トールのモデルチェンジ

トールのモデルチェンジ情報:2026年9月に一部改良か 次期型は2027年6月以降でハイブリッド化

トールのフルモデルチェンジはいつなのか。認証不正による開発日程の見直しで次期型は2027年6月以降へずれ込む見込みです。2020年9月のマイナーチェンジから2024年12月の一部改良までの経緯と、174万2,400円からの現行価格、ライバル・ソリオとの燃費差まで解説します。

トールのモデルチェンジ情報:2026年9月に一部改良か 次期型は2027年6月以降でハイブリッド化

トールのフルモデルチェンジは2027年6月以降が有力 2026年9月には一部改良の見込み

トールは2016年11月からダイハツが販売している登録車の小型トールワゴンです。フロントグリルやLEDリアランプ、インテリアを差別化したトールカスタムも同時にラインアップされています。
トヨタへは「ルーミー」、SUBARUへは「ジャスティ」の車名でOEM供給されており、発売当初はトヨタ「タンク」を加えた4姉妹という珍しい体制でした。タンクが2020年9月14日に販売を終えたため、現在は3姉妹です。
トールのフルモデルチェンジがいつになるのか、基本スペックや特徴を整理しつつ、次期型がどのような姿になるのかを考察します。

トールのカタログページトールのカタログ

結論から書くと、トールは初代のまま販売が続いており、骨格から刷新するフルモデルチェンジは2027年6月以降とみられます。それに先立って2026年9月に一部改良が実施される見込みです。

2026年9月に一部改良の見込み 次期型は2027年6月以降でDNGAとハイブリッドへ

まず現行型についてです。2026年9月に一部改良が実施される見込みで、装備の底上げと法規対応が柱になるとみられます。

最も実用的な変更は、これまでカスタム系にしか用意されていなかった電動パーキングブレーキとオートブレーキホールドが「G」「Gターボ」にも広がる点です。これに連動して全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロールや運転支援用のステアリングスイッチ、ACC対応メーターも選べるようになる方向とみられます。エントリーの「X」は引き続き足踏み式パーキングブレーキのままとなる見込みです。

予防安全装備では、スマートアシストのカメラが刷新され、検知精度と検知対象が広がる見込みです。あわせて、サイバーセキュリティ関連法規への対応、シートおよびヘッドレストの強度基準改定への対応、EDR(イベント・データ・レコーダー)の搭載といった法規対応が全グレードに入る見通しです。ディスプレイオーディオはオプション化され、社外ナビや純正ナビを選ぶ自由度が増す方向とされています。

なお、パックオプションの「イルミネーションパック」「スタイルパック」については2026年4月下旬をもって生産を終える案内が出ており、装備構成の入れ替えが進んでいることがうかがえます。

フルモデルチェンジは2027年6月以降が有力です。当初は2024年内の刷新が計画されていましたが、認証不正問題を受けた再発防止策としてダイハツが開発標準日程を従来比1.4倍へ延ばしたため、次期型の投入時期が大きく後ろへずれ込みました。

次期型では、2019年7月の4代目タントで初採用された新プラットフォーム「DNGA」の採用が濃厚です。トールは開発期間の制約からブーン(トヨタ・パッソ)由来の骨格を流用しており、ロードノイズや高速走行時の落ち着きが弱点として挙げられ続けてきました。DNGA化はこの弱点に直接効く変更になります。

パワートレインは、2021年11月にロッキー/ライズへ投入されたシリーズハイブリッド「e-SMART HYBRID」の搭載が有力です。エンジンを発電に専念させモーターで走る方式で、市街地燃費と静粛性の改善幅が大きいのが特徴です。トールは登録車クラスで販売の柱にあたるモデルであり、電動化の適用が見送られる理由は乏しいと考えています。あわせて、センターディスプレイの大型化、パノラミックビューモニター、ブラインドスポットモニターの設定も見込まれます。

また、トールをベースにした3列7人乗りのコンパクトミニバンを追加する構想も一部で噂されています。ただし現時点で具体像が固まっているとは言いがたく、ダイハツの多人数乗車モデルとしてはロッキーをベースに全長とホイールベースを広げた3列シート車の方が具体化が進んでいる状況です。

ダイハツ トールの価格(2024年12月9日の一部改良以降)
グレード 駆動方式 値段
X 2WD(FF) 1,742,400円
4WD 1,918,400円
G 2WD(FF) 1,939,300円
4WD 2,115,300円
Gターボ 2WD(FF) 2,065,800円
ダイハツ トールカスタムの価格(2024年12月9日の一部改良以降)
グレード 駆動方式 値段
カスタムG 2WD(FF) 2,118,600円
4WD 2,294,600円
カスタムGターボ 2WD(FF) 2,257,200円

いずれも消費税込みで、北海道地区は価格が異なります。なお2025年には公式な改良や特別仕様車の設定はなく、この2024年12月仕様のまま販売が続いてきました。

2024年12月9日の一部改良で9インチディスプレイオーディオとバックカメラを標準装備

トールは2024年12月9日に一部改良を受け、同日発売されました。姉妹車のルーミーも同日、ジャスティは12月12日の発売です。

中身の柱は法規対応でした。2024年11月1日から継続生産車にも「後退時車両直後確認装置」の装着が義務づけられたため、それまでメーカーオプションだった9インチディスプレイオーディオとバックカメラが全車標準装備となり、リアバンパーのセンサーも2個追加されて4個構成となりました。ディスプレイの表示内容も見直されています。

比較的高価な装備が一気に標準化されたため、値上げ幅は各グレード17万5,900円〜20万1,200円と大きなものになりました。エントリーの「X」(2WD)は156万6,500円から174万2,400円へ移行しています。エンジンや基本スペックに変更はありません。

この改良にあたり、ダイハツは2024年10月下旬をもって従来仕様の生産を終了しています。一時的に新車の供給が止まったことから「トールが生産終了した」という受け止め方も広がりましたが、実態は保安基準の改正に合わせたラインの切り替えでした。

ダイハツの認証不正で2023年12月に出荷停止、2024年4月19日に生産再開

2023年12月20日、ダイハツは第三者委員会の報告を受け、25の試験項目で174件の不正行為があったことを公表しました。不正が確認された車種は生産を終えたものを含めて64車種・3エンジンにおよび、同社は国内外で生産中の全ダイハツ開発車種の出荷を一旦停止します。トールとそのOEM3車種もこの対象に含まれました。

影響は販売現場を直撃し、2024年2月にはルーミーの登録台数が前年同月比88.1%減の1,027台まで落ち込み、トールとジャスティは50位以下に沈んでいます。

その後、国土交通省の立ち会い試験などによって道路運送車両法の基準に適合していることが確認され、2024年3月15日に出荷停止指示が解除、3月25日に生産済み車両の出荷が再開されました。生産そのものは2024年4月19日、京都工場で再開されています。すでに販売された車両については、そのまま乗り続けて問題ないとの見解が示されました。

トールが対象となったリコール 電動パーキングブレーキ・フォグランプ・燃料ポンプ

近年、トールは複数のリコールの対象となっています。中古車を検討する場合も、すでに所有している場合も、車台番号での対象確認と対応状況のチェックをおすすめします。

トールが対象となった主なリコール

  • 2023年1月19日 電動パーキングブレーキ/トール、タフト、タント、ロッキー、ジャスティ、シフォン、ルーミー、ライズの8車種・33万9883台(2020年5月29日〜2022年8月26日製造)。制御コンピュータのプログラムが不適切でブレーキケーブルの戻し量が不足し、最悪の場合パーキングブレーキが解除できなくなるおそれ。不具合報告401件
  • 2023年6月26日 フォグランプ/トールを含む約5万5000台。フォグランプが点灯しなくなるおそれ
  • 2023年11月2日 燃料ポンプ/トール、ブーン、ルーミー、タンク、パッソ、ジャスティの6車種・26万9280台(2018年4月5日〜2019年5月10日製造)。インペラの樹脂密度が低く燃料で膨潤・変形し、最悪の場合は走行中のエンストに至るおそれ。2021年6月24日届出(21車種・95万6221台)、2023年5月25日届出(18車種・14万7042台)と同内容で、検証の進展により対象が拡大されたもの

2022年9月1日の一部改良は法規対応が中心

2022年9月1日に一部改良が行われました。排出ガス規制、フロン排出抑制法、タイヤ取り付けに関する法規への対応が主で、内外装デザインの変更はありません。装備面ではメーカーオプション「コンフォートパッケージ」にナノイーXが追加されました。

ボディカラーは「ブリリアントカッパークリスタルマイカ」とその2トーン仕様が廃止され、全10色構成に整理されています。細かいところでは、オイルフィルターがエレメント交換タイプからカートリッジ交換タイプへ変更されました。値上げは実施されたものの、車両本体価格で1万円と小幅に抑えられています。

2021年6月7日に福祉車両「トール シートリフト」を新設定

2021年6月7日、福祉車両「フレンドシップシリーズ」の新ラインアップとして、助手席が回転して車外へ降りる乗降シート車「トール シートリフト」が設定され、同日発売されました。姉妹車のルーミーでは2018年3月から「ウェルキャブ 助手席リフトアップシート車」として設定されており、トールにも同種の仕様が追加された形です。低床フロアと大開口スライドドアを備えるトールの素性が、介助を伴う用途にも向いていることを示す追加でした。

2020年9月15日のマイナーチェンジで安全装備を刷新 タンク統合で3姉妹に

現行トールにとって最大の節目が、2020年9月15日のマイナーチェンジです。キャッチフレーズは「ALL COOL THOR」で、新価格は155万6,500円〜209万円となりました。

予防安全面では、スマートアシストが全車標準装備となり、ステレオカメラを2代目タフト用の改良型へ変更。衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能が夜間歩行者と追従二輪車の検知に対応し、検知距離と対応速度も向上しました。ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)、路側逸脱警報機能、ふらつき警報、標識認識機能が新たに加わり、カスタムにはADB(アダプティブドライビングビーム)、サイドビューランプ、全車速追従機能付ACCも装備されています(ACCは「G」「Gターボ」にもオプション設定)。

装備面では、ダイハツの小型車として初めて電動パーキングブレーキを採用したほか、ディスプレイオーディオを新設定。降車時にスイッチを押しておくと、電子キーを持って近づくだけでパワースライドドアが自動で開く「ウェルカムオープン機能」と「ウェルカムドアロック解除」も「X」を除く全グレードに標準装備されました。

外内装はフロントバンパーとグリル、センタークラスターパネルを新意匠に変更し、シート形状も見直し。カスタムはヘッドランプ、アルミホイール、リアコンビネーションランプが新意匠となり、メーカーオプション「スタイルパック」とディーラーオプション「プレミアムエアロパック」を組み合わせた「アナザースタイルパッケージ(プレミアム)」が新設定されています。ボディカラーはトール専用色の「コンパーノレッド」と「ターコイズブルーマイカメタリック」が追加されました。

グレード体系も整理され、「X”SA III”」が「X」に統合されたほか、2018年11月の一部改良で一度消えていた「G」「カスタムG」の名称が復活し、ターボ車も「Gターボ」「カスタムGターボ」へ改称されています。燃費と排出ガスの表示はWLTCモードへ移行しました。

そしてこのマイナーチェンジのタイミングで、OEM先のトヨタが姉妹車の整理に踏み切ります。タンクが前日の2020年9月14日をもって販売を終了し、ルーミーへ一本化されました。トヨタが2020年5月から全店舗全車種併売へ移行し、販売チャンネルごとに姉妹車を用意する意味が薄れたことが背景です。これによりトール一族は4姉妹から3姉妹となりました。

なお、トールとルーミーのすぐ上のクラスに位置していたトヨタのプチバン「ポルテ」「スペイド」も、2020年12月に生産を終了しています。両側スライドドアを備え価格帯も近いルーミー/トールが、実質的にその受け皿となりました。トールが登録車としてダイハツの主力に据えられている理由の一つがここにあります。

トールのスペック・ボディカラーとモデルチェンジ遍歴

トールの基本スペックは?ファミリーに人気のコンパクトトールワゴン

2016年の発売以来、ダイハツの登録車では売れ筋にあたる初代トール。後席には両側スライドドアを採用しており、特に小さな子どもがいるファミリー層に支持されています。

トールのスタンダードグレードのページトール スタンダードグレード

トールのカスタムグレードのページトール カスタムグレード

トール(2WD)の主なスペック カッコ内はカスタム
型式 M900S(2WD)/M910S(4WD)
全長 3,700mm(3,725mm)
全幅 1,670mm
全高 1,735mm
室内長 2,180mm
室内幅 1,480mm
室内高 1,355mm
最小回転半径 4.6m(4.7m)※15インチ装着車が4.7m
ホイールベース 2,490mm
車両重量 1,070〜1,100kg
車両総重量 1,345~1,375kg
乗車定員 5名
トランスミッション CVT
グレード X/G/Gターボ/カスタムG/カスタムGターボ
燃費(WLTCモード) 16.8~18.4km/L
燃費(JC08モード・参考) 21.8~24.6km/L

燃費値は2020年9月のマイナーチェンジでWLTCモードへ移行しました。JC08モードの数値は改良前カタログの参考値であり、両者を直接比べることはできません。WLTCモードではNAの2WDが18.4km/L、ターボの2WDが16.8km/Lとなります。ターボに4WDの設定はありません。

ボディサイズは標準車が全長3,700mm、カスタムが3,725mm。全幅1,670mm、全高1,735mmは共通です。全長と全幅はダイハツのコンパクトカーであるブーンとほぼ同じで、プラットフォームもブーン系をベースとしています。
一方で全高はブーンの1,525mmに対しトールは1,735mm。210mmの差がそのままトールワゴンらしい開放感につながっています。

トールのスライドドア開口部開口高1,216mm×開口幅597mmのスライドドアに低床フロアで乗り降りが楽

販売規模の面では、同じ車体でもトヨタ・ルーミーが圧倒的な台数を稼いでおり、ダイハツ名義のトールは月間平均648台(2025年5月〜10月)と控えめです。ダイハツにとってのトールは、台数そのものよりも登録車の受け皿としての存在意義が大きいモデルといえます。

トールのモノトーンカラー7色とカスタム専用の2トーンカラー4色

トールのボディカラーは兄弟車ジャスティと同じラインアップで、モノトーン7色+2トーン4色の全11色を設定しています。
ルーミーに設定される「クールバイオレットクリスタルシャイン」はトール・ジャスティには用意されません。
全色がメタリック・パール系で、艶のある発色が楽しめます。

ダイハツ トールのボディカラー一覧

  • ターコイズブルーマイカメタリック
  • レーザーブルークリスタルシャイン(33,000円高)
  • ファイアークォーツレッドメタリック
  • パールホワイト3(33,000円高)
  • ブライトシルバーメタリック
  • プラムブラウンクリスタルマイカ(33,000円高)
  • ブラックマイカメタリック
  • ブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック(55,000円高)
  • ブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャイン(77,000円高)
  • ブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリック(55,000円高)
  • ブラックマイカメタリック×パールホワイト3(77,000円高)
  • トールのターコイズブルーマイカメタリックターコイズブルーマイカメタリック
  • トールのレーザーブルークリスタルシャインレーザーブルークリスタルシャイン(33,000円高)
  • トールのファイアークォーツレッドメタリックファイアークォーツレッドメタリック
  • トールのパールホワイト3パールホワイト3(33,000円高)
  • トールのブライトシルバーメタリックブライトシルバーメタリック
  • トールのプラムブラウンクリスタルマイカプラムブラウンクリスタルマイカ(33,000円高)
  • トールのブラックマイカメタリックブラックマイカメタリック
  • トールのブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリックブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック(55,000円高)
  • トールのブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャインブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャイン(77,000円高)
  • トールのブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリックブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリック(55,000円高)
  • トールのブラックマイカメタリック×パールホワイト3ブラックマイカメタリック×パールホワイト3(77,000円高)

トールのモデルチェンジ遍歴 2016年の発売から現在まで

ダイハツ・トールの発売は2016年11月9日で、ほぼ同時期にOEM車のルーミー、タンク、ジャスティが登場しています。ここまでフルモデルチェンジは一度も実施されておらず、初代が10年目に入りました。

トールのモデルチェンジ遍歴
年/月/日 区分 内容
2016/11/9 発売 トール/トールカスタム発売
OEM車であるトヨタ「ルーミー」「タンク」を同時発売
グレードはX、G、Gターボ、カスタムG、カスタムGターボの5種
2016/11/21 OEM開始 スバル「ジャスティ」発売
2018/5/10 特別仕様車 販売会社特別仕様ベース車両G"リミテッド SA II"を設定
ディーラーオプション「エアロスタイリッシュパック」を設定
2018/11/1 一部改良 「スマートアシストIII」を採用し前後コーナーセンサーを標準装備
グレード名を"SA II"から"SA III"へ変更、「G」「カスタムG」を統合により廃止
ボディカラー変更
特別仕様車「G"リミテッド SA III"」「カスタムG"リミテッド SA III"」を発売
2019/10/1 特別仕様車 「G"リミテッドII SA III"」「カスタムG"リミテッドII SA III"」を発売
メッキドアアウターハンドルとトップシェイドガラスを特別装備
2020/9/15 マイナーチェンジ スマートアシストを全車標準装備化し新型ステレオカメラへ刷新
夜間歩行者・追従二輪車の検知に対応、路側逸脱警報やふらつき警報を追加
電動パーキングブレーキ、ディスプレイオーディオ、ウェルカムオープン機能を採用
内外装を刷新しグレード名を「X」「G」「Gターボ」「カスタムG」「カスタムGターボ」へ整理
WLTCモード燃費・排出ガスに対応、新価格155万6,500円〜209万円
同時に姉妹車タンクが前日9月14日で販売終了し4姉妹から3姉妹へ
2021/6/7 車種追加 福祉車両「トール シートリフト」(昇降シート車)を新設定・発売
2022/9/1 一部改良 排ガス規制・フロン排出抑制法・タイヤ取付法規に対応
コンフォートパッケージにナノイーXを追加、ボディカラーを全10色に整理
車両本体価格を1万円値上げ
2023/12/20 出荷停止 ダイハツ認証不正問題により全ダイハツ開発車種の出荷を一旦停止
2024/3/15 出荷再開 国土交通省が出荷停止指示を解除、3月25日に出荷再開
2024/4/19 生産再開 京都工場で生産を再開
2024/12/9 一部改良・価格改定 9インチディスプレイオーディオとバックカメラを全車標準装備
リアバンパーセンサーを4個に増設し後退時車両直後確認装置の義務化に対応
17万5,900円〜20万1,200円の値上げ、174万2,400円〜229万4,600円

トールの安全装備スマートアシストトールは2018年11月の改良でスマアシ3を搭載 2020年9月の改良で全車標準装備となった

こうして並べると、大きな節目は2018年11月の一部改良と2020年9月のマイナーチェンジの2回で、以降は法規対応が中心という流れが見えてきます。2016年の発売からフルモデルチェンジを一度も挟まずに10年目という長寿は、認証不正による開発日程の見直しが直接の要因です。

現行型トールの課題と次期型で解決が期待されるポイント

次期型トールは、現行型の販売が堅調でダイハツに代替となる車種が存在しないことから、「ファミリーカーとしても優秀なコンパクトトールワゴン」というコンセプトとターゲット層はほぼ確実に維持されます。両側スライドドアなどのパッケージが変更されることも考えにくいでしょう。

そのうえで、現行型が抱える弱点と、次期型で手が入るとみられる領域を整理します。

プラットフォームは「DNGA」へ 静粛性と乗り心地の改善が最大のテーマ

「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」は、ダイハツが開発した軽自動車およびBセグメント以下の小型車向けプラットフォームです。2019年7月の4代目タントで初採用され、以後タフト、ロッキー、ムーヴキャンバスなどへ展開されてきました。

一方でトールは、開発期間の制約からブーン系の骨格を流用しており、DNGA世代の車と比べるとボディ剛性や遮音の作り込みで見劣りします。ロードノイズの大きさや高速走行時の落ち着きのなさは、ユーザー評価でも繰り返し指摘されてきた点です。次期型でのDNGA採用は、この積年の課題に直接効く変更になります。

ボディサイズは全長拡大の可能性 5ナンバー枠は維持される見込み

トールの詳細なボディサイズ現行型トールのボディサイズは3,700mm(カスタム3,725mm)×1,670mm×1,735mm

現行型の全長は3,700mm(カスタム3,725mm)です。次期型では全長を伸ばして室内空間をさらに広げる可能性があります。
上のクラスにあったポルテとスペイドが2020年12月に生産を終え、トールとルーミーがその役割まで引き受ける形になったことを踏まえると、多少の大型化はむしろ歓迎される方向でしょう。ライバルのソリオが4代目で全長を80mm伸ばしてきたことも、判断材料のひとつになります。

道をすれ違うトール街乗りで使われる機会が多いため全幅はほとんど変わらないとみられる

一方で全幅は現行の1,670mmから大きく広がらないとみられます。5ナンバーサイズの条件である全幅1,700mm未満を外れると、この車を選ぶ層にとっての最大の価値である取り回しの良さが損なわれるためです。

パワートレインは現行の2本立てを維持 次期型でe-SMART HYBRIDの追加が有力

現行型トールには、1.0Lの直列3気筒NA「1KR-FE型」とターボの「1KR-VET型」の2種類が用意されています。ターボの廃止やNAの整理は行われておらず、この構成のまま10年目を迎えました。

トールの搭載エンジン
  NA(1KR-FE型) ターボ(1KR-VET型)
排気量 996cc 996cc
種類 直列3気筒 直列3気筒ICターボ
最高出力 51kW(69PS)/6,000rpm 72kW(98PS)/6,000rpm
最大トルク 92Nm/4,400rpm 140Nm/2,400~4,000rpm
駆動方式 2WD(FF)/4WD 2WD(FF)のみ
燃費(WLTCモード・2WD) 18.4km/L 16.8km/L

NAは近所の買い物中心なら不足を感じにくい一方、「上り坂でパワー不足を感じる」「発進時の加速が鈍い」という声が根強くあります。車両重量が1,070kgを超えるボディに69PSという組み合わせですから、これは構造的な問題です。

次期型では、シリーズハイブリッド「e-SMART HYBRID」の追加が有力とみられます。エンジンを発電に専念させモーターで駆動する方式のため、発進から中間加速までモーターのトルクで走れるようになり、現行NAの不満点はそのまま解消される見込みです。市街地燃費の改善幅も大きく、後述するソリオとの燃費差を一気に埋める切り札になります。

ライバル車ソリオはハイブリッドで先行 燃費はトール積年の宿題

ダイハツ・トール

ダイハツ・トールの直接のライバルはスズキ・ソリオです。ソリオは2020年12月4日に4代目へフルモデルチェンジし、さらに2025年1月16日の一部仕様変更で中身が大きく変わりました。

この変更でフロントマスクを一新するとともに、パワートレインは1.2Lのマイルドハイブリッドに一本化。エンジンは従来の4気筒から新型スイフトと共通の3気筒「Z12E型」へ置き換えられ、CVTも刷新されています。安全装備もミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポートII」を全車標準装備とし、上位グレードには全車速追従型ACCも備わりました。

トールのエンジンのページトール搭載エンジンと燃費(トールのカタログより抜粋)

トールとソリオのスペック比較
  トール(カスタムG 2WD) ソリオ(ハイブリッドMZ 2WD/2025年1月改良)
全長 3,725mm 3,790mm
全幅 1,670mm 1,645mm
全高 1,735mm 1,745mm
最小回転半径 4.6m 4.8m
ホイールベース 2,490mm 2,480mm
燃費(WLTCモード) 18.4km/L 22.0km/L
エンジン型式 1KR-FE型 Z12E型
排気量 996cc 1,197cc
種類 直列3気筒DOHC 直列3気筒DOHC+マイルドハイブリッド
最高出力 51kW(69PS)/6,000rpm 60kW(82PS)
最大トルク 92Nm(9.4kgm)/4,400rpm 109Nm
価格 2,118,600円 2,248,400円

同じWLTCモードで比べると、燃費は18.4km/Lと22.0km/Lで3.6km/Lの差。出力とトルクでも1.2Lのソリオが上回ります。小回りではトールが4.6mと優位に立ち、全幅は25mm広いぶん室内の余裕につながりますが、走りと燃費の数値そのものはソリオに分があるのが現状です。

この差は、現行型トールが開発期間の制約からブーン(トヨタ・パッソ)由来のプラットフォームとエンジンを流用せざるを得なかったことに起因します。ソリオが軽量な新設計プラットフォームと電動アシストで数値を伸ばしてきたのに対し、トールは基本設計の世代差をそのまま抱えてきました。

いうならば燃費はトール誕生時からの宿題です。DNGAによる骨格の刷新とe-SMART HYBRIDの搭載が実現すれば、この宿題には一度に答えが出ます。2027年6月以降とみられる次期型が、そのタイミングになりそうです。