タンクはフルモデルチェンジせずルーミーと統合
タンクは、ダイハツからのOEM供給を受けてトヨタが販売しているコンパクトカーです。1.0Lエンジンを搭載したトールワゴン型のリッターカーで、車名は「容器」を表す英語「tank」に由来しています。
トヨタからは、販売チャンネル違いで姉妹車ルーミーもラインアップ中。全長3.7mほどのコンパクトなボディにもかかわらず、室内が広く、多彩なシートアレンジが可能。両側スライドドアや低床フロアなど乗降性にも配慮されたタンク&ルーミーは、2016年11月の発売以来、好調な販売台数を記録しています。
タンクがマイナーチェンジで姉妹車のルーミーに統合
これまでタンクはトヨペット店/ネッツ店販売車種、姉妹車ルーミーはトヨタ店/カローラ店販売車種でしたが、2020年5月以降は全店舗全車種販売を基本方針に、トヨタは姉妹車・兄弟車の統合が進みます。
タンクとルーミーもその対象であり、2020年9月15日のマイナーチェンジから「販売台数の多いルーミーに一本化」しました。
表は、一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表している「乗用車ブランド通称名別順位」のデータから抜粋した、発売後4か月と、2020年1月と2月のタンク&ルーミーの販売台数です。
月間販売台数 | タンク | ルーミー |
---|---|---|
2016/12 | 5,932台 | 6,100台 |
2017/1 | 5,335台 | 6,281台 |
2017/2 | 5,993台 | 6,849台 |
2017/3 | 7,614台 | 8,253台 |
2020/1 | 4,893台 | 6,193台 |
2020/2 | 6,159台 | 7,682台 |
発売から2020年までタンクの販売は非常に好調で、2019年の年間販売台数ランキングを見てもタンクは11位(ルーミーは7位)と安定した売れ行きを誇っています。
しかしルーミーの方が販売台数が多いため、人気のあるルーミーに統合するということになったようです。
タンクとルーミーの違いはエクステリアやボディカラーのみ
タンク(カスタムG-T)
ルーミーのエクステリア タンクとはフロントグリルのデザインが異なる
これほど売れている「タンク」の車名を失くしてしまうのは惜しい気もしますが、タンクとルーミーは特筆すべき差がない姉妹車なのも事実。
相違点はフロントグリルなどのエクステリアやボディカラーの専用色設定に留まっています。
タンク | ルーミー | |
---|---|---|
取扱販売店 | トヨペット店、ネッツ店 | トヨタ店、カローラ店 |
価格設定/グレード体系 | 同じ | 同じ |
ボディサイズ | 標準車同じ カスタムの全長3,715mm |
標準車同じ カスタムの全長3,725mm |
ボディカラー | インペリアルゴールドクリスタルメタリック(専用色) ブラックマイカメタリック×インペリアルゴールドクリスタルメタリック(2トーン専用色) |
ブリリアントカッパークリスタルマイカ(専用色) ブラックマイカメタリック×ブリリアントカッパークリスタルマイカ(2トーン専用色) |
内装 | 同じ | 同じ |
統合されずタンクも存続ならフルモデルチェンジは2022年頃
もしタンクがルーミーに統合されない、またはルーミーを廃止してタンクに一本化することが決定した場合、タンクはフルモデルチェンジして新型モデルが登場する可能性が高い人気車です。
タンクのフルモデルチェンジ時期は、発売から5~6年が経過した2022年頃と予想します。
最近では6年以上経過してもモデルチェンジしない車も珍しくありませんが、タンクは2016年の発売時から積極的に新技術などを投入したクルマではなく、ダイハツの新プラットフォーム「DNGA」も未採用です。
モデルチェンジまで時間がかかると、さすがに古さが目立ってきますから、商品力が落ちないうちに次期型を開発・発表するものと思われます。
新型タンクの性能を予想!どんな点が進化する?
昨今のトヨタとダイハツの関係性を考えると、次期型タンクは現行型と同じくダイハツ・トールのOEM車となる可能性が濃厚です。
新しくなるタンクはどんな点が変更されるのか、新型モデルのスペックを予想してみました。
新型タンクは「DNGA」プラットフォームを採用し、乗る人みんなに優しい車に!
新型タンクは、2019年7月発売のダイハツ・4代目タントに初採用された小型車向けの新プラットフォーム「DNGA」を採用したモデルになるでしょう。タンクと同じくダイハツからOEM供給を受けているコンパクトSUVトヨタ・ライズにも「DNGA」は採用されています。
ダイハツはDNGAによって「クラスを超えた安定感と乗り心地を提供する」と語っています。
新型タンクは、運転しやすく、乗っている人が疲れにくい車として進化し、「小型車」であることを忘れてしまうような快適性が話題を呼びそうです。
新型タンクには次世代スマートアシスト搭載で、サポカーSワイドに認定
現行型タンクは、発売時には予防安全技術「スマートアシスト2」を搭載していましたが、2018年11月のマイナーチェンジで「スマートアシスト3」へ強化されました。
2019年以降、ダイハツの予防安全技術「スマートアシスト」は更に進化し、「次世代スマートアシスト」が誕生しました。新型タンクにもこの「次世代スマートアシスト」が装備されるでしょう。
次世代スマートアシストの主な機能一覧
- 衝突警報機能(対車両・歩行者に対応)
- 衝突回避支援ブレーキ機能(対車両・歩行者に対応)
- 車線逸脱警報機能
- 車線逸脱抑制機能(LKC)
- オートハイビーム
- アダプティブハイビームシステム(ADB)
- 標識認識機能
- 誤発進抑制制御機能(前後に対応)
- 先行車発進お知らせ機能
- コーナーセンサー
- 全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
- レーンキープコントロール(LKC)
- スマートパノラマパーキングアシスト
- パノラマモニター
- サイドビューライト
次世代スマートアシスト搭載車は、国が定める安全運転サポート車「サポカー/サポカーS」に適合します。
2020年現在のサポカー区分は「ワイド」「ベーシック+」「ベーシック」の3種類で、次世代スマートアシストは歩行者向けの衝突被害軽減ブレーキなどを兼ね備えた「ワイド」に該当します。
区分 | 必要機能 | ダイハツ安全機能 |
---|---|---|
ワイド | 衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者) | 次世代スマアシ スマアシ3 |
ペダル踏み間違い時加速抑制装置 | ||
車線逸脱警報 | ||
先進ライト | ||
ベーシック+ | 衝突被害軽減ブレーキ(対車両) | スマアシ3t スマアシ2 |
ペダル踏み間違い時加速抑制装置 | ||
ベーシック | 低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両) | スマアシ |
ペダル踏み間違い時加速抑制装置 |
現行型タンクもスマアシ3を搭載しているので「ワイド」区分に位置付けられますが、次世代スマアシは更に機能が充実。
政府はサポカー限定免許の導入なども検討しているので、新型タンクも引き続き安全性の高いコンパクトカーとして、人気を集めるでしょう。
エクステリアやグレード体系などルーミーとの大胆な差別化にも期待
現行型タンクのエクステリア 2トーンカラー設定もあり
タンクとルーミーの両車種がフルモデルチェンジを果たす場合、大切なのは両車の差別化です。
現行型発売時は、タンクはトヨペット店/ネッツ店、ルーミーはトヨタ店/カローラ店の専売車種でしたが、新型発売時にはトヨタは既に「全店舗全車種の取り扱い」になっているでしょう。
現在のタンク&ルーミーはフロントグリルなどの一部のエクステリアが異なるのみですが、両モデル併売するのなら、大胆なエクステリアの変更が必須。現行型はグレード体系も同じですが、この点も改善していく必要があります。
現行型タンクのスペックをおさらいしておこう!
現行型タンクのスペックや特長を解説。
タンクは全長3,700mm×全幅1,670mm×全高1,735mmのコンパクトなボディながら、室内長2,180mm×室内高1,355mmの快適な空間が広がっています。
室内高1,355mmで子供はもちろん大人も圧迫感を感じない車内空間
積み込みやすくて下ろしやすいラゲッジルーム
バックドア開口幅は1077mmと大きな荷物も入れやすく、リヤシートを格納すれば自転車なども積載可能です。
エンジンは総排気量1.0Lの直列3気筒で、NA(ノンターボ)とターボの2種類がラインアップ中。近所の買い出しが主なのか、高速道路を走る機会も多いのか、どんな場面で活躍させたいのか考えて選ぶと良いでしょう。
全長 | 3,700mm(カスタム3,715mm) |
---|---|
全幅 | 1,670mm |
全高 | 1,735mm |
室内長 | 2,180mm |
室内幅 | 1,480mm |
室内高 | 1,355mm |
ホイールベース | 2,490mm |
最小回転半径 | 4.6m(カスタムG-T4.7m) |
車両重量 | 1070~1100kg |
トランスミッション | CVT |
価格 | 標準車1,490,500円~ |
カスタム1,870,000円~ |
エンジン型式 | 1KR-FE | 1KR-VET |
---|---|---|
エンジン種類 | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHCインタークーラー付ターボ |
総排気量 | 0.996L | 0.996L |
最高出力 | 51kW/6,000rpm | 72kW/6,000rpm |
最大トルク | 92Nm/4,400rpm | 140Nm/2,400~4,000rpm |
燃費(JC08モード) | 24.6km/L | 21.8 km/L |
トールワゴン型のタンクのモデルチェンジ遍歴
タンクはトヨタから販売されていたトールワゴン型のコンパクトカーです。ダイハツが開発した「トール」のOEMを受け、「ルーミー」と共に姉妹車となります。NA仕様の1KR-FE型とターボ仕様の1KR-VET型のエンジンを搭載しています。安全性能は「Toyota Safety Sense C」が採用されています。
タンク M900A/M910A型:2016年~2020年
2016年11月に発売されたタンク。グレード体系は「X」、上級仕様の「G」、ターボ仕様の「G-T」「カスタムG-T」、エアロ仕様の「カスタムG」がラインナップされます。
2017年12月に「ウェルキャブ助手席リフトアップシート車」を設定。翌2018年3月に発売しました。
2018年11月、特別仕様車「G”Cozy Edition”」を発売と同時に一部改良。安全性能が強化され、「G”S”」「カスタムG”S”」を「G」「カスタムG」に吸収統合し、「スマートアシストⅢ」が標準装備されました。
2020年9月14日、姉妹車ルーミーのマイナーチェンジで「X」「G」「G-T」に統合される形で販売終了となりました。
タンクのモデル | 販売年表 |
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M900A/M910A型 | 2016年~2020年 |
タンクはより多く販売されていたルーミーに統合され2020年に生産終了
トヨタのタンクは広い室内と使い勝手の良いスライドドアを搭載する売れ筋モデルでしたが、トヨタ販売店の統合により似た性格の姉妹モデルであるルーミーに統合する形で生産終了し廃止に。
ボディサイズや使い勝手などが同じルーミーが後継車種のため、タンクの今後の復活はないでしょう。