日産フーガは2022年に生産終了 次期型は登場せず高級セダンの系譜が途絶える
日産のフラッグシップセダンだったフーガは、フルモデルチェンジの噂もありましたが、2022年に生産を終了しました。そして、たびたび語られてきた次期型は開発されず、専用の後継セダンが登場することのないまま姿を消しています。海外では日産の高級車ブランド「インフィニティ」からQ70として販売され、2014年には次期フーガとみられる「Q80インスピレーションコンセプト」も公開されていましたが、市販化には至りませんでした。
この記事では、フーガ生産終了の経緯と現在の状況を整理したうえで、当時さかんに語られた次期型フーガの予想(エクステリアやインテリア、搭載エンジン・装備、発売時期や価格帯)を、実現しなかった見立てとして振り返ります。
フーガは次期型を開発せず2022年8月に生産終了 シーマ・スカイラインHVとともに幕
フーガは2代目Y51型限りで、2022年8月31日に生産を終了しました。世界的なSUVブームでセダン人気が落ち込むなか、日産がEVなどの電動化へ経営資源を集中する方針を強めたことが背景にあります。フラッグシップのシーマ、そしてスカイラインのハイブリッドも同時に生産を終えました。直接の要因としては、2022年9月から強化された騒音規制に、フーガのハイブリッドシステムでは対応が難しかったことも指摘されています。
これにより「フーガ」の商標は18年の歴史に幕を下ろし、セドリック/グロリア時代から数えて60年以上続いた日産の高級セダンの系譜も途絶えました。次期型は開発されず、現時点でも専用の後継セダンは登場していません。実質的な受け皿は、既存のセダンであるスカイライン(V37)のガソリン車、電動CUVのアリア、高級ミニバンのエルグランドという位置づけになっています。
スカイラインについては、日産を象徴する伝統車として生産終了の噂を会社側が否定した経緯があり、ハイブリッドを整理してガソリンモデルが継続されました。次期型では、クラウンがクロスオーバー中心へ生まれ変わったように、セダン以外のボディタイプになるのではという見方もささやかれています。いずれにせよ、フーガという車名が復活する具体的な計画は示されていません。
フーガに100台限定の特別仕様車「PREMIUM SELECT EDITION」を設定
生産終了に先立ち、フーガには最後の特別仕様車が設定されました。2022年5月16日に発表された「フーガ ファイナルバージョン プレミアムセレクトエディション」で、有終の美を飾る100台限定の特別なモデルです。日産のカスタムカーを手がける旧オーテックジャパン(ニッサンモータースポーツ&カスタマイズ)とのコラボレーションで仕立てられました。
フーガ特別仕様車プレミアムセレクトエディションの装備
- ダークフィニッシュモール フロントグリル
- ダークフィニッシュモール フロントバンパー(ハイブリッドモデルのみ)
- ダークフィニッシュ フォグランプフィニッシャー(ハイブリッドモデルのみ)
- カラー同色 リヤスポイラー
- ダークトランクフィニッシャー
- ダークフィニッシュ アンダーリヤバンパー
- ダークフィニッシュ18インチアルミホイール
- 本革パッケージ
- 電動ガラスサンルーフ(ハイブリッドモデルのみ)
販売価格はHYBRIDが7,090,600円、370GT TypeSが6,471,300円。限定100台はボディカラーとグレードで振り分けられ、ブリリアントホワイトパールとスーパーブラックのHYBRIDが各20台ずつ、ブリリアントホワイトパールの370GT TypeSが30台、スーパーブラックの370GT TypeSが15台、ダークメタルグレーの370GT TypeSが15台という構成でした。
| ボディカラー | グレード | 台数 |
|---|---|---|
| ブリリアントホワイトパール | HYBRID | 20台 |
| 370GT TypeS | 30台 | |
| スーパーブラック | HYBRID | 20台 |
| 370GT TypeS | 15台 | |
| ダークメタルグレー | 370GT TypeS | 15台 |
日産フーガが仕様向上し2019年12月23日発売
2022年の終売より前、2019年12月23日には日産フーガの仕様向上が実施されました。
このとき、多彩な運転支援技術を標準装備化して安全性能を大きく引き上げています。インテリジェントエマージェンシーブレーキや踏み間違い衝突防止アシスト、ハイビームアシストといった先進安全機能を全グレードに標準装備。車速に応じて車間を保つインテリジェントクルーズコントロールやインテリジェントFCW、ECOペダルなども全車に加わりました。
外装ではブランドバッジが「日産」へと変更されました。価格帯は5,027,000円から7,230,981円でした。
フーガはモデルチェンジせずに販売終了 スカイラインとの差別化にも苦戦
2009年の2代目Y51型から10年以上が経過するなかで、フーガはたびたびフルモデルチェンジが取り沙汰されました。しかし結果的にモデルチェンジは行われず、廃止という道をたどりました。
フーガは海外では「インフィニティQ70」として販売されていましたが、BMW5シリーズやアウディA6の販売台数には遠く及ばず、同じ日産ブランドの「インフィニティQ50(日本名スカイライン)」との差別化にも苦戦しました。終盤は販売台数が下降の一途をたどり、国内では月販100台に満たない状況が続いていました。
かつては「Q70が米国で販売終了するのではないか」という噂もありましたが、これも現実となり、Q70は終了。国内外ともにこのモデルの系譜は途絶えました。振り返れば、販売の低迷が生産終了の大きな要因になったといえます。
次期型フーガのエクステリア・ボディサイズ予想(実現せず)
ここからは、生産終了前に語られていた次期型フーガの予想を紹介します。いずれも当時の見立てであり、実際には次期型が登場しなかったため実現していない点をあらかじめお断りしておきます。
当時は、2014年に公開されたインフィニティQ80インスピレーションコンセプトが次期フーガのベースになるとみられ、クーペスタイルの4ドアセダンになると予想されていました。Y51フーガはVモーショングリルを採用せず、V37スカイラインと同様にインフィニティバッジを装着していたことから、次期型もインフィニティのデザインを取り入れると見込まれていました。
サイドは、リヤガラスに傾斜をもたせたスポーティなクーペスタイルで、リアドアのハンドルをCピラー付近に配する2ドアクーペ風の処理が想定されていました。
リアは、翼のように広がるLEDテールランプと、2本出しに見えるデュアルマフラーが予想されていました。
コンセプトはBピラーレスのドアでしたが、市販化されるなら通常のBピラーと前開きのヒンジドアになるとみられていました。
Q80コンセプトのボディサイズは全長5,050mm、全幅1,920mm、全高1,450mm。市販化されるならひと回り小さく、全長5m未満・全幅1.9m未満に収まると見込まれていました。
| 全長 | 4,980mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,890mm |
| 全高 | 1,450mm |
| ホイールベース | 2,900mm |
次期型フーガのインテリア予想は白基調の高級デザイン
Q80コンセプトのインテリアは、フロントがブラック、リヤがホワイトという配色で、リヤシート中央にはワインホルダーも備わっていました。オーナー自ら運転するというより、運転手つきのショーファードリブンを意識した設えです。
リヤシートはキルティング模様を用いた高級感のあるデザインで、カーペットも同様のあしらいでした。あくまでコンセプトの提案であり、市販車として結実することはありませんでした。
次期型フーガの搭載エンジン予想は「VQ35HR」や「274A型」など
次期型のパワートレインとしては、2代目と同じ3.5LのVQ35HRハイブリッド、スカイライン(Q50)用の3.0L V6ツインターボ、そしてスカイラインの直列4気筒2.0Lターボ「274A型」などが予想されていました。
さらに、シリーズハイブリッドのe-POWERを積む可能性も語られ、ノートやセレナ、SUVのエクストレイルに続き、セダンで初のe-POWER搭載になるのでは、との見立てもありました。いずれも実現していません。
| 種類 | V型6気筒ハイブリッド |
|---|---|
| 排気量 | 3,498cc |
| エンジン最高出力 | 306PS/6,800rpm |
| エンジン最大トルク | 350Nm/5,000rpm |
| モーター型式 | HM34 |
| モーター最高出力 | 68PS |
| モーター最大トルク | 290Nm |
3.0L V6ツインターボは、最高出力400馬力を発揮し、インフィニティQ50(スカイライン)に搭載されたエンジンです。
| 種類 | V型6気筒 |
|---|---|
| 排気量 | 2,998cc |
| 最高出力 | 400PS/6,400rpm |
| 最大トルク | 400Nm/1,600-5,200rpm |
スカイライン200GT-tの直列4気筒2.0Lターボ「274A型」は、メルセデス・ベンツから供給されているエンジンです。
| 種類 | 直列4気筒 |
|---|---|
| 排気量 | 1,991cc |
| 最高出力 | 211PS/5,500rpm |
| 最大トルク | 350Nm/1,250-3,500rpm |
次期型フーガの安全装備予想・プロパイロット2.0搭載への期待
次期型には、Y51フーガのエマージェンシーブレーキや前方衝突予測警告、後側方衝突防止支援システム、後側方車両検知警報、車線逸脱警報といった衝突回避支援に加え、アラウンドビューモニターなど駐車支援の充実も見込まれていました。
さらに、セレナ・エクストレイル・リーフに続く同一車線運転支援「プロパイロット」の搭載も期待されていました。
リーフに搭載された「プロパイロットパーキング」のような自動駐車機能の追加も想定されていましたが、次期型自体が登場しなかったため、これらがフーガに搭載されることはありませんでした。
次期型フーガの発売時期・価格予想(実現せず)
Y51フーガのビッグマイナーチェンジは2015年2月に行われており、当時は次期型の発売を2023年頃と予想する声がありました。しかし実際には、2022年に生産終了となり、後継の発売はありませんでした。
価格については、Y51後期型が5,027,000円からだったことを踏まえ、最新技術や新エンジンを織り込んで520万円からになると見込まれていました。以下は当時の予想価格帯ですが、いずれも実現していません。
| 2.0Lターボエンジン搭載モデル | 520万 |
|---|---|
| 3.0Lターボエンジン搭載モデル | 580万 |
| 3.5Lハイブリッドエンジン搭載モデル | 680万 |
| グレード | 価格 |
|---|---|
| 250GT | 5,027,000円~ |
| 370GT | 5,346,000円~ |
| 250VIP | 5,455,581円~ |
| 370GT FOUR | 5,566,000円~ |
| 370GT タイプ S | 5,955,400円~ |
| 370VIP | 6,394,981円~ |
| ハイブリッド | 6,549,400円~ |
| ハイブリッドVIP | 7,230,981円~ |
日産のハイパフォーマンスセダン フーガ(Y51後期型)の画像5枚
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フーガ -
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セドリック・グロリアの後継車種 フーガのモデルチェンジ遍歴
フーガは日産が販売していたEセグメントの高級車で、セドリックとグロリアの後継車種として誕生しました。
フーガ Y50型/2004年~2009年
2004年10月、初代フーガが販売を開始しました。V6 2.5Lと3.5Lを搭載しています。
2005年8月、V8 4.5Lエンジン搭載モデルが追加されました。
2007年12月、マイナーチェンジでエンジンの変更と外観の大幅な変更が施されました。
フーガ Y51型/2009年~2022年
2009年11月、2代目フーガが誕生しました。
2010年11月、3.5Lエンジンを搭載したハイブリッドモデルが追加されました。
2015年2月、ビッグマイナーチェンジを実施し、外観デザインと安全装備を刷新。V37スカイライン同様にインフィニティエンブレムを採用しました。12月には一部仕様向上とともに特別仕様車「クールエクスクルーシブ」を設定。
2017年11月と2019年12月に仕様向上を実施。2019年12月にはブランドバッジが日産へと戻されました。
2022年5月16日、限定100台の特別仕様車「PREMIUM SELECT EDITION」を発売。8月31日に生産を終了し、フーガは18年、セドリック/グロリア以来の日産高級セダンの系譜は60年余りの歴史に幕を下ろしました。
| フーガのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 Y50型 | 2004年~2009年 |
| 2代目 Y51型 | 2009年~2022年 |
日産のフラッグシップセダン「フーガ」が残したもの
日産のフラッグシップセダンとして君臨したフーガには、セレナやエクストレイル、リーフに搭載されたプロパイロットやプロパイロットパーキングを取り入れ、さらに進化することが期待されていました。しかし、その未来が描かれることはありませんでした。
2022年に生産を終えたフーガは、スカイラインと同様にインフィニティのデザインをまとい、他の日産車とは異なる上質な雰囲気を持つ一台でした。次期型フーガの姿が実現することはありませんでしたが、走りと高級感を両立した名門セダンとして、その存在は記憶に残り続けるでしょう。