ハイラックスGRスポーツの現在地 9代目に設定はなく、日本仕様Z“GR SPORT”は販売終了
ハイラックスGRスポーツ(Toyota Hilux GR SPORT)は、2018年のサンパウロモーターショーでのお披露目を皮切りに、南米・南アフリカ・タイ・欧州・オーストラリア、そして日本へと広がっていったGAZOO Racing仕様のピックアップトラックです。ところが2025年11月に世界初公開された9代目ハイラックスには、2026年7月時点でGR SPORTが用意されていません。日本仕様のZ“GR SPORT”も2024年の生産休止を最後に姿を消し、2026年5月28日に発売された新型ハイラックスのグレードはZとZ“Adventure”の2本立てです。つまり、日本の販売店で新車のハイラックスGRスポーツを注文することは、2026年7月時点ではできません。ここでは、その結論に至るまでの5年間の動きを新しい順に整理します。なお9代目のGR SPORTはメーカーから正式発表されておらず、以下の将来見通しは当編集部の見立てです。
新型ハイラックス(9代目)が2026年5月28日に日本発売 GR SPORTの設定は見送りに
トヨタは2026年5月28日、ハイラックスをフルモデルチェンジして日本市場へ投入しました。グレードはZ(498万0800円)とZ“Adventure”(550万0000円)の2種類のみで、どちらもパートタイム4WD、パワートレインは2.8Lディーゼルの1GD-FTV型と6速オートマチック(6 Super ECT)の組み合わせに一本化されています。ボディサイズは全長5,325mm×全幅1,885mm×全高1,865mm、月販基準台数は690台、生産はタイのトヨタ・モーター・タイランド バンポー工場が担当します。
デザインキーワードは“Cyber SUMO”。力士の立ち合いから着想したというフロントまわり、水平基調のインストルメントパネル、独立配置の12.3インチセンターディスプレイ、電動パワーステアリングと電動パーキングブレーキの採用、マルチテレインセレクトの標準装備などが8代目からの主な進化点です。テールゲート開口部の地上高845mm、左右リヤクォーターパネルのデッキステップ、最大積載量500kgといった荷台まわりの使い勝手も磨かれました。
一方で、この2グレード構成にGR SPORTは含まれていません。8代目で「Z“GR SPORT”」が担っていたワイドボディ+専用足まわりというポジションは、9代目では専用バンパーガーニッシュやスポーツバーを備えるZ“Adventure”がおおまかに引き継いだ格好です。ただしZ“Adventure”はオーバーフェンダーでトレッドを広げる仕立てではなく、GR SPORTの直接の後継とは言い切れません。
とはいえ、GR SPORTがこのまま消えるとは考えにくいところです。9代目はIMVシリーズのラダーフレームを継承した正常進化型で、8代目の中身を色濃く残しています。裏を返せば、RogueとGR SPORTのために作り込まれたワイドトレッド機構——トレッドを前後で140〜155mm広げ、モノチューブダンパーと4輪ディスクブレーキを組み合わせるあの一式——は、そっくり転用できる資産として手元に残っている計算です。数年がかりで仕上げた足まわりを一世代で捨てるとは考えにくく、時期を見て復活する方向とみられます。
順番としては、海外市場が先行し、日本仕様はその後の追加設定となる公算が大きいでしょう。8代目でもタイでの導入が2021年8月、日本仕様のZ“GR SPORT”が同年10月8日と、約2か月の時差がありました。加えて9代目のワイドトレッド開発にはオーストラリアが深く関わっており、豪州・タイ・南アフリカあたりが先に動き、日本は年次改良や一部改良のタイミングに合わせて設定される流れが自然です。日本市場の月販基準台数が690台と限られることを踏まえても、専用グレードの追加は世界的な量産が立ち上がってからになる見込みです。
中身については、先代のGR SPORT II/GR-S IIIが到達した水準が出発点になりそうです。9代目の2.8Lディーゼルは48Vマイルドハイブリッド仕様で150kW/500Nmですから、ここに専用のECUキャリブレーションを施し、南アフリカのGR-S IIIと同等の165kW/550Nm前後へ引き上げてくる可能性があります。競合はフォード レンジャー ラプター、いすゞD-MAX ブレイド、起亜タスマンといった顔ぶれで、いずれも足まわりとトレッドで差別化を図るタイプ。ハイラックス側も、出力の上乗せより車体側の作り込みで応える性格が引き継がれるとみられます。もっとも、これらはいずれもメーカーから正式に示された内容ではありません。
9代目ハイラックスは2025年11月10日にタイで世界初公開 ワイドトレッド系はいったん姿を消す
9代目ハイラックスは2025年11月10日、タイ・バンコクで開催された新車発表イベントで世界初披露されました。8代目の登場が2015年5月ですから、実に約10年ぶりの全面刷新です。プラットフォームは従来と同じIMVシリーズのラダーフレームを継承しつつ、ハイドロリック式エンジンマウントやせん断型キャビンマウントの採用で振動と乗り心地を改善しています。
最大のトピックは電動化です。ハイラックス史上初となるBEV「Travo-e」は前後2モーターの4WDで最高出力196ps、バッテリー容量59.2kWh、航続距離300km超(現地基準)というスペック。空力を稼ぐためフロント開口部を塞いだ専用デザインを与えられています。内燃機関側は2.8Lディーゼル(1GD-FTV)に集約され、欧州向けには48Vマイルドハイブリッドも設定。さらに2028年にはFCEVの追加が予告されており、トヨタが掲げるマルチパスウェイをそのまま体現するラインナップとなりました。展開スケジュールは欧州・オーストラリアが2025年12月から、アジア各国が2026年以降、日本が2026年5月です。
そして、この初期ラインナップにGR SPORTの名前はありませんでした。オーストラリア仕様のグレードはWorkMate/SR/SR5/Rogue/Rugged Xの5本、タイ仕様はスタンダードキャブ/プレランナー/オーバーランドという構成で、8代目のRogueとGR SPORTが共有していたワイドトレッド専用シャシー自体が新型では姿を消しています。開発陣もGR SPORTについて「将来の話」という趣旨の言い方にとどめており、少なくとも登場から半年強が経った2026年7月時点でも正式なアナウンスはありません。
日本仕様のZ“GR SPORT”は2024年の生産休止のまま販売終了
日本のハイラックスGRスポーツは、静かに幕を下ろしました。発端は2024年1月29日に公表された豊田自動織機のディーゼルエンジン認証不正です。ハイラックスが搭載する2.4Lディーゼルの2GD-FTV型が対象となり、ハイエースやランドクルーザー“300”などとともに出荷が停止。2024年2月には受注も止まり、そのまま長期化しました。
そして2024年10月23日、トヨタは「【ハイラックス】生産休止のお知らせ」を出し、当面の間ハイラックスの生産を休止しており注文を停止していること、再開の目途が立ち次第あらためて案内することを告知します。結局、日本仕様の8代目は生産が再開されないまま9代目へ切り替わりました。最終価格は Z“GR SPORT”が431万2000円、標準のZが407万2000円です。
2021年10月から2024年初頭までのおよそ2年3か月。これが、日本でハイラックスGRスポーツを新車で買えた期間ということになります。中古車市場では相応の台数が流通していますが、新車としての選択肢はすでに残っていません。
南アフリカの「GR-S III」とタイの「GRスポーツ ワイドトレッド」が2024年に登場
日本が止まっていた2024年、海外ではGR SPORTがもっとも進化した状態に到達していました。
南アフリカでは2024年5月に「Hilux GR-S III」が発売されます。2.8L GD-6ディーゼルは専用ECUキャリブレーションで165kW/550Nmまで引き上げられ、量産ハイラックスとして当時最強のディーゼル仕様となりました。トレッドはフロント135mm・リヤ155mm拡大、車高は15mm上昇。KYB製モノチューブダンパーを四隅に備え、ブレーキは前338mm・4ピストン、後312mmの4輪ディスク化。タイヤは265/65R17のBFグッドリッチKO2を標準装着し、価格はR999,000からでした。
タイでは2024年3月20日に「ハイラックス レボ GRスポーツ ワイドトレッド」が発売され、価格は1,499,000バーツ。出力は224PS/550Nmで、従来のGRスポーツから明確に上のレンジへ移りました。名称こそ市場ごとに違いますが、中身は共通の“ワイドトレッド世代”です。
欧州で「GR SPORT II」を2023年10月17日に発表 204psとトレッド拡大で走りを一新
ワイドトレッド世代のグローバルな旗艦が、欧州で2023年10月17日に発表された「Hilux GR SPORT II」です。2.8Lディーゼルは204DIN hp(150kW)/500Nmで、6速ATと組み合わされます。
注目すべきは車体まわりの作り込みです。トレッドは標準のハイラックスに対してフロントで140mm、リヤで155mm拡大。車高は20mm上がり、アプローチアングルは29度から30度へ改善されました。ダンパーはツインチューブからモノチューブへ変更、ブレーキはフロントディスクを16インチ相当から17インチ相当へ拡大し、リヤは従来のドラムから15インチ相当のディスクへ置き換え。ホイールは軽量な17インチブラックアルミにオールテレーンタイヤという構成で、赤いコイルスプリングと赤いブレーキキャリパーが外からも見える仕立てです。牽引能力3,500kg、積載能力1,000kgというクラス最高水準の実用性も維持しています。内装はブラックスエード+レザーのスポーツシート、赤いシートベルト、アルミスポーツペダル、8インチのToyota Smart Connectを採用。欧州での受注開始は2024年前半、ディーラー納車は2024年後半でした。
オーストラリアは2023年9月にGRスポーツを導入 165kW/550Nmで最強ディーゼルの座へ
オーストラリアでは2023年9月、初のHiLux GR Sportが発売されました。価格はA$73,990(諸費用別)からで、当時のフラッグシップだったRogueを約A$3,200上回る設定です。2.8Lディーゼルは165kW/550Nmへ引き上げられ、豪州市場の4気筒ディーゼルピックアップとしては最強スペックとなりました。リヤスタビライザーを外して足の動きを稼ぐ、ダカール由来デザインの17インチブラックアルミにブリヂストン デューラーのオールテレーンを組み合わせるなど、性格づけはかなり本気です。
ブラジルは2023年3月にワイドトレッド版へ刷新 224cv・R$367,390
GRスポーツ発祥の地であるブラジルでも、2023年3月にワイドトレッド版へと世代交代しました。2.8Lターボディーゼルは可変ジオメトリーターボとインタークーラーの仕様変更により224cv/55.0kgfmへ強化され、価格はR$367,390。トレッドはフロント140mm・リヤ155mm拡大、モノチューブダンパーとリヤディスクブレーキを採用し、ハニカムメッシュの専用グリルやスキッドプレートで表情も改めています。ブラジル仕様はハイラックスのラインナップ最上位という位置づけです。
日本仕様は2023年9月28日に一部改良、12月には特別仕様車 Z“Revo ROCCO Edition”を設定
日本では2023年9月28日に一部改良が実施されました。Zにパノラミックビューモニター、バックモニター、ナビゲーション機能付きディスプレイオーディオを標準装備し、ZとZ“GR SPORT”の外板色はスーパーホワイトⅡに代えてプラチナホワイトパールマイカをメーカーオプションで設定。同時にビジネス寄りの「X」が廃止され、ラインナップはZとZ“GR SPORT”の2本立てとなりました。価格はZが407万2000円、Z“GR SPORT”が431万2000円です。
続く2023年12月22日には、特別仕様車「Z“Revo ROCCO Edition”」が設定され、同日から注文受付が始まりました。価格は477万2000円で、発売は2024年5月頃を予定。Zをベースに専用意匠のラジエーターグリル、前後バンパー、前後オーバーフェンダーを与え、18インチのホワイトレタータイヤとブラック塗装+切削光輝アルミホイールを装着します。さらに照明付きデッキバー、ベッドライナー、テールゲートリフトアシスト、専用リヤガーニッシュなどを特別装備。ボディカラーはオキサイドブロンズメタリックを含む3色でした。本記事が2018年時点で「日本には特別仕様車のロッコが控えているという噂がある」と書いた話は、5年越しにこの形で実現したことになります。ただし発売予定時期が認証不正による生産・出荷停止と重なったため、市場での展開は限られたものとなりました。
タイ・インドネシアへ広がったGRスポーツと、ハイラックス初のBEVコンセプト(2021〜2022年)
日本仕様に先立ち、タイでは2021年8月にハイラックス レボ GR SPORTが導入されています。4WDのHi-Floorと2WDのLo-Floorという2本立てで、日本より約2か月早い登場でした。日本仕様はこのタイ生産車をベースにしながら、専用オーバーフェンダーで全幅1,900mmとする独自の仕立てが与えられています。
2022年12月7日にはインドネシアでもGRスポーツが発売されました。こちらも日本仕様とは装備・意匠が異なるモデルで、同じ「GR SPORT」の名前でも市場ごとに中身が違うことがはっきりした時期です。同じ2022年12月、トヨタ・モーター・タイランドの60周年記念式典では電気自動車版の「ハイラックス Revo BEVコンセプト」が公開されました。ド・ディオンアクスルを用いたフレーム車ならではのリヤまわりが話題を呼び、これが2025年のBEV「Travo-e」量産化へつながっていきます。
ハイラックスGRスポーツがブラジル市場へ正式導入 2020年2月にV6ガソリン仕様を追加
2018年にサンパウロモーターショー2018で公開されたトヨタ・ハイラックスGRスポーツ(Toyota Hilux GR Sport)は、2020年2月からブラジル市場で正式に導入されました。この時点ではブラジル以外の国々でも販売される見込みとされ、日本国内での発売は未定でしたが、実際には後述のとおり2021年10月に日本仕様のZ“GR SPORT”という形で実現しています。
ブラジルでは、先行して販売されていた2.8Lディーゼル版に加えて、4.0リッターV型6気筒ガソリン(1GR-FE型)を積む「GR Sport V6」が新設されたのがトピックでした。最高出力234cv、最大トルク38.3kgfm(約376Nm)を発生し、トランスミッションは6速ATのシーケンシャルシフト、駆動方式はローレンジ付きの4×4です。V6版の価格はR$204,990で100台限定、併売されたディーゼル版(177cv/45.9kgfm)はR$220,090で400台限定という設定でした。ガソリンV6のほうが安価という逆転現象が起きていた点も、当時のブラジル市場らしいところです。
ハイラックスGRスポーツは非常にスポーティーなエクステリアで、フロントインテークはレッドカラーをアクセントにしています。メッシュタイプのフロントエンドグリルやGRバッジが装着され、ドアミラーはブラック仕上げ、サイドにはGR用のデカールが入ります。足元はGR専用にチューニングされ、V6版は新設計のスプリングと赤く塗られたモノチューブダンパーを組み合わせて、高出力化にともなう挙動変化を抑え込みました。ホイールはV6版が6本スポークの17インチ、ディーゼル版がブラック仕上げのデザインと、仕様によって描き分けられています。
ハイラックスのGRスポーツモデルがサンパウロモーターショー2018で発表 日本上陸は3年後に実現
2017年に日本市場でも復活したトヨタのピックアップトラックであるハイラックスに、GRスポーツモデルが追加されることが2018年11月、ブラジルのサンパウロモーターショーで判明しました。
ホワイトボディにブラックのボンネットとルーフ、レッドラインのアクセントはGRスポーツらしいエクステリアで、グリルにTOYOTAのデカール、リアにはスポーツバーとトノカバーを装着しているのが見えます。搭載しているエンジンは2.8Lディーゼルエンジンで、サスペンションも新しいダンパーを装備したものになっています。
ブラジルで発表されたハイラックスGRスポーツのエクステリアやスペック、販売地域をチェックしておきましょう。
ハイラックスGRスポーツのエクステリアはブラックとレッドアクセントがカッコいいスポーティな仕上がり
ハイラックスがさらに精悍になった「ハイラックスGR」のスタイル
ハイラックスGRスポーツはブラックとレッドのアクセントがGRモデルらしいエクステリアで、フロントにはグリルにTOYOTAデカール、ブラックのボンネットやルーフ、LEDフォグライト、ワイドフェンダー、バーサイドステップが見えます。
スポーツバーやトノカバーが装備され力強い雰囲気に
リアから見るとGRロゴやスポーツバー、トノカバーが見えます。ホイールは17インチのアルミホイールでブラック塗装されていて、タイヤはオールテレーンタイヤ(265/65R17)を組み合わせます。少し見えにくいですが、HILUXロゴが入ったマッドフラップも装着されているのが見えます。
搭載されているエンジンは2.8Lのディーゼルエンジンで出力は130kW・トルクは450Nmですので、当時の日本仕様のディーゼルエンジンよりパワフルなエンジンを搭載しています。トランスミッションは6速オートマチックで、パートタイム4WDシステムを装備しています。
| GRスポーツ(ブラジル仕様) | 日本仕様(8代目) | |
|---|---|---|
| 排気量 | 2,800cc | 2,393cc |
| 最高出力 | 130kW | 110kW |
| 最大トルク | 450Nm | 400Nm |
ハイラックスGRのボディカラーはホワイト・ブラック・レッド
ボディカラーは3種類用意されていて、ホワイトのほかにもブラック、レッドがラインナップしています。ホワイトはボンネットとルーフがブラックになっているツートンカラーですが、ブラックとレッドはルーフも同色のモノトーンカラーです。
ハイラックスGRスポーツのインテリアは日本仕様ZのものにGR専用インテリアが施される
ヘッドレストには「GR」のロゴが入る
ハイラックスGRスポーツのインテリアは上級ファブリックシートをベースに合皮を組み合わせたコンビシートで、GRスポーツ専用インテリアが施されていて、ヘッドレストにはGRのロゴがあります。なお2021年に登場した日本仕様のZ“GR SPORT”では、GRロゴを刺繍したパーフォレーション付きブランノーブ+合成皮革のスポーツシートへとさらに専用度が高められました。
日本で発売されているGRシリーズと同様にプッシュスタートなど内装の各所にロゴが見える
シートステッチにはレッドステッチが使われていて、ダッシュパネルにはレッドラインが中央から助手席側へと走っているのが見えます。プッシュスタートボタンにはGRスポーツのロゴが埋め込まれていて、シフトゲートにはピアノブラック塗装が施されています。シフトゲートの下にはプレートがあり、個別番号が振られているのが見えます。
ハイラックスGR SPORTのモデルチェンジ遍歴
GRはモータースポーツから生まれたブランドで、GR SPORTは専用のオーバーフェンダーやサスペンションを装備し、外観だけではなく、性能も向上しているモデルになります。ハイラックスの場合は市場ごとに内容が異なり、大きく「初期型」「ワイドトレッド世代」「9代目での設定見送り」という3段階に分けて捉えると整理しやすくなります。
ハイラックス GR SPORT/2018年〜
2018年11月、サンパウロモーターショーでの公開とともに南米で「GR SPORT」が発売され、ダカール・ラリーでの初の総合優勝を経て、翌2019年7月からは南アフリカでも販売を開始しました。エンジンは2.8Lディーゼル(130kW/450Nm)です。
ハイラックス GR Sport V6(ブラジル)/2020年2月〜
ブラジル向けに4.0L V6ガソリン(1GR-FE型、234cv/38.3kgfm)を積むGR Sport V6を追加。価格はR$204,990で100台限定、ディーゼル版はR$220,090で400台限定という構成でした。
ハイラックス レボ GR SPORT(タイ)/2021年8月〜
タイで4WDのHi-Floorと2WDのLo-Floorを設定。日本仕様より約2か月早い導入となりました。
ハイラックス Z“GR SPORT”(日本)/2021年10月〜
2021年10月8日、日本仕様に「Z“GR SPORT”」を追加発売しました(同時にZ、Xを一部改良)。専用オーバーフェンダーで全幅1,900mmのワイドボディとし、専用フロントバンパーとグリル、TOYOTAロゴのフロントエンブレム、ブラック塗装+切削光輝の18インチアルミホイールを装着。内装はGRロゴ刺繍入りのブランノーブ+合成皮革シート、スモークシルバー加飾の本革巻きステアリング、パドルシフト、8インチディスプレイオーディオを備えます。価格は431万2000円でした。
ハイラックス GRスポーツ(インドネシア)/2022年12月〜
2022年12月7日にインドネシアで発売。日本仕様とは装備・意匠の異なる独自仕様です。
ハイラックス GR-Sport ワイドトレッド版(ブラジル)/2023年3月〜
2.8Lディーゼルを224cv/55.0kgfmへ強化し、トレッド拡大・モノチューブダンパー・リヤディスクブレーキを採用。価格はR$367,390。
ハイラックス GR Sport(オーストラリア)/2023年9月〜
豪州初のGR Sportとして165kW/550Nmで登場。価格はA$73,990から。リヤスタビライザーの撤去やKYB製モノチューブダンパーの採用など、足まわりの専用度が高いのが特徴です。
ハイラックス GR SPORT II(欧州)/2023年10月発表・2024年発売
2023年10月17日に発表。204DIN hp/500Nm、トレッドを前140mm・後155mm拡大、車高20mmアップ、アプローチアングル30度、前後4輪ディスクブレーキ化。受注開始は2024年前半、納車は2024年後半でした。
ハイラックス レボ GRスポーツ ワイドトレッド(タイ)/2024年3月〜
2024年3月20日発売、1,499,000バーツ。出力は224PS/550Nm。
ハイラックス GR-S III(南アフリカ)/2024年5月〜
165kW/550Nmと、量産ハイラックスとして当時最強のディーゼル仕様。トレッドは前135mm・後155mm拡大、車高15mmアップ、KYB製モノチューブダンパー、前338mm・後312mmの4輪ディスク、265/65R17のBFグッドリッチKO2を標準装着。価格はR999,000から。
日本仕様の販売終了と9代目での設定見送り/2024年〜
日本仕様は2024年1月の認証不正を受けて出荷・受注が停止され、2024年10月23日には生産休止が告知されて、そのまま販売を終えました。2025年11月10日に世界初公開された9代目ハイラックスには、初期ラインナップにGR SPORTが設定されていません。
| ハイラックスGR SPORTのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| GR SPORT(南米) | 2018年〜 |
| GR Sport V6(ブラジル) | 2020年〜 |
| レボ GR SPORT(タイ) | 2021年〜 |
| Z “GR SPORT”(日本) | 2021年〜2024年 |
| GRスポーツ(インドネシア) | 2022年〜 |
| GR-Sport ワイドトレッド版(ブラジル) | 2023年〜 |
| GR Sport(オーストラリア) | 2023年〜 |
| GR SPORT II(欧州) | 2023年発表/2024年〜 |
| レボ GRスポーツ ワイドトレッド(タイ) | 2024年〜 |
| GR-S III(南アフリカ) | 2024年〜 |
| 9代目ハイラックス | 2025年発表/GR SPORTの設定なし |
ハイラックスGRスポーツはブラジルで420台の限定発売 日本仕様は2021年10月に431万2000円で実現

ハイラックスGRスポーツは、2018サンパウロモーターショーで発表された特別なモデルで、ブラジルの割り当ては420台とされていました。発売は2019年初めで、当時は日本で特別仕様車のロッコが控えているという噂もあり、この海外版GRスポーツがそのまま日本で売られる可能性は低いと見られていました。
結果として、この読みは当たりました。日本で追加されたのは海外版そのものではなく、専用オーバーフェンダーで全幅1,900mmとした日本仕様の「Z“GR SPORT”」で、2021年10月8日に発売されています。噂されていた「ロッコ」のほうも、2023年12月22日に特別仕様車「Z“Revo ROCCO Edition”」(477万2000円)として、5年越しに日本上陸を果たしました。
価格についても、当時この記事は「フロントスプリングを強化しダンパーも専用のものとなっているため、日本仕様が発売されるなら400万円は超えるのではないか」と予想していました。実際の日本仕様Z“GR SPORT”は431万2000円で、予想はおおむね的中しています。ベースとなるZが当時367万4000円前後だったことを踏まえると、専用オーバーフェンダーと18インチ化、専用サスペンション、ディスプレイオーディオ追加ぶんの上乗せとしては妥当な価格差でした。
GRスポーツモデルはコンパクトカーやミニバン・SUVにも設定されており、ピックアップトラックのハイラックスにも設定されれば人気が出ると当時は書きました。実際、日本仕様のZ“GR SPORT”はハイラックスの最上級グレードとして支持を集めましたが、2024年の生産休止によって販売期間はおよそ2年3か月で途切れています。海外では最終的に165kW/550Nmまで到達し、GRスポーツは名実ともにハイラックスの頂点となりました。その到達点を9代目がどう受け継ぐのか、次の一手を待ちたいところです。

























