シルビアのモデルチェンジ

日産シルビアS16復活はあるか?2026年4月にCEOが意欲 市販化はいまだ未発表

シルビアはいつ復活するのか。IDxコンセプトもインフィニティEmerg-Eも市販化されず、「2026年以降に発売」という予想も実現しませんでした。エスピノーサCEOが語る手頃なスポーツカー構想の現在地を解説します。

日産シルビア復活は2026年7月時点でも未発表 CEOは意欲を語り続けている

シルビアの後継、いわゆる「S16」の復活は、長らく噂の域を出ないままです。2026年7月現在、日産から次期シルビアの市販モデルはもちろん、コンセプトカーすら公式には発表されていません。その一方で、シルビアという名前を復活させたいという意思は、日産のトップ自身が繰り返し公言しています。まずは、この数年で何が起きたのかを新しい順に整理します。

2026年4月14日の長期ビジョン発表会でCEOがシルビアに言及 スカイラインは復活へ

日産は2026年4月14日、長期ビジョン「モビリティの知能化で、毎日を新たな体験に」を発表しました。この場で14代目となる新型スカイラインのティザー映像が公開され、伝統の丸型テールランプとサーフィンラインを受け継ぐデザインであることが示されています。あわせてイヴァン・エスピノーサCEOは、発表会後の質疑で次期GT-Rについて「必ず出す」と明言。2025年8月に生産を終えたR35型の後継を開発していることを認めました。

そしてシルビアです。同CEOは以前から「手頃な価格のスポーツカーを作るなら、既存セダンをスパイシーに仕立てるのではなく、おそらくシルビアを作る」という趣旨の発言を続けており、2026年に入ってからも同様の考えを示しています。ただし、これはあくまで構想レベルの発言であり、車名・時期・パワートレインを含めた計画が正式に公表されたわけではありません。長期ビジョンでは商品ラインナップを現在の56車種から45車種へ絞り込む方針も示されており、スポーツカーへの投資と車種整理を同時に進めるという難易度の高い舵取りが求められています。GT-Rとスカイラインが先に動き出した以上、シルビアの優先順位は当面その後ろに置かれると見るのが自然でしょう。

2025年の日産 CEO交代とRe:Nissan GT-Rは生産終了しシルビアの出展もなし

2025年は日産にとって激動の一年でした。2月13日にホンダとの経営統合に向けた協議が終了し、独自路線を歩むことが確定。4月にイヴァン・エスピノーサ氏が社長兼CEOに就任し、5月には経営再建計画「Re:Nissan」を打ち出して、人員削減と生産拠点の再編に着手しました。8月にはR35型GT-Rが生産を終了し、日産のスポーツカーはフェアレディZ(RZ34)だけという状態になっています。

2025年10月末から開催されたジャパンモビリティショー2025でも、日産の主役は新型エルグランドや新型リーフといった量販モデルでした。シルビアを想起させるスポーツカーのコンセプトは出展されず、「そろそろ何か出るのでは」という期待は、この場でも空振りに終わっています。財務の立て直しが最優先である以上、まずは数の出るモデルから、という判断は理解できるところです。

2024年までに出ていた「第3のスポーツカー」構想 電動化と自社開発が前提か

シルビア復活の可能性が具体的に語られ始めたのは2024年ごろです。当時グローバル製品戦略を統括していたエスピノーサ氏(現CEO)は、GT-RとZの下に位置する「第3のスポーツカー」にシルビアの名を与える構想があると認め、電動化を前提に検討していること、そしてトヨタとBMWがスープラとZ4で行ったような他社との共同開発ではなく、社内で開発する方向を推したいと語っていました。同時に「プロジェクトは初期段階」「スポーツカー市場は縮小しており簡単ではない」とも述べており、慎重な言い回しに終始しています。

この構想が実現すれば、ライバルはトヨタGR86/スバルBRZ、そして2025年に復活したホンダ・プレリュードといった顔ぶれになります。ただし2026年7月時点でも、車名・発売時期・駆動方式のいずれも公式には確定していません。「復活する」と断言できる段階にはなく、「復活の可能性が語られ続けている」というのが正確な現状です。

日産新型シルビアS16のモデルチェンジは実現するのか

ここからは、これまでに次期シルビアの候補として取り沙汰されてきたコンセプトカーや予想内容を振り返ります。

日産が2002年まで販売していた2ドアクーペ「シルビア」がBEV(100%モーターで走る電気自動車)として復活するのではないか、という見方は以前から出ていました。

FR駆動でサーキット走行やドリフトを楽しむ層に絶大な人気を持つシルビアは、東京モーターショーで公開された「IDxコンセプト」が初代シルビアを思わせる顔つきだったことから「ついに復活か」と期待を集めましたが、結局IDxは市販化されないまま終わっています

IDxコンセプト

次期シルビアに関するコンセプトモデルはいつ発表されるのか。ここでは当時語られた予想エクステリア、予想エンジン、インフィニティが公開したコンセプトカー、そして予想発売日と価格帯が現在どうなったのかを紹介します。

新型シルビアの予想エクステリア フェアレディZの兄弟車になるという見方

こちらは次期シルビアの予想として描かれた画像で、吊り目のヘッドライトを持つ2ドアクーペです。S15型を思わせるデザインで、市販車としても現実味のある造形と言えます。
フェアレディZが用いるFR-Lプラットフォームを流用し、Zの兄弟車として仕立てるのではないか、という見方も根強くささやかれてきました。開発費を抑えつつ看板になる車名を復活できるため、理屈としては通っています。ただし現行のフェアレディZ(RZ34)自体が発売から数年を経ており、この兄弟車構想が生きているのかどうかは、公式には何も示されていません。

IDx フリーフロー

東京モーターショー2013で公開されたIDx ニスモのエクステリア

こちらは2013年の東京モーターショーで公開されたIDxコンセプトで、フリーフローが標準的なモデル、ニスモがスポーティなモデルという2本立てでした。1965年発売の初代シルビアを思わせるノスタルジックなデザインが話題を呼んでいます。

初代シルビアのエクステリア

結論から言えば、IDxは公開から10年以上が経った現在も市販化されていません。FR駆動やコンパクトなボディサイズ、初代シルビア似のデザインからS16になるのではと期待されましたが、量産計画は表に出ないまま立ち消えとなりました。もっとも、日産自身が「IDxのようなスポーティなモデルは強い存在感を示し得る」と認めている節もあり、発想そのものが完全に葬られたとは限りません。

新型シルビアに搭載すると予想された1.6Lと2.0Lのターボエンジン・ボディサイズ

かつて次期シルビアの搭載エンジン候補として挙がっていたのが、スカイラインにエンジンを供給していたメルセデス・ベンツの1.6Lターボと、ルノー製の2.0Lターボです。ただし、この予想の前提はすでに崩れています。日産・ルノーとダイムラー(メルセデス)の資本提携は2021年に解消され、ルノーも2023年の出資比率見直しによって日産の「親会社」ではなくなりました。現在の日産が新型スポーツカーを作るとすれば、社内開発の内燃機関か電動パワートレインが軸になると見るのが現実的です。以下は、あくまで当時の予想として掲載します。

1.6Lターボエンジン諸元(当時の予想)
型式 274M16
種類 直列4気筒ターボ
排気量 1,595cc
最高出力 156PS/5,300rpm
最大トルク 250Nm/1,200~4,000rpm

メルセデス・ベンツの274M16型は「C180」に搭載されていたエンジンで、最高出力は156PS。S15シルビア spec.Sの160PS(AT)に近い数値です。

2.0Lターボエンジン諸元(当時の予想)
型式 F4R
種類 直列4気筒ターボ
排気量 1,998cc
最高出力 220PS/5,500rpm
最大トルク 340Nm/2,400rpm

ルノーのF4R型は「メガーヌ ハッチバックGT220」に搭載されていたエンジンで、最高出力は220PS。S15シルビア spec.RのAT車が225PSでしたから、これに近い出力です。グレードごとに出力差をつけて差別化するのではないか、というのが当時の見立てでした。

ボディサイズはS15型と同じ全長4,445mm、全幅1,695mm、全高1,285mm、ホイールベース2,525mmか、グローバル市場を意識してS14型の全長4,520mm、全幅1,730mm、全高1,295mm、ホイールベース2,525mm程度になると予想されていました。現在の日産CEOが強調しているのは「手頃な価格の本格スポーツカー」という点であり、車格を膨らませないという方向性そのものは、この予想と矛盾しません。

後継候補とされたインフィニティのコンセプトカー「Emerg-E」はどうなったのか

日産が海外で展開する高級車ブランド「インフィニティ」が2012年のジュネーブモーターショーで公開した「Emerg-E」も、シルビアの後継になるのではと語られたモデルです。

パワートレインは2基の電気モーターと1.2Lガソリンエンジンを組み合わせたレンジエクステンダーEVで、発電にエンジンを使う構成は、2016年に登場した「ノート e-POWER」と考え方が共通しています。

インテリアは白を基調とし、インナードアやセンタークラスターにピアノブラックの加飾が施されていました。

リアビューはトランク付近まで伸びるガラストップのルーフが印象的で、LEDテールランプを備えます。

1.2Lエンジンで発電し、2基のモーターで駆動するシステムは最高出力408PSを発生。0-100km/h加速は4.0秒で、EV走行のみでも約48kmを走ることができるとされていました。

ただしEmerg-Eも、公開から10年以上を経て市販化されていません。ミッドシップのスーパースポーツという性格はシルビアの立ち位置とも異なり、後継候補という見立ては結果的に外れた形です。皮肉なことに、レンジエクステンダー的な発想はe-POWERとして量販車で花開き、スポーツカーには結びつきませんでした。

「2026年以降に発売」という予想は実現せず 価格300万~380万円の見立ても白紙のまま

かつて本記事では、新型シルビアの登場を「早くて2026年以降」と見ていました。その2026年を迎えた現在、市販化はおろか、コンセプトカーの発表すら行われていません。2017年・2019年の東京モーターショー、2023年・2025年のジャパンモビリティショーのいずれでも、シルビアを名乗るモデルは出展されていない状況です。

価格帯についても、トヨタGR86やスバルBRZより少し上の300万円から、上位グレードで380万円という見立てを示していましたが、これも前提となる車両が存在しない以上、白紙と言うほかありません。参考までに、現在のGR86/BRZはすでに300万円台後半から400万円台に達しており、仮にシルビアが復活したとしても、当時の価格予想がそのまま通用する可能性は低いでしょう。

現実的な見通しを述べるなら、日産はまず新型スカイラインと次期GT-Rを軌道に乗せる必要があり、エントリースポーツであるシルビアはその次の順番です。復活があるとすれば、経営再建の道筋が固まった後、つまり2020年代の終盤以降になるという見方が自然です。現時点では「日産のトップが強い意欲を示しているが、計画は公表されていない」という一点だけが確かな事実です。

ラテン語で森を意味するシルビアのモデルチェンジ遍歴

シルビアはかつて日産が販売していたモデルで、クーペ(ハードトップ)、コンバーチブル、ハッチバックといったボディが存在しました。5代目以降は、いまなおドリフト車両のベースとして根強い人気を保っています。

シルビア 初代 CSP311型(1965年~1968年)

1964年の東京モーターショーに「ダットサン クーペ1500」として姿を見せ、1965年4月にダットサン・フェアレディをベースとして初代シルビアがデビューしました。クリスプカットと呼ばれた造形で知られますが、美しい見た目に釣り合わない乗り心地と高価格が響き、生産554台にとどまって1968年6月に販売を終了しています。

シルビア 2代目 S10型(1975年~1979年)

1975年10月、「ニューシルビア」として販売を開始しました。北米向けのセクレタリーカーとして開発され、そのエクステリアから「ハマグリ」の愛称で呼ばれます。
1976年5月、「LSE」シリーズを追加。
1977年8月のマイナーチェンジでフロントグリルの意匠が変更され、後期型に移行。最上級グレード「Type G」が追加されました。9月には限定車「セレクトモデル」を設定しています。

シルビア 3代目 S110型(1979年~1983年)

1979年3月、ハードトップの3代目シルビアを発売。8月には3ドアファストバックが加わりました。グレードはハードトップ専用の「LS」に加え、「LS-L」「LS-X」「ZS」「ZS-X」が用意されています。
1981年5月のマイナーチェンジでは内外装が変更され、「ターボZSE」「ZSE-X」を追加。
1982年4月には、FJ20E型エンジンを積む「RS」「RSエクストラ」が追加されました。
1983年8月、世代交代にともない販売を終了しています。

シルビア 4代目 S12型(1983年~1988年)

1983年8月、リトラクタブルヘッドライトを採用した4代目シルビアが登場。2ドアノッチバックと3ドアハッチバックを用意しました。11月には特別仕様車「50アニバーサリーバージョン」を発売。
1984年2月、「1800ターボR-L FISCO」を追加。
1986年2月のマイナーチェンジで全車CA型エンジンへ移行し、トップグレードにはCA18DET型ツインカムターボを搭載しました。
1987年2月に「ホワイトRS-X」、8月には「R-X ホワイトセレクト」「フルホワイト R-X」をクーペへ追加。
1988年に販売を終了しています。

シルビア 5代目 S13/PS13型(1988年~1993年)

1988年5月、2ドアクーペのみのラインナップで5代目シルビアが登場しました。歴代でもっとも販売台数を伸ばしたモデルで、走り屋と呼ばれた若者を中心に爆発的な人気を博します。7月にはオーテックジャパンから「コンバーチブル」が発売されました。
1989年2月、一部改良でPレンジ閉じ機能付きのATシフトロックを採用。
1990年2月、「ダイヤセレクション」シリーズを追加。
1991年1月のマイナーチェンジでエンジンと内外装を変更。
1992年1月に「クラブセレクション」「Q’s SC」を追加し、5月には乗用車生産4,000万台突破記念の限定車「Q’s2」を発売。12月には「オールマイティ」を追加しました。
1993年10月、販売を終了しています。

シルビア 6代目 S14型(1993年~1999年)

1993年10月、6代目シルビアの販売を開始しました。
1994年2月に特別仕様車「Q’sエアロスポーツ」、9月に特別仕様車「K’s TYPE K1」を発売。
1995年5月の一部改良で全車に運転席エアバッグを標準装備し、「エアロ」シリーズと「Q’sクラブセレクション」を追加。
1996年6月のマイナーチェンジで後期型へ移行。角張った吊り目のヘッドランプとなったことから、前期型を「タレ目」、後期型を「つり目」と呼び分けることもあります。
1997年10月、「オーテックバージョン K’s MF-T」を追加。
1999年1月、7代目への切り替えにより販売を終了しました。

シルビア 7代目 S15型(1999年~2002年)

1999年1月、ボディをダウンサイジングした7代目シルビアが登場。NA仕様の「spec.S」とターボ仕様の「spec.R」を設定しました。10月には「bパッケージ」「オーテックバージョン」を追加。
2000年5月、国産初となるフルオープンの電動メタルルーフを備えたクーペカブリオレ「ヴァリエッタ」を発表。10月にはオーテックジャパンの「style-A」を追加しました。
2001年7月、「ヴァリエッタ」の販売を終了。
2002年1月に最終特別限定車「Vパッケージ」を発売し、同年11月に販売を終了。37年続いたシルビアの歴史がここで途切れました。それから20年以上が経ちましたが、8代目にあたるS16型は、いまだ登場していません。

シルビアのモデルチェンジ遍歴
シルビアのモデル 販売年表
初代 CSP311型 1965年~1968年
2代目 S10型 1975年~1979年
3代目 S110型 1979年~1983年
4代目 S12型 1983年~1988年
5代目 S13/PS13型 1988年~1993年
6代目 S14型 1993年~1999年
7代目 S15型 1999年~2002年
8代目 S16型(未登場) 2026年7月時点で発表なし