アイミーブのマイナーチェンジ

三菱i-MiEV(アイミーブ)は2021年3月末に生産終了 約12年・一代限りで幕、事実上の後継は軽EV eKクロスEV

i-MiEVの後継はどうなった?三菱の量産EVパイオニアは2021年に生産終了し、直接の後継は登場しませんでした。三菱の新しい軽EVは日産サクラの兄弟車「eKクロスEV」(2022年発売・航続180km・約257万円〜)が担います。i-MiEVの生産終了理由と最終スペックを解説します。

三菱i-MiEV(アイミーブ)は2021年3月末に生産終了、一代限りで幕 事実上の後継は軽EV「eKクロスEV」へ

三菱のコンパクトEV「i-MiEV(アイミーブ)」は、世界初の量産電気自動車として2009年7月に登場したパイオニアでしたが、2021年3月末をもって生産を終了しました。約12年にわたるロングセラーで、フルモデルチェンジのないまま一代限りでの幕引きとなっています。

記事公開時(2018年)には「2020年頃に後継車が誕生するのでは」という観測もありましたが、i-MiEVそのものに直接の後継は設定されませんでした。三菱の新しい軽EVは、日産と共同開発した「eKクロスEV」(2022年)へと引き継がれています。まずは記事公開後の動きを整理します。

i-MiEVは2021年3月末に生産終了、約12年の歴史に幕

i-MiEVは、軽自動車「アイ」をベースに、2009年7月に法人・官公庁向けから市場投入され、翌2010年4月に個人向け販売を開始した、量産EVの先駆けです。しかし、電動化の機運が高まる一方で、i-MiEV自体の販売は伸び悩みました。2019年の国内登録は114台、2020年は77台にとどまり、2009年から2020年までの国内累計は約1万1721台。2020年秋には「2020年度中の生産終了」が伝えられ、岡山の水島製作所での生産は2021年3月末で終了しました。

背景には、価格の割高感と航続距離の短さがありました。最終期のi-MiEV(グレードX)は総電力量16.0kWh・一充電走行164km(JC08)で車両本体300万3000円ほど。同時期の日産リーフが40kWhでより長い航続を備え、ボディも大きく安全装備も充実していたことを考えると、EVの多様化が進む中で存在感を保つのが難しくなっていた、というのが実情です。世界初の量産EVという歴史的な一台が姿を消したことは、EVファンにとって一つの時代の区切りとなりました。

「2020年頃に後継車」の噂はどうなった?——三菱の新軽EVは「eKクロスEV」(2022年)

本記事が触れていた「後継車」の噂について、結論を整理します。i-MiEVは後継の具体的な発表がないまま生産を終えました。ただし、三菱のEVがそこで途絶えたわけではありません。三菱は日産との協業(NMKV)で軽EVを共同開発し、2022年5月20日に「eKクロスEV」を発表、6月16日に発売しました。日産「サクラ」と基本を共有する兄弟車で、価格は約257万円から、航続距離は180km(WLTCモード)、総電力量20kWhの軽ハイトワゴン型EVです。

i-MiEVが2018年の改良で登録車(小型車)へと拡大していたのに対し、eKクロスEVは軽自動車の枠に収まり、「毎日にちょっと、いい軽EV」をコンセプトに求めやすさを重視。発売直後から受注を集めるヒットとなりました。i-MiEVの直系ではないものの、三菱のコンパクトEVの系譜は、実質的にeKクロスEVが受け継いでいるといえます。

三菱のコンパクトEV「i-MiEV(アイミーブ)」が2018年4月19日に一部改良を実施

ここからは、本記事のもともとの主題である2018年4月19日の一部改良(i-MiEV最後の改良)を振り返ります。三菱自動車はこの一部改良を実施し、2018年4月19日から全国の系列販売会社を通じて販売しました。

この一部改良では、エクステリアのデザイン変更・ボディサイズの拡大・充電時に役立つ新機能の追加が行われました。ボディを個性的にアレンジできる新作デザインラッピングも設定されました。

ロングホイールベースにマッチしたスポーティ・スタイルを追求

ロングホイールベースで安定感が向上

バンパーデザインやフェンダーを変更

i-MiEVの特徴は、ロングホイールベースの採用により、コンパクトな車体ながら高速安定性と優れた直進性を備えていたことです。

この一部改良では、フロント/リヤバンパーのデザインをロングホイールベースの車体にマッチするものへ変更。前後フェンダーはタイヤを包み込む立体構造とし、サイドエアダムの重厚感を高めてサイドビューに安定感を与えました。

フロントバンパーにはフォグランプを標準装備。歩行者保護法規への対応もあり、この改良でフロントバンパーが約85mm延長され、全長は3,395mmから3,480mmへ拡大されました。モノトーン車では前後ドアサッシュにブラックアウトテープを採用しています。

ボディカラーは2色を新設し、2トーンを含む全5色展開に

この一部改良で、ボディカラーに「スターリングシルバーメタリック」と「スターリングシルバーメタリック/ホワイトパール(2トーン)」の2色が追加され、全5色となりました。

  • レッドメタリック
  • スターリングシルバーメタリック
  • ホワイトソリッド
  • ライトニングブルーマイカ
  • スターリングシルバーメタリック/ホワイトパール 2トーンカラー(75,600円高)

MiEVデカール付の2トーン「スターリングシルバーメタリック/ホワイトパール」のみオプション設定で、75,600円高。EVらしい先進性をアピールするデカールで個性的な印象になります。

新作デザインラッピングでi-MiEVを個性的に

あわせて「MYアイミーブ デザインラッピング」に新デザインが設定されました。第5弾となるこの時は、2トーン風の「マスク」とストライプの「レーサーストライプ」の2系統でアレンジできる5パターンが用意されました。

「MYアイミーブ デザインラッピング」で、i-MiEVのボディをさらに個性的に仕立てられます。

※このデザインラッピングは、一部改良後の新車だけでなく、既存のi-MiEVオーナーや中古車を購入した方も利用できました。

追加されたデザインラッピングは5タイプ

内容は、ルーフカラーを変えた「ブラックマスク」「ホワイトマスク」と、縦ストライプの「レーサーストライプ(ブラック/ホワイト/レッド)」の5種類です。

ボディカラーと組み合わせると、ブラックマスク5種、ホワイトマスク4種、ストライプ・ブラック5種、ストライプ・ホワイト3種、ストライプ・レッド4種の合計21パターンを楽しめました。

  • ブラックマスク
  • ホワイトマスク
  • レーサーストライプ(ブラック)
  • レーサーストライプ(ホワイト)
  • レーサーストライプ(レッド)

一部改良後のi-MiEVは車両価格2,948,400円~(グレードXのみ)

一部改良後のi-MiEVの価格とスペックを紹介します。

この一部改良で、総電力量10.5kWhのグレードMは廃止され、16.0kWhの「X」のみとなりました。車両本体価格は2,948,400円から。100%EVとしてエコカー減税の対象で、自動車取得税・重量税が免税されました。

※i-MiEVは、当時のクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金制度の対象車でした。なお2019年10月の消費税10%対応で、価格は300万3000円となりました。

グレード エコカー減税 車両本体価格(消費税込・当時)
取得税 重量税
X 免税(100%減税) 2,948,400円~

全長が約85mm拡大され、軽自動車から登録車(小型車)へ

この一部改良で、i-MiEVの全長は3,395mmから3,480mmへ拡大されました。全長が延びたことで、i-MiEVは軽自動車から登録車(小型車)扱いへと変わりました(全幅は1,475mmのままで、乗車定員も4名で変わらず)。

i-MiEV グレードXのスペック(一部改良後)
全長 3,480mm
全幅 1,475mm
全高 1,610mm
ホイールベース 2,550mm
最低地上高 150mm
車両重量 1,100kg
乗車定員 4名
最小回転半径 4.5m
駆動方式 2WD
交流電力量消費率 118Wh/km
一充電走行距離 164km(JC08モード)
駆動用バッテリー リチウムイオン電池
総電圧 330V
総電力量 16.0kWh
原動機型式 Y51
定格出力 30kW
最高出力 47kW(64ps)
最大トルク 160Nm(16.3kgm)

充電時に役立つ新機能を追加

一部改良で普通充電給電口ランプを採用

100%EVのi-MiEVには充電が欠かせません。LED照明で充電時の手元を照らす「普通充電給電口ランプ」などが備わります。

この一部改良では、駆動用バッテリー温度が高い状態で急速充電すると充電時間が長くなることを事前に知らせる「電池高温時お知らせ機能」を追加しました。

世界初の量産EVとして時代を切り拓いたi-MiEV、その役目はeKクロスEVへ

i-MiEVは、世界初の量産電気自動車として2009年7月に販売を開始し、日本・欧州・北米を中心に各国へ広がりました。欧州ではプジョー「iOn」やシトロエン「C-ZERO」としても供給され、量産EVの普及に道を開いたパイオニアです。国内の累計販売は約1万1721台(2009〜2020年)にとどまりましたが、テスラが本格的な量産に入る前から市販EVを世に送り出していた功績は、今も色あせません。

そのi-MiEVも、EVの多様化と価格競争が進む中で、2021年3月末に約12年の歴史へ幕を下ろしました。直系の後継は生まれませんでしたが、三菱のコンパクトEVの精神は、日産と共同開発した軽EV「eKクロスEV」(2022年)へと受け継がれています。先駆者が築いた土台の上に、より身近な軽EVの時代が花開いた——そんな流れの中にi-MiEVの功績を位置づけることができます。