、普段雪が少ない地域から雪道に入る際は特に注意が必要です。
タイヤチェーンを装着できない車種もある点に注意が必要
チェーン規制区間を通行する予定がある場合、自分の車にタイヤチェーンが装着できるかを事前に確認しておくことが重要です。ボディとタイヤの隙間が狭い車種やグレードでは、チェーンを装着できない場合があります。
たとえばトヨタC-HRの18インチホイール装着グレードは、ボディとタイヤの隙間が狭くチェーンを装着できないと取扱説明書に明記されています。その場合、17インチ以下のホイールに交換しなければチェーンを装着できません。C-HRに限らず、ローダウン車や扁平タイヤを装着した車でも同様の問題が起きることがあります。冬の本格的な降雪シーズン前に、取扱説明書の「タイヤチェーン」の項目を必ず確認してください。
チェーン規制への備え方と規制区間走行時の注意点
チェーン規制が発令された場合、規制区間の手前でチェーンを装着し、規制区間を抜けたら速やかに取り外すことが必要です。特に金属製チェーンは、乾いたコンクリート路での連続走行でチェーンが切れたり、騒音や振動が激しくなったりするため、規制区間を出たらすぐに外す習慣をつけましょう。
また、チェーンを持っていない場合は規制区間への進入ができなくなります。対象区間付近を冬季に走行する可能性があるドライバーは、規制の発令に関わらずチェーンを車内に常備しておくことが安心です。規制発令時に迂回路が渋滞するケースも考えられるため、余裕を持ったルート計画も重要です。
チェーン規制の情報は、日本道路交通情報センター(JARTIC)や各高速道路会社のウェブサイト、国土交通省・警察庁の公式サイトで確認できます。冬の山越えルートを走る前には必ず事前確認を行いましょう。