S660の維持費

S660の年間維持費はいくら?6MTとCVTを内訳つきで比較

S660の維持費は年間いくら?6MT車約35.4万円、CVT車約36.3万円の内訳に加え、軽スポーツならではの税金の安さ、前後異サイズタイヤの交換費、中古を選ぶときの注意点までまとめました。

S660の年間維持費はいくら?6MTとCVTを内訳つきで比較

ホンダS660の年間維持費は?6MT車とCVT車を内訳つきで徹底比較

2015年4月に発売され、2022年3月に惜しまれながら生産を終了したホンダ「S660」は、MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)方式を採用した希少な軽自動車スポーツカーです。生産終了後も中古車市場での人気は高く、購入を検討しているオーナー予備軍が後を絶ちません。

S660を中古車で購入するにあたって多くの方が気になるのが「維持費がどれくらいかかるのか」という点です。特に、ダイレクトな操作感が魅力の「6MT車」と、SPORTスイッチやパドルシフトによる扱いやすさが特徴の「CVT車」のどちらを選ぶかによって、年間の維持費にも差が出てきます。

本記事では、エントリーグレードの「β(6MT)」と「β(CVT)」を中古で購入したケースを想定して、自動車税・燃料代・駐車場代・車検代・任意保険料・諸経費の6項目から年間維持費を試算します。

ホンダS660の特徴と主要諸元

2台のホンダS660 手前が黄色で奥が白

S660は、運転中に常に空が見えるようルーフレールの位置を工夫し、ヒップポイントを極限まで低く設定しています。MRレイアウトによって軽自動車の規格内でスポーツ性能を最大限に引き出した独創的なオープンカーです。S07A 水冷直列3気筒ターボエンジンと専用設計のターボチャージャーが組み合わさり、軽自動車とは思えないレスポンスを実現しています。間近で見ると全高1,180mmの低さが際立ち、目線が下がるほどスピード感が増す、趣味性に振り切ったパッケージという印象を受けます。

各グレードは「6MT車」と「CVT車」を展開します。6MT車はショートストローク設計によるダイレクトな操作感が魅力で、CVT車はSPORTスイッチをONにするとメーター照明が変化してスポーツマインドを高める仕様です。

S660「β(6MT)」「β(CVT)」の主要諸元
グレード β(6MT) β(CVT)
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,180mm
ホイールベース 2,285mm
最小回転半径 4.8m
燃費(JC08モード) 24.2km/L 21.2km/L
燃料 無鉛レギュラーガソリン
乗車定員 2名
車両重量 850kg 830kg
エンジン S07A 水冷直列3気筒ターボ
総排気量 0.658L
タイヤ フロント:165/55R15
リヤ:195/45R16

JC08モードの燃費はカタログ値で6MT車が24.2km/L、CVT車が21.2km/Lと、6MT車のほうが燃費面で有利です。これが年間燃料代の差に直結します。

S660の年間維持費まとめ:6MT車は約35.4万円・CVT車は約36.3万円

ホンダS660のリアビュー

6項目の費用を積み上げた結果、6MT車の年間維持費は約353,570円、CVT車は約363,480円となりました。燃費に優れる6MT車のほうが年間約9,910円安い計算です。軽自動車のため、自動車税や自賠責保険料、重量税といった法定費用は普通車より大幅に安く、スポーツカーとしては抑えめのランニングコストに収まります。

S660「6MT車」と「CVT車」の年間維持費(概算値)の比較
費用項目 β(6MT) β(CVT)
自動車税 10,800円 10,800円
燃料代 87,550円 99,960円
駐車場代 120,000円 120,000円
車検代(1年換算) 26,820円 26,820円
任意保険料 60,900円 58,400円
諸経費 47,500円 47,500円
合計金額 353,570円 363,480円

任意保険料はCVT車のほうが約2,500円安い設定です。これはCVT車のほうが安全装備が充実しているため、保険会社が事故リスクを低めに評価するためです。ただしその差よりも燃料代の差(約12,410円)のほうが大きく、総合的には燃費の良い6MT車のほうが有利となります。

なお、S660は2015年4月に発売されたモデルです。新規検査から13年が経過すると、軽自動車税が10,800円から12,900円に上がる「経年車重課」が適用されます。最も古い2015年4月登録車は2028年度から増税の対象となるため、長期所有を考えている方はこの増税タイミングも維持費計画に組み込んでおきましょう。

軽自動車のS660にかかる自動車税は10,800円

自動車税は毎年4月1日時点の所有者に課される地方税で、エンジンの総排気量によって税額が決まります。S660の総排気量は658ccで、2015年4月1日以降に新規検査を受けた自家用乗用軽自動車の税額は年間10,800円です。S660はすべて2015年4月以降の登録のため、この10,800円が基準になります。

用途区分 総排気量 税額
自家用乗用軽自動車 660cc以下(2015年4月1日以降の新規登録) 10,800円
660cc以下(2015年3月31日以前の新規登録) 7,200円
営業用乗用軽自動車 660cc以下(2015年4月1日以降) 6,900円
660cc以下(2015年3月31日以前) 5,500円

※新規検査から13年が経過した車両には、軽自動車税が10,800円から12,900円に引き上げられる「経年車重課」が適用されます。S660は最も古い2015年4月登録車でも2028年度から増税対象となります。

年間走行距離1万kmで試算したS660の燃料代:6MT車が約8.8万円、CVT車が約10.0万円

車にセルフ給油している様子

燃料代は「年間走行距離」「実燃費」「ガソリン単価」の3要素から概算できます。以下のモデルケースをもとに試算しました。S660はレギュラーガソリン仕様のため、ハイオク指定のスポーツカーより燃料単価の面で有利です。

年間走行距離の目安

  • 通勤・通学(往復30km×120日=3,600km)
  • 週1度の買い物(往復30km×52週=1,560km)
  • 月1度のレジャー(往復400km×12回=4,800km)

合計:3,600km+1,560km+4,800km=9,960km → 端数を切り上げて10,000kmで計算

S660「6MT車」「CVT車」の年間燃料代の試算

年間燃料消費量

  • 6MT車:10,000km ÷ 19.4km/L = 約515L
  • CVT車:10,000km ÷ 17.0km/L = 約588L

1年間の燃料代

  • 6MT車:515L × 170円/L = 87,550円
  • CVT車:588L × 170円/L = 99,960円

※実燃費はJC08モードのカタログ値の約80%として算出(6MT車:24.2km/L×0.8=19.4km/L、CVT車:21.2km/L×0.8=17.0km/L)
※ガソリン単価は170円/Lを適用(資源エネルギー庁の調査に基づく参考値。実際の価格は時期・地域により異なります)

この試算では、年間燃料代は6MT車が87,550円、CVT車が99,960円で、その差は12,410円です。毎月の給油回数が多い方ほど、この差は拡大します。ガソリン価格が高い時期は特に、燃費の良い6MT車のメリットが際立ちます。

月極駐車場を全国相場で契約した場合のS660の年間駐車場代は12万円

駐車場代は居住地や駐車場の種別によって大きく異なります。自宅に駐車スペースがある方は0円ですが、月極駐車場を借りる場合は地価の影響が強く、大都市と地方では月額で数万円の差が生じます。ここでは全国の相場である月1万円で計算しています。

全国主要都市の月極駐車場の相場

  • 東京(23区)の相場:30,000円
  • 大阪市の相場:25,000円
  • 横浜市の相場:17,000円
  • 名古屋市の相場:11,000円
  • 福岡市の相場:11,000円
  • 札幌市の相場:10,000円
  • 全国の相場:10,000円

実費に近い金額を知りたい場合は、お住まいの地域の月極駐車場料金を用いて再計算してください。東京23区内のS660オーナーであれば、駐車場代だけで年間36万円となり、維持費全体に大きく影響します。

S660の車検代(1年換算)は約2.7万円

ボンネットを開けてエンジンを点検している様子

車検代は法律で金額が定められた「法定費用」と、依頼先によって変動する「代行手数料・整備費用」に分かれます。S660は2022年に生産を終了しており、現在流通している個体は最終ロットでも初回車検を終えています。そのため、ここでは2年ごとの継続車検を前提に試算します。

S660の法定費用(継続車検・2023年4月以降適用)
自賠責保険(24ヶ月) 17,540円
重量税(2年・エコカー本則税率) 5,000円
印紙代(指定工場の場合) 1,100円
合計 23,640円

代行手数料・整備費用を3万円と仮定すると、S660の継続車検の総額は53,640円です。継続車検は2年周期のため、1年換算では約26,820円となります。年式が進んでブレーキやゴム類の交換が増えると整備費用は上がるため、定期的な点検で消耗品を早めに整えておくと、車検時の出費を平準化できます。

S660の自賠責保険料は17,540円(24ヶ月)

自賠責保険は公道を走行するすべての車に加入義務があります。2023年4月以降の料率では、軽自動車の継続車検(24ヶ月加入)の保険料は17,540円です。

2023年4月1日以降適用の軽自動車自賠責保険料
軽自動車 保険期間
37ヵ月 36ヵ月 25ヵ月 24ヵ月 13ヵ月 12ヵ月 1ヵ月
24,010円 23,520円 18,040円 17,540円 11,950円 11,440円 5,740円

※新車登録時は37ヶ月、継続車検時は24ヶ月加入が一般的です。
※沖縄・離島は除く

S660の自動車重量税は5,000円(継続車検・エコカー本則税率)

重量税は軽自動車の場合、車両重量にかかわらず一律定額です。S660はエコカー本則税率の対象で、継続車検(2年分)は5,000円です。新車購入時の3年分は7,500円でした。

自動車重量税(軽自動車・自家用乗用)
エコカー外 エコカー
税率区分 減税無し 本則税率 25%減税 50%減税 75%減税
3年自家用(新車購入時) 9,900円 7,500円 5,600円 3,700円 1,800円
2年自家用(継続審査) 6,600円 5,000円 3,700円 2,500円 1,200円

※登録から13年・18年が経過すると重量税が段階的に加算されます。
※重量税は車検証の有効期間分を一括して支払います。

印紙代:指定工場に依頼した場合は1,100円

印紙代(自動車検査登録印紙)は、車検の適合性を認定してもらう際にかかる手数料です。自社で車検を完結できる指定工場に依頼した場合は軽自動車・普通車を問わず一律1,100円、認定工場の場合は軽自動車で1,400円です。

指定工場 1,100円(一律)
認定工場 軽自動車:1,400円
5ナンバー:1,700円
3ナンバー:1,800円

S660の任意保険料:CVT車が5.8万円・6MT車が6.1万円(試算条件あり)

任意保険は自賠責では補えない損害に備えるもので、ほぼすべてのドライバーが加入しています。保険料は等級・年齢・使用条件などによって大きく変動します。今回は以下の条件で試算しました。

  • 年齢:30歳以上
  • 年間走行距離:11,000km以下
  • 対人・対物賠償:各無制限
  • 等級:13等級
  • 運転者:本人限定
  • 免許証:ゴールド

S660の任意保険料の試算額(参考値)

  • 「β(CVT車)」:58,400円(車両保険なしの場合25,300円)
  • 「β(6MT車)」:60,900円(車両保険なしの場合26,400円)

CVT車のほうが約2,500円安い理由は、安全支援機能が充実しているCVT車のほうが事故リスクが低いと評価されるためです。ただし、中古のS660は車両価格が高止まりしており、全損時に備えるなら車両保険の必要性は高めです。実際の保険料は運転歴・等級・保険会社によって異なるため、複数社の見積もりを比較することをおすすめします。

S660の諸経費(タイヤ・オイル交換):年間約4.8万円

諸経費の内訳はタイヤ購入代とエンジンオイル・エレメント交換費用です。バッテリーやエアコンフィルターなど別途必要になるメンテナンス費用は、下記の金額に加算してください。

S660の諸経費(6MT車・CVT車共通)
費用項目 金額
タイヤ購入代(年間積立) 34,000円
オイル・エレメント交換代 13,500円
合計 47,500円
S660のタイヤ交換費用:2年サイクルで年間積立3.4万円

ホンダS660前部のサイドビュー

MRレイアウトを採用するS660では、駆動と荷重がリヤに集中するため、タイヤへの負荷が大きくなります。一般的なタイヤ交換の目安は3〜4年ですが、スポーツ走行を楽しむ場合は2年周期で交換することを前提に積み立てておくと安心です。フロントとリヤでサイズが異なる前後異サイズのため、前後のローテーションで摩耗を均すことができず、減りの早いリヤから先に寿命を迎えやすい点も覚えておきましょう。

ダンロップ「DIREZZA Z3」を2本セットで購入する場合の参考価格

  • フロント165/55R15:2本セット 約26,000円
  • リヤ195/45R16:2本セット 約42,000円

合計:68,000円 → 年間積立額:34,000円

タイヤサイズ フロント:165/55R15 / リヤ:195/45R16
2年分合計額 68,000円
年間換算 34,000円

降雪地帯にお住まいでS660を冬季も使用する場合は、スタッドレスタイヤの費用も別途積み立てておきましょう。タイヤのフロントとリヤでサイズが異なるため、購入前にサイズを必ず確認してください。

S660のオイル・エレメント交換費用:年間13,500円

S07A 水冷直列3気筒ターボエンジンの性能を維持するには、定期的なオイル・エレメント交換が欠かせません。ホンダはターボ車のエンジンオイル交換を「6ヶ月に1度または5,000km走行ごと」に推奨しています。ターボ車は熱負荷が高く、オイル管理を怠るとタービンの劣化につながるため、距離を走らなくても期間で交換しておくと安心です。

オイル・エレメント交換費用13,500円の内訳

  • オイル交換(年2回):5,000円 × 2 = 10,000円
  • エレメント交換(年1回):2,000円
  • 作業工賃(3回分):500円 × 3 = 1,500円

合計:13,500円

S660の維持費を把握して、スポーツドライブを長く楽しもう

S660

S660は2022年3月に累計38,916台を生産して惜しまれながら生産を終了しました。しかしその独創的なMRレイアウトと「誰もが笑顔になってしまうスピード感」というコンセプトへの共感から、中古車市場での人気は今も高い水準を保っています。

今回の試算では、年間維持費は6MT車で約35.4万円、CVT車で約36.3万円となりました。走りの楽しさとともに、維持費の内訳を理解したうえで自分に合ったグレード・トランスミッションを選ぶことが、長く後悔のないS660ライフにつながります。特に登録年数が13年を超えると税金が増加するため、中古車を購入する際は車両の初度登録年月を必ず確認しましょう。

中古でS660を選ぶときの注意点と6MT・CVTの選び方

生産終了モデルのS660は中古相場が高止まりし、人気の高い個体や低走行車は新車に近い価格で取引されることもあります。購入時は走行距離だけでなく、オープン機構のロールトップ(幌)の劣化や雨漏りの有無、過走行・改造の履歴をチェックしておきましょう。MRかつターボの構成上、エンジンルームの熱がこもりやすく、オイル管理が雑な個体はタービンや補機類の状態に差が出ます。整備記録簿でオイル交換の頻度を確認できると安心です。前後異サイズのタイヤはローテーションができず交換費がまとまりやすいため、残り溝も見ておきたいポイントです。

6MTとCVTの選び分けは、使い方で考えると分かりやすくなります。シフト操作そのものを楽しみたい、ワインディングでダイレクトな駆け抜けを味わいたいなら6MT、渋滞の多い街乗りやイージーな扱いやすさを重視するならパドルシフト付きのCVTが向きます。維持の面では、6MTはクラッチが消耗品となり乗り方しだいで交換費が発生し、CVTはフルードの定期交換で状態を保ちます。いずれにせよS660は2名乗車で積載も限られるため、日常の積載や家族での移動には不向きで、趣味の1台やセカンドカーとして週末に走らせる使い方にこそ強く刺さる車です。