バッテリー交換は自分でトライ~作業手順と必須アイテム
車のバッテリー交換は、ご自身で行うのが最もリーズナブルな方法です。車のエンジン始動や各種電装品に電力を供給するバッテリーを、自分の手で交換することで、車への愛着がさらに深まります。
今回は、バッテリー交換をご自身で「簡単かつ安全」に行える作業手順と、必要となるアイテムを紹介します。また、新しいバッテリーを購入する際に役立つ品番の読み方や、交換時期を自分で判断できるチェックポイントも取り上げます。
バッテリー交換の大まかな流れと安全に作業するための重要なポイント
バッテリー交換の大まかな流れと、トラブルを防ぐための安全上のポイントを紹介します。
大まかな流れを確認しておくことで作業はスムーズに進みます。特にバッテリー交換時の感電やショート(短絡)といったトラブルを防ぐためのポイントを把握すれば、作業を安全に行えます。
バッテリー交換の大まかな流れ
1.マイナス(-)端子を外す
2.プラス(+)端子を外す
3.固定金具を外す
4.古いバッテリーを取り出す
5.新しいバッテリーを乗せる
6.固定金具を取り付ける
7.プラス(+)端子を取り付ける
8.マイナス(-)端子を取り付ける
トラブルを防ぐためのポイント(ショート・感電防止)
- 取り外す際はマイナス(-)端子を先に外し、取り付ける際はプラス(+)端子を先に接続する。
- 端子を取り外す際、工具が反対側の端子や車体(マイナス側)と接触しないよう細心の注意を払う。
- +と-を逆に接続すると、車両の電装品が破損したり、ショートしたりする恐れがあるため、極性の確認を怠らない。
- バッテリーは重量があるため、両手でしっかりと持ち、急がずゆっくりと移動させる。
今回のバッテリー交換は、ガソリン車やディーゼル車といった内燃機関搭載の普通自動車を想定しています。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)はシステムが複雑で高電圧な電流が流れているため、交換は専門知識と技術力を持つディーラーなどに必ず依頼してください。
バッテリー交換で用意するアイテム 作業工具や作業用手袋など
バッテリー交換で用意するアイテムを紹介します。新しいバッテリーは、必ずご自身の車に適合する商品であるかを確認してから購入してください。
作業工具のスパナは、端子固定ナットに多い10mmサイズが一般的ですが、車種によって異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。作業用手袋は、ゴム製で滑り止め加工が施されている商品をおすすめします。バッテリー液(希硫酸)の飛散防止のためにも、保護メガネの着用は作業中の安全性を高めます。
バッテリー交換で用意するアイテム
- 新しいバッテリー(適合品)
- 作業工具(レンチ、ドライバー、スパナなど)
- 作業用手袋(ゴム製が望ましい)
- 保護メガネ
- メモリーバックアップ機器(必要な場合)
バッテリー交換~古いバッテリーの取り外し・新しいバッテリーの取り付け手順
車のエンジンを切り、ヘッドライトや室内灯などがOFFになっていることを確認し、ボンネットを開ければバッテリー交換の準備が整います。バッテリー交換の各工程を「古いバッテリーを取り出す手順」と「新しいバッテリーを取り付ける手順」に分けて紹介します。
古いバッテリーを取り出す手順
古いバッテリーの取り外しは、マイナス端子を外すことから始まり、端子を外したら固定金具を外し、バッテリー本体を取り外します。ゆっくりと確実な作業を心がけ、決して慌てないようにしてください。
1.バッテリーケーブルはマイナス(-)端子から外す
古いバッテリーを取り外す作業は、マイナス(-)端子を外すことからスタートします。端子カバーに覆われているのがプラス(+)端子で、むき出しになっていることが多いのがマイナス(-)端子です。
端子を固定しているナットを適合する工具で緩めます。ナットが錆びつき固着していたら、ケーブルを上下左右に揺らす力を加えれば外れます。
この作業中は、工具がプラス(+)端子と接触しないように特に注意しましょう。
2.次にプラス(+)端子を外す
プラス(+)端子を覆っているカバーを外し、端子を固定するナットをスパナなどの工具で緩めます。
外した後のプラス端子・マイナス端子ケーブルは、作業の邪魔にならない位置に移動させます。
3.バッテリーを固定している金具を工具で慎重に外す
メーカーや車種によっては、バッテリーを固定する金具の種類が異なります。
固定金具はその種類に合った工具で外していきます。工具や取り外した金具をエンジンルーム内に落とさないよう、慎重に作業を行ってください。
4.バッテリーを取り外す
バッテリーを取り外す時に、周囲のケーブルが邪魔であれば、作業しやすいように移動させます。
取り出す際には、バッテリー上部に設置されている持ち手を利用します。両手で持ち手をしっかりと握り、ゆっくりと垂直に持ち上げます。
取り出したバッテリーを横置きしたり、側面を強く押したりすると、内部のバッテリー液(希硫酸)が漏れ出してしまう恐れがあるため注意が必要です。また、作業中は引火の危険があるため、周りに火元がないかを確認するのも大切です。
5.バッテリートレイを清掃し、錆を防ぐ
バッテリーが設置されていたトレイに、ゴミやほこりが溜まっていたら、水拭きなどで清掃します。汚れを放置すると、新しいバッテリーやトレイが錆びやすくなる原因となります。
古いバッテリーを外したら新しいバッテリーを取り付ける手順
古いバッテリーを取り外した後、新しいバッテリーを取り付けます。トレイに新しいバッテリーを設置し、固定金具を取り付け、正しい順番で端子を取り付ければバッテリー交換は終了です。具体的な取り付け方法を画像と共に紹介します。
1.プラス端子・マイナス端子の位置に注意しながら新しいバッテリーをトレイに納める
新しいバッテリーの取り付けは、トレイに設置することからスタートします。
バッテリーのプラス(+)端子とマイナス(-)端子の向きが正しいかを確認します。確認作業が終わったら、持ち手をしっかりと両手で持ちながら、周囲のパーツに接触させないよう慎重に降ろしていき、バッテリースペースへと納めます。
2.固定金具を取り付け、グラつきがないかしっかり確認する
端子の位置が正しいかを再確認してから、固定パーツと金具を取り付けます。
金具の締め付けが強すぎると、バッテリーのケースや固定パーツが破損してしまう恐れがあります。金具が緩んでいないか、適切に固定されているかは、バッテリー本体を前後に揺すっても動かないかどうかで確認します。
3.バッテリーを外した時と逆順で「プラス(+)端子から取り付ける」
新しいバッテリーの端子取り付けは、プラス(+)極が先です。プラス端子を取り付けている最中に工具が車体に触れても、マイナス端子が未接続であればショートすることはありません。ナットがしっかりと締め付けられていることを確認したら、カバーを被せます。
4.最後に「マイナス(-)端子を取り付ける」
新しいバッテリーにマイナス(-)端子を取り付ければ、車のバッテリー交換は終了です。マイナス端子は、最後に接続することで、プラス端子接続時や固定金具取り付け時のショートを防ぐ役割があります。
バッテリーにグラつきはないか、端子はしっかり固定されているかを最終チェックしてから、エンジンを起動してみましょう。エンジンがかかれば、交換作業は問題なく完了しています。
バッテリー交換時にはメモリーバックアップが必要な場合もあります
バッテリー交換を行う際には、一時的に車両への電力供給が途絶えるため、オーディオやナビゲーションシステムの設定、あるいは車両のECU(エンジンコントロールユニット)に蓄積されているアイドリングストップ機能や燃費情報などの各種設定がリセットされてしまうケースがあります。
それら諸設定や情報をリセットしないように保護するアイテムが「メモリーバックアップ」です。車種によっては、バッテリー交換時のメモリーバックアップは不要な場合があるため、交換前にご自身の車の取扱説明書等で確認しておきましょう。
バッテリー交換時期・タイミングを自分で判断できるチェックポイント
バッテリー交換時期のタイミングを自分で判断できるチェックポイントを紹介します。チェック項目が多い方ほど、早いタイミングでのバッテリー交換をおすすめします。
バッテリー交換のタイミングを知るチェックポイント
- バッテリーを2~3年以上交換していない
- エンジンのかかりが以前よりも悪くなってきた(セルモーターの回り方が弱い)
- ヘッドライトの光量が弱くなってきた
- 車の利用頻度が少なく、特に充電されない期間が長い
- ワイパーやパワーウィンドウの動きが鈍くなった
- クラクションの音が弱々しくなった
- バッテリーの端子付近に白い粉(腐食物)が吹き出している
バッテリー交換のタイミングを、お店に勧められた時や車検時に任せるのではなく、ご自身で判断できることが望ましいです。そうしたスタンスでいる方が、他車にも迷惑がかかるバッテリー上がりといったトラブルを未然に避けることができます。
バッテリー購入に役立つ数字とアルファベットを組み合わせた品番の読み方
バッテリーを購入する際には、必ずご自身の車に適合したサイズや性能の商品であるかを確認する必要があります。その判断材料となるのが、商品パッケージなどに記載される「55 B 24 R」などの数字とアルファベットを組み合わせた品番です。
国産車に搭載されるバッテリーの購入に役立つ品番(JIS形式)の読み方を紹介します。
「65 D 24 R」を例にした読み方(JIS形式)
「65」は性能ランク(総合性能)
先頭の数字65は、バッテリーの容量と始動性能を総合的に評価した性能ランクを表します。数字が大きくなるほど、高性能なバッテリーとなります。
「D」は短側面のサイズ
バッテリーの幅と高さの組み合わせ(短側面のサイズ)を表します。サイズの小さいものから順にA、B、C、D…Hとアルファベットが割り当てられます。
「24」は長側面の長さ
バッテリーの長側面の長さを表し、約24cmであることを意味します。(実際の長さとは若干異なる場合があります。)
「R」はプラス(+)端子の位置
バッテリーを正面(長側面)から見たとき、
プラス(+)端子が右側にある⇒Rタイプ
プラス(+)端子が左側にある⇒Lタイプ
バッテリーの品番を読み解ければ、ご自身の車に適したリーズナブルなバッテリーをインターネットなどで購入することも可能になります。不安に思う方は、カー用品店などでスタッフに相談するのも良いでしょう。
車のバッテリー交換を自分でやれば運転がもっと楽しくなります
車のバッテリー交換をご自身で行った後、初めて聞くエンジン音には特別な満足感があります。オーディオなどの電装品を操作する際にも、ご自身の作業の成功を実感できるでしょう。
バッテリー交換は、タイヤ交換ほど自分で行うという方は少ないかもしれません。それは、エンジン系統やバッテリー、それらを連結する無数の配線で満たされるボンネットの内側での作業となるからです。
車のバッテリー交換は、初めての方にとっては不安が伴うものですが、今回紹介した手順に従い、必要なアイテムを揃え、トラブルを防ぐポイントを確認すれば「簡単かつ安全」に行えます。
車は自分で手を加える分だけ、思い入れが深まり、運転するのがさらに楽しくなります。車をもっと好きになるため、もっと運転を楽しむために、バッテリー交換にぜひチャレンジしてみましょう!