ラッシュのモデルチェンジは決着済み 2代目は日本未導入で後継はライズ 東南アジアでは現行として販売継続
トヨタのラッシュは、ダイハツ・ビーゴ(海外名テリオス)のOEMとして2006年から2016年まで日本で販売されていたコンパクトSUVです。5ナンバーに収まるボディにビルトインラダーフレームを組み込んだモノコック構造を採用し、快適な乗り心地と頑丈さを両立していました。ダイハツ・テリオスのOEMだったキャミの実質的な後継にあたります。
ここでは、東南アジアで販売が続く2代目ラッシュのエクステリアやインテリア、搭載エンジンなどを見ていきます。あわせて、かつて話題になった「日本再導入」の噂がその後どうなったのかも整理します。
※日本ではラッシュは2016年に販売を終えており、実質的な後継車種はダイハツ・ロッキーのOEMであるライズ(2019年11月発売)です。フルモデルチェンジした2代目ラッシュは日本へは導入されていません。
2代目ラッシュは日本へ来ず後継はライズに 東南アジアでは改良を重ねて現行販売中
かつては「フルモデルチェンジした新型ラッシュが日本にも導入されるのでは」という見方がありました。しかし結論として、2代目ラッシュが日本市場へ投入されることはありませんでした。日本でこのクラスの役割を引き継いだのは、2019年11月に発売されたトヨタ・ライズ(ダイハツ・ロッキーのOEM)です。ラッシュという車名での日本復活ではなく、別車種のライズがコンパクトSUVの受け皿となりました。
一方、2代目ラッシュはインドネシアを中心とした東南アジアで現行モデルとして販売が続いています。2021年モデルへの改良では全グレードに3列シートとバックカメラが標準化され、同時にスポーティなGRスポーツがインドネシアに追加されました。2024年にはそのGRスポーツがフェイスリフトを受け、ブラックを効かせた外装や9インチのタッチ画面などで内外装が刷新されています。パワートレインは2NR-VE型1.5Lガソリンのまま据え置かれました。
ただし縮小の動きも出ています。マレーシアでは2024年初めに販売を終え(姉妹車のプロドゥア・アルスは継続)、中東のGCC諸国でも2025年に販売を終了しています。歩行者保護をはじめとする安全基準の強化や、被害軽減ブレーキ(AEB)を備えない構成などが背景とみられます。設計の古さも指摘され始めており、次期型は後輪駆動から前輪駆動へ切り替わるとの見方も出ていますが、現時点で正式な発表はありません。それでもインドネシアでは2026年時点でも同クラス上位の人気を保ち、現行として選べる状態が続いています。
2代目ラッシュのエクステリアはシャープでアグレッシブなデザイン
2代目ラッシュのエクステリアは、初代の丸みを帯びた姿から一新され、近代的でシャープなデザインへと進化しました。全長4,435mm・全幅1,695mm・全高1,705mmの5ナンバー相当サイズで、初代より全長が伸びた分、荷室が広がりファミリーユースやレジャーにも使いやすくなっています。
GRスポーツ仕様では専用のブラック加飾やアルミホイール、リアスポイラーなどが与えられ、精悍さと実用性を両立しています。
| 2代目 | 初代 | |
|---|---|---|
| 全長 | 4,435mm | 4,005mm |
| 全幅 | 1,695mm | 1,695mm |
| 全高 | 1,705mm | 1,705mm |
| ホイールベース | 2,685mm | 2,580mm |
初代と比べても全幅は変わらず全長とホイールベースが伸びた程度で、車両感覚は大きく変わりません。プラットフォームも刷新されており、取り回しのよさは保たれています。
フロントマスクは、近年のデザイントレンドらしい大きく開いたグリルと、細く鋭いヘッドライトで構成されています。ポジションランプはヘッドライトとウインカーの間を導光ラインで光らせる演出です。SUVらしい厚みのあるフロントバンパーやホイールアーチの樹脂パーツ、ルーフレールも備わります。
リアはハッチバック形状で、シャークフィンアンテナやリアスポイラーが備わります。テールレンズは立体的でボリュームのある造形とされ、機能とデザイン性を両立しています。
インテリアは5人乗りと3列7人乗りを用意しファミリーユースに対応
インテリアはブラックとホワイトを基調とし、シフト周辺にはシルバー加飾が添えられます。ホワイト部分にはソフトパッドが用いられ、手触りにも配慮されています。センターコンソールには上からハザードスイッチ、ナビ、エアコン操作部が並び、最下段にシガーソケットを備えます(2024年のGRスポーツ改良では9インチのタッチ画面や、より黒基調の内装へと刷新されました)。
メーターはブラック基調にブルーのアクセントを効かせ、指針はホワイト。中央にはインフォメーションディスプレイが置かれ、現在時刻や燃料計、シフトレンジ、オドメーターなどを表示します。
メーター左側にはタコメーターがあり、レッドゾーンは6,200rpm〜8,000rpm。右側の速度計は200km/hまで刻まれています。燃料計のアイコンは右向きの矢印を備え、給油口が運転席側にあることを示します。
2代目ラッシュには5人乗りと7人乗りが用意され、2:3:2のシートアレンジを採ります。2021年モデルの改良以降は、市場によって全グレードが3列シート化されました。コンパクトなボディに3列を収めた点が評価され、東南アジアではファミリー層に広く受け入れられています。仮に日本で考えるなら同価格帯にシエンタが近い存在ですが、シエンタはミニバン寄りで、SUVらしいラッシュとは性格が異なります。
搭載エンジンは1.5Lガソリンで104PS 駆動はFR(2WD)のみ
2代目ラッシュのエンジンは、ダイハツ・テリオスと共通の2NR-VE型1.5Lで、最高出力104PS・最大トルク136Nm。コンパクトSUVには手頃な排気量ですが、7人フル乗車では発進や上り坂でやや力不足を感じる場面もあります。
| 型式 | 2NR-VE |
|---|---|
| 種類 | 直列4気筒 |
| 排気量 | 1,496cc |
| 最高出力 | 104PS/6,000rpm |
| 最大トルク | 136Nm/4,200rpm |
組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATです。初代は2WD(FR)と4WDが選べましたが、2代目は後輪駆動(FR)の2WDのみで、4WDの設定はありません。ここは初代と異なる点として押さえておきたいところです。
安全装備はダイハツ由来の予防安全パッケージ 市場によって内容が異なる
ラッシュはトヨタブランドで販売されるものの、ダイハツからのOEM車のため、安全装備はトヨタセーフティセンスではなく、ダイハツ系の予防安全パッケージ(スマートアシスト系)が用いられます。日本のパッソにも搭載されていたスマートアシストIIIは、車両だけでなく歩行者にも対応する内容でした。
ダイハツ・スマートアシストIIIの主な内容(参考)
- 衝突警報機能(対車両・対歩行者)
- 衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・対歩行者)
- 誤発進抑制制御機能(前方・後方)
- 車線逸脱警報機能
- オートハイビーム
- 先行車発進お知らせ機能
ただし、実際の装備内容は販売市場によって差があります。マレーシア仕様のように被害軽減ブレーキ(プリクラッシュ)を備えた市場がある一方、インドネシアのGRスポーツはエアバッグ6個や横滑り防止装置が中心で、AEB(自動ブレーキ)を備えない構成でした。この安全装備の差は、GCC市場で2025年に販売終了へ至った一因とも指摘されています。日本のトヨタ版としての安全装備が語られることはありませんでしたが、それは2代目が日本に導入されなかったためです。
「勢いよく進む」を意味するラッシュのモデルチェンジ遍歴
ラッシュはトヨタが日本で2016年まで販売していたコンパクトSUVで、ダイハツ・ビーゴのOEM供給を受ける姉妹車でした。同じくダイハツ・テリオスのOEMだったキャミの後継にあたります。
ラッシュ 初代 J2##E/F7##型(2006年〜2016年/海外は2017年頃まで)
2006年1月、「見晴らしのいいコンパクト」をキャッチフレーズに、ダイハツ・ビーゴのOEMとして販売を開始。販売目標の4倍を超える好スタートを切りました。
2008年1月、一部改良でボディカラー追加とパーキングブレーキ戻し忘れ防止ブザーを追加し、特別仕様車「G Limited」を発売。同年11月にはマイナーチェンジで外装・内装色の変更や燃費向上を実施し、「Lパッケージ」を追加。
2010年7月、一部改良で全グレードの装備を簡素化して値下げし、特別仕様車「X Smart Edition」を発売。
2012年4月、一部改良でシート形状の変更やボディカラーの追加を実施。
2013年1月、一部改良でボディ/インテリアカラーの追加とMT車の廃止。
2014年10月、2WD車の販売を終了。
2016年3月、日本での販売を終了。
ラッシュ 2代目 F800/F850型(2017年〜/東南アジアで継続)
2017年11月、2代目をインドネシアで発表。翌2018年1月から7人乗りのみで販売を開始し、5月にはフィリピンでも発売(5人乗り「E」、7人乗り「G」)。アラブ首長国連邦は7人乗りのみ、7月に南アフリカで5人乗り、ジャマイカとコロンビアで7人乗り、9月にパキスタンで7人乗り3グレード、ベトナムで4速AT7人乗り、10月にマレーシアで7人乗り4速ATを発売しました。
2019年11月、日本ではラッシュを再導入せず、実質的な後継となるトヨタ・ライズ(ダイハツ・ロッキーOEM)が発売。
2021年、2代目の改良(2021年モデル)で全グレードに3列シートとバックカメラを標準化し、スポーティ版GRスポーツをインドネシアに追加。
2024年4月、インドネシアでGRスポーツをフェイスリフト。ブラック加飾や9インチタッチ画面などで刷新(価格は上昇、エンジンは2NR-VEを継続)。同年、マレーシアでは販売を終了。
2025年、中東のGCC諸国で販売を終了。インドネシアなどでは継続。
| ラッシュのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 J2##E/F7##型 | 2006年〜2016年(日本) |
| 2代目 F800/F850型 | 2017年〜(東南アジアで継続) |
ラッシュの現在地 3列7人乗りSUVとして東南アジアで健在だが日本再上陸はなし
トヨタのラッシュはダイハツ・ビーゴのOEMとして日本で販売され、2016年に販売を終えました。その後、フルモデルチェンジした2代目が期待されたものの日本へは導入されず、国内のコンパクトSUV需要は2019年11月発売のライズが引き継いでいます。
2代目ラッシュ自体は、初代から全長が伸びて荷室が広がり、5人乗りに加えて3列7人乗りも選べる実用的なSUVへと進化しました。搭載エンジンは1.5Lガソリンで、駆動方式は後輪駆動(FR)の2WDのみです。取り回しのよいサイズに3列シートを収めた点が支持され、インドネシアでは2026年時点でも同クラス上位の人気を保っています。
一方で、マレーシアやGCC諸国では販売を終えるなど縮小も進み、設計の古さから次期型はFWD化するとの見方も出ています。とはいえ日本については、ライズがすでにその役割を担っているため、ラッシュとして再上陸する動きは今のところ見られません。3列7人乗りのコンパクトSUVという個性は、東南アジア市場で受け継がれています。