リトラクタブルヘッドライトとは?

リトラクタブルヘッドライトとは何か 格納式ライト誕生の歴史から廃止理由・かっこいい旧車まで徹底解説

リトラクタブルヘッドライト搭載の人気旧車6選とその特徴を紹介。RX-7・180SX・プレリュードなどの選び方から、車検・維持費・修理の注意点まで網羅。旧車購入を検討している方向けに実践的なアドバイスもまとめました。

リトラクタブルヘッドライトとは?格納式ライトはどのように愛されて、消えていったのか?

リトラクタブルヘッドライトとは、主に自動車に採用されていたボンネットに格納できる前照灯の形式です。リトラクタブル(Retractable)とは日本語で「格納する・引っ込められる」を意味し、昼間など必要のないときはボンネット内部にライトを収納。夜間など必要なときのみ、電動(まれに手動)でライトが展開します。

格納式ライト・リトラクタブルライト・リトラクタブルヘッドランプなど複数の呼び方があり、車好きの間では「リトラ」と略されます。昭和〜平成初期を代表するスポーツカーのトレードマークでしたが、現在は市販新車への採用例が存在しません。本記事では、リトラの誕生から流行・廃止の経緯、かっこいい搭載旧車の紹介、車検・維持の注意点まで詳しく解説します。

リトラクタブルヘッドライトが人気となった経緯は?格納式ライトはスポーツカーの象徴!

リトラクタブルヘッドライトは、1960年代以降に世界中で広まり、日本でも多くの車種に採用されました。リトラクタブルヘッドライトが人気となった背景を見ていきましょう。

リトラクタブルヘッドライトは1936年に誕生し、1963年登場のロータス・エランによって世界的にメジャーな存在に!

トヨタ・2000GTの設計やマツダ・ユーノスロードスターのデザインにも影響を与えたロータス・エラン。

日本では70年代後半から90年代にかけて人気を集めるリトラクタブルヘッドライトですが、その歴史は意外に古く、世界初のリトラクタブルヘッドライト搭載車は1936年式のアメリカ車「コード810」(翌1937年式は812)です。当時主流だった飛び出したフェンダーマウントのヘッドライトがデザインを損なわないよう、フェンダー頂部に収納できる構造を採用しました。美観を保つためのアイデアとして誕生したのがリトラクタブルヘッドライトの出発点です。

日本でもヒストリックカーとして、トヨタ自動車博物館に展示されています。しかし、この時点ではリトラクタブルヘッドライトは流行しませんでした。本格的に採用が広まるきっかけとなるのは、1963年のロンドンショーで公開されたイギリスのロータス・カーズのオープンカー「ロータス・エラン」以降のことです。

項目 内容
初の搭載車 1936年式「コード810」(翌1937年式812)(アメリカ車)。デザイン上の美観確保が目的。
日本での展示 トヨタ自動車博物館に展示
当初の評価 当初は流行せず
普及のきっかけ 1963年ロンドンショー公開「ロータス・エラン」が採用し、世界的に注目される
日本車への影響 トヨタ2000GTやマツダ・ユーノスロードスターのデザインに影響

日本初のリトラクタブルヘッドライト搭載車は国産初のスーパーカー・トヨタ2000GT

日本で初めてリトラクタブルヘッドライトを搭載したのは伝説的な名車2000GT。

日本でリトラクタブルヘッドライトを初めて採用した車は、1967年に市販化されたトヨタ2000GTです。「クラウンが2台買える。カローラなら6台買える」といわれた当時の国産最高峰スポーツカーで、トヨタがヤマハ発動機と共同開発しました。本体価格は現在の価値にして2,000万円以上とも言われますが、技術力の広告宣伝を兼ねた実質赤字販売でした。当時の自動車メーカーが持てる技術をすべて注ぎ込んだ世界的な名車が、日本初のリトラクタブルヘッドライト搭載車となったわけです。なお、総生産台数は約337台と少量生産モデルでもありました。

項目 内容
日本初搭載車 トヨタ2000GT(1967年市販)
共同開発企業 トヨタ自動車 × ヤマハ発動機
価格と販売目的 当時「クラウン2台分」。技術力アピール・広告戦略を兼ねた実質赤字販売。
総生産台数 約337台の少量生産車
意義 国産初のスーパーカー/世界に誇る名車

70年代後半からスーパーカーブームが到来し、80〜90年代はリトラクタブルヘッドライトが大流行!

スーパーカーブームで特に人気の高かったランボルギーニ・カウンタックもリトラ搭載車!

マイカー所有率の増加や漫画『サーキットの狼』などの影響もあり、日本では1970年代後半にスーパーカーブームが到来します。当時人気の高かったスーパーカーといえば、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ・365GT4BB(後の512BB)、ランチア・ストラトスなど、リトラクタブルヘッドライト搭載車たちです。

日本車では1978年にマツダがトヨタ2000GT以来のリトラクタブルヘッドライト搭載量産スポーツカーサバンナRX-7(SA22C型)を発売。初代RX-7は「プアマンズポルシェ」とも呼ばれ、アメリカでも47万台を売り上げた人気モデルとなりました。

こうしてリトラクタブルヘッドライトはスーパーカーやスポーツカーの象徴となり、80年代・90年代にかけて多くの国産車に採用されるようになりました。1989年には国産車だけで20車種以上がリトラクタブルヘッドライトを採用するという、まさに全盛期を迎えます。

時代背景 概要
1970年代後半 スーパーカーブームが到来。カウンタック・フェラーリ・ストラトスなどリトラ搭載車が注目を浴びる。
人気の海外車種 ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ・365GT4BB、ランチア・ストラトスなど
日本での展開 1978年にマツダがサバンナRX-7(SA22C型)を発売。トヨタ2000GT以来のリトラ搭載量産車として話題に。
初代RX-7の評価 「プアマンズポルシェ」と呼ばれ、アメリカでも47万台を販売した人気スポーツカー。
全盛期 1989年には国産車だけで20車種以上がリトラクタブルヘッドライトを採用。

リトラクタブルライトはスーパーカー世代の憧れ!リトラ搭載の自転車も存在!

1970年代後半にスーパーカーブームが到来するも、本物のスーパーカーを買えるのは一握りの富裕層のため、子どもたちを中心に「スーパーカー消しゴム」などスーパーカーをモチーフにした商品が流行します。「スーパーカー自転車」(通称・デコチャリ)もそのひとつ。小中学生向けのジュニア自転車にリトラクタブルライトを採用し、スイッチを押すとウィーンと機械音が鳴りながらライトが展開して前方を照らすという仕組みです。

このライトは「スーパーカーライト」として宣伝されました。リトラクタブルライト=スーパーカー、というイメージが当時いかに強かったかを端的に示すエピソードです。

時代背景 概要
1970年代後半 スーパーカーブームが巻き起こるが、本物を購入できるのは一部の富裕層に限られた。
子ども向け商品 スーパーカー消しゴムやスーパーカー自転車など、憧れを形にしたグッズが流行。
スーパーカー自転車 ジュニア向けの自転車にリトラクタブルライトを装備。スイッチ操作でライトが展開。
広告表現 ライトは「スーパーカーライト」と呼ばれ、リトラ=スーパーカーという認識が定着。

リトラクタブルヘッドライトを「半目」や「片目」にして楽しむカスタムも登場

サバンナRX-7を皮切りに日本でもリトラクタブルヘッドライトの車が増えると、自分好みにカスタムする人も増えてきました。ポップアップしたリトラクタブルヘッドライトはまるで顔の目に見えることから、完全に収納せずやや開いた状態にしておく「半目」、片方だけ展開させるウィンク状の「片目」が定番カスタムとなり、「半目キット」など専用グッズも販売されたほどです。リトラクタブルヘッドライトは閉じているときはクールで格好いいですが、展開するとやや愛嬌のある表情に変わります。こうしたギャップが車好きのハートをつかみ、個性を表現する楽しみとして愛されました。

リトラクタブルヘッドライトの魅力とは?世界中で採用された背景

リトラクタブルヘッドライトの車が世界中で製造されたのには、車の「デザイン」と「保安基準」という2つの大きな要因があります。

採用理由 内容
デザインの自由度向上 消灯時にライトが格納されるため、ボディラインを崩さず滑らかなフロントデザインが可能になる。
保安基準への対応 特にアメリカでライトの形状・最低地上高に厳しい規制があり、低ノーズと両立する手段として普及した。
カスタム文化 半目・片目などの個性的なカスタムが流行し、車好きの間で所有欲・遊び心を満たす存在となった。

ヘッドライトの形や位置に捉われずに車のエクステリアをデザイン

リトラクタブルヘッドライトが世界中で流行した最大の背景は、ライトを格納することで「車のデザインの自由度が増す」点にあります。ヘッドライトは車にとって欠かすことのできない部品である一方、フロントデザインの大きな制約にもなります。消灯時はボンネットに格納できるなら、エクステリアのデザインは自由度を大きく増します。ライトを隠すことで空気抵抗の低減や視覚的な印象の向上も期待でき、自動車メーカーのデザイナーにとっても大きなメリットがありました。また、ライトが「パカッ」と開く動作そのものが機械的な面白さとサプライズを生み、所有する喜びや優越感にもつながりました。

スポーツ走行を実現しつつ、ヘッドライトの「最低地上高」など保安基準をクリア

一般的にスポーツカーは車高が低く、空気抵抗を抑えるように設計されています。しかし、ヘッドライトの位置には多くの国で保安基準があります。日本の場合、ヘッドライトは「地上から50cm以上、1.2m以下」と規定されています。特にアメリカでは1984年のFMVSS改定まで、丸形・角型のSAE規格型灯体しか認められず、かつカリフォルニア州では「地上24インチ(約61cm)以上」という高さ規制もありました。

リトラクタブルヘッドライトなら、フロントノーズを低く抑えつつ、使用時だけボンネット上部に展開して最低地上高をクリアできます。つまり、スポーツカーの空力設計と保安基準の双方を両立する現実的な解決策として広まったわけです。

ポイント 内容
スポーツカーの設計 車高を低くし空気抵抗を減らすようにデザインされている。
日本のヘッドライト規定 地上50cm〜1.2mの高さ制限がある。
米国の厳格な規定 1984年のFMVSS改定まで規格型ライト以外使用不可。地上24インチ以上の高さ規制もあった。
リトラクタブルライトの利点 必要時だけ展開することで、低ノーズデザインと地上高規制を両立。

リトラクタブルヘッドライトの市販車はもう出ない!廃止された理由

日本では2002年8月のマツダRX-7生産終了、世界的には2005年2月11日のシボレー・コルベット(C5→C6)のフルモデルチェンジ以降、リトラクタブルヘッドライトの市販車は新車市場から姿を消しています。リトラクタブルヘッドライトそのものを禁止する法律はないものの、現在の保安基準では推奨されず、かつてのメリットも大きく失われています。廃止された主な理由を整理します。

リトラクタブルヘッドライトは事故時の「歩行者保護」に問題がある

ライト点灯時にボンネット上に突起が生じる構造のリトラクタブルヘッドライトは、歩行者との衝突事故の際に人体への衝撃が大きくなります。1998年にEUが「歩行者安全基準」を施行し、突起物の排除とデイタイムランニングランプ(DRL)の常時点灯義務化が定められたことが、事実上リトラクタブルヘッドライトの生きる道を閉ざす決定打となりました。

格納式のため製造コストが増すにもかかわらず、凍結や故障のリスクが高い

リトラクタブルヘッドライトは通常のライトと比べて部品点数が多く、展開用のモーターや配線が必要なため故障リスクも高くなります。寒冷地では凍結でライトが開かないトラブルも起こり得ます。コスト・信頼性の両面で、固定式ヘッドライトに大きく劣っていました。ホンダNSXや三菱GTOがマイナーチェンジで固定式に変更した理由のひとつも、重量面・信頼性面の問題でした。

点灯時の空気抵抗増、ライトの重量増で、結果としてスポーツ走行には不向きと判明

かつてスポーツカーに最適と言われたリトラクタブルヘッドライトですが、実際には走行性能にマイナスの影響を与えることが広く知られるようになりました。ライト展開時には空気抵抗がかえって増大し、そもそも格納機構の追加で車両重量が増すため、スポーツ走行には不利です。さらに、ボンネット中央部ではなく左右端の重量が増えるため、ハンドリング性能の悪化にも直結します。レーシングカーがリトラクタブルを外して固定式ライトを使うことで「固定式の方がレーシーでカッコいい」というイメージまで生まれるほどでした。

昼間のヘッドライト点灯が義務化される国が増え、格納式にする意味がなくなった

フィンランド・スウェーデン・ノルウェーなどの北欧諸国、カナダ、ブラジルなどでは昼間のライト点灯(デイタイムランニングランプ)が法令で義務化されています。常時点灯が必要なら格納する意味はなく、リトラクタブルヘッドライトのメリットは皆無です。日本車が国内専売に絞るのは難しい以上、こうした他国の法規制動向も採用を阻む大きな要因となっています。

米国のヘッドライト規制緩和で、リトラクタブルにして最低地上高を稼ぐ必要がなくなった

リトラクタブルヘッドライト流行の背景にあった「アメリカの厳格なライト規制」は、1984年のFMVSS改定、さらに1990年代にかけて段階的に緩和されました。規格型以外のライトが許容され、低ノーズのまま固定式ライトを搭載できるようになったため、リトラクタブルにして最低地上高を稼ぐ必要性がなくなったのです。安全基準への対応策として誕生したリトラクタブルヘッドライトが、同じく安全基準の変化によって消えていくという歴史的な皮肉です。

廃止理由 内容
歩行者保護問題 ライト展開時の突起が衝突時に危険。1998年EU歩行者安全基準が事実上の廃止の決定打となった。
製造コストと故障リスク モーターや配線など部品が増え、凍結・故障リスクが高い。製造コストも割高。
空気抵抗と重量増 ライト展開時に空気抵抗が増大。車両重量も増し、左右端の重量増でハンドリング悪化。
昼間ライト点灯義務化 北欧・北米・ブラジルなどで義務化が進み、格納する意義がなくなった。
米国規制緩和 1984年以降、ライト形状・高さ規制が緩和され、固定式でも低ノーズ設計が可能になった。

リトラクタブルヘッドライトがかっこいい車は?人気の旧車6選

実際にはスポーツ走行に不利な面も多いリトラクタブルヘッドライトですが、そのデザインに憧れを持つ人は今も多くいます。リトラがかっこいい日本の名車を紹介します。いずれも生産終了モデルであり、入手は中古市場に限られます。

最後のリトラクタブルヘッドライト搭載国産車となったRX-7

  • 2002年に生産終了となったリトラクタブルヘッドライト搭載車RX-7
  • 正面からみたRX-7
  • RX-7のリヤ

トヨタ2000GT以来、約10年ぶりに国産量産車としてリトラクタブルヘッドライトを採用した初代サバンナRX-7(SA22C型)。アンフィニRX-7、マツダRX-7など時代ごとに販売名称は変わりましたが、1978年の初代から3代目FD3S型まで歴代すべてにリトラクタブルヘッドライトを搭載し続けました。2002年8月の3代目FD3S型生産終了をもって、国産車のリトラクタブルヘッドライトの歴史は幕を下ろしました。ロータリーエンジン搭載のピュアスポーツカーとして国内外にファンが多く、今なお復活を望む声が絶えない名車です。

項目 内容
生産期間 初代SA22C型(1978年)〜3代目FD3S型(2002年8月生産終了)
歴代RX-7のライト 初代から3代目まで、すべてリトラクタブルヘッドライトを搭載。
RX-7の特徴 ロータリーエンジン搭載のピュアスポーツカー。国内外に多くのファンがいる名車。
現在の状況 生産終了。入手は中古車市場のみ。

リトラクタブルヘッドライト好きならこちらを選ぶシルビアの姉妹車180SX

中古市場でも数の多い180SX中期型。

180SXはシルビアS13型の姉妹車となる3ドアハッチバッククーペで、1989〜1998年まで10年間販売されました(1998年生産終了)。歴代最大のヒットモデルでドリフトカーとしても有名なシルビアS13型が固定式ヘッドライトを採用したのに対し、180SXは角型2灯式のリトラクタブルヘッドライトを採用しているのが特徴です。「フロントマスクが好きだから」とあえて180SXを選ぶ旧車ファンも多く、根強い人気を誇ります。

項目 内容
車種 シルビアS13型の姉妹車、3ドアハッチバッククーペ
生産期間 1989年〜1998年(生産終了)
特徴 角型2灯式リトラクタブルヘッドライトを採用。シルビアとは異なるフロントマスクが魅力。
人気の理由 フロントデザインを好んで購入する旧車ファンが多い。ドリフト車両としても人気。

セリカA60型には国産車唯一のポップアップ式ヘッドランプ採用の前期型とリトラクタブル採用の後期型が存在

セリカA60型の直4モデルの前期型は国産車唯一のポップアップ式ヘッドランプを採用。

初代は「ダルマセリカ」と呼ばれ、70年代にはスペシャリティカーとして愛されたトヨタのセリカ。1981〜1985年に販売された3代目A60型は、1983年のマイナーチェンジ前の前期型(直列4気筒モデル)において斜め上向きにヘッドライトを寝かせ、点灯時に進行方向へ起き上がるポップアップ式ヘッドランプを日本車で唯一採用していました。厳密にはポップアップ式はリトラクタブルとは別物で、蝶番の位置と格納方向が異なります(ランボルギーニ・ミウラやポルシェ928なども採用)。その後、1983年のマイナーチェンジ以降の後期型では通常のリトラクタブルヘッドライトを採用し、やや珍しい遍歴を辿ったモデルとなっています。

項目 内容
車名 トヨタ セリカ A60型
生産期間 1981年〜1985年(生産終了)
前期型特徴 国産車唯一のポップアップ式ヘッドランプを採用(直列4気筒モデル・1983年MCまで)
後期型特徴 1983年のマイナーチェンジ以降、通常のリトラクタブルヘッドライトを採用

リトラクタブルヘッドライト採用のエクステリア変更で華やかになった2代目プレリュード

元祖デートカーとしてホンダの大ヒット車種となった2代目プレリュード。

デートカーというジャンルを築いたホンダ・プレリュードですが、初代(1978〜1982年)は海外需要が8割で日本での存在感は薄いモデルでした。プレリュードが人気を博するのは2代目(1982〜1987年)以降。リトラクタブルヘッドライトを採用してエクステリアを刷新し、車高が低くスタイリッシュなデザインで女性からの評価も高く、「デートカー」というジャンルを日本で開拓していったモデルです。

項目 内容
車名 ホンダ プレリュード 2代目
生産期間 1982年〜1987年(生産終了)
特徴 リトラクタブルヘッドライト採用によるエクステリア刷新。低くスタイリッシュなデザイン。
人気の背景 女性からの評価が高く「デートカー」という新ジャンルを開拓した。

セミ・リトラクタブルヘッドライト搭載のZ31型フェアレディZ

格納時にもライトが少しだけ見えているセミ・リトラクタブルヘッドライトのZ31型。

日産フェアレディZのZ31型(1983〜1989年、生産終了)は、格納時にもライト上半分ほどが見えているセミ・リトラクタブルヘッドライトを採用しています。パッシング操作でライトを常時開けておかなくても対応できる点がメリットで、ホンダ・バラードスポーツCR-Xやいすゞ・ピアッツァなどにも同様のデザインが見られます。完全格納式とは異なる独特の表情が魅力のひとつです。

項目 内容
車名 日産フェアレディZ Z31型
生産期間 1983年〜1989年(生産終了)
ヘッドライトタイプ セミ・リトラクタブルヘッドライト(格納時にライトの上半分が見える)
同様のデザイン採用車 ホンダ・バラードスポーツCR-X、いすゞ・ピアッツァなど

スバルで唯一のリトラクタブルヘッドライト搭載車アルシオーネ

スバルで唯一リトラクタブルヘッドライトを採用した車アルシオーネ。

スバル車唯一のリトラクタブルヘッドライト搭載モデルがアルシオーネ(1985〜1991年、生産終了)です。特徴的なボディは空気抵抗を徹底的に減らすために設計された結果の賜物で、当時の国産市販車としては異色のカタログ前面に空力性能を打ち出したモデルでした。Cd値(空気抵抗係数)0.29という当時の国産車トップクラスの数値を達成しており、空力を追求したボディとリトラクタブルヘッドライトが見事に調和しています。

項目 内容
車名 スバル アルシオーネ
生産期間 1985年〜1991年(生産終了)
特徴 空気抵抗を極限まで抑えたボディ設計。当時の国産市販車としては異色の空力性能強調モデル。

リトラクタブルヘッドライトの旧車を購入した場合の車検はどうなる?

新車での製造・販売はされていないリトラクタブルヘッドライトの車ですが、違法な改造などを加えていなければ車検は通ります。ネット上で「警察官がリトラクタブルヘッドライトを知らなかったために改造車扱いされた」という話が流布していますが、これは警察官の誤りであり、「リトラクタブルライトだから」という理由だけで車検に通らないことはあり得ません。

光軸検査をパスすればリトラクタブルヘッドライトの車には何も問題はない

ヘッドライトは重要な保安部品ですので、「光軸検査」にパスする必要があります。専用の機械で明るさを測定し、ライトが照らす方向にずれがないかを確認する検査です。リトラクタブルヘッドライントの場合も手順は同じで、展開した状態で光軸が基準内に収まっていれば問題ありません。

光軸検査をパスできない、うまく展開しない?リトラクタブルライトの維持はやや大変

日本で最後にリトラクタブルヘッドライトを搭載したマツダRX-7(2002年生産終了)でも、すでに20年以上が経過しています。経年劣化で状態の良い個体が減っているのは間違いありません。車検時に光軸検査をパスできなかったり、配線トラブルでライトの展開・格納がうまくいかなくなるケースもあります。

リトラクタブルヘッドライト搭載車は個体数がそこそこあるため、純正部品が廃番でもリビルト品(再生品)が流通している場合が多く、修理できないケースは少ないですが、モーターごと取り換えが必要なこともあり修理費・維持費は高くなる覚悟が必要です。また、車検前には必ずライトの展開・格納動作と光軸の状態を専門店でチェックしてもらうことをおすすめします。

項目 内容
車検の可否 違法改造がなければリトラクタブルヘッドライト車でも車検は通る。
光軸検査 展開した状態でライトの明るさと照射方向の検査に合格すれば問題なし。
維持の難しさ 経年劣化で光軸ずれやライトの展開不良が起こる場合がある。
修理の現状 純正部品は廃番でもリビルト品があり修理可能なケースが多いが、費用は高め。
購入前の注意 車検前に専門店でライト動作・光軸の事前チェックを推奨。

現代風リトラ車?リトラクタブルヘッドライトを思わせるデザインの車

光岡ロックスター 1970年代にリトラを搭載していたアメ車がモチーフ

保安基準の問題があり市販化が難しいリトラクタブルヘッドライトですが、その雰囲気を踏襲したデザインの車は登場しています。2018年11月に光岡自動車が200台限定で販売したロックスターがその一例です。ベース車両はマツダ・ロードスター(ND系)で、LEDライトを極力小さく目立たなくすることで「リトラ車っぽいルックス」を演出しています。現在の技術なら小さなLEDライトでも保安基準が求める明るさをクリアできることを証明した点でも注目を集めました。

また、2023年のジャパンモビリティショーに出展されたマツダのコンセプトカー「ICONIC SP」は、小型のリトラクタブルヘッドライトを備えて登場し大きな話題を集めました。市販予定のないコンセプトカーではあるものの、リトラへの憧れが今も根強いことを示す象徴的な出来事でした。本物のリトラクタブルヘッドライトの市販車への搭載は難しくても、リトラを思わせるデザインへの挑戦は今後も続きそうです。

項目 内容
光岡ロックスター 2018年11月、200台限定販売。マツダ・ロードスター(ND系)ベース。LEDライトを小型化してリトラ風ルックスを演出。
マツダ ICONIC SP 2023年ジャパンモビリティショー出展のコンセプトカー。小型リトラクタブルヘッドライトを採用し話題に。市販予定なし。
今後の展望 本物のリトラクタブルライトの量産化は難しいが、リトラ風デザイン車やコンセプトカーでの採用は続く可能性がある。

リトラクタブルヘッドライトの復活は難しいが、ライトのデザインは多様化している!

かつて日本でも多くの車種に採用されていたリトラクタブルヘッドライト。見られなくなったことに寂しさを感じますが、残念ながら一般的な市販車への復活の可能性は極めて低いと言わざるを得ません。歩行者保護基準・常時点灯義務化・重量・コストなど、採用を阻む要因が複合的に重なっているためです。

一方、リトラクタブルヘッドライトが廃止されて以降、クルマのヘッドライトのデザインはより多様化し、LED化によって薄型・異形・有機的なフォルムの光源が次々と登場しています。運転支援システムとの連携や対向車への自動配光など、機能面でも進化が続いています。次世代の新たなヘッドライトのデザインや機能に期待しましょう。