S660の維持費

S660の年間維持費は6MT車とCVT車のどちらが安いかを徹底比較

S660の年間維持費をCVT車と6MT車のタイプ別に計算。法律で支払額が決められている自動車税・車両保険はつける等の条件設定で見積もった任意保険料などを内訳とする維持費は、CVT車が34.7万円で6MT車が33.9万円。

S660の年間維持費は6MT車とCVT車のどちらが安いかを徹底比較

S660の年間維持費は「6MT車」と「CVT車」のどちらが安い? 燃料代や自動車税などを内訳として計算

2015年4月2日に発売を開始したホンダ「S660」は、エントリーグレードの車両価格が200万円以下というコストパフォーマンスの高い独創的なミッドシップ・オープンスポーツカーです。

S660は、運転中に常に空が見えるようにルーフレールの位置を設定。MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式を採用する事で、総排気量などが制限される軽自動車のスポーツ性能を最大限に引き上げます。

簡単操作でロールトップを着脱できるS660の現行モデルは、エントリーグレードである「β」・本革巻ステアリングホイール等の装備を充実される「α」・内外装で上質感を追求する「α特別仕様車 トラッドレザーエディション」・走りの質を追求するコンプリーカー「S660 Modulo X」を展開しています。

S660は、高速巡航時の快適性とダイレクトな操作性を実現する「6MT車」と、SPORTスイッチやパドルシフトを組み合わせてハイレスポンスな走りを可能とする「CVT車」のどちらのタイプを購入すれば良いのかを迷ってしまう車です。

そこで今回は、グレード「β(6MT)」「β(CVT)」を購入したケースを想定して、各車の年間維持費の概算値を求めます。S660で「6MT車」あるいは「CVT車」のどちらを購入すべきか迷った際に役立つ情報です。

ホンダのミッドシップ・オープンカー「S660」のグレード別特徴

2台のホンダS660 手前が黄色で奥が白

ホンダ「S660」は、2018年5月24日にボディカラーの設定変更を行う・インテリアランプの光源をLED化するなどの一部仕様変更を行いました。同車は、S07エンジンとの協同でアクセルレスポンスを引き上げる専用設計のターボチャージャーを採用します。

S660は各グレードで、ショートストローク方式によってダイレクトな操作性を実現する「6MT車」と、SPORTスイッチをONにすればメーターの照明色などを変化させて運転手のスポーツマインドを刺激する「CVT車」を展開しています。

S660の主要諸元
グレード β(6MT) β(CVT)
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,180mm
ホイールベース 2,285mm
最小回転半径 4.8m
燃費(JC08モード) 24.2km/L 21.2km/L
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 2名
車両重量 850kg 830kg
エンジン S07A 水冷直列3気筒ターボ
総排気量 0.658L
タイヤ フロント:165/55R15
リヤ:195/45R16

S660は、必要な情報を瞬時に確認できる「瞬間認知メーター」等によって構成させるコックピットや、LEDハイマウント・ストップランプ等の標準装備が充実したグレード「β」。そして、ステンレス製スポーツペダルやメーターバイザーリング等の装備も追加するグレード「α」などを展開しています。

車両価格が最も高い「S660 Modulo X」は、熟練エンジニアが開発チームに加わり、5段階減衰力調整機構付き専用サスペンションや、ボルドーレッドとブラックの配色を施す専用スポーツレザーシートなどの装備を充実させる事で、コンプリートカーに相応しい走りと存在感を発揮させます。

S660の年間維持費は「6MT車」が33.9万円・「CVT車」が34.7万円~燃費が優れて燃料代を節約できるマニュアル車の方が8千円安い

ホンダS660のリアビュー

S660の年間維持費を、支払額が法律によって定められている自動車税、居住地等の違いによって金額が変動しやすい駐車場代等を内訳として概算しました。結果「6MT車」は338,611円・「CVT車」は346,696円となりました。

S660「6MT車」と「CVT車」の年間維持費(概算値)の比較表
グレード β(6MT) β(CVT)
自動車税 10,800円 10,800円
燃料代 74,675円 85,260円
駐車場代 120,000円 120,000円
車検代 24,736円 24,736円
任意保険料 60,900円 58,400円
諸経費 47,500円 47,500円
合計金額 338,611円 346,696円

その金額を適用すれば、燃費が優れていて燃料代を節約できる「6MT車」の方が8,085円割安となる事を確認できます。任意保険料は、安全機能が充実している「CVT車」の方が事故率は少ないと判断されるためリーズナブルとなっています。

軽自動車である「S660」の自動車税は10,800円

車を所有していれば毎年支払い義務の生じる自動車税は、搭載するエンジンの総排気量によって税額を変化させる仕組みを導入しています。

「S660」の各グレードの総排気量は658ccであり、同車を自家用乗用車として利用する場合の自動車税は10,800円(現行モデルを新車で購入する場合を想定しているため)となります。

エコカー減税が適用される車両であれば、新車登録を行った翌年度分については優遇措置が適用されますが、1回限りの恒常的な制度ではないために、ここでは自動車税はそのままの税額である10,800円を用います。

用途区分 総排気量 税額
自家用乗用軽自動車 660cc以下(2015年4月1日以降) 10,800円
660cc以下(2015年3月31日以前) 7,200円
営業用乗用軽自動車 660cc以下(2015年4月1日以降) 6,900円
660cc以下(2015年3月31日以前) 5,500円

※新規検査から13年が経過した車両については、軽自動車税に20%の税率が上乗せされる「経年車重課」が適用されます。

年間走行距離は1万kmと設定して求めた「S660」の燃料代は6MT車の方が約1万円安い

車にセルフ給油している様子

S660の「6MT車」「CVT車」の1年間にかかる燃料代は、道路事情や走行パターン等の外的な要因によっても変化しますが「年間走行距離」「ガソリン価格」「燃費」の3項目に任意に数値を設定すれば概算する事ができます。

年間走行距離の目安

  • 通勤・通学(往復30km×120日×=3,600km)
  • 週1度のお買い物(往復30km×52週=1,560km)
  • 月1度のレジャー(往復400km×12回=4,800km)

3,600km+1,560km+4,800km=9,960km

モデルケースとして上記のように「S660」を通勤や休日のプライベートドライブで利用しているオーナーを想定します。年間走行距離は計算をしやすくするために、端数を切り上げて10,000kmとします。

年間走行距離(10,000km)を各車の燃費で割って求めた年間燃料消費量に、ガソリン価格を掛け合わせれば、S660の「6MT車」と「CVT車」の1年間にかかる燃料代の概算値が求まります。

S660「6MT車」「CVT車」の年間燃料代の概算値

年間燃料消費量

  • 6MT車:10,000km÷19.4km/L=515L
  • CVT車:10,000km÷17.0km/L=588L

1年間にかかる燃料代

  • 6MT車 :515L×145(円/L)=74,675円
  • CVT車:588L×145(円/L)=85,260円

※JC08モードの実燃費はカタログ値の8割と言われているので、S660 の「6MT車」は19.4km/L、「CVT車」は17.0km/Lの数値を用いる
6MT車:24.2km/L(カタログ値) × 0.8=19.4km/L 、CVT車:21.2km/L(カタログ値) × 0.8=17.0km/L
※ガソリン価格は145(円/L)を適用

上記のように、年間走行距離は10,000km・ガソリン価格は145(円/L)と任意に数値を設定して、1年間にかかる燃料代を求めた結果、S660の6MT車は74,675円・CVT車は85,260円となりした。その金額を用いれば、年間燃料代は燃費面で優れている6MT車の方が10,585円安いと判断できます。

月極駐車場を全国相場で契約したとすればS660の1年間にかかる駐車場代は12万円

駐車場代は「S660」の年間維持費を概算するにあたって最も誤差が膨らみやすい項目です。自宅に駐車スペースを用意している方であれば無料であり、月極駐車場を借りている方同士を比較しても、地価の影響を強く受けるため、大都市と地方では月換算でも数万円の開きが生じてしまうからです。

COBBYは「S660」の駐車場代を求めるにあたって、全国相場の1万円で月極駐車場を借りているケースを想定して12万円と計算しましたが、実費に近い金額を確認したいという方は、駐車場賃貸借契約書などに記載されている月極料金を用いて再計算する事をお勧めします。

全国主要都市の月極駐車場の相場

  • 東京(23区)の相場:30,000円
  • 大阪市の相場:25,000円
  • 横浜市の相場:17,000円
  • 名古屋市の相場:11,000円
  • 福岡市の相場:11,000円
  • 札幌市の相場:10,000円
  • 全国の相場:10,000円

軽自動車である「S660」の車検代は1年換算では約2.5万円

ボンネットを開けてエンジンを点検している様子

車検代の内訳は、重量税や自賠責保険などのように支払額があらかじめ法律によって定められている法定費用と、ディーラーや整備工場など依頼場所によって金額が変化する代行手数料・整備費用です。

「S660」の法定費用
自賠責保険 35,610円
重量税 7,500円
印紙代 1,100円
合計 44,210円

法定費用の合計額(44,210円)に、代行手数料・整備費用を加算すれば車検代の概算値が算出されます。代行手数料・整備費用を3万円と仮定すれば、S660の車検代は74,210円であると計算できます。

車検のタイミングは新車を購入した場合には3年後、それ以外の継続審査を行う場合には2年周期でやってきます。今回は、S660を新車で購入したケースを想定しているので、先に導出した車検代(74,210円)は1年換算で考えれば24,736円となります。

軽自動車である「S660」を新車で購入した場合の自賠責保険料は35,610円

自賠責保険は、人身事故が発生した際の被害者を救済するという観点から、公道を走行する車には法律によって加入義務が定められています。軽自動車である「S660」を新車で購入した場合には、37ヵ月加入となるため、自賠責保険料は35,610円となります。

2017年4月1日以降、2020年3月31日以前の軽自動車自賠責保険料
軽自動車 保険期間
37ヵ月 36ヵ月 25ヵ月 24ヵ月 13ヵ月 12ヵ月 1ヵ月
35,610円 34,820円 25,580円 25,070円 15,960円 15,130円 5,840円
2023年4月1日以降の軽自動車自賠責保険料
軽自動車 保険期間
37ヵ月 36ヵ月 25ヵ月 24ヵ月 13ヵ月 12ヵ月 1ヵ月
24,010円 23,520円 18,040円 17,540円 11,950円 11,440円 5,740円

※新車を購入した場合は、自賠責保険は37ヶ月加入となります
※車検を通すには自賠責保険に加入する必要があります
※沖縄・離島は除く

軽自動車であるS660を購入した場合の重量税は7,500円

重量税は、軽自動車であれば車両の重さに関わらずに車検の有効期間分に応じた定額を、普通車であれば、車体の重量が重くなるにつれて負担額を加算する仕組みを採用しています。軽自動車である「S660」を新車で購入して場合に課される重量税は7,500円です。

自動車重量税 車検の有効期間(3年)
エコカー外 エコカー
税率 減税無し 本則税率 25%減税 50%減税 75%減税
3年自家用(新車購入時) 9,900円 7,500円 5,600円 3,700円 1,800円
2年自家用(継続審査) 6,600円 5,000円 3,700円 2,500円 1,200円

※車を登録してから、13年、18年が経過すると、重量税が加算されます。
※エコカー減免制度が適用される車であれば、税額が免除、及び一定割合減免されます。
※重量税は車検証の有効期間分を一括して支払います。

「S660」の車検を指定工場に依頼した場合にかかる印紙代は1,100円

法定費用の一種である「自動車検査登録印紙(印紙代)」には、車検の適合性を公的機関に認定してもらう際にかかる手数料などが含まれています。

指定工場 1,100円(一律)
認定工場 軽自動車:1,400円
5ナンバー:1,700円
3ナンバー:1,800円

印紙代は、車検を自社で完結できて保安基準適合証を交付できる指定工場に依頼した場合には、軽自動車あるいは普通車に関わらず一律で1,100円です。ここでは「S660」の車検を指定工場に依頼した場合を想定しているため印紙代は1,100円とします。

車両保険はつける・対人賠償は無制限・運転者は本人限定とするなどの条件設定で見積もったS660の任意保険料は「CVT車」が5.8万円・「6MT車」が6.1万円

「任意保険」は自賠責保険では対応できない事故が発生した場合に備えて、ほとんどのドライバーが加入しています。任意保険はドライバーが属する等級や、加入する保険の補償プランなどの諸条件を考慮して支払い金額を算出します。

S660の「CVT車」と「6MT車」の任意保険料を見積もりするにあたって、下記のように諸条件を設定しました。S660は、オーナーがドライブを楽しむために購入するタイプの車であるため、運転者は本人限定としてシミュレーションを行います。

  • 年齢30歳以上
  • 年間走行距離11,000km以下
  • 対人賠償は無制限
  • 対物賠償は無制限
  • 13等級
  • 運転者は本人限定
  • ゴールド免許保有

ホンダ「S660」の任意保険料の見積り額

  • 「β(CVT車)」: 58,400 円(25,300円)
  • 「β(6MT車)」:60,900円(26,400円)

※()内の数値は、車両保険なしの金額

任意保険料は、加入者の運転履歴や対物・対人賠償は無制限とするかなどの条件設定によって料金が大きく変動しますので、実費に近い見積り額を確認したいという方は、ご自身の条件設定に合わせて再計算することをお勧めします。

タイヤは2年サイクルで新品へと交換・エンジンオイルは年に2回交換するとして求めたS660の諸経費は約4.8万円

「S660」の諸経費の内訳は、新品タイヤの購入代とオイル・エレメント交換費用とします。必要時に応じてバッテリー交換やエアコンフィルターの交換を行う際には、今回もとめた47,500円という値にそれらの金額を加算すれば、実費に近い諸経費が求まります。

S660の「6MT車」「CVT車」の諸経費
グレード 6MT車 CVT車
タイヤ購入代 34,000円
オイル・エレメント交換代 13,500円
合計 47,500円
ダンロップのスポーツタイヤ「DIREZZA Z3」を2年サイクルで購入したとすれば1年間の積立金は約3.4万円

ホンダS660前部のサイドビュー

MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式を採用する「S660」でスポーツ走行を楽しむためには、装着するタイヤの状態が良好であることも必要な条件となります。動力を路面に伝える際にダメージを受けて表面がスリ減っていく消耗品であるタイヤは、バースト等のトラブルを避けるためにも定期的に新品へと交換しなければなりません。

一般的には、新品タイヤへと交換する時期は3~4年と言われていますが「S660」のような、走行性能を魅力とするスポーツカーの場合には、装着しているタイヤが受けるダメージも比例して大きくなるため、ここではそのタイミングを2年後と設定します。

ダンロップのスポーツタイヤ「DIREZZA Z3」を購入した場合を想定

  • フロント165/55R15:2本セットの安値価格は26,000円
  • リヤ195/45R16:2本セットの安値価格は42,000円

合計:68,000円

新品タイヤの購入費用は、フロント(165/55R15)とリヤ(195/45R16)に装着可能なハイグリップコンパウンドや新プロファイル技術等を導入するダンロップのスポーツタイヤ「DIREZZA Z3(ディレッツァ ズィスリー)」を、それぞれ2本セットを安値価格で購入した場合を想定して計算しました。

グレード 6MT車 CVT車
タイヤサイズ フロント:165/55R15
リヤ:195/45R16
合計額 68,000円
年間換算 34,000円

フロント・リヤともに「DIREZZA Z3」を安値価格で購入した場合の合計額は68,000円となります。その数値を用いれば、34,000円が1年間の積立金であると判断出来ます。

今回は計算しませんでしたが、降雪地帯において冬シーズンもS660の運転を考えている方は、スタッドレスタイヤの購入金額も含めて計算すれば、実費に近い諸経費が求まります。

S660が搭載するS07A水冷直列3気筒ターボエンジンの状態を維持するのに必要なオイル・エレメント交換費用は年間で13,500円

「S660」が搭載するS07A 水冷直列3気筒ターボエンジンの状態を維持し続けるためには、定期的にエンジンオイルとエレメントを交換する必要があります。

同車の製造・販売を行うホンダは、ターボ車のエンジンオイルの交換は6ヶ月に1度あるいは5,000km走行ごとに行うべきであると推奨しています。そのため専用設計ターボチャージャーを搭載する「S660」のエンジンオイルは、年に2回実施するものとして計算します。

また、エンジンオイルに混じり込むスラッグ等の不純物を綺麗に除去する効果の備わるエレメントの交換も定期的に行っていた方がS660の走行性能は維持されるため、ここでは年に1回実施するものとして考えます。

「S660」のオイル・エレメント交換費用13,500円の内訳

  • オイル交換(年2回)年:5,000円× 2 = 10,000円
  • エレメント交換(年1回):2,000円
  • 作業工賃:500円×3回=1,500円

合計金額:13,500円

S660は維持費も考慮して購入するグレードを選んで「誰もが笑顔になってしまうスピード感」を体感しながらドライブを楽しもう!

S660

S660は「誰もが笑顔になってしまうスピード感」を実現する車を目指しています。そのコンセプトを達成するために同車は、誰でも簡単に着脱できるロールトップを採用し、運転中には常に空が見えるようにルーフレールの位置を工夫して、ヒップポイントを可能な限り低く設定しています。

S660は解放感で満たされたエキサイティングな走りを楽しめる車です。誰もが購入しやすい低価格設定が魅力的なミッドシップ・オープンスポーツカーである「S660」は、維持費も考慮して購入するグレードを選んでドライブを楽しみましょう。