製造日は僅か3日!最先端の3Dプリンターで作る電気自動車が登場
最先端の3Dプリンターで作られる電気自動車は2019年からアジアとヨーロッパで販売される予定で、2人乗りのスマートな大きさですが強度は5倍で、最高速度70kmhを誇り、一度満充電になると150km走行できます。
3Dプリンターで製造する車は「今後自動車産業に大きな変化をもたらすだろう」と世界中の自動車メーカーから注目されています。
2019年アジアとヨーロッパで販売開始
約111万円でヨーロッパとアジアで販売される
エアコンを完備して機能性も抜群
3Dプリンターを使って作られた革命的な電気自動車が発表され、来年アジアとヨーロッパで販売予定です。
LSEVと呼ばれる2人乗りの電気自動車は、車の製造業者によると、わずか3日間で製造することができ、現在この電気自動車を2019年4月に7,525ポンド(日本円で約112万円)の価格で販売できるように生産ラインを準備しています。
3Dプリントの電気自動車LSEVのスペック
スマートカーなので道の狭い日本でも使いやすいサイズ
フル充電で150km走行は日常使いに十分な距離
LSEVは、イタリアにデザインセンターを持ち中国に生産拠点を持つ香港の新興企業が制作した車「XEV Limited」をベースにしたスマートカーで、全長2,500mm、全幅1,300mm、全高1,500mm、重量450kg、最高速度70km/h、フル充電後は150km走行できます。
ルー氏が製作したXEV Limitedは、車の大部分は強化ナイロン、一般的な3Dプリンターフィラメント、熱可塑性ポリウレタン樹脂の3種類の素材で造られています。
またシャシーやエンジンなど、自動車の金属部品は、従来の生産方法を踏襲しています。
XEVのおよそ50人のチームが一から車の設計と特別な3Dプリンターを製作、プロトタイプ第一号をラインオフしました。ルー氏によると、7月末までにさらに6台の生産を目指しています。
LSEVプロジェクトは2年前に開始
LSEVは僅か3日で完成する
ルー氏は、2年前にイタリアの共同設立者で3Dプリンターディレクターのロバート・モレッティと共にプロジェクトを開始しました。
このプロジェクトは、研究と技術革新のためのEU最大のプログラムHorizon 2020を受賞した後、チームが目標とする3Dプリンターの大衆車を販売するための資金として、170万ポンド(日本円で2億5千万円)を調達しました。
XEV Limitedの創設者であるルー氏は、1つのLSEVをプリンターするにはわずか3日しかかからないと話し、来年には生産ラインを準備して2019年末までに2万台の製造を目指しています。
従来の電気自動車のモーター製造と比較すると、3Dプリンター車の製造は、研究開発コストを約90%削減し、生産サイクルを3/4スピードアップできます。
また部品の数は約2,000で、LSEVは40〜60の部品で構成されているため車の本体を製造する時間も短縮できます。
部品により製造時間が異なる
XEVによれば各部品の生産時間はフロントカウルやダッシュボードなど製造する部品により3時間から10時間まで製造時間に違いがあるようです。
同社が実施した安全性評価では、衝撃の間にエネルギーを吸収し、強度と剛性を車に加えることができる3Dプリンター部品に構造的な充填物を加えることで、スマートなどの従来の同等品よりボディ強度は4倍または5倍強力だとしています。
ルー氏は英国のコヴェントリー大学を卒業し、自動車デザインの修士号を取得しました。以前は中国とイタリアのジョイントベンチャーであるJAC Motorsのゼネラルマネージャーでした。
3Dプリンターの工程は非常に効率的で、販売後も市場の声やユーザーの声を反映してより良い改良を加えることも可能とのこと。
LSEVのプロトタイプは上海で公開され、月中に上海3Dプリンター博物館に展示される予定です。
アジアとヨーロッパの消費者は来年から8,500ユーロ(約111万円)で車を購入できるよう、今後XEVはLSEVの試作品を1つ作り、今年7月末までにさらに6つの製品を製造する予定です。
ルー氏は、3Dプリンターは、その効率のために自動車業界に大きな変化をもたらすと話しています。
3Dプリンターの元祖はローカル・モーターズのStrati
LSEVは3Dプリンターで製作する電気自動車で唯一「大衆車」を目指している
3Dプリンターを使った自動車の製作は業界では珍しいことではなく、車を製造する前のプロトタイプの段階で最も頻繁に使用されています。
3Dプリンターで作られたLSEVは、生産ラインを確立した唯一の大衆的な電気自動車ですが、他社でも最先端の3Dプリンターされたプロトタイプの自動車を作る動きも報告されています。
2014年、アメリカの運送会社であるローカル・モーターズ社は全ての部品を3Dプリンターで製作された、世界で初めて運転可能な車「Strati」を開発しました。
また昨年、カリフォルニアに本拠を置くスタートアップ企業のDivergent 3Dは、3Dプリンターされたアルミジョイントで作られた700馬力のスポーツカー、Bladeのプロトタイプをリリースしました。Forbesによると、同社はプロトタイプを公開した後、このプロジェクトのために投資家から6,500万ドル(日本円で約69億円)を調達しています。
3Dプリンターで製作した世界初の運転可能な車Strati
Bladeはアルミニウムジョイントを3Dプリンターで製作した700馬力のスポーツカー
ローカル・モーターズのCEOは「このプロトタイプは3Dプリンターが車の生産をスピードアップし、有用で完全な製品を作り出す方法を実証した」としています。
今後の3Dプリンターで作る電気自動車の展望
Maker Media設立者のデール・ダハティ氏は3Dプリンターで造る電気自動車は、自動車部品を供給する業者を減らすことで、より安価で車を提供できるとしています。
3Dプリンターで車を作るのは「間違いなく難しい」と言われていますが、今後の自動車業界のインフラに影響を与え、最終的に消費者に利益をもたらす可能性があると考えられています。