ランチアの歴代車種

ランチアの名車特集~世界ラリー選手権で総合優勝した「デルタ」や「ストラトス」など11車種の歴史と魅力

ランチアの名車特集。自由なクルマ創りを掲げるイタリアの老舗自動車メーカーが開発した世界ラリー選手権で何度も総合優勝した「デルタ」や「ストラトス」、ボディカラーの選択肢が豊富な「イプシロン」、内装がオシャレな「テーマ」など計11車種の歴史と魅力を紹介。

ランチアの名車特集~世界ラリー選手権を制覇した「デルタ」「ストラトス」など計11車種の歴史と魅力

ランチアは、知る人ぞ知る1906年に設立された歴史あるイタリアの自動車メーカーです。
ランチアは、モノコックボディ・独立式サスペンション・5速トランスミッションなど、多数の先進的な技術を世界で初めて導入した自動車メーカーとしても知られています。

そんなランチアの車は、1970年代~1990年代初頭までに世界ラリー選手権などのモータースポーツで輝かしい功績を収めてきました。

ここでは、世界ラリー選手権で一時代を築いた「デルタ」や「ストラトス」の魅力だけではなくて、大統領専用車両としても利用された「テージス」や、世界のコンセプトカーに影響を与えた「イプシロン」など、計11車種の歴史も紹介していきます。

ランチアは世界ラリー選手権で活躍する車を多数誕生させたイタリアの自動車メーカー

イタリアの自動車メーカー「ランチア」は世界ラリー選手権で総合優勝したことでも有名

ランチアは、世界ラリー選手権で総合優勝した車両や、イタリアの公用車を開発していた自動車メーカーです。同社は、イプシロンやデルタなど、ギリシア文字をモデル名として採用するなど、クルマ造りに徹底的にこだわります。

創業者のヴィンチェンツォは、フィアットの契約ドライバーとして、技術者としても活躍していた人物です。彼は、もっと自由な発想で、もっと自由に車を創りたいという思いを実現させるたにランチアを創業しました。

オーナーと技術統括責任者を兼務したヴィンチェンツォが掲げた理念のもとで、ランチアは世界ラリー選手権(WRC)で史上初の6連覇を達成した「デルタ」や、大統領も乗車する最上級セダン「テージス」など、数々の名車を世に送り出してきました。

項目 内容
メーカー名 ランチア(イタリアの自動車メーカー)
特徴 世界ラリー選手権で多数活躍、総合優勝経験あり
モデル名の特徴 ギリシア文字をモデル名に採用(例:イプシロン、デルタ)
創業者 ヴィンチェンツォ(元フィアット契約ドライバー兼技術者)
創業理念 自由な発想で自由に車を創ること
代表車種 世界ラリー選手権6連覇のデルタ、大統領も乗る最上級セダンのテージス

独創性と先進性によって自動車産業の発展に大きく貢献したランチアの名車シリーズ

創業者が掲げた理念のもと、ランチアは独創的かつ先進性も兼ね備える数々の名車を誕生させてきました。利益を生み出す車よりも、独創性と先進性を備える車の開発を最優先とするランチアが誕生させた車は技術力に優れ、その後の自動車産業の発展に大きく貢献しました。

ここでは、他の自動車メーカーのクルマ造りにも影響を与えたランチアの名車たちの歴史と魅力を紹介します。

白州次郎も愛した「ラムダ」は創業者が開発を主導して誕生させた1920年代の最高傑作

日本では白州次郎が所有していたラムダはランチアの技術力を世界に知らしめた名車

創業者であるヴィンチェンツォが開発を主導した「ラムダ」は、軽量・高剛性を実現するモノコック構造を世界で初めて採用する。量産車としては初めて前輪に独立懸架式を導入する。その他にも、先進的なオーバヘッドカムシャフトエンジンを搭載させるなど、その後の自動車工学の発展に強い影響を与えました。

ランチア自慢の狭角V型4気筒エンジンを搭載するラムダは、操縦性に優れ、ロングドライブでも身体に負担がかかりにくいと当時の人達から評判でした。
1922年に誕生したラムダは、シリーズ9までに進化を続け、1931年に生産を終了しました。

項目 内容
車名 ラムダ
開発主導者 創業者ヴィンチェンツォ
技術的特徴 世界初のモノコック構造、量産車初の前輪独立懸架式採用
エンジン 狭角V型4気筒エンジン、先進的なオーバーヘッドカムシャフト
評価 操縦性に優れ、長距離走行でも身体に負担が少ないと評判
製造期間 1922年誕生、1931年生産終了(シリーズ9まで進化)
愛好者 日本の白州次郎も所有

「アプリリア」は風洞実験を実施して空気特性を考慮した当時としては画期的なボディラインを実現した

創業者ヴィンチェンツォの遺作として語り継がれているアプリリア

ランチアにとっては初めての小型乗用車であるアウグスタの後継モデルにあたります。
1937年に誕生した「アプリリア」は、風洞実験を行って空気特性を考慮した流線型のボディデザインを採用した世界初の車だと言われています。アプリリアが実現した空気抵抗係数(Cd)は0.47と、第二次大戦前の市販車としては、特に優れた数値を達成しています。

1949年まで生産が続けられたアプリリアは、観音開きを実現するピラーレス・モノコックボディ、完全独立式サスペンション、など当時の先端技術を導入していました。

項目 内容
車名 アプリリア
発売年 1937年
特徴 風洞実験に基づく流線型ボディデザインで空気抵抗を低減
空気抵抗係数 (Cd) 0.47(第二次大戦前の市販車として高性能)
技術 ピラーレス・モノコックボディ、完全独立式サスペンション搭載
生産期間 1937年~1949年
背景 アウグスタの後継モデル。創業者ヴィンチェンツォの遺作として評価

アウレリアは4ドアセダン以外にもクーペモデルやカブリオレなどのボディタイプも展開していた

1950年に誕生したアウレリアはアプリリアの後続モデル

4ドアセダンのベルリーナは、先代モデルと同様にフルモノコック構造と、観音開き式ドアを採用します。同車は世界で初めてV型6気筒エンジンを搭載し、デフとギアボックスを一体化させたトランスアクスルを導入しました。

「アウレリア」からは、4ドアセダン以外にも、2ドアクーペモデルやカブリオレといったボディタイプも登場しました。

エンジンの改良を行って、排気量を増やして最高出力を向上させた、アウレリアのクーペモデルは後にGTというモデル名が付けられました。同車はグラントゥーリズムモカーのパイオニア的な存在として知られています。

項目 内容
車名 アウレリア
発売年 1950年
ボディタイプ 4ドアセダン(ベルリーナ)、2ドアクーペ、カブリオレ
構造・特徴 フルモノコック構造、観音開き式ドアを採用
エンジン 世界初のV型6気筒エンジン搭載
トランスミッション デフとギアボックスを一体化したトランスアクスル
クーペモデルの特徴 排気量アップで最高出力向上、後に「GT」と命名。グラントゥーリズモカーの先駆け
背景 アプリリアの後続モデル

最後のピュアランチア車「フルビア」はラリー選手権で数々の功績をおさめた

フルビアは1963年から1976年までの約13年間にわたり製造・販売されていた車

フルビアはラムダ以来の伝統である狭角V4気筒エンジンを徹底的に改良し、ダンロップ製の4輪ディスクブレーキを装備させるなど、コストを無視した開発者の職人魂が存分に発揮されている最後のピュアランチア車です。

数々のフルビアシリーズの中でも、圧倒的に支持されているがWRCチャンピオンカーとなるなど、ラリー選手権で輝かしい功績を収めた「フルビアクーペHF」です。

項目 内容
車名 フルビア
製造期間 1963年~1976年(約13年間)
エンジン ラムダ以来の狭角V4気筒エンジンを徹底改良
技術 ダンロップ製4輪ディスクブレーキ装備、開発者の職人魂が反映された設計
特徴 最後のピュアランチア車として高い評価を得る
功績 WRCチャンピオンカーとなった「フルビアクーペHF」をはじめ、ラリー選手権で多くの勝利

「ベータ」はフィアット傘下となってからリリースされた初めての車種で日本市場にも導入された

ベータは、ランチアが1969年に経営難に陥ってフィアットグループに属するようになってからリリースされた初めての車

1972年に登場した「ベータ」は、フルビアの後継モデルにあたる小型車で、フィアット製のエンジンなどを共有して、開発・製造の効率化と合理化を図りました。

1984年まで製造されていた「ベータ」は、フィアットの高級車部門に属する車として販売されました。日本市場には北米仕様車をベースとした1800クーペや、本国イタリア仕様と近い性能を保持していた1300クーペが導入されました。

項目 内容
車名 ベータ
発売年 1972年
背景 1969年にフィアット傘下となってから初めてリリースされた車種
モデル フルビアの後継小型車
特徴 フィアット製エンジン共有による開発・製造の効率化と合理化
生産期間 1972年~1984年
日本市場導入 北米仕様の1800クーペ、本国仕様に近い1300クーペを導入

世界ラリー選手権での勝利を義務付けられた「ストラトス」はコレクターズ心理を刺激するスーパーカー

世界ラリー選手権での勝利を至上命題として1971年に誕生したストラトスは3回の総合優勝を飾るなど華々しい功績を遺した

ストラトスは、過酷なサファリコースにも耐え得るボディを、モノコック構造に堅固なスチールフレームで補強を加える事によって実現させました。エンジンやトランスミッションを搭載する車体後部は、補修や点検を容易に行いやすい整備性を備えます。

搭載するエンジンは、フェラーリ・ディーノ246GT/GTSで使用されていたV6 DOHCエンジンにチューニングを行って、中低速を重視して出力性能を高めたものです。カムシャフト、クランクシャフト、シリンダヘッドは専用パーツへと変更されました。

ストラトスのボディの特徴は「ショートホイールベース・ワイドトレッド」です。2,180mmというホイールベースは、スズキのアルトワークス(2,480mm)などの軽自動よりも短い数値です。

世界ラリー選手権で勝利するために、ストラトスは直進安定性よりもコーナリングのしやすい回頭性を重視しました。

ストラトスのスペック
エンジン V6 DOHC
総排気量 2,418cc
最高出力 190ps/7,000rpm
最大トルク 23kgm/4,000rpm
最高速度 230km/h
車両重量 980kg
ホイールベース 2,180mm
項目 内容
車名 ストラトス
発売年 1971年
目的 世界ラリー選手権での勝利を至上命題とした車
ボディ構造 モノコック構造に堅固なスチールフレーム補強を施した耐久性の高いボディ
整備性 エンジン・トランスミッション搭載部は後部に配置し点検や補修が容易
エンジン フェラーリ・ディーノV6 DOHCエンジンをチューニングし中低速重視に最適化
ボディの特徴 ショートホイールベース(2,180mm)、ワイドトレッドで回頭性を重視
ラリー性能 直進安定性よりコーナリング性能を優先し、3回のWRC総合優勝を達成
ストラトスは総生産台数が500台以下の希少価値の高いコレクターズカー

伝説のラリーカー「ストラトス」の総生産台数は492台です。1974年に量産市販化されてから40年以上も経過しているので、現存する車両はさらに少数となっていると推測されます。

そのため、ストラトスがオークションに出品されれば5,000万円以上で落札される事も珍しくはありません。

カスタム・チューンメーカーが「ストラトス」を限定25台で復活させた

伝説のラリーカーであるストラトスが限定25台で復活しました。ストラトスを復活させたのは、顧客から依頼を受けた車をカスタマイズするマニファットゥーラ・アウトモビル・トリノ(MAT)です。

MATが誕生させた「ニューストラトス」の販売価格は、日本円で約7,200万円です。2018年4月より納車が行われた同車のエクステリアの特徴は、アルミフレームが多用されるシャシー、存在感のあるフロントグリルと機能性も備わるテールスポイラーです。

「ニューストラトス」は、フェラーリF300と同一の4.3リッターV8エンジンを搭載し、0‐100km/h加速は3.3秒、最高速は330km/hを実現させます。今後はレース仕様車や、砂漠での走行を可能とするサファリ仕様車も誕生する見込みです。

「ストラトス」と「ニューストラトス」のボディサイズ比較表
  ストラトス ニューストラトス
全長 3,710mm 4,181mm
全幅 1,750mm 1,971mm
全高 1,114mm 1,240mm
ホイールベース 2,180mm 2,400mm

「デルタ」は世界ラリー選手権で史上初の6連覇を達成したランチアを代表する車

フォルクスワーゲンのゴルフを意識して1979年に誕生したデルタ

ランチアの代表的な車「デルタ」はターボエンジンやフルタイム4WD、ブリスターエンジンを搭載させるなど進化を続けて、世界ラリー選手権で史上初の6連覇(1987年から1992年)を達成しました。

走行性能だけではなくて、上品さの伴うインテリアデザインも魅力的な「デルタ」は、ヨーロッパ・カーオブザ・イヤーも獲得しました。

2014年に生産を終了したデルタシリーズの中で、最も支持されているのはやはり世界ラリー選手権6連覇を達成した「デルタHFインテグラーレ」です。

項目 内容
車名 デルタ
発売年 1979年
特徴 ターボエンジン、フルタイム4WD、ブリスターエンジン搭載で進化
ラリー実績 世界ラリー選手権史上初の6連覇(1987~1992年)を達成
デザイン 走行性能と上品さを兼ね備えたインテリアデザイン
受賞歴 ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー獲得
生産終了 2014年
人気モデル 世界ラリー選手権6連覇の「デルタHFインテグラーレ」
WRC6連覇を実現した「デルタHFインテグラーレ」は当時を知るファン達から愛され続ける車

世界ラリー選手権は1986年にグループBが廃止され、1987年からは年間5,000台以上の生産を行う車両を参加条件とするグループA規定へと移行しました。

「デルタHFインテグラーレ」は、グループA規定に移行した世界ラリー選手権での活躍を目指して開発された車です。初期モデルは2.0L DOHCターボエンジンやフルタイム4WDを搭載していました。

その後、フェンダーをブリスター化、大型インタークーラーを採用、エンジンを16バルブ化するなどの改良を行うことで、進化を続けた「デルタHF インテグラーレ」は世界ラリー選手権で史上初の6連覇を達成しました。

ランチアデルタ HF インテグラーレ主要諸元
全長 3,990mm
全幅 1,695mm
全高 1,380mm
ホイールベース 2,475mm
エンジン 直4DOHCターボ
排気量 1995cc
最高出力 185ps/5,300rpm
最大トルク 31kgm/3500rpm
デルタHFインテグラーレの復刻モデル「デルタ フトゥリスタ」が限定20台生産

アウトモビリアモス(AutomobiliAmos)は、スイスで開催されたグランドバーゼルモーターショー2018で「デルタ フトゥリスタ」を世界初公開しました。同車は「デルタHFインテグラーレ」の復刻モデルにあたります。

「デルタ フトゥリスタ」は、オリジナル車両をベースとして、カーボンファイバーやアルミ素材を用いて軽量化を実現させて、2.0L直列ターボエンジンを搭載させる見込みです。

アウトモビリアスは、「デルタ フトゥリスタ」の販売価格は30万ユーロとし、限定20台を生産する計画です。

ラリー037はNSXにも影響を与えたミッドシップレイアウトを採用する車

ラリー037のエクステリアはラリー目的に開発された車としては群を抜いて完成度が高く、流麗で端正なデザインが採用されているのが特徴

1982年に誕生した「ラリー037」は、スーパーチャージャー付きの2リッターDOHC4気筒エンジンを運転席の後ろ側に縦置きして、後輪駆動を行うミッドシップレイアウトを採用する車です。

1982年より世界ラリー選手権は、より過酷なコース設定で行われ、参戦する車への条件が厳格化される事が決まっていました。そういった環境の変化に対応するために開発されたのが「ラリー037」です。

ラリー037は、1983年の開幕戦モンテカルロラリーで1位と2位となる、その後も第5戦、第6戦、第7戦、第10戦で勝利を収めました。

1990年に発売されたホンダNSXの開発責任者であった上原繁氏は、テレビ番組のインタビューの中で「NSXの開発で最も参考にして、影響された車はランチア ラリー」であるとの発言を残しています。ラリー037は、その後のミッドシップカーに大きな影響を与えました。

LANCIA RALLY037 1982モデルのスペック
全長 3,915mm
全幅 1,850mm
全高 1,245mm
ホイールベース 2,240mm
車両重量 1,170kg
エンジン スーパーチャージャー付き水冷直列4気筒DOHC
変速機 5速MT
総排気量 1,995cc
最高出力 205ps/7,000rpm
最高速度 220km/h
項目 内容
車名 ラリー037
発売年 1982年
エンジン スーパーチャージャー付き2L DOHC 4気筒エンジン
レイアウト ミッドシップ(運転席後方にエンジン縦置き)、後輪駆動
ラリー成績 1983年モンテカルロラリーで1位と2位獲得、第5・6・7・10戦でも勝利
開発背景 世界ラリー選手権の過酷化・規則厳格化に対応するための車
影響 ホンダNSX開発責任者が影響を認め、ミッドシップカーに大きな影響を与えた
デザイン特徴 流麗で端正なラリー専用高完成度ボディ
「ラリー037」は四輪駆動のラリーカーが活躍していく中、MR方式で最後にタイトルを獲得した車

ラリー037は、1983年の世界ラリー選手権で輝かしい功績を収めます。しかし、その後はアウディ クワトロが4WDシステムを完成させ、プジョーのミッドシップ4WDカー「205ターボ16」が圧倒的なパフォーマンスを発揮するなど、本格的な4WD時代へと突入していきます。

舗装されていないコースも走行するラリー競技では、トラクション性能に優れる4WD車の方が優位となります。世界ラリー選手権で四輪駆動のラリーカーが活躍していく中で、ラリー037はミッドシップ・リヤドライブ方式で最後にタイトルを獲得した車として語り継がれています。

ランチア「テーマ」は高級家具メーカーやファッションブランドとコラボした内装が魅力的

1984年に誕生したランチアのテーマは本国イタリアでは紳士のクルマとも呼ばれ2014年に生産を終了するまでに長年親しまれてきた

ガンマの後継モデルとして1984年にデビューした「テーマ」は、イギリスとアイルランドを除くヨーロッパ市場で販売されていました。内装の一部には、イタリアの名門家具メーカーのパーツや、ファッションブランド「エルメネジルド・ゼニア」のアルカンターラを使用するなど、室内空間の雰囲気は洗練されていて、高級感が漂っていました。

紳士のクルマとして親しまれてきた「テーマ」は走行性能にも優れ、空気抵抗値は0.32と当時のセダンボディとしては最高値を示します。また、ステーションワゴンタイプが装備するリアウィングは、当時の先端空力技術によって完成したパーツでした。

2014年10月のタイミングで生産を終了した「テーマ」は、2.0L NAエンジン・2.0Lターボエンジン・ディーゼルエンジンなど様々なタイプのパワートレインを展開していました。

項目 内容
車名 テーマ
発売年 1984年
販売地域 イギリス・アイルランド除くヨーロッパ市場
内装 イタリア名門家具メーカーのパーツ使用、エルメネジルド・ゼニアのアルカンターラ採用
特徴 洗練された室内空間と高級感、紳士のクルマとして親しまれる
空力性能 空気抵抗係数0.32、先端空力技術を用いたリアウィング装備(ステーションワゴン)
生産終了 2014年10月
パワートレイン 2.0L NAエンジン、2.0Lターボ、ディーゼルエンジンなど多様
フェラーリ製の3.0L V8型32バルブエンジンを搭載する「テーマ8.32」はスポーツ走行を楽しめる高級サルーン

ユニークな車名、フェラーリ製のエンジンを搭載していた事から、テーマの中でも特に人気が高いモデルとして知られているのが「テーマ8.32」です。

「テーマ8.32」が、フェラーリ308クアトロバルボーレと同一の3.0L V型8気筒32バルブエンジンを搭載できたのは、フェラーリもランチアと同様にフィアットグループに属していたからです。

「テーマ8.32」はエンジン以外でも、星型のホイールデザインや格子状グリルなどフェラーリを意識させるパーツが多数設置されています。

テーマ8.32 Phase2 E-A834F型のスペック
全長 4,590mm
全幅 1,750mm
全高 1,435mm
ホイールベース 2,660mm
車両重量 1,410kg
エンジン 水冷V型8気筒DOHC
総排気量 2,926cc
最高出力 200ps/6,750rpm
最大トルク 26.8kg/5,000rpm

「イプシロン」はカラーコーディネートを楽しめるヴィッツやマーチにも影響を与えたコンパクトカー

ランチアがイプシロンで提言したコンパクトカーの新たな商品戦略はヴィッツやマーチといった日本を代表するコンパクトカーにも影響を与えた

1994年に初代モデルが誕生した「イプシロン」は、12色の標準ボディカラー、100色にも及ぶオプションカラーに、内装色を組み合わせて、自分好みにアレンジする「カレイドス」を楽しめるコンパクトカーです。

2002年のフルモデルチェンジで誕生した2代目イプシロンでは、カレイドスは採用されませんでしたが、2トーンカラーが採用され、内装デザインのクオリティが向上しました。

項目 内容
車名 イプシロン
初登場 1994年(初代モデル)
特徴 12色の標準ボディカラーと100色のオプションカラーで内装も組み合わせ可能な「カレイドス」搭載
2代目モデル 2002年発売。カレイドスは廃止され2トーンカラーを採用、内装クオリティ向上
影響 ヴィッツやマーチなど日本の代表的コンパクトカーのカラーコーディネートに影響
イプシロンはランチアブランドで販売されている唯一の車

2011年にフルモデルチェンジが行われて誕生した3代目イプシロンは、フィアットグループ内での競合を避けるために、ボディタイプを3ドアから5ドアハッチバックスタイルへと変更しました。

3代目は、先代モデルが採用してきたビビットカラーを効果的に用いるのではなくて、ピアノブラックを基調とする落ち着いた雰囲気によって、室内空間を演出します。

ランチア車の国外販売が終了し、イタリア国内においても販売される車が限定的となっていく中、2017年以降では、レンタカーとしても利用される機会の多いイプシロンのみが販売され続けています。
2024年2月には4代目の新型イプシロンがワールドプレミア(世界初公開)される予定です。

ランチアの最上級セダン「テージス」は大統領専用車やローマ教皇の御料車として採用されていた

2002年に誕生したテージスは前輪駆動方式の大型高級乗用車

テージスは、1998年のパリ・サロンに出展されたコンセプトカーであるディアロゴスのデザインテーマを受け継いで、上品さの伴うモダンさと、先鋭的な大胆さが見事に融合するエクステリアを完成させています。

ランチアの最上級セダンは伝統的にイタリア本国で公用車として用いられてきました。テージスは、カッパなどの最上級セダンと同様に、ローマ教皇が乗用する御料車や大統領専用車としても採用されました。

項目 内容
車名 テージス
発売年 2002年
車種 前輪駆動の大型高級セダン
デザインテーマ 1998年パリ・サロンのコンセプトカー「ディアロゴス」のデザインを継承
特徴 上品でモダンかつ大胆なエクステリアデザイン
用途 イタリア公用車、ローマ教皇の御料車、大統領専用車として採用
伝統 ランチアの最上級セダンとしての地位を継承

ランチアは数々の名車を誕生させてきた自動車メーカー「デルタ」や「ストラトス」以外の復活も期待

フィアットグループに属する自動車メーカーであるフェラーリと比較すれば、ランチアの認知度は低いのが現状です。

ランチアブランドで販売されている車種は、本国イタリアでのイプシロンのみとなっています。世界ラリー選手権でランチア車が華々しい功績を収めた全盛期を知っている世代にとっては、ネガティブなニュースばかりが続いていましたが、限定生産ではありますが「デルタ」や「ストラトス」の復活はファンが喜べる話題です。
創業者ヴィンチェンツォが掲げた「自由に考え、自由に創る」という理念のもとで開発され誕生した、ランチア車の復活を今後も期待します。