トールが2026年8月31日に一部改良を実施 フルモデルチェンジは2027年6月以降が有力
トールは2016年11月からダイハツが販売している登録車の小型トールワゴンです。フロントグリルやLEDリアランプ、インテリアを差別化したトールカスタムも同時にラインアップされています。
トヨタへは「ルーミー」、SUBARUへは「ジャスティ」の車名でOEM供給されており、発売当初はトヨタ「タンク」を加えた4姉妹という珍しい体制でした。タンクが2020年9月14日に販売を終えたため、現在は3姉妹です。
そのトールが2026年8月31日に一部改良を受け、同日発売されました。予防安全機能「スマートアシスト」の検知対象拡大、エアバッグの標準装備化、Xグレードの装備充実、そして新色の設定が柱です。ここでは今回の改良内容を整理したうえで、フルモデルチェンジの時期や次期型の姿についても考察します。
トールが2026年8月31日に一部改良 安全装備の底上げとXグレードの充実が柱
2026年8月31日に一部改良を実施したトール 外観デザインの変更はなく中身の充実に振った内容
ダイハツは2026年8月31日、トールの一部改良を発表し、同日から全国一斉に発売しました。同じ日には軽自動車のタントも一部改良と特別仕様車の設定を受けています(タントの詳細は別ページで紹介)。
今回の改良にフロントマスクの造形変更といった見た目の刷新はありません。手が入ったのは予防安全機能、乗員保護、そしてエントリーグレードの装備水準という、カタログの数字には表れにくい部分です。発売から10年目に入ったモデルとしては地味な内容にも映りますが、実際に使う場面での効き目という点では、意外なほど実利のある改良だと感じます。
スマートアシストが対横断自転車と交差点シーンの検知に対応
予防安全面では「衝突警報機能」「衝突回避支援ブレーキ機能」の検知対象が広がりました。新たに横断する自転車を検知できるようになったほか、交差点を右折する際の対向車線の車両、右左折時に対向方向から渡ってくる歩行者も検知の対象に加わっています。
加えて、対歩行者に対する作動上限速度が従来の60km/hから80km/hへ引き上げられました。国内の死亡事故で件数の多い交差点右折時のシーンをカバーしたこと、そして幹線道路の速度域まで守備範囲が伸びたことは、実用上の意味が小さくありません。運転負荷軽減の面でも、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の先行車検知距離と精度が改善され、従来より滑らかな追従挙動になっています。
2026年8月一部改良でのトールの主な変更点
- 衝突警報機能/衝突回避支援ブレーキ機能に対横断自転車の検知機能を追加
- 交差点右折時の対向車線の車両、右左折時の対向方向から来る横断歩行者の検知機能を追加
- 対歩行者への最高速度条件を60km/hから80km/hへ変更
- ACCの先行車検知距離と精度を改善し、より滑らかな挙動へ
- SRSサイドエアバッグ(運転席/助手席)を標準装備化
- SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)を標準装備化
- リヤコーナーセンサーを2個追加
- ヘッドランプ点灯延長機能を追加
- Xグレードの運転席にシートリフターとアームレストを追加
- Xグレードに自発光式2眼メーター(タコメーター付)とTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを採用
- ボディカラーの変更(新開発3色を含む)
サイド・カーテンシールドエアバッグを全車標準装備化
今回もっとも評価したいのが乗員保護の底上げです。これまでグレードやオプションによって扱いが分かれていたSRSサイドエアバッグ(運転席/助手席)とSRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)が標準装備となりました。両側スライドドアを備え、後席に子どもを乗せる使い方が多いクルマだけに、後席まで守るカーテンシールドエアバッグが全車に行き渡った意味は大きいでしょう。
あわせてリヤコーナーセンサーが2個追加され、後方の検知範囲が広がりました。ヘッドランプ点灯延長機能も加わり、降車後しばらく足元を照らしてくれます。
Xグレードの装備を大幅に見直し 2眼メーターとTFTディスプレイを採用
Xグレードには自発光式2眼メーターとTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを採用
エントリーグレードの「X」も内容が大きく変わりました。運転席にはシートリフターとアームレストが追加され、体格に合わせた着座姿勢を取りやすくなっています。メーターは自発光式2眼メーター(タコメーター付)に、インフォメーション表示はTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイへと格上げされました。
Xはこれまで「価格は魅力的だが、運転席まわりの作り込みは割り切られている」という位置づけでしたが、今回でその印象はかなり薄まります。法人需要や2台目需要でXを選ぶ層にとっては、地味ながら効いてくる改良です。
なお現行のトールは、標準ボディの「G」「Gターボ」にも電動パーキングブレーキ&オートブレーキホールドと全車速追従機能付ACCがメーカーオプションで用意されており、カスタムの外観を必要としないユーザーでも運転支援装備を選べる構成になっています。カスタムG/カスタムGターボではこれらが標準装備、足踏み式パーキングブレーキが残るのは「X」のみです。
新開発3色を含むボディカラーの入れ替えでモノトーン8色+2トーン2色に
ボディカラーも刷新されました。新たに開発された「イエローイッシュブラッククリスタルマイカ」「グレイッシュオリーブメタリック」「ブラックマイカメタリック×グレイッシュオリーブメタリック」を設定。さらに「シャイニングホワイトパール」「クールバイオレットクリスタルシャイン」「ブラックマイカメタリック×シャイニングホワイトパール」が追加設定されています。
これまでトールとジャスティにはクールバイオレットクリスタルシャインの設定がなく、ルーミーだけの色でした。今回それが解消された形です。白系もパールホワイト3からシャイニングホワイトパールへ切り替わっています。個人的におもしろいと思ったのは、名前のとおり黒に黄味を含ませたイエローイッシュブラッククリスタルマイカで、光の当たり方で表情が変わる凝った色。堅実なファミリーカーであるトールに、こうした遊びのある色が用意されたのは歓迎したいところです。
改良後のモノトーンは全車共通で8色、2トーンはカスタム専用の2色で、合計10色構成となりました。
イエローイッシュブラッククリスタルマイカ
グレイッシュオリーブメタリック
ファイアークォーツレッドメタリック
レーザーブルークリスタルシャイン
クールバイオレットクリスタルシャイン
シャイニングホワイトパール
ブライトシルバーメタリック
ブラックマイカメタリック
2026年8月改良後 トールのボディカラー一覧
- イエローイッシュブラッククリスタルマイカ〈X17〉(33,000円高)
- グレイッシュオリーブメタリック〈G65〉
- ファイアークォーツレッドメタリック〈R67〉
- レーザーブルークリスタルシャイン〈B82〉(33,000円高)
- クールバイオレットクリスタルシャイン〈P19〉(33,000円高)
- シャイニングホワイトパール〈W25〉(33,000円高)
- ブライトシルバーメタリック〈S28〉
- ブラックマイカメタリック〈X07〉
- ブラックマイカメタリック×グレイッシュオリーブメタリック【XN6】(カスタム専用・55,000円高)
- ブラックマイカメタリック×シャイニングホワイトパール【XH3】(カスタム専用・77,000円高)
2026年8月一部改良後の価格
改良にともない価格も改定され、トールは1,830,400円から、トールカスタムは2,170,300円からとなりました。装備の追加分を考えれば、値上げ幅は抑えられている印象です。
| グレード | 駆動方式 | 値段 |
|---|---|---|
| X | 2WD(FF) | 1,830,400円 |
| 4WD | 2,006,400円 | |
| G | 2WD(FF) | 1,989,900円 |
| 4WD | 2,165,900円 | |
| Gターボ | 2WD(FF) | 2,117,500円 |
| グレード | 駆動方式 | 値段 |
|---|---|---|
| カスタムG | 2WD(FF) | 2,170,300円 |
| 4WD | 2,346,300円 | |
| カスタムGターボ | 2WD(FF) | 2,313,300円 |
いずれも消費税込みで、寒冷地仕様が含まれる北海道地区は上記より24,200円高い価格設定です。ターボに4WDの設定がない点は従来どおりで、OEM供給先であるトヨタ・ルーミーにも同様の改良が入るとみられます。
フルモデルチェンジは2027年6月以降が有力 次期型はDNGAとハイブリッドへ
トールのフルモデルチェンジは2027年6月以降が有力です。当初は2024年内の刷新が計画されていましたが、認証不正問題を受けた再発防止策としてダイハツが開発標準日程を従来比1.4倍へ延ばしたため、次期型の投入時期が大きく後ろへずれ込みました。2026年8月の一部改良で装備を厚くしてきたのも、この空白期間を埋める狙いと読めます。
次期型では、2019年7月の4代目タントで初採用された新プラットフォーム「DNGA」の採用が濃厚です。トールは開発期間の制約からブーン(トヨタ・パッソ)由来の骨格を流用しており、ロードノイズや高速走行時の落ち着きが弱点として挙げられ続けてきました。DNGA化はこの弱点に直接効く変更になります。
パワートレインは、2021年11月にロッキー/ライズへ投入されたシリーズハイブリッド「e-SMART HYBRID」の搭載が有力です。エンジンを発電に専念させモーターで走る方式で、市街地燃費と静粛性の改善幅が大きいのが特徴です。トールは登録車クラスで販売の柱にあたるモデルであり、電動化の適用が見送られる理由は乏しいと考えています。あわせて、センターディスプレイの大型化、パノラミックビューモニター、ブラインドスポットモニターの設定も見込まれます。
また、トールをベースにした3列7人乗りのコンパクトミニバンを追加する構想も一部で噂されています。ただし現時点で具体像が固まっているとは言いがたく、ダイハツの多人数乗車モデルとしてはロッキーをベースに全長とホイールベースを広げた3列シート車の方が具体化が進んでいる状況です。
2024年12月9日の一部改良で9インチディスプレイオーディオとバックカメラを標準装備
トールは2024年12月9日に一部改良を受け、同日発売されました。姉妹車のルーミーも同日、ジャスティは12月12日の発売です。
中身の柱は法規対応でした。2024年11月1日から継続生産車にも「後退時車両直後確認装置」の装着が義務づけられたため、それまでメーカーオプションだった9インチディスプレイオーディオとバックカメラが全車標準装備となり、リアバンパーのセンサーも2個追加されています。ディスプレイの表示内容も見直されました。
比較的高価な装備が一気に標準化されたため、値上げ幅は各グレード17万5,900円〜20万1,200円と大きなものになりました。エントリーの「X」(2WD)は156万6,500円から174万2,400円へ移行しています。エンジンや基本スペックに変更はありません。
この改良にあたり、ダイハツは2024年10月下旬をもって従来仕様の生産を終了しています。一時的に新車の供給が止まったことから「トールが生産終了した」という受け止め方も広がりましたが、実態は保安基準の改正に合わせたラインの切り替えでした。
ダイハツの認証不正で2023年12月に出荷停止、2024年4月19日に生産再開
2023年12月20日、ダイハツは第三者委員会の報告を受け、25の試験項目で174件の不正行為があったことを公表しました。不正が確認された車種は生産を終えたものを含めて64車種・3エンジンにおよび、同社は国内外で生産中の全ダイハツ開発車種の出荷を一旦停止します。トールとそのOEM3車種もこの対象に含まれました。
影響は販売現場を直撃し、2024年2月にはルーミーの登録台数が前年同月比88.1%減の1,027台まで落ち込み、トールとジャスティは50位以下に沈んでいます。
その後、国土交通省の立ち会い試験などによって道路運送車両法の基準に適合していることが確認され、2024年3月15日に出荷停止指示が解除、3月25日に生産済み車両の出荷が再開されました。生産そのものは2024年4月19日、京都工場で再開されています。すでに販売された車両については、そのまま乗り続けて問題ないとの見解が示されました。
トールが対象となったリコール 電動パーキングブレーキ・フォグランプ・燃料ポンプ
近年、トールは複数のリコールの対象となっています。中古車を検討する場合も、すでに所有している場合も、車台番号での対象確認と対応状況のチェックをおすすめします。
トールが対象となった主なリコール
- 2023年1月19日 電動パーキングブレーキ/トール、タフト、タント、ロッキー、ジャスティ、シフォン、ルーミー、ライズの8車種・33万9883台(2020年5月29日〜2022年8月26日製造)。制御コンピュータのプログラムが不適切でブレーキケーブルの戻し量が不足し、最悪の場合パーキングブレーキが解除できなくなるおそれ。不具合報告401件
- 2023年6月26日 フォグランプ/トールを含む約5万5000台。フォグランプが点灯しなくなるおそれ
- 2023年11月2日 燃料ポンプ/トール、ブーン、ルーミー、タンク、パッソ、ジャスティの6車種・26万9280台(2018年4月5日〜2019年5月10日製造)。インペラの樹脂密度が低く燃料で膨潤・変形し、最悪の場合は走行中のエンストに至るおそれ。2021年6月24日届出(21車種・95万6221台)、2023年5月25日届出(18車種・14万7042台)と同内容で、検証の進展により対象が拡大されたもの
2022年9月1日の一部改良は法規対応が中心
2022年9月1日に一部改良が行われました。排出ガス規制、フロン排出抑制法、タイヤ取り付けに関する法規への対応が主で、内外装デザインの変更はありません。装備面ではメーカーオプション「コンフォートパッケージ」にナノイーXが追加されました。
ボディカラーは「ブリリアントカッパークリスタルマイカ」とその2トーン仕様が廃止され、全10色構成に整理されています。細かいところでは、オイルフィルターがエレメント交換タイプからカートリッジ交換タイプへ変更されました。値上げは実施されたものの、車両本体価格で1万円と小幅に抑えられています。
2021年6月7日に福祉車両「トール シートリフト」を新設定
2021年6月7日、福祉車両「フレンドシップシリーズ」の新ラインアップとして、助手席が回転して車外へ降りる乗降シート車「トール シートリフト」が設定され、同日発売されました。姉妹車のルーミーでは2018年3月から「ウェルキャブ 助手席リフトアップシート車」として設定されており、トールにも同種の仕様が追加された形です。低床フロアと大開口スライドドアを備えるトールの素性が、介助を伴う用途にも向いていることを示す追加でした。
2020年9月15日のマイナーチェンジで安全装備を刷新 タンク統合で3姉妹に
現行トールにとって最大の節目が、2020年9月15日のマイナーチェンジです。キャッチフレーズは「ALL COOL THOR」で、新価格は155万6,500円〜209万円となりました。
予防安全面では、スマートアシストが全車標準装備となり、ステレオカメラを2代目タフト用の改良型へ変更。衝突警報機能と衝突回避支援ブレーキ機能が夜間歩行者と追従二輪車の検知に対応し、検知距離と対応速度も向上しました。ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)、路側逸脱警報機能、ふらつき警報、標識認識機能が新たに加わり、カスタムにはADB(アダプティブドライビングビーム)、サイドビューランプ、全車速追従機能付ACCも装備されています(ACCは「G」「Gターボ」にもオプション設定)。
装備面では、ダイハツの小型車として初めて電動パーキングブレーキを採用したほか、ディスプレイオーディオを新設定。降車時にスイッチを押しておくと、電子キーを持って近づくだけでパワースライドドアが自動で開く「ウェルカムオープン機能」と「ウェルカムドアロック解除」も「X」を除く全グレードに標準装備されました。
外内装はフロントバンパーとグリル、センタークラスターパネルを新意匠に変更し、シート形状も見直し。カスタムはヘッドランプ、アルミホイール、リアコンビネーションランプが新意匠となり、メーカーオプション「スタイルパック」とディーラーオプション「プレミアムエアロパック」を組み合わせた「アナザースタイルパッケージ(プレミアム)」が新設定されています。ボディカラーはトール専用色の「コンパーノレッド」と「ターコイズブルーマイカメタリック」が追加されました。
グレード体系も整理され、「X”SA III”」が「X」に統合されたほか、2018年11月の一部改良で一度整理されていた「G」「カスタムG」の名称が再び設定され、ターボ車も「Gターボ」「カスタムGターボ」へ改称されています。燃費と排出ガスの表示はWLTCモードへ移行しました。
そしてこのマイナーチェンジのタイミングで、OEM先のトヨタが姉妹車の整理に踏み切ります。タンクが前日の2020年9月14日をもって販売を終了し、ルーミーへ一本化されました。トヨタが2020年5月から全店舗全車種併売へ移行し、販売チャンネルごとに姉妹車を用意する意味が薄れたことが背景です。これによりトール一族は4姉妹から3姉妹となりました。
なお、トールとルーミーのすぐ上のクラスに位置していたトヨタのプチバン「ポルテ」「スペイド」も、2020年12月に生産を終了しています。両側スライドドアを備え価格帯も近いルーミー/トールが、実質的にその受け皿となりました。トールが登録車としてダイハツの主力に据えられている理由の一つがここにあります。
トールの基本スペックは?ファミリーに人気のコンパクトトールワゴン
2016年の発売以来、ダイハツの登録車では売れ筋にあたる初代トール。後席には両側スライドドアを採用しており、特に小さな子どもがいるファミリー層に支持されています。
トール スタンダードグレード
トール カスタムグレード
| 型式 | M900S(2WD)/M910S(4WD) |
|---|---|
| 全長 | 3,700mm(3,705mm) |
| 全幅 | 1,670mm |
| 全高 | 1,735mm |
| 室内長 | 2,180mm |
| 室内幅 | 1,480mm |
| 室内高 | 1,355mm |
| 最小回転半径 | 4.6m(4.7m)※15インチ装着車が4.7m |
| ホイールベース | 2,490mm |
| 最低地上高 | 130mm |
| 車両重量 | 1,080〜1,140kg |
| 車両総重量 | 1,355~1,415kg |
| タイヤサイズ(ホイール) | 165/65R14(X・G・Gターボ=14インチフルホイールキャップ、カスタムG=14インチアルミホイール) 175/55R15(カスタムGターボ=15インチアルミホイール) |
| 乗車定員 | 5名 |
| トランスミッション | CVT |
| 燃料タンク容量 | 36L(2WD)/38L(4WD) |
| グレード | X/G/Gターボ/カスタムG/カスタムGターボ |
| 燃費(WLTCモード) | 16.8~18.4km/L |
燃費値は2020年9月のマイナーチェンジでWLTCモードへ移行しています。WLTCモードではNAの2WDが18.4km/L、ターボの2WDが16.8km/Lとなり、NAの4WDも16.8km/Lです。ターボに4WDの設定はありません。
ボディサイズは標準車が全長3,700mm、カスタムが3,705mm。全幅1,670mm、全高1,735mmは共通です。全長と全幅はダイハツのコンパクトカーであるブーンとほぼ同じで、プラットフォームもブーン系をベースとしています。
一方で全高はブーンの1,525mmに対しトールは1,735mm。210mmの差がそのままトールワゴンらしい開放感につながっています。
開口高1,216mm×開口幅597mmのスライドドアに低床フロアで乗り降りが楽
販売規模の面では、同じ車体でもトヨタ・ルーミーが圧倒的な台数を稼いでおり、ダイハツ名義のトールは月間平均648台(2025年5月〜10月)と控えめです。ダイハツにとってのトールは、台数そのものよりも登録車の受け皿としての存在意義が大きいモデルといえます。
2026年8月の一部改良前に設定されていたボディカラー
参考として、2026年8月31日の一部改良より前に設定されていたボディカラーも掲載しておきます。当時はモノトーン7色+カスタム専用2トーン4色の全11色構成で、白系はパールホワイト3、青系はターコイズブルーマイカメタリックとレーザーブルークリスタルシャインという組み合わせでした。
ルーミーに設定される「クールバイオレットクリスタルシャイン」がトール・ジャスティには用意されていなかったのもこの時期までで、現在は選択できます。
改良前のダイハツ トールのボディカラー一覧
- ターコイズブルーマイカメタリック
- レーザーブルークリスタルシャイン(33,000円高)
- ファイアークォーツレッドメタリック
- パールホワイト3(33,000円高)
- ブライトシルバーメタリック
- プラムブラウンクリスタルマイカ(33,000円高)
- ブラックマイカメタリック
- ブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック(55,000円高)
- ブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャイン(77,000円高)
- ブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリック(55,000円高)
- ブラックマイカメタリック×パールホワイト3(77,000円高)
ターコイズブルーマイカメタリック
レーザーブルークリスタルシャイン(33,000円高)
ファイアークォーツレッドメタリック
パールホワイト3(33,000円高)
ブライトシルバーメタリック
プラムブラウンクリスタルマイカ(33,000円高)
ブラックマイカメタリック
ブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック(55,000円高)
ブラックマイカメタリック×レーザーブルークリスタルシャイン(77,000円高)
ブラックマイカメタリック×ファイアークォーツレッドメタリック(55,000円高)
ブラックマイカメタリック×パールホワイト3(77,000円高)
トールのモデルチェンジ遍歴
トールはダイハツが2016年から販売する小型トールワゴンで、軽自動車で培った低床フロアや両側スライドドアのノウハウを登録車へ持ち込んだモデルです。トヨタ「ルーミー」「タンク」、SUBARU「ジャスティ」としてOEM供給され、最大4車種が並んだ時期もありました。ここまでフルモデルチェンジは一度も行われておらず、初代が10年目に入っています。
トール 初代「THOR」M900S/M910S型(2016年~)
トールは2018年11月の改良でスマアシ3を搭載 2020年9月の改良で全車標準装備となった
2016年11月9日、初代トールとトールカスタムがデビューしました。グレードは「X」「G」「Gターボ」「カスタムG」「カスタムGターボ」を基本に、予防安全機能を備える”SA II”付きの仕様が併売される構成。同日にはOEM車のトヨタ「ルーミー」「タンク」も発売され、11月21日にはSUBARU「ジャスティ」が加わって4姉妹となりました。
2018年5月、販売会社特別仕様のベース車両「G”リミテッド SA II”」を設定し、ディーラーオプションの「エアロスタイリッシュパック」もあわせて用意されました。
2018年11月1日、一部改良を実施。「スマートアシストIII」を採用して前後コーナーセンサーを標準装備とし、グレード名称を”SA II”から”SA III”へ変更。「G」「カスタムG」は上位グレードへ統合され、ボディカラーも見直されました。同時に特別仕様車「G”リミテッド SA III”」「カスタムG”リミテッド SA III”」を発売しています。
2019年10月1日には特別仕様車「G”リミテッドII SA III”」「カスタムG”リミテッドII SA III”」を発売。メッキドアアウターハンドルとトップシェイドガラスが特別装備でした。
2020年9月15日、初代トール最大の節目となるマイナーチェンジを実施。スマートアシストを全車標準装備とし、ステレオカメラを刷新して夜間歩行者や追従二輪車の検知に対応させました。ダイハツの小型車として初めて電動パーキングブレーキを採用し、ディスプレイオーディオやウェルカムオープン機能も新設定。内外装を刷新するとともにグレード名を「X」「G」「Gターボ」「カスタムG」「カスタムGターボ」へ整理し、燃費表示もWLTCモードへ移行しました。前日の9月14日にはトヨタ・タンクが販売を終え、ここから3姉妹体制となります。
2021年6月7日、福祉車両「フレンドシップシリーズ」に昇降シート車の「トール シートリフト」を新設定。
2022年9月1日の一部改良は法規対応が中心で、コンフォートパッケージへのナノイーX追加とボディカラーの整理、1万円の値上げにとどまりました。
2023年12月20日、ダイハツの認証不正問題により全ダイハツ開発車種が出荷停止となり、トールとOEM3車種も対象に。2024年3月15日に出荷停止指示が解除され、3月25日に出荷が、4月19日に京都工場での生産が再開されました。
2024年12月9日の一部改良では、後退時車両直後確認装置の義務化に対応するため9インチディスプレイオーディオとバックカメラを全車標準装備化。装備の追加にともない17万5,900円〜20万1,200円の値上げが実施されました。
そして2026年8月31日、最新の一部改良を実施。スマートアシストに対横断自転車や交差点右折時の検知機能を追加し、SRSサイドエアバッグとカーテンシールドエアバッグを標準装備化。Xグレードには自発光式2眼メーターとTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ、運転席シートリフターとアームレストを追加し、ボディカラーにも新開発の3色を含む入れ替えが行われました。
こうして並べると、大きな節目は2018年11月の一部改良と2020年9月のマイナーチェンジの2回で、以降は法規対応と装備の底上げが中心という流れが見えてきます。2016年の発売からフルモデルチェンジを一度も挟まずに10年目という長寿は、認証不正による開発日程の見直しが直接の要因です。
トールとOEM姉妹車の販売年表
トールは同じ車体を4社ブランドで販売した珍しいモデルで、現在も3車種が併売されています。台数の面ではトヨタ・ルーミーが圧倒的で、トール本体との差は10倍以上に開いています。
| モデル | 販売年表 |
|---|---|
| ダイハツ トール 初代 M900S/M910S型 | 2016年~現在 |
| トヨタ ルーミー(OEM) | 2016年~現在 |
| トヨタ タンク(OEM) | 2016年~2020年 |
| SUBARU ジャスティ(OEM) | 2016年~現在 |
現行型トールの課題と次期型で解決が期待されるポイント
次期型トールは、現行型の販売が堅調でダイハツに代替となる車種が存在しないことから、「ファミリーカーとしても優秀なコンパクトトールワゴン」というコンセプトとターゲット層はほぼ確実に維持されます。両側スライドドアなどのパッケージが変更されることも考えにくいでしょう。
そのうえで、現行型が抱える弱点と、次期型で手が入るとみられる領域を整理します。
プラットフォームは「DNGA」へ 静粛性と乗り心地の改善が最大のテーマ
「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」は、ダイハツが開発した軽自動車およびBセグメント以下の小型車向けプラットフォームです。2019年7月の4代目タントで初採用され、以後タフト、ロッキー、ムーヴキャンバスなどへ展開されてきました。
一方でトールは、開発期間の制約からブーン系の骨格を流用しており、DNGA世代の車と比べるとボディ剛性や遮音の作り込みで見劣りします。ロードノイズの大きさや高速走行時の落ち着きのなさは、ユーザー評価でも繰り返し指摘されてきた点です。次期型でのDNGA採用は、この積年の課題に直接効く変更になります。
ボディサイズは全長拡大の可能性 5ナンバー枠は維持される見込み
現行型トールのボディサイズは3,700mm(カスタム3,705mm)×1,670mm×1,735mm
現行型の全長は3,700mm(カスタム3,705mm)です。次期型では全長を伸ばして室内空間をさらに広げる可能性があります。
上のクラスにあったポルテとスペイドが2020年12月に生産を終え、トールとルーミーがその役割まで引き受ける形になったことを踏まえると、多少の大型化はむしろ歓迎される方向でしょう。ライバルのソリオが4代目で全長を80mm伸ばしてきたことも、判断材料のひとつになります。
街乗りで使われる機会が多いため全幅はほとんど変わらないとみられる
一方で全幅は現行の1,670mmから大きく広がらないとみられます。5ナンバーサイズの条件である全幅1,700mm未満を外れると、この車を選ぶ層にとっての最大の価値である取り回しの良さが損なわれるためです。
パワートレインは現行の2本立てを維持 次期型でe-SMART HYBRIDの追加が有力
現行型トールには、1.0Lの直列3気筒NA「1KR-FE型」とターボの「1KR-VET型」の2種類が用意されています。ターボの廃止やNAの整理は行われておらず、2026年8月の一部改良でもパワートレインには手が入っていません。この構成のまま10年目を迎えました。
| NA(1KR-FE型) | ターボ(1KR-VET型) | |
|---|---|---|
| 排気量 | 996cc | 996cc |
| 種類 | 直列3気筒 | 直列3気筒ICターボ |
| 最高出力 | 51kW(69PS)/6,000rpm | 72kW(98PS)/6,000rpm |
| 最大トルク | 92Nm/4,400rpm | 140Nm/2,400~4,000rpm |
| 駆動方式 | 2WD(FF)/4WD | 2WD(FF)のみ |
| 燃費(WLTCモード・2WD) | 18.4km/L | 16.8km/L |
NAは近所の買い物中心なら不足を感じにくい一方、「上り坂でパワー不足を感じる」「発進時の加速が鈍い」という声が根強くあります。車両重量が1,080kgを超えるボディに69PSという組み合わせですから、これは構造的な問題です。
次期型では、シリーズハイブリッド「e-SMART HYBRID」の追加が有力とみられます。エンジンを発電に専念させモーターで駆動する方式のため、発進から中間加速までモーターのトルクで走れるようになり、現行NAの不満点はそのまま解消される見込みです。市街地燃費の改善幅も大きく、後述するソリオとの燃費差を一気に埋める切り札になります。
ライバル車ソリオはハイブリッドで先行 燃費はトール積年の宿題

ダイハツ・トールの直接のライバルはスズキ・ソリオです。ソリオは2020年12月4日に4代目へフルモデルチェンジし、さらに2025年1月16日の一部仕様変更で中身が大きく変わりました。
この変更でフロントマスクを一新するとともに、パワートレインは1.2Lのマイルドハイブリッドに一本化。エンジンは従来の4気筒から新型スイフトと共通の3気筒「Z12E型」へ置き換えられ、CVTも刷新されています。安全装備もミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた「デュアルセンサーブレーキサポートII」を全車標準装備とし、上位グレードには全車速追従型ACCも備わりました。
トール搭載エンジンと燃費(トールのカタログより抜粋)
| トール(カスタムG 2WD) | ソリオ(ハイブリッドMZ 2WD/2025年1月改良) | |
|---|---|---|
| 全長 | 3,705mm | 3,790mm |
| 全幅 | 1,670mm | 1,645mm |
| 全高 | 1,735mm | 1,745mm |
| 最小回転半径 | 4.6m | 4.8m |
| ホイールベース | 2,490mm | 2,480mm |
| 燃費(WLTCモード) | 18.4km/L | 22.0km/L |
| エンジン型式 | 1KR-FE型 | Z12E型 |
| 排気量 | 996cc | 1,197cc |
| 種類 | 直列3気筒DOHC | 直列3気筒DOHC+マイルドハイブリッド |
| 最高出力 | 51kW(69PS)/6,000rpm | 60kW(82PS) |
| 最大トルク | 92Nm(9.4kgm)/4,400rpm | 109Nm |
| 価格 | 2,170,300円 | 2,248,400円 |
同じWLTCモードで比べると、燃費は18.4km/Lと22.0km/Lで3.6km/Lの差。出力とトルクでも1.2Lのソリオが上回ります。小回りではトールが4.6mと優位に立ち、全幅は25mm広いぶん室内の余裕につながりますが、走りと燃費の数値そのものはソリオに分があるのが現状です。
この差は、現行型トールが開発期間の制約からブーン(トヨタ・パッソ)由来のプラットフォームとエンジンを流用せざるを得なかったことに起因します。ソリオが軽量な新設計プラットフォームと電動アシストで数値を伸ばしてきたのに対し、トールは基本設計の世代差をそのまま抱えてきました。
いうならば燃費はトール誕生時からの宿題です。2026年8月の一部改良は安全装備を大きく前進させましたが、この宿題にだけは手が届いていません。DNGAによる骨格の刷新とe-SMART HYBRIDの搭載が実現すれば、一度に答えが出ます。2027年6月以降とみられる次期型が、そのタイミングになりそうです。




















