ロールスロイス カリナンは2024年に「シリーズII」へ改良 日本価格4,645万4,040円から 次期型はBEVへ
ロールスロイス初のSUV「カリナン」は、2018年5月10日の世界初公開、同年6月11日の日本上陸から8年が経ちました。2024年5月7日にはマイナーチェンジを受けて「カリナン シリーズII」となり、日本では同年8月29日に発表。2026年7月現在も新車として販売されており、価格はカリナン シリーズIIが4,645万4,040円から、ブラック・バッジ カリナン シリーズIIが5,415万4,040円からです。デビュー時の3,800万円からは、約8年で845万円ほど上がった計算になります。
心臓部は初代から一貫して6.75L V型12気筒ツインターボ。シリーズIIでもパワートレインに変更はなく、最高出力571PS・最大トルク850N・mのまま、0-100km/h加速は5.3秒です。ロールス・ロイスは2030年までの完全電動化を掲げていますが、このV12は2030年まで存続する見込みとされており、カリナンは当面エンジンのまま販売が続きます。
一方、2026年に入ってカリナン後継とみられるBEVのプロトタイプが目撃されはじめました。V12を捨てて電動化するのか、その車がそもそもカリナンの後継なのか——このあたりは見方が割れています。以下、最新の動きから順に、カリナンがこの8年でどう変わったのかを整理していきます。
カリナン次期型はV12を捨ててBEVへ? 2026年にプロトタイプが出現するも正体には異説も
2026年1月、カリナン次期型とみられるプロトタイプの姿が初めて捉えられました。ロールス・ロイスは2023年に発売した初のEV「スペクター」が大ヒットし、生産開始前の時点で2025年までの受注が埋まっていたほど。その勢いのまま、現在はセダンとSUVの2種類のBEVを開発しているとされ、SUVのほうがカリナン後継になるという見方が出ています。プラットフォームはスペクターと同じ「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を使うと予想されています。
ところが2026年4月になると、話がややこしくなります。同じプロトタイプについて、「当初は2代目カリナンだと思われていたが、実際にはまったく異なる電動SUVである」という見方が浮上しました。この説では、車両は分割式ボンネットという前代未聞の構造を採用し、BMWのパノラミックiDriveのロールス・ロイス専用版を積むとされます。サイドビューはカリナンとほとんど変わらないものの、最低地上高とオーバーハングが微妙に異なる、というのがその根拠です。
整理すると、いま現場で語られている説は2つあります。ひとつは「これがカリナンの2代目そのもので、V12からBEVへ切り替わる」という説。もうひとつは「これはカリナンとは別の新型電動SUVで、カリナンの2代目はまた別に用意される」という説です。自社としての見立てを述べれば、後者にやや分があると考えています。根拠は3つで、①V12は2030年まで存続するとされており現行カリナンをいま置き換える必然性が乏しいこと、②2024年5月にシリーズIIへ改良したばかりで商品サイクル上まだ2年しか経っていないこと、③カリナンの下に位置するコンパクト電動SUV「ベイビーカリナン」を2027年に投入する計画が別途報じられており、この目撃車がそちらである可能性を否定できないこと、です。ただしロールス・ロイス自身は何も明言しておらず、確定した話ではありません。
いずれにせよ、2030年の完全電動化という期限から逆算すれば、カリナンがどこかの時点でBEVになること自体は既定路線です。問題は時期と、その車が「カリナン」を名乗るかどうかでしょう。
2025〜2026年のカリナンはビスポークが主戦場 シリル・コンゴ5台、ヨッティング4台、コスモ1台
シリーズII以降、カリナンの話題の中心はグレード追加ではなくビスポーク(特注)へ移っています。カタログモデルをいじるのではなく、1台ごとに作り込むというロールス・ロイスらしい方向で、ここ2年の動きは以下のとおりです。
ブラックバッジ・カリナン by シリル・コンゴ(2026年5月14日発表・世界限定5台)
現代アーティストのシリル・コンゴ氏とコラボした特別仕様車で、同氏の宇宙観「コンゴバース」を車内外に表現しています。足元の23インチホイールの奥では、4輪すべてのブレーキキャリパーが外装のラインや内装色に合わせて異なる色で塗装されており、これはロールス・ロイス初の試み。2026年はブラックバッジ誕生から10周年にあたり、その節目を祝う一台という位置づけです。
カリナン・ヨッティング(2026年3月27日発表・世界限定4台)
4台それぞれが東西南北のいずれかをテーマとするビスポーク・コミッションです。高速で進むテンダーボートの航跡を手描きで表現したフェイシアが特徴で、航跡の向きは各コミッションの方位を反映。スターライト・ヘッドライナーは地中海を吹き抜ける風向きを表し、リアのウォーター・フォールには40以上のパーツで構成されたマルケトリーのコンパス・モチーフが入ります。塗料の調合と塗布技術、ラッカー工程の詰めだけで2か月を要したとのこと。創業者チャールズ・ロールズの家族が所有したヨット「サンタ・マリア号」以来の、ロールス・ロイスとヨット文化の結びつきを反映した企画です。
カリナン コスモ(2026年1月20日公開・1台限り)
4歳の息子と宇宙への関心を共有するオーナーからの特注で生まれたワンオフ。最大の見どころはロールス・ロイス初となる手描きのスターライト ヘッドライナーで、社内アーティストが160時間かけて天の川を描き上げました。外装は月光の輝きを思わせるアラベスカート パールに、チャールズ ブルーの手描きツインコーチライン。夜間に星のように光るイルミネーテッド スピリット オブ エクスタシーも備えます。
純正以外では、2025年9月に英アーバン・オートモーティブがカリナン向けのカスタマイズで米国市場に本格参入しています。
こうしてビスポークが厚くなること自体が、カリナンの商品としての成熟を示していると見ています。カタログ上のグレードを増やす段階は終わり、いまは「同じ仕様が2台とない」ことに価値を置くフェーズに入った、ということでしょう。
「カリナン シリーズII」を2024年8月29日に日本初公開 4,645万4,040円から
ロールス・ロイス・モーター・カーズは2024年8月29日、カリナンのマイナーチェンジモデル「カリナン シリーズII」を日本で初公開しました。価格はカリナン シリーズIIが4,645万4,040円から、ブラック・バッジ カリナン シリーズIIが5,415万4,040円から。納車は2024年第4四半期(10月)から始まっています。
| 全長×全幅×全高 | 5,355×2,000×1,835mm |
|---|---|
| ホイールベース | 3,295mm |
| 車両重量 | 2,725kg |
| エンジン | 6.75L V型12気筒ツインターボ |
| 最高出力 | 420kW(571PS)/5,000-6,000rpm |
| 最大トルク | 850N・m/1,600-4,250rpm |
| 0-100km/h加速 | 5.3秒 |
| ホイール | 23インチ(従来は22インチ) |
| タイヤ | ピレリ P ZERO 前255/45 R23/後295/35 R23 |
| 価格 | 4,645万4,040円~(ブラック・バッジは5,415万4,040円~) |
初代の日本発表時(2018年)が3,800万円、ボディサイズが5,340×2,000×1,835mm、車両重量2,660kgでしたから、シリーズIIでは全長が15mm伸び、車重が65kg増え、価格は845万円上がったことになります。
内装では、英グッドウッドの本拠地上空の雲から着想を得たデザインを採用。座席とドアのレザーに開けた約10万7,000個の穴で雲を表現するという、ロールス・ロイスらしい執念の作り込みです。
興味深いのは顧客層の変化です。カリナン登場時、自分で運転するオーナーは70%未満でしたが、現在ではほとんどのオーナーが自ら運転し、運転手を使う人は10%以下だといいます。ロールス・ロイスの顧客平均年齢も、2010年の56歳から43歳まで下がりました。ショーファーカーの代名詞だったブランドが、カリナンによってドライバーズカーのブランドへと重心を移した——この8年で最も大きな変化は、実は車そのものではなくオーナーの側にあったのかもしれません。
「カリナン シリーズII」を2024年5月7日にワールドプレミア 「垂直性」で顔つきを一新
英ロールス・ロイス・モーター・カーズは2024年5月7日(現地時間)、カリナンのマイナーチェンジモデル「カリナン シリーズII」を発表しました。同時にダークカラーでドレスアップした「ブラックバッジ カリナン シリーズII」も発表されています。
変更は内外装の意匠と装備が中心で、パワートレインには手が入っていません。外観のテーマは「垂直性」。ヘッドライト上の両サイド外側から垂直に下りるLEDタイプのDRL(デイタイム・ランニング・ライト)を新採用し、DRLからバンパー中央へなだらかに続くV字ラインで、現代的なスポーツヨットを連想させるイメージを表現しました。逆にバンパー内の新型エアインテークはハの字型の外向き形状として、正面から見たときに車高を視覚的に下げる効果を狙っています。パンテオングリルは照明付きになりました。
ボディ下側の樹脂パーツにはハイグロスブラック塗装が施され、走行中に流れる路面の状況を映し出します。ホイールは22インチから1インチアップの23インチへ。ボディカラーには新色「エンペラドール・トリュフ」が加わりました。
ブラックバッジ カリナン シリーズIIは、従来どおりV12ツインターボを600PSまで強化しています。
この改良について付け加えるなら、「シリーズII」という呼び方をロールス・ロイスが使うようになった点にも意味があると見ています。世代を数字で刻まず、同じ車を磨き続けるという姿勢は、モデルチェンジのサイクルで回る一般的な自動車メーカーとは違う時間軸で商品を考えている証拠でしょう。
「ブラックバッジ カリナン ブルーシャドー」を2023年5月31日に世界限定62台で発表 同年1月には価格改定
2023年5月31日(英国現地時間)、ロールス・ロイスはカリナンの唯一無二のプライベート コレクションとして「ブラックバッジ カリナン ブルーシャドー(Black Badge Cullinan Blue Shadow)」を全世界限定62台で発表しました。ブラックバッジをベースとしたビスポーク・コレクションで、世界的に見ても入手は困難でした。
また同年1月には、カリナンおよびブラックバッジ カリナンのメーカー希望小売価格が見直され、新価格が適用されています。翌2024年のシリーズIIで4,645万4,040円まで上がる流れは、ここから始まっていました。
ロールス・ロイスが2021年9月に「2030年までに完全電動化」を宣言 カリナンのEV化も既定路線に
2021年9月、ロールス・ロイスは2030年までに全ラインナップを完全電動化すると発表し、あわせてブランド初のEVとなる「スペクター」を予告しました。カリナンを含むファントム、ゴーストといった現行モデルすべてが、2030年までにEVへ置き換わるという宣言です。
この発表が意味するのは、カリナンの6.75L V12ツインターボにも終わりの日があるということでした。ただしその期限は2030年で、V12自体は2030年まで存続する見込みとされています。2027年にはコンパクト電動SUV「ベイビーカリナン」、2028年末にはファントム後継となるフルエレクトリックセダンを投入する計画も報じられており、ロールス・ロイスは既存モデルを走らせながら電動ラインナップを下から積み上げていく戦略をとっているように見えます。
なお2021年第1四半期、ロールス・ロイスは世界新車販売台数の新記録を樹立しました。牽引したのはカリナンと新型ゴーストです。記事の末尾で「カリナンが今後、ロールスロイスを代表する車となる可能性は高い」と書きましたが、この予想は3年で現実になりました。
ロールスロイス・カリナンに”夜の王”こと「ブラックバッジ」を2019年11月13日に日本導入
ロールスロイス・カリナン ブラックバッジのエクステリア
ロールスロイス・カリナンに、ブラックバッジシリーズが追加設定されました。日本では2019年11月13日、東京・晴海のクロスドックホールで国内初披露されています。価格は4,530万円で、納車は2020年第1四半期から始まりました。ブラックバッジは若いユーザーをターゲットとしたスポーティーモデルで、「ドーン」「レイス」「ゴースト」などのモデルにもラインナップされています。
パワートレインは6.75L V型12気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載し、トランスミッションに8速ATを組み合わせます。最高出力はベースモデルから29psアップの600ps、最大トルクは50N・mアップの900N・mへと強化されました。ベースのカリナンが571ps・850N・mですから、ブラックバッジはただの内外装違いではなく、中身も手が入った別物ということになります。
ロールスロイス・カリナン ブラックバッジの足回り
カリナン ブラックバッジのボディサイズは全長5,341mm×全幅2,164mm×全高1,835mmでホイールベースは3,295mm。ボディカラーには磨き工程を10回行う専用色「シグネチャーブラック」を設定します。車体横にはイエローカラーのストライプを入れることもできます。ホイールは22インチの鍛造アルミで、鮮烈なハイグロスレッドのブレーキキャリパーが見え隠れしています。
ロールスロイス・カリナン ブラックバッジのインテリア
カーボン製トリムを採用したロールスロイス・カリナン ブラックバッジのインテリアは、レザーの新色としてフォージイエローを追加。イエローのストライプの入ったエクステリアによくマッチします。天井には、星空を再現する「スターライト ヘッドライナー」も搭載しています。
このブラックバッジは、2024年5月に「ブラックバッジ カリナン シリーズII」へ更新され、現在も5,415万4,040円からラインナップされています。2026年でシリーズ誕生10周年を迎えたことからも分かるとおり、ブランドの若返り戦略における主力の一角であり続けました。
カリナンはスクエア型のエクステリアとスイートルームのような豪華なインテリアが特徴
ロールスロイスの初SUV「カリナン」のインテリアは、超一流ホテルのスイートルームのような豪華さと気品が漂う高級感に、デジタルインストルメントクラスター等のハイテク機器を絶妙に融合させています。
シンプル設計のスイッチやダイヤルは使い易い位置に設置
コックピットでは、走行モードの切換え等の操作スイッチやダイヤルはシンプル設計とし、使いやすい位置に配置します。
最高級な素材を使ったインストルメントパネル
インストルメントパネル等のパーツには、レザーやウッド、あるいはメタルなどの最高級素材を用いています。
ボタンでオフロード走行に切り替え
オフロード走行への切換えは、ボタンを一押しするだけで簡単に行えます。この「エブリウェア(どこでも)」と名付けられたボタンひとつで、荒れた道路、砂利道、湿った草むら、ぬかるみ、雪原、砂の上といったあらゆる環境に対応します。
カリナンは後席に乗る人が快適に過ごせるように設計されている
ロールスロイスは、世界的に有名なショーファーカーを製造するメーカーです。そのため、カリナンも後部座席の快適性と機能性を追求します。もっとも、後述するようにカリナンのオーナーは自ら運転する人が大多数となり、ブランドの性格そのものを変えていくことになります。
カリナンのリヤシートは3座タイプの「ラウンジ・シート」と2座が独立した「個人シート」タイプの2種類を用意します。
快適な後席にはワインスペースを設置
「個人シート」であれば、ワイングラスを置けるスペースを設置、キャビネット付きリヤセンターコンソールが左右の席で分けられるなど、最高にくつろげる居住スペースを確保しています。
ラゲッジ容量は最大1,930L
後部座席はロールスロイスで、初めて折りたたみ式リヤシートを採用します。断熱効果が高くラゲッジルームと居住スペースを隔てる、開閉式テールゲート「ザ・クラスプ」を操作してオープン状態とし、シートアレンジを行えば、ラゲッジ容量は560Lから1,930Lへと拡がります。
インフォメーションディスプレイにはドライバーに役立つ情報を表示
マルチインフォメーションディスプレイは、ドライビングモードなどの運転時に役立つ情報をクリアに表示させます。
エンタテインメントが楽しめる後席ディスプレイは格納式
フロントシート背面には、後部座席に座る方達が音楽などのエンターテインメントをスクリーン操作で楽しめるディスプレイが格納されています。
カリナンのエクステリア
カリナンは、エンジンルーム、居住スペース、ラゲッジルームのそれぞれが分離される3ボックススタイルのSUVです。
一般的なSUVと比較すれば、カリナンはあまりSUVっぽくはなく、セダンの雰囲気を最大限に残すその姿勢には、ロールスロイスらしさを感じます。
ファントムから継承するフロントグリル ボンネットにはスピリット・オブ・エクスタシーも見える
カリナンのフロントグリルには、8代目ファントムと同様のメッキ加飾を施し、世界に名だたる高級自動車メーカーのブランドネームにマッチする、最高レベルの高級感と存在感を与えます。2024年のシリーズIIでは、このパンテオングリルに照明が入りました。
ロールスロイスのマスコットとも言える「スピリット・オブ・エクスタシー」のエンブレムは格納式です。
ヘッドライトに「RR」のエンブレムが設置される
ヘッドライトは、光源だけではなくデザインにもこだわります。光源と光源との間には、ロールスロイスのイニシャル「RR」のプレートを設置します。
ドアサイドのロールスロイスのエンブレムプレート
ドア部には光沢感抜群のシルバー調プレートを設置し、サイドビューにアクセントを加え、プレミアムさをアップさせます。
ホイールにもロールスロイスのエンブレムが輝く
カリナンが採用するホイールには、ボディの高級感に見合うだけの存在感があります。また、過酷なオフロード走行をサポートできる性能面も優れています。なおシリーズIIでは、このホイールが22インチから23インチへ拡大されました。
大型エンジンを搭載するためフロントはロングノーズになっている
カリナンは走行性能を引き上げるために、大型のエンジンをフロント部に搭載します。そのため、カリナンはロングノーズボディ設計を採用します。
ボリュームのあるリヤ 乗降時には車高が40mm下がる
リヤドアはロールスロイス伝統のコーチドアを採用します。コーチドアでは、ドレスを着た際に乗り降りしやすく、その動作は美しくスタイリッシュとなります。
カリナンは、キーをアンロックするかあるいはドアハンドルに手を伸ばせば、車高が40mmほど下がって乗車をサポートし、エンジンを起動すれば、車高は元の位置に戻るというシステムを導入します。
ラゲッジにはテーブルとシートが格納されスイッチ操作で自動設置される
ラゲッジルームには、スイッチ操作で簡単に、簡易テーブルとイスをセットできる機能が備わります。簡易テーブルとイスを利用すれば、景色に包まれながらアウトドアのひと時を優雅に楽しめます。
カリナンはSUVとしての走行性能にも優れている
ロールスロイスの車といえば、5つ星ホテルのような豪華さを誇る室内スペースが魅力的なプレミアムカーのイメージが強いと思いますが、カリナンはSUVとしての走行性能にも優れている車です。
カリナンは「魔法の絨毯のような乗り心地(マジック・カーペットライド)」を、深い雪道や砂漠地帯などのタフな路面に対しても、実現するために、最新型自動レベリング式エアサスペンションを採用します。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後5リンク式です。
同サスペンションは、衝撃吸収力を最大限に引き上げる事ができる大型エアストラットを採用し、毎秒数百万回の計算を行い、車輪の加速状態に応じた最適なトルクを全輪に伝えることを可能とする制御システムを完備します。オフロードモードではエアサスペンションの車高を40mm上昇させることも可能です。
カリナンはそういった安定走行に影響を与える、先進装備を導入することで、最大渡渉水深はプレミアムSUVではクラストップレベルの540mmになっています。
カリナンは全輪駆動と4輪操舵をロールスロイスとして初めて採用した車種でもあり、SUVというボディ形状以上に、ブランドにとって技術的な転換点だったといえます。
カリナンの日本発表時の販売価格は3,800万円 ボディサイズやホイールベースなど詳細スペック情報
「カリナン」は、14年ぶりにフルモデルチェンジが行われた最上級サルーン「ファントム」と同じく、ロールスロイス独自のアルミニウム製スペースフレーム構造である「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用します。
ファントムとカリナンのボディサイズを比較すれば、ファントムの方が全長は400mmほど長く、全高はカリナンの方が200mm近く高くなっています。
カリナンのV12ツインターボエンジンは最高出力571psで最大トルクは850Nmを発揮
カリナンが搭載する6.75L V12ツインターボエンジンの最高出力は571psで、最大トルク850Nmは、1,600rpmの低回転域でクリアします。カリナンは、高性能エンジンに4WD駆動方式などを組み合わせて、過酷オフロードにも対応する走行システムを実現させます。最高速はリミッターが作動する250km/hです。2018年の発表当時、カリナンの英国での販売価格は21万ポンド、日本での価格は3,800万円でした。その後の改良と価格改定を経て、現在のカリナン シリーズIIは4,645万4,040円からとなっています。
| 全長 | 5,341mm |
|---|---|
| 全幅 | 2,164mm |
| 全高 | 1,835mm |
| ホイールベース | 3,295mm |
| エンジン | 6.75L V型12気筒ツインターボ |
| 最高出力 | 571ps(420kW)/5,000rpm |
| 最大トルク | 850Nm/1,600rpm |
| 全長 | 5,340mm |
|---|---|
| 全幅 | 2,000mm |
| 全高 | 1,835mm |
| ホイールベース | 3,295mm |
| 車両重量 | 2,660kg |
| 乗車定員 | 4名/5名 |
| 総排気量 | 6,749cc |
| 最高出力 | 571ps |
| 最大トルク | 850Nm |
| トランスミッション | 8AT |
| 価格 | 3,800万円 |
カリナンは最先端の安全装備や快適装備を備える
ロールスロイス初のSUV「カリナン」は、最先端の安全装備や快適装備を備えます。
カリナンは、オフロード走行時の安全性にも貢献する「野生生物・歩行者警告機能付きナイト・ビジョンアシスト」や「アラートネス・アシスタント」、クリアな映像で視界を確保する「7×3インチ高解像度ヘッドアップディスプレイ」、運転中に見えにくいエリアをキャッチする「ヘリコプタービュー付き4カメラシステム」など、先進の安全技術を全てパッケージングします。
また、同車のインフォテインメントは親会社であるBMWのiDriveをベースに、カリナンにマッチする専用仕様として仕立てたもので、最新型ナビゲーション・エンターテインメント・システムやWiFiホットスポットを室内に設置するなどして、乗員の快適性を追求します。次期型とみられる電動SUVには、BMWのパノラミックiDriveのロールス・ロイス専用版が積まれると予想されており、この関係は世代が変わっても続きそうです。
ロールス・ロイスが初リリースするSUV カリナンのモデルチェンジ遍歴
カリナンはイギリスのロールス・ロイスが販売するSUVです。同社から初めてリリースされるSUVで、世界最大とされる英国王室が所有するダイヤモンド原石の「カリナン」からネーミングされています。
ロールス・ロイス・カリナン 初代 ABA-689X型/2018年~
2018年5月10日、「カリナン」がデビューしました。ロールス・ロイスの歴史112年で初のSUVであり、全輪駆動と4輪操舵を採用した初のロールス・ロイスでもあります。V12ツインターボエンジンが搭載され、日本市場では6月11日に発表、同日から予約販売の受付を開始しました。日本での価格は3,800万円です。
2019年11月13日、強化されたエンジン(600ps/900N・m)を積むスポーティモデルの「ブラックバッジ」を日本へ導入しました。価格は4,530万円で、納車は2020年第1四半期から。
2021年9月、ロールス・ロイスが2030年までの完全電動化を発表。カリナンを含む全モデルのEV化が既定路線となりました。同年第1四半期には、カリナンと新型ゴーストの牽引でブランドの世界新車販売台数が新記録を樹立しています。
2023年1月、メーカー希望小売価格を改定。5月31日(英国現地時間)には、全世界限定62台のプライベート コレクション「ブラックバッジ カリナン ブルーシャドー」を発表しました。
2024年5月7日(現地時間)、マイナーチェンジで「カリナン シリーズII」へ移行。同時に「ブラックバッジ カリナン シリーズII」も発表されました。内外装の意匠変更が中心で、パワートレインの変更はありません。8月29日には日本初公開され、価格はカリナン シリーズIIが4,645万4,040円、ブラック・バッジ カリナン シリーズIIが5,415万4,040円。納車は同年第4四半期から始まりました。
2026年1月、次期型カリナンとみられるBEVのプロトタイプが初めて目撃されました。同年は1月に1台限りの「カリナン コスモ」、3月27日に世界限定4台の「カリナン・ヨッティング」、5月14日に世界限定5台の「ブラックバッジ・カリナン by シリル・コンゴ」と、ビスポークのコミッションが相次いでいます。
| ロールス・ロイス・カリナンのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 ABA-689X型(前期型) | 2018年~2024年 |
| 初代 ABA-689X型(シリーズII) | 2024年~(マイナーチェンジ。フルモデルチェンジは未実施) |
世界のセレブが待ち望んだ「カリナン」は、8年でロールスロイスを代表する車になった

世界のセレブが待ち望んだ「カリナン」が日本で発売されたのは、2018年6月11日のことでした。あれから8年、カリナンは2024年のシリーズIIへと磨き上げられ、いまも4,645万4,040円からのプライスタグを掲げて販売されています。
ロールスロイスの歴代シリーズから伝統的に受け継がれる、格式高いエクステリアと高級感ただよう豪華な室内空間の魅力に、オフロード時においてもマジックカーペットライドを堪能できる走行性能が加わる——この構図は最初から最後まで変わっていません。
ベントレーがベンテイガを発売し、アルファロメオがSUVステルヴィオを発表、アストンマーティンのSUV「DBX」は2019年11月に発表されて2020年から納車が始まりました。世界の名だたる高級自動車メーカーがSUVに力を入れるという当時の読みも、そのとおりになっています。
本記事は最後に「カリナンが今後、ロールスロイスを代表する車となる可能性は高い」と書きました。この予想は当たりました。2021年第1四半期にはカリナンと新型ゴーストがブランドの世界販売新記録を牽引し、顧客の平均年齢は2010年の56歳から43歳へ。登場時は7割近くがショーファー利用だったのが、いまでは運転手を使う人は10%以下です。カリナンは売れただけでなく、ロールスロイスというブランドの客層そのものを塗り替えました。
「ロールスロイスは確実に訪れるEV時代を見据えて、カリナンのパワートレインにEVのパワーユニットも搭載できるような設計を施しました」という当時の指摘も、結果的に正しかったといえます。アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリーはEV対応設計であり、2023年に登場したブランド初のEV「スペクター」で実際に使われました。あとはカリナン自身がその番を迎えるだけですが、V12は2030年まで存続する見込みで、次期型の正体もまだ確定していません。魔法の絨毯がモーターで浮くようになる日は、もう少し先になりそうです。















