アルファロメオ・ジュリエッタはモデルチェンジせず2020年に生産終了 後継はトナーレ、2026年に147とジュリエッタを継ぐ新型ハッチ計画が浮上
アルファロメオのCセグメント・ハッチバックだったジュリエッタは、次期型の噂を残したままモデルチェンジを迎えることなく、2020年12月にイタリアでの生産を終えました。日本市場でも2021年に販売を終了しており、新車として手に入れる手段はすでにありません。ブランド内での役割は、2022年に登場したコンパクトSUVのトナーレへ受け継がれています。
一方で、物語はここで終わっていません。2026年5月、アルファロメオはCセグメントの新型ハッチバックを開発していることを公式に明らかにし、その企画が「147とジュリエッタというアイコンを土台にする」ものだと説明しました。車名は2026年7月時点で発表されておらず、ジュリエッタの名が戻るかどうかも未確定ですが、6年近く空いていたハッチバックの席が再び用意される見通しです。
この記事では、最新の動きから順に、生産終了までの経緯、日本で販売された限定車の内容、そして初代から続くジュリエッタの歩みまでを整理していきます。
アルファロメオが147とジュリエッタを継ぐ新型Cセグメント・ハッチバックを公式に予告 2026年5月
2026年5月21日、ステランティスは投資家向け説明会で中期計画「ファストレーン2030」を公表し、2030年までにグループ全体で60車種の新型車と50車種の改良を投入する方針を示しました。この場ではアルファロメオの具体像がほとんど語られませんでしたが、続く5月25日の公式リリースで、ブランドがCセグメントの新型ハッチバックを準備していることが明言されています。
公式説明では、この新型が「147とジュリエッタというアイコンを土台にする」と位置づけられています。147は2000年に登場してカー・オブ・ザ・イヤーを獲得し、経営的に厳しい時期のアルファロメオを支えた立役者で、その後継がジュリエッタでした。つまり新型ハッチは、系譜としてはジュリエッタの直系にあたる存在ということになります。
基盤には、ステランティスが新たに導入する「STLA ONE」プラットフォームが用いられます。B・C・Dセグメントに対応するマルチエナジー設計で、ガソリンやマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッドに加え、800V系の急速充電に対応する電気自動車まで一つの骨格で賄える点が特徴です。展開開始は2027年とされており、次期プジョー308などと技術基盤を共有する構成になるとみられます。
社内での呼称は「C-HB」とされ、想定されるライバルはフォルクスワーゲン・ゴルフ、BMW 1シリーズ、アウディA3、メルセデス・ベンツAクラスといった顔ぶれです。かつての147 GTAのようなV6搭載モデルまでは望めない構成ですが、全モデルでステアバイワイヤが採用される可能性も指摘されています。発売時期と車名は未発表で、ジュリエッタの名が復活するかどうかは2026年7月時点で明らかにされていません。
あわせてアルファロメオは、ジュニアとトナーレの間に位置する新型CセグメントSUV(STLAミディアム採用)も予告しており、こちらは2027年のデビューが見込まれています。日本市場への導入時期は、ハッチバック・SUVいずれも現時点で発表されていません。
2025年1月にCEOがジュリエッタ復活を否定「いまのジュリエッタはトナーレです」
2026年の方針転換に至るまでには、ブランドの経営陣が二度にわたって別々の見解を示した経緯があります。
2024年10月、ステランティスの組織再編にともない、サント・フィチリ氏がアルファロメオのCEOに就任しました。前任はジャン=フィリップ・インパラート氏で、トナーレ、33ストラダーレ、ジュニアの立ち上げを主導した人物です。フィチリ氏は2025年7月からマセラティのCEOも兼務しています。
そのフィチリ氏は2025年1月、フランスの自動車メディアの取材に対し、コンパクト・ハッチバックには需要がないとして、新型ジュリエッタの構想を明確に否定しました。「今日のジュリエッタはトナーレです」という表現で、後継の役割はすでにSUVへ移ったと説明しています。自身がこれまで20台のジュリエッタを乗り継いできた愛好家であることに触れつつ、市場が求めているのはSUVだと述べた点が、当時の欧州でも大きく報じられました。
一方、前任のインパラート氏は2023年秋の段階で「ハッチバックでも利益が出ないわけではない」と語り、小型ハッチ復活の可能性を残していました。ジュリエッタは最盛期に欧州で年間7万8,911台を販売した実績があり、2010年から2020年までの累計は48万2,150台に達します。この数字が、復活論の根拠として繰り返し引用されてきました。
結果として、2025年時点の「復活なし」という結論は、2026年5月の公式予告によって事実上覆されたかたちです。背景には、STLA ONEの導入でCセグメント車のコスト構造が改善する見通しが立ったことがあると考えられます。かつて検討されながら見送られた社内コード「A2H」のジュリエッタ企画は、STLAミディアムを用いる前提で車両価格が高くなりすぎる点が壁になったとみられており、より軽く安価に仕立てられる新プラットフォームの登場が判断を変えた可能性が高いといえます。
最終限定車ジュリエッタ・ヴェローチェ・スペチアーレを2021年2月に65台限定で発売 日本での販売もこの年で終了
日本におけるジュリエッタの最後を飾ったのが、特別仕様車「ジュリエッタ・ヴェローチェ・スペチアーレ」です。FCAジャパンが2021年2月2日に発表し、同年2月20日から65台限定で販売しました。メーカー希望小売価格は439万円(税込)です。
ボディカラーは3色が用意され、アノダイズドブルー・メタリックが20台、エトナブラック・メタリックが20台、ルナホワイト・メタリックが25台という内訳でした。アルファロメオを象徴する盾型グリルのフレーム、ドアミラーハウジング、サイドスカートはカーボン調仕上げとされ、フロントアンダーグリルやリアディフューザー、ブレーキキャリパーにはイエローのアクセントが加えられています。マット系の限定車で好評だった配色を、ソリッドやメタリックのボディに落とし込んだ仕立てといえます。
パワートレインはベースのヴェローチェ 1750 TBIと共通で、1,742ccの直列4気筒ターボが240PSを発生し、6速乾式ツインクラッチのアルファTCTと組み合わされます。
この限定車をもって日本での商品展開は打ち止めとなり、カタログ上の設定は2021年11月まで、アルファロメオ日本公式サイトも「2021年にモデルライフを終了」と記載しています。公式サイトではその手向けとして、作家の吉本ばなな氏が書き下ろした掌編小説「私の赤い車」が掲載されました。
ジュリエッタは2020年12月にイタリアで生産終了 後継の役割はミドルサイズSUVのトナーレへ
ジュリエッタの後継としてSUVのトナーレを投入
ジュリエッタは本国イタリアでモデルチェンジを受けることなく、3代目の発売から約10年でラインオフを迎えました。生産を担っていたカッシーノ工場では最終盤に日産40〜70台程度まで生産ペースが落ち込み、2020年12月に生産終了が確定。空いたラインはマセラティ・グレカーレの生産へ振り向けられています。日本市場での販売終了は前述のとおり2021年です。
走行性能への評価は高い一方、販売は右肩下がりでした。2010年代半ばに欧州で年間4万台規模を維持していたジュリエッタは、2018年に2万6,632台、2019年には1万5,690台まで落ち込んでいます。ハッチバックよりSUVが選ばれる流れが決定的になったことが、後継を用意しないという判断につながりました。
その役割を引き取ったのが、2022年2月8日にワールドプレミアされたコンパクトSUVのトナーレです。全長4,530×全幅1,835×全高1,600mmというサイズで、アルファロメオとして初めて電動化を採り入れたモデルでもあります。日本仕様は2023年1月26日に発表され、同年2月18日に524万円から発売されました。
トナーレはその後も歩みを進めており、2025年10月15日にイタリア・ピサで改良新型がワールドプレミア。フロントまわりのデザインを刷新し、内装の質感と走行性能を高めています。日本では2026年3月17日に改良新型が発売され、価格は599万円からとなりました。次のフルモデルチェンジは2029年ごろと見込まれています。
なお、ブランドの最小モデルとしては2024年4月11日にワールドプレミアされたジュニアがあり、日本にはアルファロメオ創業115周年にあたる2025年6月24日に上陸しました。ハイブリッドのイブリダが420万円から、電気自動車のエレットリカ プレミアムが556万円という設定です。ジュリエッタが担っていた「手の届くアルファロメオ」という立ち位置は、現在この2台が分担しているといえます。
アルファロメオ・ジュリエッタに限定車「ヴェローチェ・マット」が新設定!50台限定で2020年2月に発売
ジュリエッタ ヴェローチェ・マットのエクステリア
ジュリエッタ ヴェローチェ・マットの足回り
イエローのインサートがポイント
アルファロメオのプレミアム・コンパクトであるジュリエッタの限定モデルとして、「Giulietta Veloce Matt(ヴェローチェ・マット)」がFCAジャパンから設定されました。2020年2月19日に発表され、同月29日から全国の正規ディーラーで50台限定の販売が始まっています。躍動感のあるボディにダイナミクス性能を重ねた一台で、ボディカラーには艶消しの特別色「マグネシウムグレー・マット」が採用されました。
ジュリエッタ ヴェローチェ・マットのインテリア
フロントグリルのインサートに加え、リアディフューザーやブレンボ製ブレーキキャリパーにもイエローが配され、艶消しグレーとの対比が印象的です。足元には専用の18インチ ダイナミックデザイン・アルミホイールが与えられました。価格は4,190,000円(税込)。パワートレインは最高出力240PS、最大トルク340Nmを発生する1,742ccの直列4気筒ターボで、6速乾式ツインクラッチのアルファTCTを組み合わせます。
インテリアはシックなブラックでまとめられ、年代を問わず馴染みやすい仕立てです。レッドステッチ入りのスポーツレザーステアリング、前席シートヒーター付きのレザーシート、メモリーナビゲーションシステムなどが標準装備されました。
オーストラリア限定30台の「ジュリエッタ・ヴェローチS」 現地専用の希少な特別仕様車
アルファロメオが特別限定車「ジュリエッタ・ヴェローチS」をオーストラリア市場で30台限定販売
ジュリエッタをベースにした特別仕様車「ジュリエッタ・ヴェローチS(Veloce S)」は、2019年にオーストラリア市場向けとして発表されました。生産はわずか30台に限られており、日本への正規導入はありません。
ボディカラーは「アルファホワイト」「アルファブラック」「ストロンボリグレー」の3色構成で、レッド系の設定を持たない代わりに、車体各所へレッドのアクセントが与えられています。
アルファロメオ特別限定車「ジュリエッタ・ヴェローチS」はスポーティな迫力ある走りを実感できる
エクステリアは、サイドミラーやサイドスカートにカーボンファイバーを採用し、18インチのアルミホイールはブラック塗装で足元を引き締めています。標準装備としてブレンボ製フロントブレーキキャリパー、インテークサウンドジェネレーター、スポーツサスペンション、ローンチコントロール、10スピーカーのBOSEオーディオなどが与えられました。
アルファロメオ特別限定車「ジュリエッタ・ヴェローチS」はレッドをアクセントに高級感とスポーティ感があふれている
排気系にはマニエッティ・マレリの「Elaborazioni 1919」が組み込まれており、限定モデルらしい音の演出が図られています。トランスミッションは6速のアルファTCTのみで、マニュアルの設定はありません。現地価格は45,500豪ドル(プラス諸費用)で、標準のヴェローチェに対して3,500豪ドル高という設定でした。
| パワートレイン | 1.75L(1,742cc)直列4気筒ターボ |
|---|---|
| 最高出力 | 240PS(237hp) |
| 最大トルク | 340Nm |
| トランスミッション | 6速DCT(アルファTCT) |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) |
| 限定台数 | 30台(オーストラリア市場専用/日本正規導入なし) |
かつて有力視された「ジュリアのプラットフォームでFR化」という次期ジュリエッタ構想はどうなったのか
3代目ジュリエッタは2022年にモデルチェンジするとの噂もあったが、実際には2020年12月に生産を終えた
ジュリエッタについては、2022年ごろにモデルチェンジを受けて存続するという見方が長く語られていました。想定されていたのは、Dセグメントのジュリアが用いる後輪駆動ベースのプラットフォーム(ジョルジオ)を流用し、Cセグメントのハッチバックでありながら後輪駆動という、きわめて珍しい成り立ちのモデルです。
予想されていたボディサイズは、全長4,400mm・全幅1,810mm・全高1,450mm。従来型から全長と全幅をわずかに広げつつ、全高を下げたワイド&ローの姿が描かれていました。
| 全長 | 4,400mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,810mm |
| 全高 | 1,450mm |
| ホイールベース | 2,820mm |
結論からいえば、この構想が形になることはありませんでした。ジョルジオ系プラットフォームは高価で、量販が前提のCセグメントには荷が重かったこと、そしてステランティス発足後にグループ共通の前輪駆動系プラットフォームへ集約する方針が固まったことが理由として挙げられます。実際、後にSTLAミディアムを用いる企画(社内コードA2H)が検討された際も、車両価格が上振れする見通しから見送られたとみられています。
ただし「Cセグメントのアルファロメオ」という発想そのものは消えていません。2026年に予告された新型ハッチバックは、前輪駆動ベースのSTLA ONEを用いる点で当時の予想とは性格が異なりますが、ジュリエッタが空けた席を埋めるという狙いは共通しています。当時の予想は駆動方式こそ外れたものの、「ジュリエッタ級の需要は残る」という読み自体は、6年越しに裏付けられつつあるといえるでしょう。
ジュリエッタは2019年1月の一部改良で1,742cc・240PSを標準化しグレードをヴェローチェのみに集約
2019年1月の一部改良でグレードはヴェローチェ 1750 TBIの1本となり、1,742ccターボを標準搭載した
FCAジャパンは2019年1月9日にジュリエッタの一部改良を発表し、同月19日から販売を開始しました。それまで複数に分かれていたグレード体系は「ヴェローチェ 1750 TBI」の1本へ集約され、エンジンは1,742ccの直列4気筒ガソリンターボに統一。あわせて質感の高いレザーシートが標準装備となりました。ボディカラーは赤・黒・白の3色構成です。
ボディサイズは全長4,350mm・全幅1,800mm・全高1,460mmの3ナンバーサイズで、ホイールベースは2,635mm。搭載エンジンはかつてクアドリフォリオ ヴェルデ用だった1750 TBiで、最高出力は240PSを発揮します。使用燃料はハイオク、燃費はJC08モードで10.8km/Lという水準でした。
| 全長 | 4,350mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,800mm |
| 全高 | 1,460mm |
| ホイールベース | 2,635mm |
| 車両重量 | 1,440kg |
| エンジン型式 | 940B2 |
| エンジン種類 | 直列4気筒ターボ |
| 排気量 | 1,742cc |
| 最高出力 | 177kW(240PS)/5,750rpm |
| 最大トルク | 300Nm/1,850rpm(Dynamicモード時は340Nm) |
| 使用燃料 | ハイオク |
| 駆動方式 | FF |
| 燃費 | 10.8km/L(JC08モード)/10.2km/L(WLTCモード・2019年10月以降の表記) |
| 価格 | 3,990,000円(税込) |
価格は399万円からとなりました。2017年2月のグレード再編時の最廉価だった「スーパー」の376万円と比べると上がったように見えますが、同じ1750 TBiを積む従来のヴェローチェが424万円だったことを踏まえると、実質的には25万円の値下げにあたります。エンジンの中身が上がったうえで価格が下がったという意味で、集約の効果がはっきり表れた改良でした。
装備面では、バイキセノンヘッドライト(HID)を採用し、悪天候時に効くリアフォグランプも備わります。運転席のパワーシート、前席シートヒーター、クルーズコントロール、パドルシフト、車速に応じて特性が変わるパワーステアリングなど、内容は充実していました。
ジュリエッタ・ヴェローチェの主な装備
- カーボン仕上げアダプティブ機能付きバイキセノンヘッドライト
- フロントフォグランプ
- LEDデイランプ
- リアフォグランプ
- パワーシート(前席・運転席メモリー付き)
- シートヒーター(前席)
- レザーシート
- パドルスイッチ
- クルーズコントロール
- アルファロメオD.N.A.システム
- 18インチアルミホイール
- 225/40R18タイヤ
- デュアルゾーンフルオートエアコン
- フロント・サイド・ウインドウエアバッグなど
ジュリエッタに設定されたブラックレザーシート。鮮やかなレッドレザーはブラックボディに組み合わされた
ボディカラーはアルファホワイト・アルファレッド・アルファブラックの3色。ブラックレザーシートには白と赤のボディが、レッドレザーシートには黒のボディが組み合わされる設定でした。
| ブラックシート | レッドシート | |
|---|---|---|
| アルファホワイト | ● | – |
| アルファレッド | ● | – |
| アルファブラック | – | ● |
ジュリエッタは2019年1月19日に限定100台で特別仕様車のヴェローチェ・カーボンを設定
特別仕様車のジュリエッタ ヴェローチェ カーボンが限定100台で発売され、専用色のミザーノブルーが設定された
一部改良によるグレード一本化を記念して、同じ2019年1月19日から特別仕様車「ヴェローチェ・カーボン」が100台限定で発売されました。
ボディサイズや搭載エンジン、駆動方式は標準モデルと共通ですが、カーボン調仕上げのフロントグリル、ドアミラーハウジング、サイドスカートが与えられ、専用18インチアロイホイールはシルバー仕上げとされています。
ジュリエッタ ヴェローチェ カーボンの特別装備
- カーボン調仕上げフロントグリル
- カーボン調仕上げドアミラーハウジング
- カーボン調仕上げサイドスカート
- 18インチアロイホイール(シルバー仕上げ)
ボディカラーには限定車専用色が用意され、メタリックのミザーノブルーと、ソリッドのアルファブラックの2色構成。シートはレッドのみです。100台の内訳はブルーが50台、ブラックが50台でした。
ジュリエッタ ヴェローチェ カーボンのボディカラー
- ミザーノブルー・メタリック:50台(レッドシート)
- アルファブラック:50台(レッドシート)
価格は419万円(税込)で、標準モデルより20万円高い設定です。それでも従来のヴェローチェが424万円だったことを考えると、特別装備を上乗せしながら価格は下がっており、内容の濃い1台でした。
アルファロメオ・ジュリエッタの歴史を振り返る 初代は1954年、3代目は2010年に登場した
アルファロメオの初代ジュリエッタは1954年に登場し、1965年まで生産された
初代ジュリエッタは1954年に登場し、2ドアクーペのスプリントを皮切りに、4ドアセダンのベルリーナやスパイダーへと広がりました。型式は750系・101系と呼ばれ、搭載エンジンは1,290ccのアルミ合金製DOHC。初期のベルリーナは54PSにとどまりましたが、1959年の大規模なマイナーチェンジでシリンダーヘッドが強化されると素性が一気に開花し、1960年追加のSS(スプリント・スペチアーレ)やSZ(スプリント・ザガート)では100PSまで引き上げられました。手を伸ばせば届くスポーティーカーとして、アルファロメオの経営基盤を築いた一台です。
| 全長 | 3,980mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,535mm |
| 全高 | 1,320mm |
| ホイールベース | 2,380mm |
| エンジン種類 | 直列4気筒DOHC |
| 排気量 | 1,290cc |
| 最高出力 | 80hp/6,300rpm |
| 最高速度 | 142km/h |
2代目ジュリエッタは1977年から1985年まで販売されたモデルでヌォーヴァとも呼ばれる
4ドアセダンとして1977年に復活した2代目は、ヌォーヴァあるいは116系と呼ばれます。駆動方式は後輪駆動で、機構はアルフェッタと共通。エンジンは1.3L・1.6Lから始まり、後に1.8Lと2.0Lが加わりました。1982年にはVMモトーリ製の1,995cc・82PSディーゼルも設定されています。ボディサイズは初代から大きく広げられ、Cセグメントに相当する大きさとなりました。
| 全長 | 4,210mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,650mm |
| 全高 | 1,400mm |
| ホイールベース | 2,510mm |
| エンジン種類 | 直列4気筒DOHC |
| 排気量 | 1,357cc |
| 最高出力 | 95PS/6,000rpm |
| 最大トルク | 121Nm/4,500rpm |
| 最高速度 | 165km/h |
長い歴史を持つアルファロメオ・ジュリエッタのモデルチェンジ遍歴
ジュリエッタはイタリアのアルファロメオが販売していた乗用車です。途中に空白の期間を挟みながらも、1954年から2020年まで、3世代・66年にわたって受け継がれてきた名前です。3世代はいずれも技術的なつながりを持たず、それぞれの時代の要請に応じて中身が組み替えられてきました。
アルファロメオ・ジュリエッタ初代 750系・101系/1954年~1965年
アルファロメオ・1900で量産メーカーへと舵を切った同社が、生産規模をさらに広げるべく開発したのがジュリエッタです。1954年、最初に登場したのはベルトーネのフランコ・スカリオーネが手がけた2ドアクーペ「ジュリエッタ・スプリント」でした。翌1955年には4ドアセダンの「ベルリーナ」と、ピニンファリーナによる「スパイダー」が加わります。
1959年に大規模なマイナーチェンジを受けて101系へ移行し、シリンダーヘッドの強化によってチューンアップの余地が広がりました。
1960年、スポーツモデルの「SS」「SZ」を追加。1963年にはベルリーナがジュリアへバトンタッチし、スプリントとスパイダーは1,570ccエンジンを積んで「ジュリア」を名乗り、1965年前後まで生産が続けられました。
アルファロメオ・ジュリエッタ第二世代 116系/1977年~1985年
1977年、ジュリア系ベルリーナの後継としてアルフェッタをベースに開発され、14年ぶりに「ジュリエッタ」の名が復活します。ウェッジシェイプを強めたボディに、後端を跳ね上げたトランクリッドを組み合わせた軽快なデザインが特徴でした。
1979年に1,779cc・122PS、1980年には1,962cc・130PSが加わり、よりスポーティな立ち位置が明確になります。
1982年、ターボ付き172PSの「ジュリエッタ・ターボデルタ」を発売しましたが、生産は361台にとどまりました。同年、VMモトーリ製1,995cc・82PSのディーゼルも追加されています。
1985年、アルファロメオ・75への世代交代にともない、ジュリエッタはいったん姿を消しました。
アルファロメオ・ジュリエッタ第三世代 940系/欧州2010年~2020年・日本2012年~2021年
2009年12月2日、147の後継として「ジュリエッタ」の名を復活させることが発表され、2010年のジュネーブショーでワールドプレミア、同年5月に本国で発売されました。新開発の「コンパクト」プラットフォームを採用し、後にダッジ・ダートやジープ・チェロキー(KL型)などにも展開されています。
日本導入は2012年2月。当初は50台限定の「アルフィスティ」を除いて右ハンドルのみでしたが、同年8月に左ハンドルも追加されました。2019年1月の一部改良でグレードは「ヴェローチェ 1750 TBI」の1本に集約され、これが日本市場での最終形となります。
本国での生産は2020年12月に終了。日本では2021年2月の最終限定車「ヴェローチェ・スペチアーレ」を最後に、同年をもって販売を終えました。累計販売台数は2010年から2020年までで48万2,150台です。
| 時期 | 名称・内容 |
|---|---|
| 2014年11月1日 | 「スプリント ジュニア」250台限定 |
| 2015年1月17日 | 「クアドリフォリオ ヴェルデ」に240PSの新型1750直噴ターボを搭載 |
| 2015年1月31日 | 奥山清行氏とのコラボモデル「ケン オクヤマ スペチアーレ」 |
| 2015年4月16日 | 「ケンオクヤマ スペチアーレ ロッサ/ビアンカ バージョン スプリント」 |
| 2015年7月10日 | アルファロメオ105周年記念限定車 105台 |
| 2016年6月4日 | 限定車「ディビーナ」150台限定 |
| 2017年2月18日 | グレード体系を「スーパー」「スーパー・パックスポーツ」「ヴェローチェ」の3本へ再編 |
| 2017年7月26日 | 限定車「ヴェローチェ クオーレロッソ」40台限定 |
| 2019年1月19日 | 一部改良でグレードを「ヴェローチェ」に一本化/限定車「ヴェローチェ カーボン」100台限定・419万円 |
| 2020年2月29日 | 限定車「ヴェローチェ マット」50台限定・419万円 |
| 2021年2月20日 | 最終限定車「ヴェローチェ スペチアーレ」65台限定・439万円 |
| アルファロメオ・ジュリエッタのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 750系・101系 | 1954年~1965年 |
| 第二世代 116系 | 1977年~1985年 |
| 第三世代 940系 | 欧州2010年~2020年12月(日本は2012年~2021年) |
ジュリエッタはFR化の噂を残したまま2020年に生産を終え、6年を経て後継格のハッチバック計画が動き出した

アルファロメオのジュリエッタは、1954年に初代が登場し、1977年に2代目、2010年に3代目が発売されました。世代ごとに中身をまるごと入れ替えながら、それぞれの時代のアルファロメオを支えた名前です。
3代目は、ジュリアの後輪駆動プラットフォームを使ってCセグメントの希少な後輪駆動ハッチへ生まれ変わるという見方もありましたが、その構想が形になることはありませんでした。本国では2020年12月に生産を終え、日本でも2021年に販売を終了。ブランド内の役割は2022年登場のトナーレへ移り、2023年2月から日本でも販売されています。
日本市場での歩みを振り返ると、2019年1月の一部改良でグレードは「ヴェローチェ 1750 TBI」の1本に絞られ、価格は399万円。240PSの1,742ccターボを積みながら、従来のヴェローチェより25万円安いという内容でした。その後は限定車が節目をつくり、2020年2月の「ヴェローチェ・マット」(50台・419万円)、2021年2月の「ヴェローチェ・スペチアーレ」(65台・439万円)で幕を下ろしています。中古市場では2026年7月時点でおよそ200件前後が流通し、本体価格は30万円台から370万円台まで、平均で100万円台前半という水準です。
そして2026年5月、アルファロメオはCセグメントの新型ハッチバックを開発中であることを公式に明らかにし、それが「147とジュリエッタというアイコンを土台にする」ものだと説明しました。STLA ONEを用いる新型は、内燃機関から電気自動車まで幅広く対応します。車名も発売時期も未発表のため、ジュリエッタの名が戻るかどうかは断定できませんが、一度は閉じられたはずのCセグメント・ハッチの扉が、再び開こうとしているのは確かです。



















