三菱ミラージュは日本・北米・欧州で販売終了 現在はセダンのアトラージュのみが継続
三菱のコンパクトカー「ミラージュ」は、日本仕様が2023年3月に販売を終えたあと、海外市場でも段階的に姿を消しました。北米では2024年をもって終了し、欧州向けの「スペーススター」も2025年に幕。生産の本拠地であるタイでも2026年モデルの設定が見送られ、ハッチバックのミラージュは13年の歴史に区切りをつけています。
現在も残っているのは、ミラージュのノッチバックセダン版にあたる「アトラージュ」(フィリピンなどでは「ミラージュG4」)です。2026年7月1日にはタイで改良モデルが発表され、少なくとも当面は現役を続ける見通しとなりました。
つまり2026年7月時点の結論は、「ハッチバックのミラージュは実質的に生産終了、セダンのアトラージュのみが東南アジアで継続販売中。日本復活の計画は確認できない」ということになります。ここでは最新の動きを追ったうえで、日本仕様が辿った顛末と歴代の遍歴を振り返っていきます。
アトラージュが2026年7月1日に改良 スポーティなグリルとADASカメラを採用
三菱自動車のタイ法人は2026年7月1日、バンコクで開かれたFAST Auto Show Thailand 2026において、改良を受けた「新型アトラージュ(2026年モデル)」を初公開しました。ミラージュ系としては通算3度目のフェイスリフトにあたります。
変更の中心はフロントまわりで、六角形を基調とした新意匠のスポーティグリルを採用し、ブラック加飾を増やしたダイナミックシールドへ刷新。ヘッドランプの形状も新しい鼻先に合わせて描き直され、アルミホイールも新デザインとなりました。かつてのランサーエボリューションを思わせる面構えという評も出ており、13年選手とは思えない若返りぶりです。
装備面では、エントリーのActiveグレードにもADASカメラが搭載され、前方衝突警報(FCW)と車線逸脱警報(LDW)が備わりました。エンジンは1.2リッター直列3気筒MIVEC(3A92型・78PS/100Nm)とINVECS-III CVTの組み合わせを継続しつつ、Euro6の排出ガス基準に適合しています。タイでの価格はActiveが564,000バーツ、上級のSmartが619,000バーツ。日本円ではおよそ250万円〜280万円相当(2026年7月時点の為替)です。
ハッチバックが姿を消したなかでセダンだけが残ったのは、地方部でのフリート需要やタクシー用途、トランクスペースの使い勝手といった実利が効いているためと見られます。もっともプラットフォーム自体は2011年設計と古く、電動化の波を踏まえれば、この改良が最後の延命策になる可能性は小さくないでしょう。
三菱の新中長期ビジョンにミラージュ後継の記載なし 日本復活は現実的に厳しい
三菱自動車は2026年5月29日、2026年度から2030年代に向けた新たな中長期ビジョンを発表しました。掲げられたのは「尖った商品・ブランドの強化」で、経営資源をアセアン商品群とオフロード商品群の2領域に集中させる方針です。今後6年間で、HEV5車種・PHEV5車種を含む計13車種を投入するとしています。
注目は、その象徴として「パジェロ」を2026年度中に投入し、シリーズ展開まで視野に入れている点です。裏を返せば、この計画のなかにミラージュのようなエントリークラスの乗用ハッチバックは位置づけられていません。日本市場は重点国のひとつに挙げられているものの、投入されるのは軽自動車とSUV・オフロード系が中心という構図です。
これらを踏まえると、ミラージュの名で日本にコンパクトカーが戻ってくる可能性は低いと見るのが妥当です(メーカーの公式見解ではなく、当サイトの見立てです)。根拠は3点あります。ひとつは、日本のエントリー需要が軽自動車に固まっていること。ふたつめは、日本の法規対応コストを回収できるだけの販売規模が見込めないこと。最後に、三菱自身が資源配分をアセアンとオフロードに絞ると明言していることです。
なお欧州向けには2023年に「コルト」が復活していますが、これはルノー・ルーテシアをベースとした欧州専用商品で、日本導入の予定はないとされています。
タイでもミラージュが販売終了 13年の歴史に幕
ミラージュにとって最後の砦だったタイ市場でも、2026年モデルの設定が見送られ、ハッチバックのミラージュは販売を終えました。2012年にタイ第3工場(レムチャバン)で生産が始まってから、13年での終了です。
背景にあるのは、タイのエコカー優遇税制の見直しと、中国メーカーのEV攻勢による小型ガソリン車の採算悪化です。かつては輸出比率9割を超える稼ぎ頭で、2024年6月には三菱自動車タイランドが「ミラージュとアトラージュの生産を止める計画はない」と正式に表明していました。その方針が2年足らずで転換した点に、東南アジアの市場変化の速さが表れています。
欧州の「スペーススター」は2025年に終了 フィリピンではミラージュG4が継続
欧州では商標の都合から「スペーススター」の名で販売されていましたが、2025年に販売を終了しました。欧州の三菱ラインアップは、ルノーとの協業によるコルト、ASX、エクリプスクロスへと置き換わっています。
一方、フィリピンでは現地生産の「ミラージュG4」(アトラージュのフィリピン名)が販売を継続中です。2025年5月31日には装備が強化され、CVT仕様にLEDプロジェクターヘッドランプとLEDテールランプが標準化、全グレードに15インチ2トーンアルミホイール、横滑り防止装置(ASC)、ヒルスタートアシスト(HSA)、EBD付ABSが標準装備されました。名前は違えど、ミラージュ系の血脈は東南アジアで生き残っている格好です。
北米は2024年で終了 20,000ドルを切る新車が消えた
北米では2024年8月、三菱自動車の北米法人がミラージュの生産終了を明言しました。2025年モデルの設定はなく、生産は2024年後半に停止。在庫販売は2025年の夏まで続くという説明でした。
ミラージュの退場によって、米国で「デスティネーションチャージ込み2万ドル未満で買える新車」は日産ヴァーサだけとなり、その後ヴァーサも整理の対象となっています。エントリーモデルが軒並み消えていく流れは、日本で軽自動車以外の低価格車が細っていく状況と重なります。米国EPAから「最も燃費の良いガソリン車」に認定された実績を持つミラージュが姿を消したのは、時代の変化を象徴する出来事だったと言えるでしょう。
日本市場から撤退したミラージュ 生産終了までの経緯と当時の情報
ここからは、日本仕様のミラージュがどのような改良を経て、どのように市場から退いたのかを振り返ります。1978年に三菱初のFF車として登場し、2002年にいったん日本での歴史を終えたあと、2012年にタイ生産の世界戦略車として復活。約12年ぶりのカムバックを果たしましたが、フルモデルチェンジを受けることなく2023年3月に販売を終えました。
ミラージュが2022年に生産終了を発表 法規対応の難しさが理由
ミラージュは、モデルチェンジを迎えることなく2022年に公式サイト上で生産終了が告知されました。1978年の初代から数えて44年におよぶ歴史を持つ名前だけに、惜しむ声も多く聞かれました。
終了の直接的な理由は、2023年4月から適用される国内の新しい法規(パワーステアリングに関わる要件)への対応が難しく、開発コストに見合わないと判断されたことです。日本向け車両の生産は2023年2月にタイで終了し、在庫がなくなり次第、販売も終了となりました。6代目の国内累計販売は5万7000台を超えたものの、末期の販売は月に百数十台程度まで落ち込んでいたとされます。
三菱には代替となる登録車クラスのコンパクトカーがないため、この撤退で貴重なエントリークラスが国内から消えました。当時は「北米でも2025年に販売終了するのでは」という見方が出ていましたが、これは現実となり、実際には2024年に打ち切られています。
ミラージュの価格改定を実施 全グレードで33,000円アップ
ミラージュは2022年6月に一部改良を実施したのち、2022年8月1日から車両価格のみを変更する価格改定を行いました。
特別仕様車を含む全グレードが対象で、一律33,000円の値上げとなっています。これが日本仕様における最後の価格変更となりました。
2022年6月の一部改良で寒冷地仕様とUV・IRカットガラスを標準装備
一部改良で快適性が向上したミラージュ(2022年6月)
日本仕様として最後の商品改良となったのが、2022年6月9日の一部改良です。それまでUV(紫外線)のみを99%カットしていたフロントガラスを、IR(赤外線)も99%カットする高機能ガラスへ変更。あわせて寒冷地仕様を標準装備しました。
この改良ではボディカラーやグレード、内外装の変更はありません。販売価格は1,457,500円から1,628,000円で、標準装備が増えた割に上げ幅は最小限に抑えられていました。結果的に、これが日本のミラージュにとって最後のテコ入れとなります。
2020年4月16日のマイナーチェンジでダイナミックシールドを採用 安全装備も強化
マイナーチェンジ後のミラージュは大胆なダイナミックシールドを採用
ミラージュは2020年4月16日にマイナーチェンジを受けました。前年にタイで先行披露された改良版を日本へ導入した形で、エクステリアを大幅に変えつつも型式は変わらないため、フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジという扱いです。結果として、6代目は最後までこの姿のまま日本での役目を終えました。
新色サンドイエローメタリック(33,000円高)
新色ホワイトダイヤモンド(55,000円高)
外観だけでなく、三菱の予防安全装備「e-Assist」も大幅にアップグレードされました。衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システム、オートマチックハイビームを採用し、サポカーワイドSに対応しています。
2020年マイナーチェンジ時の内外装の変更点
- エクステリアにダイナミックシールドを採用
- ボディカラーの新色「ホワイトダイヤモンド」と「サンドイエローメタリック」を採用
- 新意匠の15インチアルミホイール採用
- 新車装着タイヤにヨコハマ「BluEarth-GT AE51」を採用
- シートカラーとシートデザインの変更
- カーボン調メーターパネル
2020年マイナーチェンジ時の安全装備
- 約5~80km/h対応 衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)
- オートマチックハイビーム(AHB)
- 車線逸脱警報システム(LDW)
- クルーズコントロール
カーボンデザインの新意匠メーターがスポーティな印象を与える
フロントドアにファブリック生地を使い質感を高めたインテリア
上級グレードGのシートカラーはブラック
インテリアは、マイナーチェンジ前にはなかったアクティブな雰囲気に一新。Gグレードにはブラック、Mグレードにはライトグレーのシートカラーを採用し、幾何学柄のアクセントを加えています。
メーターパネルには新意匠のカーボンデザインを採用してスポーティに仕立て、フロントドアにファブリック生地を用いることで上質さを高めました。
マイナーチェンジ時の価格は、エントリーグレードのMが1,432,200円から、上級のGが1,569,700円から。安全装備の充実したコンパクトカーが軽自動車並みの価格で買えたことから、コストパフォーマンスの高さは最後まで際立っていました。
| グレード名 | 駆動方式 | 販売価格 |
|---|---|---|
| ミラージュM | 2WD(FF) | 1,432,200円~ |
| ミラージュG | 1,569,700円~ |
タイ市場でミラージュ・アトラージュが2019年11月18日に発売
ミラージュ(タイ仕様)のエクステリア
2019年11月18日、改良を受けたミラージュがセダンのアトラージュとともにタイ市場へ投入されました。内外装ともに洗練され、ダイナミックシールドを備えたフロントマスクでエネルギッシュな印象に。ボディカラーには新色として「ホワイトダイヤモンド」と「サンドイエロー」が加わりました。この改良版が、翌2020年に日本へ導入されることになります。
ミラージュ(タイ仕様)のインテリア
インテリアはモノトーンでまとめられ、スポーティなデザインに。シートは合成皮革とファブリックのコンビタイプです。Apple CarPlay対応のスマートフォン連携ディスプレイオーディオは7インチで、視認性が高められていました。
2019年11月18日の発表前に新型ミラージュ/アトラージュの画像が流出
タイでの発表を前に、ディーラーに保管されていた新型ミラージュ/アトラージュの画像が出回りました。ティザーイメージでは確認しきれなかった全体像が、このタイミングで明らかになっています。
エクステリアは三菱の象徴であるダイナミックシールドを採用し、引き締まったフロントマスクが特徴。リヤも手が入り、テールランプがL字形状となったほか、ルーフスポイラーやリヤディフューザーによってスポーティな装いとなりました。ホイールにはブラックポリッシュのスポークアルミを採用しています。
インテリアは従来型から大きく変わらないものの、各種ステアリングスイッチの追加から安全装備の充実が読み取れました。実際、日本仕様でもe-Assistの機能が拡充されることになります。
改良新型ミラージュのティザー画像が公開 タイで2019年11月18日発売
「ミラージュ発売」と同時に公開されたティザー画像
三菱は、マイナーチェンジを施したハッチバックの「ミラージュ」とノッチバックセダンの「アトラージュ」を、2019年11月18日にタイで発売すると発表しました。ティザー画像の時点で、フロントマスクに大きな変更が加わることが読み取れました。
当時のミラージュはタイで生産され、日本へ輸入販売されていました。国内導入は2020年以降とされ、実際には2020年4月のマイナーチェンジとして実現しています。セダンのアトラージュは当時も導入予定がないとされ、その後も日本に上陸することはありませんでした。
タイでミラージュのマイナーチェンジモデルが目撃される
発表に先立ち、マイナーチェンジ版のミラージュがタイ国内で目撃されました。三菱のデザインアイコン「ダイナミックシールド」を採用し、存在感のあるLEDヘッドランプが目を引くフロントマスクでした。
撮影車両が前方を走行していたことから、プロモーション映像の撮影だった可能性が高く、発売が間近であることを示していました。結果として、この個体が2020年に日本へ導入されるモデルそのものとなります。
2020年型ミラージュが米国で発売 オートエアコンを全車標準装備
三菱モーターズ・ノースアメリカは、2019年11月より2020年型ミラージュの販売を開始しました。
2020年型は全グレードにオートエアコンを標準装備し、クラス唯一の快適装備として他車との差別化を図りました。
7.0インチのタッチスクリーンディスプレイオーディオを備え、Apple CarPlayやAndroid Autoとの連携にも対応しています。
米国仕様は4ドアセダンの「ミラージュG4」と5ドアハッチバックの2本立てで、エンジンは1.2L直列3気筒ガソリンのみでした。
米国EPAから「アメリカでもっとも燃費の良いガソリン車」と認定されるなど燃費性能は高く評価されていましたが、前述のとおり2024年をもって北米市場から撤退しています。
ミラージュが2019年6月27日に一部改良を実施
ミラージュG
三菱は日本仕様のミラージュに一部改良を施し、2019年6月27日から販売を開始しました。2015年12月のマイナーチェンジ後、初の一部改良となります。
内容は、後席中央ヘッドレストの標準装備化、助手席と後席アシストグリップの格納式化など。フロントウインドウシールド上部の中央にドット柄のグラデーションを施し、サンバイザー使用時の光漏れを抑える工夫も加えられました。
販売価格は「M」が1,408,000円、「G」が1,514,700円でした。
「2019年秋に発表、2020年夏までに発売」という予想は実現しなかった
当時描かれた次期ミラージュの予想エクステリア(実現せず)
当時、次期ミラージュについては次のような予想が語られていました。日産の傘下に入った三菱が、新型マイクラ(マーチ)と同じ「CMF-B」プラットフォームを採用し、ボディを再び大型化して3ナンバー枠へ移行するという見立てです。
2016年のマイナーチェンジで標準装備された「e-Assist」も、最新版へ刷新されると見られていました。
当時予想されたe-Assistの追加機能
- 車線逸脱警報システム
- 誤発進抑制機能(後退時)
- 後退時車両検知システム
- 後側方車両検知システム
- オートマチックハイビーム
- レーダークルーズコントロールシステム
リヤからの予想エクステリア(当時のイメージ)
結論として、この予想は外れました。CMF-B採用のフルモデルチェンジは行われず、日本仕様は2020年のマイナーチェンジ(e-Assistの拡充を含む)にとどまり、そのまま生産終了を迎えています。
外れた理由は明快です。ミラージュはAセグメントの低価格車であり、新プラットフォームへの載せ替え費用を車両価格に転嫁できません。加えて、燃費不正問題の後処理と電動化投資が重なり、三菱にとって開発資源をエントリー乗用車へ振り向ける余力が失われていました。日産・ルノーとのアライアンスにおける小型車の開発主体も、後に欧州向けコルト(ルノー・ルーテシアベース)へと収れんしています。
| エンジン | 最大出力 | 最大トルク |
|---|---|---|
| 0.9L 3気筒ターボチャージャー付ガソリンエンジン | 90hp | 140+10Nm |
| 1.0L 3気筒NAガソリンエンジン | 73hp | 95Nm |
| 1.5L 4気筒ディーゼルエンジン | 90hp | 220Nm |
「東京モーターショー2019でワールドプレミア」という噂も空振りに終わった
東京モーターショー2019での世界初公開が噂されたが、実現しなかった
当時は「7代目にあたる新型ミラージュが東京モーターショー2019でワールドプレミアされ、11月のタイ・モーターエキスポで披露される」という噂も流れていました。しかし実際に披露されたのはフェイスリフト版であり、新世代モデルの発表はありませんでした。
リヤの予想イメージ。新世代モデルの登場はなかった
デザインの全面刷新や、CMF-Bプラットフォームの採用、次期ランサーや日産ジュークとの基盤共有といった話も浮上していましたが、いずれも形にはなっていません。当時「アルメーラ(日本名ラティオ)に搭載されていた1.0L 3気筒DOHCターボが載るのでは」との観測もありましたが、これも実現していません。
結果として、ミラージュは6代目のまま各市場から順に退場し、日本復活を待ち望む声も届かないまま歴史を閉じることになりました。
特別仕様車「ブラックエディション(BLACK Edition)」を2018年12月に追加
ルーフスポイラーやドアミラーなど多彩な専用装備を持つブラックエディション
ミラージュの特別仕様車「ブラックエディション(BLACK Edition)」は2018年12月13日に追加されました。限定600台で、背面と座面のレッド、サイドのブラックを組み合わせた専用シートが特徴です。なお同名の特別仕様車は2021年4月にも仕様変更のうえ再販されています。
ブラック&レッドが鮮やかなコックピット
三菱では珍しいアグレッシブな色使いが特徴
販売価格は、ブラックマイカのモノトーンが1,506,600円から、2トーンが1,522,800円からでした。三菱らしからぬ攻めたコーディネートで、末期のミラージュに彩りを添えた一台です。
特別仕様車「ブラックエディション」のボディカラー一覧
- ブラックマイカ
- レッドメタリック×ブラックマイカ
- チタニウムグレーメタリック×ブラックマイカ
- ワインレッドパール×ブラックマイカ
- ホワイトパール×ブラックマイカ
特別仕様車ブラックエディションの専用装備
- ブラック&レッド内装
- ブラック&レッドファブリック、レッドステッチ付専用シート生地
- メッキ&ピアノブラックアクセント、レッドステッチ付専用本革巻ステアリングホイール
- レッドステッチ付専用本革巻シフトノブ
- ブラックマイカのルーフ
- ブラックマイカのルーフスポイラー
- ブラックマイカの電動格納式リモコンドアミラー
- ブラック塗装の15インチ アルミホイール
ダイナミックシールド採用で力強く進化した外装デザイン
2012年に日本市場へ復活したミラージュは、6代目として三菱の世界戦略車の役割を担いました。
約12年ぶりの復活を遂げたミラージュは2016年にマイナーチェンジを実施し、内外装の変更や安全装備の追加、グレード体系の見直しを行っています。
2016年の燃費不正問題が発覚した際にはホームページ上から姿を消し、廃止の噂まで流れましたが、同年9月に燃費値を修正してラインナップへ復帰しました。
以下は、当時「次期型で採用される」と見られていた外装の方向性です。実際には2020年のマイナーチェンジという形で、その一部が実現しました。
エクステリアはダイナミックシールドを採用
アウトランダーPHEVに採用されているダイナミックシールド
流線形に象られたメッキモールを使う三菱のデザインアイコン「ダイナミックシールド」の採用が予想されていました。
イメージとしてはアウトランダーPHEVのような迫力あるグリルで、当時のミラージュのスタイルを一新するという内容です。
2016年のマイナーチェンジを経てもなお、当時のミラージュは前時代的なフロントグリルを引きずっていました。2017年2月にマイナーチェンジしたRVRがダイナミックシールドを採用したのと同じ流れで、ミラージュにも2020年に導入されることになります。
ボディサイズとボディカラーは大きく変わらなかった
ボディサイズは当時販売されていたミラージュとほぼ同等の全長3,800mm前後、全幅1,655mm前後、全高1,500mm前後、ホイールベース2,450mmという見立てでした。実際、2020年のマイナーチェンジでもホイールベースは2,450mmのまま据え置かれています。
コンパクトなボディは最後まで維持され、全高も機械式駐車場に収まるサイズだったため、都市部での扱いやすさは終始一貫した美点でした。
ボディカラーは当時の全8色展開が基本で、2020年のマイナーチェンジで新色2色が加わっています。
ワインレッドパール(32,400円高)
サンライズオレンジメタリック(32,400円高)
ホワイトパール(32,400円高)
レッドメタリック
セルリアンブルーマイカ
クールシルバーメタリック
チタニウムグレーメタリック
ブラックマイカ
「ダウンサイジングターボ追加」の予想も実現しないまま終わった

1.2L直列3気筒DOHC自然吸気を積むミラージュに対し、当時は1.1L直列3気筒DOHCのダウンサイジングターボが追加されるという見方がありました。パワー不足を指摘されがちなモデルだけに、期待も大きかった話題です。
しかし結論から言えば、ターボの追加はありませんでした。日本仕様はもちろん、タイ・北米仕様も最後まで1.2L自然吸気(3A92型・78PS/100Nm)を積み続けています。エコカー税制の枠組みで開発された車であり、税制優遇の条件と価格競争力を優先すると、ターボ追加の余地は最初からなかったというのが実情でしょう。
なお、燃費の良さは最後まで維持され、日本仕様のJC08モード燃費は23.8km/Lという水準を保っていました。
予防安全システム「e-Assist」の進化
当時のミラージュには、低車速域の被害軽減自動ブレーキと前進時の誤発進抑制機能を備えたe-Assistが装備されていました。
2019年のフルモデルチェンジでアウトランダーPHEV相当の進化版e-Assistが搭載されるという予想もありましたが、実際にはフルモデルチェンジ自体が行われず、2020年4月のマイナーチェンジで衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱警報、オートマチックハイビームが追加される形に落ち着きました。レーダークルーズコントロールや後側方車両検知システムは、日本仕様に最後まで採用されていません。
各社が予防安全に注力するなか、旧世代プラットフォームのまま安全要件を満たし続けることの難しさが、最終的に生産終了の引き金にもなりました。
シンプルで使いやすかったインテリア
ミラージュのインテリアはシンプルで、操作系の配置も分かりやすくまとめられていました。
余計な装飾がないため誰でもすぐ扱えるのが魅力で、内装カラーはベースグレードのMがブラック&アイボリー、上級グレードのGがブラックの2色展開という構成でした。
Mグレードのブラック&アイボリー内装
Gグレードのブラック内装
2020年のマイナーチェンジではシートデザインやメーターパネルが変更されましたが、基本構成は最後まで大きく変わりませんでした。
日本仕様ミラージュの価格とスペック

日本仕様のミラージュはMとGの2グレード展開でした。両者の違いはポジションランプのLED化、本革巻きステアリングとシフトノブ、フォグランプの有無など。ベースグレードのMでもフルオートエアコンやキーレスエントリー、e-Assistを備え、実用装備は十分に揃っていました。
以下は、マイナーチェンジ前の日本仕様に関する主要スペックです(価格・数値は当時のもの)。
| グレード | G | M |
|---|---|---|
| 全長 | 3,795mm | |
| 全幅 | 1,665mm | |
| 全高 | 1,505mm | |
| 室内長 | 1,870mm | |
| 室内幅 | 1,390mm | |
| 室内高 | 1,220mm | |
| ホイールベース | 2,450mm | |
| 最低地上高 | 150mm | |
| 最小回転半径 | 4.6m(15インチ装着車) | |
| 車両重量 | 900kg | |
| 乗車定員 | 5名 | |
| 最高出力 | 57kW(78PS)/6,000rpm | |
| 最大トルク | 100Nm(10.2kgm)/4,000rpm | |
| エンジン | 直列3気筒 1.2L DOHC(3A92型) | |
| 総排気量 | 1,193cc | |
| 使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) | |
| JC08モード燃費 | 23.8km/L | |
| 価格 | 1,485,000円~ | 1,380,240円~ |
フランス語で「蜃気楼」を意味するミラージュのモデルチェンジ遍歴
ミラージュは三菱が手掛けてきたコンパクトカーで、6代目は2012年からタイで生産されています。三菱初のFF車であり、日本での販売は2023年3月に終了しました。
ミラージュ 初代(1978年~1983年)
1978年3月、3ドアハッチバックで販売を開始し、9月には5ドアハッチバックが追加されました。
1979年3月、1.4Lにフルオートマチック車、1.6Lの「1600GT」を追加設定。
1980年10月、マイナーチェンジでフロントグリルのデザインを変更。1982年のマイナーチェンジでは「ミラージュII」となり、4ドアサルーンを追加。8月には1.4Lターボを4ドアサルーンと5ドアハッチバックに追加し、10月に廉価グレード「1200EXスペシャル」、12月に「1200ミッシー」「1400スーパーエディション」を設定しました。
ミラージュ 2代目 C10/C30系(1983年~1992年)
1983年10月、フルモデルチェンジで2代目に。
1984年2月、3ドアの「CX-S」「GSR」に特別仕様車「エアロボーイ」を追加。9月のマイナーチェンジでフロントグリルを変更し、12月に廉価版ターボの「GT」を追加。
1985年2月、ワゴンとバンを発売。7月に「CX-7」「CG-7」を追加し「1500CX-S」シリーズを廃止。9月にはファッション誌「marie claire」とのコラボ限定車を発売しました。
1986年2月、4ドアサルーンとハッチバックが大幅なマイナーチェンジを実施し、新設計のサイクロンエンジンを搭載。5月に1.5LのECIマルチエンジンを積む「CX-Si」を追加。8月にワゴン・バンをマイナーチェンジし、9月にフルタイム4WDを追加。10月の一部変更で3ドア「X1X」シリーズを設定しました。
1987年10月に3ドアハッチバックが、1988年1月には4ドアセダンが世代交代し、5ドアハッチバックは廃止。
1989年10月、ワゴン・バンをマイナーチェンジ。
1992年5月、ワゴンとバンの販売を終了しました。
ミラージュ 3代目 C50/C60/C70/C80系(1987年~1991年)
1987年10月、3ドアハッチバックのフルモデルチェンジで3代目へ。「SWIFT」「fabio」「CYBORG」「XYVYX」をラインナップしました。
1988年1月、4ドアセダンもフルモデルチェンジ。11月には1.6Lの「スイフトR」を追加。
1989年2月のマイナーチェンジでは「CYBORG」に4WD+ATを追加。
1991年、3ドアハッチバックに特別仕様車「FABIO」を設定しました。
ミラージュ 4代目 CA0/CB0/CC0/CD0系(1991年~1995年)
1991年10月、曲面基調のデザインでフルモデルチェンジ。
1992年2月、4ドアセダンに世界最小クラスのV6 1.6L DOHCを積む「ミラージュ6」を追加。10月の一部変更で「サイボーグ」が復活しました。
1993年5月、2ドアクーペ「アスティ」と限定車「サイボーグRS」を発売。
1994年1月、マイナーチェンジでフェイスリフト。全車にMVVエンジンを搭載し、アスティに1.6L MIVEC搭載の「RX」を追加。
1995年5月、3ドア1.3Lの特別仕様車「ファビオ」を発売しました。
ミラージュ 5代目 CJ0/CK0/CL0/CM0系(1995年~2000年)
1995年10月、セダンとハッチバックがフルモデルチェンジ、12月にはアスティも刷新。
1996年10月の一部改良でABSと運転席エアバッグを全車標準装備。
1997年7月、レトロ調の「Modarc」を追加。8月にマイナーチェンジを実施。
2000年5月に主要モデルの販売を終え、派生の「ミラージュ ディンゴ」などを最後に、2002年に日本での「ミラージュ」の名がいったん途絶えました。
ミラージュ 6代目 A00系(2012年~)
約10年ぶりに世界戦略車として復活。2012年3月にタイで販売を開始し、8月には日本でも発売されました。グレードは「E」「M」「G」の3本立てです。
2013年10月、一部改良で「S」を追加。ハローキティ誕生40周年記念の限定パッケージも400セット限定で販売されました。
2014年8月、一部改良で安全装備を強化。12月の改良ではエンジンと外装を変更し、1.2Lに「1.2G」を追加、「E」を廃止しました。
2015年12月、マイナーチェンジを実施。グレードを整理し、内外装と安全装備を強化。
2016年、燃費不正問題を受けて燃費値を修正。
2018年12月、限定600台の特別仕様車「BLACK Edition」を発売。
2019年6月、日本仕様に一部改良。11月、タイでフェイスリフト版を発売しました。
2020年4月、日本仕様がマイナーチェンジ。ダイナミックシールドを採用し、安全装備を強化しました。
2021年4月、特別仕様車「BLACK Edition」を仕様変更のうえ再販。
2022年3月、タイで特別仕様車「ラリーアート」を発表。6月に日本仕様の一部改良、8月に価格改定を実施。同年、日本での生産終了が告知されました。
2023年2月に日本向け車両の生産を終了し、3月に日本での販売を終了。
2024年8月、北米での生産終了が明らかになり、2025年モデルは設定されませんでした。
2025年、欧州の「スペーススター」も販売を終了。
2026年、タイでハッチバックのミラージュが2026年モデルの設定を見送られ販売終了。セダンのアトラージュのみが2026年7月1日に改良を受けて継続販売されています。
| ミラージュのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 | 1978年~1983年 |
| 2代目 C10/C30系 | 1983年~1992年 |
| 3代目 C50/C60/C70/C80系 | 1987年~1991年 |
| 4代目 CA0/CB0/CC0/CD0系 | 1991年~1995年 |
| 5代目 CJ0/CK0/CL0/CM0系 | 1995年~2000年(派生車を含め2002年まで) |
| 6代目 A00系 | 2012年~(日本は2023年終了。ハッチバックは2026年に終了、セダンのアトラージュは継続) |
ミラージュはハイブリッド並みの低燃費と充実装備を残しつつ、静かに役目を終えた

ハイブリッドカーの普及が進むなか、ミラージュは軽い車体と1.2L自然吸気で23.8km/L(JC08モード)というクラストップレベルの燃費を実現し、ハイブリッド勢と真正面から張り合える経済性を備えていました。しかし日本市場では2022年に生産終了が告知され、2023年3月に販売を終えています。
その後、北米(2024年)、欧州(2025年)、そして本拠地のタイ(2026年)と、ハッチバックは市場ごとに姿を消し、現在残るのはセダンのアトラージュのみです。2026年7月1日の改良で顔つきと安全装備を刷新し、なお現役を続けていますが、設計年次を考えれば余生の段階に入っていると見るのが自然でしょう。
三菱が2026年5月に示した中長期ビジョンでは、経営資源はアセアン商品群とオフロード商品群に集中されます。ミラージュの名で日本にコンパクトカーが帰ってくる展開は、現時点では想定しにくいところです。低燃費・低価格・コンパクトという分かりやすい価値を貫いた一台として、記憶に留めておきたいモデルです。




















