リアスポイラーの種類と効果:ハリアーや86など車種別アイテムの特徴
リアスポイラーは、車をカスタマイズする際に選択肢に入る代表的なエアロパーツの一つです。レーシングカーに装着されているような大型のリアウイングとは異なり、街中で見かける多くの車にも、デザインの一部としてリアスポイラーが装着されています。
今回は、リアスポイラーの種類とその空力効果、トヨタ 86やハリアーなどに設定可能な純正品や社外品の特徴をご紹介します。
リアスポイラーの種類と空力的な役割
リアスポイラーは、車体後部に位置するルーフ後端、あるいはトランク上部に取り付けるエアロパーツです。
セダンやクーペといった車種では、トランク上部に設置され「リアトランクスポイラー」などと呼ばれます。一方、SUVやミニバンなどのハッチバック車では、ルーフ後端に設置され「テールゲートスポイラー」や「ルーフスポイラー」などと呼ばれています。
リアスポイラーの主な役割は、高速走行時に車体後部で発生する空気の乱れ(負圧や渦)を抑制し、気流を整えることです。これにより、空気抵抗(抗力)の低減や、車体後部への揚力(車体を持ち上げる力)を抑える効果が期待され、結果として高速走行時の安定性向上につながります。空気抵抗が低減されることで、燃費効率の改善につながる可能性もあります。
リアスポイラーが効果を発揮しやすいのは、FR駆動のスポーツカーなど、車体が軽く高速走行時の安定性を重視する車種です。また、ミニバンなどに設定されるリアスポイラーは、空力効果よりも装飾(ドレスアップ)効果を意識したデザインが中心となる傾向があります。
最近では、アウディやポルシェなどの高級自動車メーカーが採用する、高速走行時に自動的に展開する「アクティブスポイラー」や、走行速度に合わせて形状を変化させる「可変式リアスポイラー」なども注目を集めています。
86のリアスポイラーはTRDが開発した本格派
トヨタ 86は、高性能エンジンを搭載するFR駆動のスポーツカーです。2018年3月13日には、新色「ブライトブルー」が追加設定されました。
86のリアスポイラーには、トヨタのモータースポーツ部門であるTRD(Toyota Racing Development)が積極的に関わっています。TRDが製造するリアトランクスポイラーは、風洞実験を繰り返して開発されており、樹脂素材にもこだわり、モータースポーツで培ってきた技術力が凝縮された商品です。
このスポイラーは、グレードGT・G以外に設定可能で、塗装済みの設定色として、クリスタルホワイトパール、ピュアレッド、クリスタルブラックシリカの3色が用意されています。(※情報掲載時点)
リア塗装済:34,560円(税込)
素地:30,240円(税込)
ハリアーの純正リアスポイラーはデザイン性が抜群
ハリアーは、高級クロスオーバーSUVのパイオニア的存在です。2017年6月に行ったマイナーチェンジでは、室内空間のラグジュアリーさや快適性を追求しました。
ハリアーの純正テールゲートスポイラーは、デザインと素材選びにこだわって設計されています。そのため、ドレスアップ効果は非常に高く、装着することでエクステリアにさらなる高級感が加わります。
価格38,880円(税込)
ロードスターはカラーを選べる個性的な純正リアスポイラー
※ブリリアントブラック塗装
ロードスターは、日本を代表するオープンタイプのスポーツカーです。マツダは、走りを追求するユーザーを意識し、リアスポイラーなどのアクセサリーを充実させています。
ロードスターの純正リアトランクスポイラーは、フロント・サイド・リアに設定されるその他のエアロパーツと色調を合わせたボディ同色に加え、カラーインパクトの大きいブリリアントブラック塗装も選択可能です。
ロードスターは車体がコンパクトなため、リアスポイラーがリアビューのアクセントとして存在感を発揮しやすいのが特徴です。
価格29,160円(税込)
レヴォーグは大きく迫力があるルーフスポイラーが特徴
レヴォーグは、ワゴン車の積載能力にスポーツカーの走行性能を組み合わせたステーションワゴンです。2017年8月にマイナーチェンジが行われD型が誕生しました。スポーツ性能を追求するために、エアロパーツを追加設定するドライバーも多いです。
レヴォーグの純正ルーフスポイラーは、シューティングブレークとも分類される同車のボディラインにマッチする、大型のデザインを採用しています。ルーフスポイラーをワイド化することで、レヴォーグのリアビューに迫力が加わります。
デザイン的な迫力だけでなく、ルーフスポイラーは、後端を流れる気流をコントロールすることで、雨や雪がリアガラスに付着するのを軽減し、後方視界を確保しやすくする効果も期待できます。
価格38,880円(税込)
S660は自動昇降するアクティブスポイラーが特徴
S660は2人乗りの軽自動車規格のオープンカーです。ホンダにとっては1996年に販売を終了したビート以来の軽オープンスポーツで、2015年3月に発売されました。
S660は、日本車では数少ない、純正アクセサリーとして「アクティブスポイラー」を設定可能な車種の一つです。このアクティブスポイラーは、約70km/hに達すると自動で上昇し、約35km/h以下になると元の位置に格納されます。これにより、高速走行時のリフトバランスを整え、安定性を向上させる効果があります。スポイラーは運転席側のスイッチでも操作可能です。
価格162,000円(税込)
※ボディカラーがプレミアムスターホワイト・パール、プレミアムステイックナイト・パールの場合、3,240円が加算されます。(当時価格)
リアスポイラーは走行安定性とドレスアップ効果を両立
リアスポイラーには、高速走行時に発生する空気の乱れを調整し、走行の安定性を高める効果が期待されます。
空気の抵抗が走行安定性を邪魔し始めるのは、一般的に70km/h以上の速度域からです。そのため、リアスポイラーがエアロパーツとしての空力効果を体感できるのは主に高速道路での走行時となります。日本の一般道では、その効果を実感することはほとんどありません。
したがって、日本の道路事情においては、リアスポイラーは走行性能に貢献する効果よりも、ドレスアップ(装飾)効果の方が大きいと言えます。リアスポイラーを装着することで、フロントマスクと比較して主張の少ないリアビューに個性的なアクセントを加えることができます。また、空気抵抗が低減されることで、結果的に加速性能の向上や燃費効率の改善につながる可能性もあります。
リアスポイラーで車をカスタマイズすることで、一般道では他車との差別化を図り、高速道路ではその安定効果を意識しながらドライブを楽しむことができるでしょう。