スパークプラグの交換

スパークプラグの役割と交換時期 寿命や費用の目安をわかりやすく解説

スパークプラグの役割と仕組み、一般プラグ・白金・イリジウムの違い、種類別の交換時期の目安と費用相場を解説します。片貴金属と両貴金属で寿命が大きく変わる理由や、DIY交換の注意点もまとめました。

スパークプラグ(点火プラグ)とは?役割・種類・寿命・交換費用を解説

スパークプラグは、ガソリンエンジン内で混合気に点火する、車を動かすために欠かせない部品です。交換時期を過ぎた状態で使い続けると、加速力の低下・燃費悪化・エンジン始動不良など様々なトラブルを招きます。寿命は種類によって1万km台から10万km前後まで開きがあり、同じ「イリジウムプラグ」という名前でも交換サイクルが5倍以上違う製品が混在しています。スパークプラグの役割・仕組み・種類の見分け方・適切な交換時期・交換費用の目安まで詳しく解説します。

スパークプラグの役割:圧縮された混合気に点火してエンジンを動かす

スパークプラグは燃焼室内に設置され、空気とガソリンを混合した「混合気」に点火する役割を担います。点火によって混合気が瞬間的に爆発・燃焼し、そのエネルギーがピストンを押し下げることで、車の動力となる回転力が生まれます。搭載本数は気筒数と同じで、3気筒の軽自動車なら3本、直列4気筒の普通車なら4本、V型6気筒なら6本が装着されています。

  • 世界中で販売するスパークプラグのトップシェアを誇る日本特殊陶業
  • ガソリンエンジンの車に使うスパークプラグ
  • ガソリンエンジンの車に使うスパークプラグ
  • スパークプラグの説明
  • スパークプラグの発火部の説明
  • 日本特殊陶業が扱うレーシングプラグ
  • 日本特殊陶業が扱うレーシングプラグ
  • 日本特殊陶業が扱うレーシングプラグ
  • 水素エンジンの車に使うスパークプラグ
  • 水素エンジンの車に使うスパークプラグ
  • セラミックスベアリングボール

展示されたプラグを間近で見ると、ガソリンエンジン用と水素エンジン用では発火部の形状や電極の突き出し量が明らかに違い、燃料の性質に合わせて設計が作り分けられていることが伝わってきます。レーシングプラグは碍子(がいし)部分が短く、熱を素早く逃がす構造になっている点も目で見て分かります。

高電圧による火花放電で混合気に着火する仕組み

ガソリンエンジンの混合気は、そのままでは自発的に燃焼しません。スパークプラグはイグニッションコイルによってバッテリーの12Vを2万〜3万Vの高電圧に変換し、先端の電極間に強力な火花放電(スパーク)を発生させて混合気に着火します。この火花を飛ばすために必要な電圧を「要求電圧」と呼び、電極が摩耗して電極すき間(プラグギャップ)が広がるほど要求電圧は高くなります。

ガソリンエンジンが動力を得る4つのサイクル

  1. 吸入行程:混合気を取り込む
  2. 圧縮行程:混合気を圧縮する
  3. 燃焼(膨張)行程:スパークプラグで点火しエネルギーを取り出す
  4. 排気行程:燃焼後のガスを排出する

エンジンはこの4サイクルを繰り返して動力を生み出します。燃焼によって発生した水蒸気・二酸化炭素などの燃焼生成物が電極周辺に付着すると点火性能が低下するため、排気行程でシリンダー外へ排出されます。アイドリング状態の1,000回転でも、1本のプラグは1分間に500回前後の放電を繰り返しており、消耗部品として扱われるのはこの使用頻度の高さが理由です。

スパークプラグの構造:電極・碍子・ガスケットが担う役割

スパークプラグは単純な金属棒ではなく、高温・高圧・高電圧という三重の過酷な環境に耐えるために複数の部品で構成されています。各部の名称を知っておくと、交換時や点検時の説明が理解しやすくなります。

スパークプラグの主な構成部位

  • 中心電極:火花の起点となる電極。材質の違いが寿命と着火性能を左右する
  • 接地電極(外側電極):先端でL字に曲がり、中心電極と向かい合う電極
  • 火花ギャップ(電極すき間):両電極の間の空間。摩耗で広がると要求電圧が上がる
  • 碍子(がいし):中心電極の漏電を防ぐ絶縁体。表面のひだ(コルゲーション)は沿面距離を稼ぎ、火花が横に逃げるフラッシュオーバーを防ぐ
  • ハウジング:エンジンにねじ込む金属部。プラグレンチをかける六角部を含む
  • ガスケット・座面:燃焼室の気密を保ち、プラグの熱をエンジン側へ逃がす
  • ターミナル:イグニッションコイルからの高電圧を受ける端子部

実際に手に取ると、碍子のひだは指で数えられるほどはっきりした段差になっており、ここが絶縁のための形状であることが触感で分かります。ガスケットは熱を逃がす通り道でもあるため、締め付け不足で座面が密着していないと、プラグ自体が過熱して本来の寿命に届かなくなります。

電極の先端が摩耗して丸くなったら交換のサイン

スパークプラグの電極先端は、高電圧放電を繰り返すことで徐々に摩耗し、鋭利な形状から丸みを帯びた形状へと変化します。電極が丸くなると点火に必要な電圧(要求電圧)が上昇し、点火性能が低下します。その結果、失火(着火ミス)が起きやすくなり、エンジンの効率に悪影響を与えます。プラグを取り外して電極の摩耗状態を確認することで、交換のタイミングを判断できます。

見落とされがちなのは、摩耗したプラグがイグニッションコイル側の寿命も削るという点です。要求電圧が上がるほどコイルは高い電圧を発生させ続けることになり、負担が蓄積します。プラグ交換を先延ばしにした車で、後からコイルの不良が出るケースが見られるのはこのためです。

スパークプラグ劣化のサイン:こんな症状が出たら要点検

スパークプラグの状態が悪化すると、混合気への着火能力が低下し、エンジンのかかりが悪くなる・アイドリングが不安定になるなどの症状が現れます。さらに進行すると以下のような不具合が起こります。

スパークプラグの劣化で起こり得るエンジンの不調

  • 加速力の低下、アクセルを踏んだときの息つき
  • 燃費(燃料消費率)の悪化
  • アイドリングの振動が不規則になる(失火による)
  • エンジン警告灯の点灯・点滅
  • エンジンが始動できなくなる(重症の場合)

特に注意したいのは、エンジン警告灯が「点滅」する状態です。点滅は失火が連続して発生していることを示す表示で、未燃焼ガスがそのまま排気側へ流れ込みます。未燃焼ガスは触媒(排ガス浄化装置)の内部で燃えて異常高温を生み、触媒そのものを溶損させます。触媒は部品単体で数万円から十数万円規模になる部品で、数千円のプラグを交換しなかった結果として費用が二桁変わる典型例です。警告灯が点滅したまま走り続けず、早めに停車して点検を受けてください。

焼け色と汚れからプラグの状態を読み取る

取り外したプラグは、碍子先端の色を見るだけでもエンジンの燃焼状態を推測できます。整備の現場で最初に確認されるのがこの焼け色です。

焼け色別に考えられる状態

  • 薄いきつね色・灰褐色:正常な燃焼。中心電極温度が適正範囲に収まっている
  • 黒くすすけている(くすぶり):中心電極温度が自己清浄温度の約450℃に届いておらず、カーボンが焼き切れていない状態。短距離走行の繰り返しや、熱価が高すぎる番手の装着で起こりやすくなります
  • 白く焼けすぎ・電極が溶けている:過熱状態。約950℃に達すると火花がなくても混合気が着火するプレイグニッション(過早着火)が発生し、ピストンを傷めます
  • 湿ったオイル汚れ:燃焼室にエンジンオイルが入り込んでいる可能性があり、プラグ交換だけでは解決しません

スパークプラグが本来の性能を発揮するのは、中心電極温度が約500〜800℃に保たれているときです。黒いくすぶりが1本だけに出ている場合はその気筒の失火やコイル不良、全気筒に均等に出ている場合は使い方や番手選びが原因と切り分けられます。

劣化を放置すると未燃焼ガスが増加し、燃費・出力・排ガス性能のすべてが同時に悪化します。メーカーが推奨する交換サイクルを目安に、定期的な点検・交換を行うことが重要です。

スパークプラグの種類:電極の材質で寿命と性能が変わる

スパークプラグは純正品と社外品があり、中心電極に使われる金属の種類によって主に3種類に分類されます。耐久性・着火性能・価格がそれぞれ異なるため、自分の車や使用状況に合ったものを選ぶことが大切です。国産車に装着されているのは、NGKブランドを展開する日本特殊陶業と、DENSOの製品がほとんどを占めます。

一般プラグ(ニッケル合金プラグ/レジスタープラグ)

電極にニッケル合金を使用した最も標準的なプラグです。電極を細く加工することが難しく、貴金属プラグと比べて着火性能は劣ります。耐久性も低いため寿命は短く、こまめな交換が必要です。カーラジオ等のノイズを抑えるセラミック抵抗体(レジスター)を内蔵しているため「レジスタープラグ」とも呼ばれます。価格が安く手に入れやすい点がメリットです。旧年式の自然吸気エンジンや、農機・汎用エンジンでは現在も現役で使われています。

白金プラグ(プラチナプラグ)

電極先端に白金合金(プラチナ)を使用したプラグです。ニッケル合金より耐久性に優れ電極の消耗が少ないため、長寿命が最大の特徴です。価格は一般プラグより高めですが、交換頻度が下がるため長期的なコストパフォーマンスは良好です。一般プラグを2万kmごとに5回交換するのと、白金プラグで10万kmを1回でまかなうのとでは、工賃まで含めた総額に大きな差が出ます。

イリジウムプラグ

中心電極にイリジウム合金を使用したプラグです。イリジウム合金は融点が非常に高く消耗に強いため、電極を極限まで細くすることが可能です。一般プラグの中心電極が2.5mm前後なのに対し、イリジウム電極は0.4〜0.6mm級まで細くできます。電極が細いほど火花が集中し、混合気が電極に熱を奪われる量も減るため着火性能が高まります。製品によって高性能を追求した一般寿命タイプと、耐久性を重視した長寿命タイプがあります。

片貴金属と両貴金属の違い:イリジウム=長寿命とは限りません

購入前に最も誤解されやすいのが、この区別です。「イリジウム」と名前に付いていても、中心電極だけに貴金属を使った片貴金属タイプの交換目安は一般プラグと同等です。寿命が延びるのは、接地電極側にも白金チップなどの貴金属を配した両貴金属タイプに限られます。

製品名による見分け方

  • 片貴金属(一般寿命タイプ):NGK イリジウムIX、DENSO イリジウムパワー、DENSO イリジウムツインテールなど
  • 両貴金属(長寿命タイプ):NGK イリジウムMAX、NGK プレミアムRX、DENSO イリジウムタフなど

片貴金属タイプは着火性の向上を目的とした製品で、寿命の延長を狙ったものではありません。「イリジウムに替えたから10万kmは大丈夫」と考えて2万kmを大きく超えて使い続けると、本来の性能を失ったまま走ることになります。品番や製品名で判断が付かない場合は、整備工場やディーラーで確認すると確実です。

なお両貴金属タイプの中でも、ルテニウムを配合した中心電極と白金突き出し+オーバル形状の外側電極を組み合わせたNGKのプレミアムRXプラグは、従来のイリジウムプラグと比べて電極の消耗量が約4分の1に抑えられています。同社のテストでは、一般プラグとの比較で燃費が2.2%向上する結果も示されています(2,400cc 4気筒DOHCでの測定)。

熱価(ヒートレンジ)とは何か、番手を変えてよいのか

熱価とは、発火部が受ける熱と逃がす熱のバランスを表した数値です。熱を受けやすく焼けやすいものをホットタイプ(低熱価)、熱を受けにくいものをコールドタイプ(冷え型・高熱価)と呼びます。NGK・DENSOとも品番内の数字が大きいほど冷え型ですが、数字の基準はメーカーごとに異なるため、銘柄をまたいで選ぶ際は対応表の確認が必要です。

低熱価は低速走行でも自己清浄温度まで上がりやすい反面、高負荷時にプレイグニッション温度へも達しやすくなります。高熱価は高負荷に強い一方、街乗り中心ではカーボンがたまりやすくなります。ノーマルエンジンであれば、熱価は純正指定のまま使うのが基本です。番手を変える必要が出るのは、過給圧を上げたチューニングエンジンやサーキット走行を前提にした場合に限られます。「焼けが悪いから熱価を下げる」という判断を先にしてしまい、本来の原因である失火やインジェクターの不調を見逃すケースも見られます。

スパークプラグの交換時期の目安:種類と車種によって異なります

交換目安の走行距離はプラグの種類によって大きく異なります。また、軽自動車は同じ速度で走る際のエンジン回転数が高く、放電回数が増えるため、普通車よりも交換サイクルが短くなります。

主なスパークプラグの交換時期目安
種類 寿命目安(普通車) 寿命目安(軽自動車) 特徴
一般プラグ(ニッケル) 1.5万~2万km 0.7万~1万km 標準的な寿命。価格が安い。
片貴金属プラグ
イリジウムIX(NGK)
イリジウムパワー(DENSO)
1.5万~2万km 0.7万~1万km 中心電極のみ貴金属。着火性重視で寿命は一般プラグと同等。
両貴金属プラグ
白金プラグ
イリジウムMAX・プレミアムRX(NGK)
イリジウムタフ(DENSO)
6万~10万km 4万~6万km 両電極に貴金属を使用した長寿命タイプ。

長寿命タイプの白金・イリジウムプラグであれば、年間走行距離1万kmの普通車で6〜10年間使用できる計算になります。一方、一般プラグや片貴金属タイプのイリジウムプラグは1〜2年ごとの交換が必要です。急加速を多用する運転スタイルや、エンジンが温まりきらない短距離走行の繰り返しが多い場合は、上記の目安より早めに消耗します。走行距離が目安の7割に達したあたりで一度抜いて電極を確認しておくと、不調が出てから慌てる事態を避けられます。

法定12か月点検にも点火プラグの状態が含まれています

スパークプラグは任意整備の部品だと思われがちですが、道路運送車両法に基づく自動車点検基準では、自家用乗用車の12か月点検(法定1年点検)の項目にガソリンエンジン車の点火プラグの状態が含まれています。ただし白金プラグ・イリジウムプラグが装着されている場合は点検を省略できる扱いになっており、実際には外して確認されないまま年数が経過することが珍しくありません。

車検(24か月点検)で確認されるのは点火時期やディストリビュータのキャップの状態などで、プラグそのものの残り寿命が保証されるわけではありません。「車検を通したばかりだからプラグは大丈夫」という判断は成り立ちません。整備記録簿を見て、前回プラグを交換した時期と走行距離を自分で把握しておくことが現実的な管理方法です。

直噴ターボ車やハイブリッド車で交換サイクルが変わる理由

同じ両貴金属プラグでも、エンジン形式によって消耗の進み方は変わります。筒内直接噴射(直噴)やリーンバーンのエンジンは燃焼室の温度が高くなりやすく、電極の消耗が早まります。過給(ターボ)が加わると筒内圧力が上がり、火花を飛ばすための要求電圧がさらに高くなるため、メーカー指定の交換距離が自然吸気エンジンより短く設定されている車種もあります。

ハイブリッド車は逆の事情があります。エンジンが頻繁に停止・再始動し、低温のまま運転される時間が長いため、自己清浄温度に届かずカーボンが付着しやすい傾向が出ます。失火が起きるとシステム側が出力を制限する制御に入ることもあり、ガソリン車より症状が体感されやすい部分です。また、3気筒の小排気量エンジンを積む普通車は、1本あたりの放電頻度が軽自動車に近づくため、軽自動車寄りの交換サイクルで考えておくと安全側に倒せます。

スパークプラグの交換費用の目安と大手カー用品店の工賃比較

交換費用は「プラグ本体の部品代」と「作業工賃」の合計です。プラグ本体は一般プラグで1本数百円〜、長寿命の白金・イリジウムプラグで1本2,000〜4,000円程度が目安です。工賃は気筒数(交換本数)や車種によって変わりますが、部品代と工賃の合計として1台あたり1万〜2万円程度を目安にしておくと良いでしょう。交換は1本だけではなく全気筒まとめて行うのが原則で、1本だけ新品にすると気筒ごとの燃焼状態に差が出てアイドリングが安定しにくくなります。

大手カー用品店の工賃例(参考)
カー用品店 工賃(1本あたり) 作業目安時間
オートバックス 1,100円〜
※特殊車種や脱着作業が多い車種は別途
20分〜
イエローハット 660円〜 30分〜
ジェームス 2,000円〜(車種タイプによる) 30分〜90分

※上記の工賃は店舗・車種によって異なります。利用前に各店舗へ確認することをおすすめします。

表の「1本あたり」という表記には注意が必要です。工賃が安く見えても、横置きV型6気筒のように奥側バンクへアクセスするためインテークマニホールドの脱着が必要な車種では、追加工賃が本体工賃を上回ることもあります。見積もりを取る際は、本数ではなく「総額でいくらか」を確認すると実際の負担が把握できます。

イグニッションコイルも同時に交換すべきか

プラグ交換ではイグニッションコイルを必ず脱着するため、「ついでに替えるべきか」という判断が必要になります。コイルは明確な交換距離が設定されていない部品ですが、走行距離が10万kmを超えたあたりから不調の報告が増えます。特に、摩耗したプラグを長く使っていた車は、高い要求電圧をコイルが負担し続けた分だけ劣化が進みやすくなります。

走行10万km前後でプラグを交換する場合や、すでに特定の気筒で失火が出ている場合は、同時交換を検討する価値があります。逆に、走行距離が浅く不調の兆候もない車で予防的にコイルまで交換するのは、費用対効果の面で優先度が下がります。

スパークプラグをDIYで交換する際の手順と注意点

適合品番と工具の調べ方

作業に入る前に決まるのが品番です。同じ車種でもエンジン型式が違えば適合プラグは変わるため、車検証に記載された型式を確認し、プラグメーカーの適合品番検索で該当品番を特定します。番手違いや突き出し量違いのプラグを組んでしまうと、着火不良やピストンとの干渉につながります。

工具は、品番一覧に記載された六角二面幅(NGKの場合はHexの数字)に合うプラグレンチを選びます。16mmや14mmが主流で、内部にマグネットやゴムが入ったタイプだと、深いプラグホールから古いプラグを引き上げやすくなります。エクステンションバーとトルクレンチも用意しておくと、締め過ぎ・締め不足を避けられます。

スパークプラグの基本的な交換手順

  1. エンジンを十分に冷まし、エンジンカバーを外す
  2. プラグホール周辺の砂やほこりをエアで吹き飛ばす
  3. イグニッションコイルを固定しているボルトを外し、カプラーを抜いてコイルを取り外す
  4. プラグレンチでスパークプラグを緩めて取り外す
  5. 古いプラグの電極の摩耗や焼け具合を確認する
  6. 新しいプラグを手で回して真っすぐに入れ、規定トルクで締め付ける
  7. イグニッションコイル・カプラー・エンジンカバーを取り付けて完了

手順自体は難しくありませんが、最も注意すべきポイントがあります。プラグをエンジンにねじ込む際に斜めに入れてしまう「ねじ山のかじり」です。アルミ製のシリンダーヘッドはプラグ側の鋼材より柔らかく、斜めのままレンチで力をかけるとヘッド側のねじ山が先に削れます。修復にはヘリサート(ねじ山再生)加工が必要で、作業内容によってはシリンダーヘッドを降ろす大掛かりな修理になり、数万円の費用では収まらなくなります。必ず工具を使わず手で回し、最後まで指の力だけで入っていくことを確認してから締め付けに移ってください。

締め付けトルクはネジ径や座面形状によって異なるため、プラグメーカーが公開している指定値に従います。トルクレンチがない場合は、ガスケット付きの新品プラグを手で止まるところまで入れてから、さらに約2分の1〜3分の2回転だけ締める回転角法が使われます。また、イグニッションコイルのカプラーは樹脂のツメが経年で硬化しており破損しやすいため、取り外しは爪を確実に押しながら行ってください。作業に自信がない場合は、ディーラー・カー用品店・整備工場などの専門店に依頼することを強くおすすめします。

DIYに向く車と、プロに任せたほうがいい車

DIYが成立しやすいのは、エンジンカバーを外せばプラグホールが真上から見える直列3〜4気筒の自然吸気エンジンです。作業時間は30分前後で、工具代を含めても依頼するより安く収まります。

一方、次の条件に当てはまる車は、工賃を払って依頼したほうが結果的に安くなります。横置きV型エンジンで奥側バンクに手が届かない車、直噴エンジンでインジェクターや高圧配管が密集している車、ターボ車で遮熱板の脱着が必要な車、そしてプラグホールが深くコイルが固着しやすい過走行車です。「工賃を節約するつもりが、ねじ山の修理で十数万円の出費になった」というのが、この作業で最も後悔が大きいパターンです。

スパークプラグに関するよくある疑問

交換を検討する段階で質問が集中するポイントをまとめます。

交換前によく挙がる質問

  • 1本だけ交換してもよいか:応急処置としては可能ですが、燃焼状態が気筒ごとに揃わず振動や燃費のばらつきが残ります。全数同時交換が基本です
  • 清掃すれば再使用できるか:一般プラグはワイヤーブラシでカーボンを落として一時的に復活させられますが、細い貴金属電極は清掃で削れてしまうため再使用に向きません
  • 交換すると燃費は良くなるか:摩耗したプラグから新品に替えた場合は燃焼効率が戻るため改善します。正常なプラグを早期に交換しても、体感できるほどの変化は出ません
  • 社外品に替えると出力は上がるか:純正がすでにイリジウムの車では、プラグ交換だけで出力が大きく変わることはありません。始動性やアイドリングの安定といった体感しやすい部分に効果が出ます

プラグを長持ちさせたい場合に効果があるのは、高価な製品を選ぶことよりも使い方の見直しです。エアクリーナーエレメントが詰まると混合気が濃くなりカーボンが付着しやすくなるため、定期的な清掃・交換が電極の汚損対策になります。短距離走行が中心の使い方では、月に一度程度まとまった距離を走り、電極が自己清浄温度まで上がる機会を作ることでくすぶりを抑えられます。

スパークプラグは定期交換でエンジンの性能と安全を維持できます

「エンジンがかからない」というトラブルはバッテリー上がりが原因として知られていますが、スパークプラグの寿命が尽きていることも同様の症状を引き起こします。また、完全に止まる前段階でも、燃費悪化・パワーロス・エンジン振動といった形で影響が現れます。1本数千円の部品を放置した結果、触媒やイグニッションコイルといった高額部品の交換に発展するのが、この部品で最も避けたい展開です。

エンジンの調子が優れないと感じたら、前回スパークプラグを交換した時期を確認しましょう。整備記録簿に交換履歴が残っていない中古車や、装着されているのが片貴金属タイプだった車では、想定より早く交換時期が来ています。交換目安の走行距離や期間に近づいている場合は、早めに点検・交換を検討してください。

「スパークプラグの交換」に関連するFAQ

スパークプラグを長持ちさせるコツは?

自分の条件に最適な熱価のプラグを選択したり、くすぶり汚損に対して強いプラグ使用するのが長持ちする。チョイノリや低速走行ばかりだと、スパークプラグは「くすぶり」「かぶり」というカーボンで電極全体が汚れた状態になり、失火が起こることでエンジンの挙動が不安定になる。また熱価の低いプラグで高負荷運転を繰り返すとプラグは白く「焼けすぎ」の状態になり電極の溶解や異常燃焼によってエンジンの損傷が起こることもある。

スパークプラグを物理的な寿命まで使ってもいい?

スパークプラグにはメーカーが推奨する経済寿命と、物理的な消耗まで使用する物理的寿命の2種類があるが、物理的な寿命まで使用することは、車の損傷の原因となったり燃費が悪化するなどがあるので、物理的寿命の前に交換するのが良い。

同じ素材でも軽自動車の方がスパークプラグの寿命が短くなるのはなぜ?

軽自動車と普通車のエンジンの常用回転数の違いによるもの。軽自動車はエンジンの回転数が高いため、スパークプラグの火花を散らす回数も増え、軽自動車は普通車に比べてスパークプラグの寿命が短くなる。

古いスパークプラグを使うデメリットは?

スパークプラグが古くなり着火性能が落ちてくるとアイドリング回転数が不安定になったり、燃費が悪化したり、車の加速性が悪化したり、排ガスの二酸化炭素の量が増えたりする。経済的デメリットを回避するためにも寿命が来る前の交換が望ましい。

レーシングプラグ(レース用プラグ)の寿命は?

レーシングプラグ(レース用プラグ)は使用状況によって寿命が異なり、各メーカーで経済寿命を明示していないが、耐久性のある素材で作られたレース用プラグであっても過酷な状況で使用することが想定されており、1万kmを寿命の目安としていることが多い。

ディーゼル車にスパークプラグがないのはなぜ?

ディーゼル車は加圧し軽油の着火点まで温度を上昇させた空気に、軽油を霧状に噴射して圧縮着火で爆発的な燃焼をする。
ガソリン車は空気とガソリンの混合気を圧縮し、スパークプラグによって火花点火することで爆発燃焼する。
内燃機関の原理の違いによってディーゼルエンジンにはスパークプラグが使用されていない。