レクサスGS・GS Fはその後どうなった 復活の噂の結末
かつてトヨタ「アリスト」を前身とし、熱狂的なファンを持つFRスポーツセダンだったレクサスGS。その頂点に立つピュアスポーツセダンGS Fともども、GSは2020年に生産・販売を終えました。当時は「MIRAIベースのFCVとして復活する」「5代目へフルモデルチェンジする」といった噂も飛び交いましたが、結論から言えば、そのいずれも実現していません。GSは4代・約27年(日本ではアリスト時代を含む)の歴史に静かに幕を下ろし、以降、GSを名乗る新型が登場することはありませんでした。
「FCV復活」「5代目化」の噂の結末とレクサス・セダンの現在
当時ささやかれた「2022年にレクサス版MIRAI(FCV)としてGSが復活する」という噂は、海外流出とされたロードマップが根拠でしたが、実際にレクサスがGSの名でFCVセダンを出すことはありませんでした。「5代目GSがキープコンセプトで2020年内に登場する」という予想も同様に実現していません。GSの中型FRセダンとしての役割は、2018年に日本へ再導入されたFF(前輪駆動)セダンのESが事実上引き継ぐ形となりました。
その後のレクサスは、セダンよりもSUVと電動化に軸足を移しています。フラッグシップのLSは継続、ESは新世代へ刷新されハイブリッドに加えBEVも設定。GSに近い「自ら操るFRスポーツセダン」の系譜はISが担ってきましたが、そのISもガソリン車などが2025年11月に生産終了となり、日本ではIS300h(後輪駆動)を中心に電動化・整理が進んでいます。クーペのRCも同時期に生産を終えるなど、レクサスのセダン/クーペ陣容は大きな転換期にあります。走りの頂点は、2025年末に公開されたBEVスーパーカー「Lexus LFA Concept」など新世代へと引き継がれていく見通しです。GSが体現した「操る歓びのあるレクサス」は、車名を変えながら次の時代へ受け渡されつつあると言えるでしょう。
レクサスGSとGS Fが2020年6月21日で新規受注停止
ここからは、GS・GS Fの生産終了の経緯と、当時語られていた情報を振り返ります。レクサスGSと、「F」を冠するピュアスポーツセダンGS Fは、2020年に生産を終了しました。
スケジュールは、2020年6月21日で新規受注を停止し、車両の生産は8月まで行われ、その後完全に廃止という流れでした。
GSの前身はトヨタが販売していた「アリスト」で、今なお熱狂的なファンを持つFRスポーツセダンでした。1993年にアリストからバトンを受け取る形で登場した(日本ではアリスト名が続いた)レクサスGSですが、販売台数は伸び悩み、2018年に性格の近いFFセダンのESが登場したことで、いっそう影が薄くなっていました。
かつてトヨタを牽引した人気FRスポーツセダン「GS」「GS F」の生産終了について、当時噂されたモデルチェンジ像や、最後の特別仕様車の情報を紹介します。
生産終了したGSが2022年にレクサス版MIRAIとして復活するという噂(未実現)
2020年に生産終了したレクサスGSが、水素を燃料とするFCV「トヨタMIRAI」をベースに2022年に復活する、という噂が当時ありました。
これは海外で流出したとされるレクサスのロードマップが根拠で、レクサス初のFCVセダンとして存在感を示すのでは、と語られたものです。しかし前述のとおり、この復活は実現しませんでした。
当時のレクサスは2025年ごろまでに約20の新型・改良モデルを投入するとされ、トヨタ・ヤリスクロスをベースにしたLBXや、ピュアEVのRZ450eなどが実際に登場しています。ただし、その中にGSの名を継ぐ新型セダンは含まれていませんでした。
レクサスGS最後の特別仕様車「GS Eternal Touring(エターナルツーリング)」2020年4月23日発表
レクサスGSとGS Fの最後を飾る特別仕様車GS エターナルツーリングは、2020年4月23日に発表、同年6月1日に発売されました。
現行GSグレードのFスポーツをベースとし、ブラックホイールなどを装備したスタイリッシュな一台。三眼LEDヘッドライトを標準装備して華やかに仕立て、ブラインドスポットモニターやクリアランスソナーなど高い安全性も確保していました。
レクサスGS特別仕様車 エターナルツーリングの装備
- F SPORT専用スピンドルグリル
- フロントバンパーサイドベゼル
- ラゲージドアガーニッシュ
- F SPORT専用リヤスポイラー
- オート電動格納式ドアミラー
- フロント235/40R19+リヤ265/35R19タイヤ&F SPORT専用アルミホイール
- F SPORT専用オレンジブレーキキャリパー
- 三眼フルLEDヘッドランプ&LEDフロントターンシグナルランプ
- ヘッドランプクリーナー
- F SPORT専用ディンプル本革ステアリング&F SPORT専用ディンプル本革シフトノブ
- メーターフード
- インストルメントパネル上部
- センターコンソール
- パームレスト
- ドアトリム
- 特別仕様車専用カーボンオーナメントパネル
- F SPORT専用本革シート
- クリアランスソナー&バックソナー
- アダプティブハイビームシステム(AHS)
- ブラインドスポットモニター(BSM)
GS特別仕様車エターナルツーリングは、ガソリンのGS300/GS350、ハイブリッドのGS300h/GS450hに設定され、販売価格は7,100,000円から。特別装備の内容から見て、有終の美を飾るにふさわしいコストパフォーマンスの高い一台でした。
| グレード | 駆動方式 | 販売価格 |
|---|---|---|
| GS300 | 2WD(FR) | 7,100,000円~ |
| GS350 | 2WD(FR) | 8,000,000円~ |
| AWD | 8,000,000円~ | |
| GS300h | 2WD(FR) | 7,500,000円~ |
| GS450h | 2WD(FR) | 9,000,000円~ |
レクサスGS・GS F生産終了決定前の情報まとめ(当時)
ここからは、生産終了が確定する前に語られていた「モデルチェンジ予想」を含む当時の情報です。結果としてGSは5代目へ進化せず終売となったため、以下は当時の見立てとしてお読みください。
レクサスGSは北米で1993年から発売され、日本では2代目までの2005年までアリストとして販売されていました。2005年の3代目から日本でもレクサスGSとして発売され、2012年に4代目へフルモデルチェンジしています。
当時、4代目登場から7年が経過し「5代目へモデルチェンジするのでは」という情報もありましたが、販売好調のFFセダン「レクサスES」に統合する形で、GSはモデルチェンジせず廃止されるのではないか、という噂もありました。実際には、後者(統合・廃止)が現実となりました。
レクサスGSとGS Fが2020年8月に販売終了するという噂
レクサスGSは長らくフルモデルチェンジせず販売されていたため、かねてから生産終了の噂がありました。
同じ中型セダンのESが2018年に登場したこともあってGSの販売台数は落ち込み、2020年に販売終了するとの見方が強まっていました。
GSと同じく、スポーツモデルのGS Fも販売終了するとされ、今後は好調なESに統合する形で生産を終えるのではないか、という観測です。
スケジュールは2020年6月に受注停止、8月に生産終了という見立てで、有終の美を飾る特別仕様車の設定も噂されていました。これらはおおむねそのとおりとなり、実際にエターナルツーリングが設定され、GSは幕を閉じました。
アメリカ仕様の2020年モデル「レクサスGS」のグレード縮小が決定
米国市場で販売されていたレクサスGSでは、エントリーグレード「GS300」が2020年モデルで廃止され、実質的なエントリーが「GS350」へ繰り上がることになりました。当時の米仕様は「GS300」「GS350」「GS F」の3構成でした。
この縮小の背景は、やはりGSの販売低迷です。セダン需要の低下に加え、2018年10月に日本へも再投入され人気を集めたミドルサイズセダンのES(コスト面でも有利)の存在が影響したと見られます。結局、この縮小は世界的な終売への布石となりました。
レクサスGSにブラックの専用装備を採用した特別仕様車「ブラックシーケンス」発売
レクサスGS450hに特別仕様車ブラックシーケンス(Black Sequence)が設定され、2018年8月23日に発売されました。これはレクサス累計販売台数50万台を記念したもので、当時販売中の6車種に同様の特別仕様車が用意されました。
GSのブラックシーケンスは、専用インテリアのサドルタン/トパーズブラウン、ブラック塗装の専用スピンドルグリル、専用ブラック塗装の電動格納式ドアミラーなどを装備する贅沢な内容でした。
レクサスGS特別仕様車ブラックシーケンスの専用装備
- 専用内装色サドルタン/トパーズブラウン
- 専用ブラック塗装スピンドルグリル
- 専用ブラック塗装オート電動格納式ドアミラー
- 235/45R18タイヤ&専用スパッタリング塗装アルミホイール など
モデルチェンジ後のレクサスGSはキープコンセプトという予想(当時/未実現)
当時は、モデルチェンジ後のGSが4代目のキープコンセプトで登場すると考えられていました。レクサスの顔であるスピンドルグリルを中心とした押し出しの強いエクステリアで、これは2015年のマイナーチェンジでGSへ採り入れられたものです。なお、この5代目は結局登場しませんでした。
サイドビューはリヤ下がりのクーペスタイルで、フロント・リヤともにLEDランプを採用。アンテナはシャークフィン式で、違和感なくボディに調和していました。
ボディカラーは全11色で、Fスポーツには「ホワイトノーヴァガラスフレーク」「ヒートブルーコントラストレイヤリング」が専用色として設定されていました。
レクサスGSに設定されていたボディカラー
- ホワイトノーヴァガラスフレーク(Fスポーツ専用)
- ヒートブルーコントラストレイヤリング(Fスポーツ専用)
- ソニッククォーツ
- ダークグレーマイカ
- ソニックシルバー
- ソニックチタニウム
- ブラック
- グラファイトブラックガラスフレーク
- レッドマイカクリスタルシャイン
- アンバークリスタルシャイン
- ディープブルーマイカ
ボディサイズは3代目後期のサイズ感を引き継ぎつつ、新型LSに採用された新プラットフォーム(GA-L)を用いて、わずかにサイズアップするとも予想されていました。以下は当時の予想値です。
| 全長 | 4,900mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,850mm |
| 全高 | 1,455mm |
| ホイールベース | 2,850mm |
| 最低地上高 | 130mm |
| 乗員定員 | 5人 |
モデルチェンジ後の搭載エンジン予想(当時/未実現)
当時、モデルチェンジ後の搭載エンジンは「2.5L直列4気筒ターボ」「3.5Lハイブリッド」「3.5Lガソリン」の3種と考えられていました。以下は当時の予想スペックです。
| 型式 | 2GR-FXE | 2GR-FKS |
|---|---|---|
| 種類 | V型6気筒ハイブリッド | V型6気筒 |
| 排気量 | 3,456cc | 3,456cc |
| 最高出力 | 217KW/6,000rpm | 234KW/6,600rpm |
| 最大トルク | 356Nm/4,500rpm | 380Nm/4,800rpm |
| モーター型式 | 1KM | – |
| 最高出力 | 147KW | – |
| 最大トルク | 275Nm | – |
| 使用燃料 | ハイオク | ハイオク |
3.5Lのハイブリッドとガソリンは、4代目の「GS450h」「GS350」用を引き継ぎ、新開発の2.5Lターボを加える、という見立てでした。いずれも5代目GSが登場しなかったため、実現していません。
モデルチェンジ後の搭載装備の予想(当時)
4代目GSには、安全装備「Lexus Safety System+」が標準装備され、プリクラッシュセーフティ、レーンキーピングアシスト、全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールなどを備えていました。
レクサスGS搭載の安全装備一覧
- プリクラッシュセーフティシステム
- レーンキーピングアシスト
- オートマチックハイビーム(アダプティブハイビームシステム)
- レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)
また、当時は「version LやFスポーツには、新型LS搭載の『Lexus Safety System+A』が採用されるのでは」と予想されていました。これはフロントクロストラフィックアラートや、ドライバー異常時停車支援システムなどを加える上位装備です。こちらも5代目GSが登場しなかったため実現していません。
Lexus Safety System+Aの装備一覧
- プリクラッシュセーフティシステム
- フロントクロストラフィックアラート
- Lexus Co Drive
- ドライバー異常時停車支援システム
- 上下2段式アダプティブハイビームシステム
- ロードサインアシスト
- 先行車発進告知機能
モデルチェンジ後の発売日・価格の予想(当時/未実現)
当時は「5代目GSの発売は2020年内」「日本仕様では通常モデルのGSはESに統合され、GS Fだけがフルモデルチェンジする」といった噂もありましたが、レクサスの公式発表はありませんでした。
価格帯は据え置きの580万円〜742万円と予想されていました。結果としては、5代目GSもGS Fの新型も登場せず、GSはそのまま生産終了となりました。参考として、以下は最終型(4代目)GSの価格一覧です。
| グレード | 駆動方式 | 販売価格 | |
|---|---|---|---|
| GS450h | バージョン L | 2WD (FR) | 8,602,407円~ |
| F スポーツ | 2WD (FR) | 8,630,926円~ | |
| I パッケージ | 2WD (FR) | 7,980,093円~ | |
| 2WD (FR) | 7,576,759円~ | ||
| GS350 | バージョン L | 2WD (FR) | 7,585,926円~ |
| F スポーツ | 2WD (FR) | 7,614,444円~ | |
| I パッケージ | 2WD (FR) | 6,963,612円~ | |
| 2WD (FR) | 6,560,278円~ | ||
| バージョン L | AWD | 7,800,834円~ | |
| F スポーツ | AWD | 7,635,834円~ | |
| I パッケージ | AWD | 7,194,815円~ | |
| AWD | 6,791,481円~ | ||
| GS300h | バージョン L | 2WD (FR) | 7,303,797円~ |
| F スポーツ | 2WD (FR) | 7,122,500円~ | |
| I パッケージ | 2WD (FR) | 6,681,481円~ | |
| 2WD (FR) | 6,278,148円~ | ||
| GS300 | バージョン L | 2WD (FR) | 6,913,704円~ |
| F スポーツ | 2WD (FR) | 6,732,407円~ | |
| I パッケージ | 2WD (FR) | 6,291,388円~ | |
| 2WD (FR) | 5,888,056円~ |
グランドツーリングセダンを意味するレクサス・GSのモデルチェンジ遍歴
GSは、レクサスの最上級車「LS」に次ぐ上位に位置していた4ドアセダンです。日本では2代目までトヨタから「アリスト」として販売され、「GS」を名乗ったのは通算3代目からでした。
レクサス・GS 初代 S147L型/1993年~1997年
1991年に発売されたトヨタの初代アリストを、レクサスブランドとして1993年2月から販売を開始したのが初代「GS」です。名前の由来どおり、グランドツーリングに重きを置いたモデルでした。
レクサス・GS 2代目 S16#L型/1998年~2005年
1998年、前年にモデルチェンジしたアリストに続いて「GS」もモデルチェンジ。直列6気筒とV8を採用しました。
2000年のマイナーチェンジではV8を4.3L化し、モデル名も「GS430」に変更しています。
レクサス・GS 3代目 S19型/2005年~2012年
2005年8月、日本でレクサスブランドが開業し、日本仕様として「GS430」「GS350」がデビューしました。
2006年3月には日本レクサス初のハイブリッド「GS450h」を追加。走行性能を重視したモデルでした。
2007年10月のマイナーチェンジではグレード名が「GS460」に変更。
2008年4月には限定500台の特別仕様車「Passionate Black Interior」を発売。
2010年8月には、レクサス開業5周年記念の特別仕様車「Art Works」を発売しました。
レクサス・GS 4代目 L1#型/2012年~2020年
2012年1月、「一目でレクサスとわかるデザイン」「エモーショナルな走り」「ハイブリッドを軸とした先進・環境技術」を重点に開発され、4代目GSが登場。「GS250」「GS350」に加え、ハイブリッドの「GS450h」も設定されました。「標準」「I Package」「F SPORT」「version L」を用意。
2013年10月に「GS300h」を追加。
2015年11月のマイナーチェンジでフロントマスクを一新し、同時にスポーツモデル「GS F」が登場しました。
2016年9月にターボの「GS200t」を追加し「GS250」を廃止、2017年8月に「GS200t」を「GS300」へ改称。
2018年8月には累計50万台記念の特別仕様車「Black Sequence」を発売。
2020年6月に特別仕様車「Eternal Touring」を発表するとともに8月での生産終了を告知し、同年に「GS」「GS F」の販売を終了しました。
| レクサス・GSのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 S147L型 | 1993年~1997年 |
| 2代目 S16#L型 | 1998年~2005年 |
| 3代目 S19型 | 2005年~2012年 |
| 4代目 L1#型 | 2012年~2020年 |
レクサスGSが残した「操る歓び」は次代へ
レクサスのフラッグシップといえばLSですが、LSはどちらかといえば後席に乗るためのショーファーカー的な性格を持ちます。対してGSは、オーナー自らがステアリングを握るドライバーズカーで、FモデルやFスポーツは走る楽しさを味わわせてくれる存在でした。
当時は「2020年に5代目へモデルチェンジする」とも言われていましたが、実際にはGSはその歴史に幕を下ろし、5代目は登場しませんでした。中型セダンとしての役割はES、そして「操るFRセダン」の魂はISが受け継ぎましたが、そのISやRCも電動化の波の中で整理が進んでいます。GSという名は消えても、レクサスが磨いてきた「走る歓び」は、新世代のモデルへと形を変えて受け継がれていくことでしょう。