メモリーナビとHDDナビどっちを選ぶ?それぞれの短所と長所など
カーナビは今やドライブに欠かせない必需品です。車の購入時にオプションとしてカーナビを選ぶ方も多いですが、種類が多すぎて「どのカーナビを選べば良いか分からない」と迷われるのも事実です。
カーナビを選ぶ際の判断基準の一つとして、かつてはメモリーナビとHDDナビの違いがありました。それぞれのナビがどのような特徴を持ち、現在どちらが主流となっているのかを解説しますので、カーナビ選びの参考にしてください。
メモリーナビとHDDナビは音楽や地図情報などを記憶する「記憶媒体」が違う
メモリーナビとHDDナビの最も大きな違いは、地図情報や音楽、動画などを記録する「記憶媒体(ストレージ)」です。
メモリーナビは、スマートフォンやデジタルカメラにも使われるフラッシュメモリー(SDカードやeMMCなど)を記憶媒体として使用します。一方、HDDナビは、パソコンでも使われていた磁気ディスクのHDD(ハードディスクドライブ)を記憶媒体として使用していました。
かつては、大容量のHDDを搭載したナビが高機能なAV機能を備える高級モデルの主流でしたが、近年、メモリーナビに用いられるフラッシュメモリーの大容量化と低価格化が急速に進みました。これにより、振動に強く、動作速度が速いというメリットを持つメモリーナビが、HDDナビに取って代わり、カーナビの主流となっています。
メモリーナビの特徴は振動に強く操作の反応が早いこと、地図更新も容易
メモリーナビの記憶媒体は、半導体チップを使用したフラッシュメモリーです。フラッシュメモリーは、HDDのように物理的に駆動する部品がないため、走行中の振動や衝撃に非常に強く、故障のリスクが低いという特徴があります。
また、HDDに比べてデータへのアクセス速度が速いため、地図のスクロールや操作したときの反応が早く、ストレスを感じにくいのがメリットです。地図情報や音楽データを記録したSDカード(フラッシュメモリーの一種)をパソコンなどで書き換え、カーナビに差し込むだけで地図更新ができるなど、持ち運びが可能で拡張性が高い点も利点です。
以前は容量の少なさが弱点でしたが、現在ではSDXC規格(最大2TBまで対応)などに対応できる大容量のフラッシュメモリーが搭載され、高性能なAV機能も十分に備えています。
HDDナビの特徴はかつて大容量を活かしたAV機能が魅力だったこと
HDD(ハードディスク)ナビの特徴は、かつてはフラッシュメモリーよりも圧倒的に大容量の記憶領域を持っていたことです。この大容量を活かし、豊富な道路情報に加え、CDから大量の楽曲を録音するミュージックサーバー機能や動画再生など、AV機能を思う存分楽しめるのが魅力でした。
サイバーナビなどの高級カーナビにも採用されていたため、HDDナビの方が高性能というイメージが定着していましたが、HDDはメモリーナビに比べ、走行中の振動による故障のリスクが高く、データへのアクセス速度も遅いという欠点がありました。フラッシュメモリーの大容量化が進んだ現在では、ほとんどのカーナビメーカーがHDDの採用をやめ、メモリーナビへとシフトしています。
カーナビの価格は記憶媒体よりも機能や性能の違いで決まる
かつてはHDDナビが高性能で高価格という傾向がありましたが、現在では、記憶媒体がHDDかメモリーかという違いよりも、画面の大きさ(7インチ、9インチ、10インチなど)やパネルの解像度(WVGAかHDか)、ナビやAV機能の充実度(ネットワーク接続の有無やハイレゾ対応など)によって価格が決まります。
高機能で大画面のハイエンドモデルはフラッシュメモリーを搭載したメモリーナビであり、高価格帯に位置しています。一方、シンプルな機能のベーシックモデルもメモリーナビであり、こちらは比較的リーズナブルな価格で購入できます。
カーナビの主流はメモリーナビに完全に移行し、販売メーカーも注力
現在販売されているパイオニアのサイバーナビ、楽ナビシリーズ、アルパインのビッグXシリーズ、パナソニックのストラーダシリーズなど、ほとんどの主要な一体型カーナビはメモリーナビです。
フラッシュメモリーの容量不足という弱点が解決されたことで、振動に強く、反応が早いというメリットを持つメモリーナビが主流になるのは自然な流れと言えます。HDDナビは市場からほぼ姿を消しており、主要なカーナビメーカーはメモリーナビの開発・販売に注力しています。
このように、現在では一体型カーナビの選択肢はほぼメモリーナビに限られています。「絶対HDDナビがいい」という特別な理由がない限り、メモリーナビを購入する方が選択肢も広がり、ご自身のニーズに合った高性能なモデルを選べます。
ポータブルカーナビにはSSD(ソリッドステートドライブ)を採用したものもある
持ち運びできるポータブルカーナビには、SSD(ソリッドステートドライブ)を記憶媒体としたモデルもあります。代表的なモデルとして、パナソニックのゴリラシリーズなどが挙げられます。
SSDは、SDカードやメモリーナビの内部ストレージと同様に、フラッシュメモリーが使用されている記憶媒体です。SSDは、フラッシュメモリーの特性を活かし、表示が早く衝撃に強いのが特徴のため、複数の車や自宅で使うポータブルカーナビには非常に適した記憶媒体と言えます。
ただし、ポータブルナビは一体型ナビに比べて画面サイズや機能、拡張性が限定されるため、一体型ナビと同等に容量を増やすことはできません。
カーナビ選びに迷ったら便利で使い勝手が良いメモリーナビがおすすめ
このように、カーナビの主流は、かつてのHDDナビからメモリーナビ(フラッシュメモリー採用)へと完全に移行しました。現在、一体型カーナビを購入される場合、選択肢は基本的にメモリーナビとなります。
カーナビ選びに迷った際は、基本性能が高く、多様なモデルから選べるメモリーナビを選択肢の最低条件にしておくと良いでしょう。