車の燃費の計算と確認方法
- 燃費のいい車を買ったはずなのに、思ったよりガソリン代がかかる
- カタログ燃費は20km/Lと記載されているが、本当にそのくらいの燃費で走っているのか確認したい
自分の車の実燃費(実際に走ったときの燃費)は、カタログ燃費よりも低くなることがほとんどです。カタログ燃費はエアコンや電装品を使わないなど、実際の使用状況とは異なる一定の条件で測定されているため、実燃費よりも良い数値が出やすいのです。
また、エアコンを常に使用する、急発進や急加速を多用してエンジンを高回転まで回すなど、運転状況によっても実燃費はカタログ燃費より悪化します。実際のオーナーから多く聞かれるのも、まさにこの「カタログ値との差」に関する戸惑いです。
そこで、自分の車の燃費を計算する方法や、実燃費を把握するメリット、給油ごとに燃費を計算する利点について紹介します。難しい道具は不要で、トリップメーターと給油量さえ分かれば誰でも確認できます。
そもそも燃費とは?カタログ燃費と実燃費の違い
燃費(燃料消費率)とは、一般的に燃料(ハイオク・レギュラー・軽油)1リットルあたりで走行できる距離を示すもので、20km/Lと表記されている場合は、燃料1リットルで20km走行できることを意味します。数値が大きいほど経済性が高い、つまりガソリン代が安く済む車だと考えてください。
この燃費は、実生活のコストに翻訳すると分かりやすくなります。月に1,000km走るドライバーの場合、実燃費20km/Lなら毎月およそ50リットル、レギュラー1リットル175円換算で月8,000円台後半のガソリン代です。これが実燃費10km/Lの車になると同じ距離で約100リットル、月1万7,000円前後となり、年間では10万円以上の差が生まれます。燃費の数値は、毎月の家計に直結する指標なのです。
一般的に、カタログに記載されている燃費を「カタログ燃費」、実際にユーザーが測った燃費を「実燃費」と呼びます。
- ハイブリッドカー:トヨタ・4代目プリウス(40.8km/L)
- ガソリン車:スズキ・8代目アルト(37.0km/L)
- ディーゼル車:マツダ・4代目デミオ(30.0km/L)
上記はいずれもJC08モードで燃費性能の高さが評価されてきた代表的なモデルです。なお、プリウスはその後5代目へ世代交代し、デミオは現在「MAZDA2」へと車名が変わっています。
2代目プリウスの燃費は35.5km/L(10・15モード)で、他の自動車が10~25km/Lである中、突出した燃費性能によりユーザーに「燃費のいい車といえばプリウス」という印象を与えました。当時から燃費ランキングの上位を維持してきたトヨタのプリウスは、現在もハイブリッドカーの中でトップクラスの燃費性能を持っています。
そのプリウスでも、街乗り中心の実燃費はカタログ値より2割から3割ほど低くなりやすく、おおむね25km/L前後で推移します。これは特別なことではなく、多くの車で実燃費はカタログ値の7割から8割程度に収まると考えておくと、購入後のギャップに驚かずに済みます。
こうした差を埋めるため、燃費の表示は段階的に国際基準へ移行しました。新型車は2018年10月、継続生産車は当初予定から延長されて2021年1月以降、それまでの10・15モードやJC08モードに代わり、国際基準の「WLTCモード」での表示に切り替わっています。WLTCモードは「市街地」「郊外」「高速道路」の3つの走行モード別の数値も公表されるため、自分の使い方に近い数値を選んで確認できます。中でも市街地モードは、信号や渋滞で発進と停止を繰り返す街乗りの実燃費に最も近い目安となります。
燃費を簡単に計算するには「満タン法」がおすすめ
燃費を計算する方法はいくつかありますが、最も簡単で精度が高いのが「満タン法」です。乗っている車の実燃費を確認する際に使ってみてください。
満タン法の計算方法
1.満タン給油をしたらトリップメーターをリセットする
2.次に給油する時も満タンで入れる
3.トリップメーターの走行距離を給油量で割る
4.計算された値が、満タン給油間の実燃費
例えば、満タン給油から走行し、次の給油で30リットル入った場合、トリップメーターが300kmを示していたら「300km÷30リットル」で、実燃費は10km/Lとなります。また、平均燃費を表示する車種もありますので、満タン法と併用して確認してください。
満タン法で誤差を小さくするコツは、毎回「満タンの基準」をそろえることです。給油ノズルが自動で止まった時点を満タンとし、それ以上に継ぎ足さないようにします。同じ給油機や同じ傾きの場所を使うと、さらにブレが減ります。1回の計測だけでは給油量のわずかな差が数値に大きく響くため、できるだけ長い距離を走ってから計算すると、より実態に近い数値が得られます。
満タン法以外の燃費の計算方法(給油ランプ法・月単位・アプリ)
満タン法ほどの精度は求めず、手軽に実燃費の目安をつかみたいときは、ほかにも方法があります。用途や手間に応じて使い分けてください。
| 計算方法 | やり方 | 精度の目安 |
|---|---|---|
| 給油ランプ法 | 給油ランプ点灯時に給油し、次の点灯までの走行距離を給油量で割る | 点灯タイミングにばらつきがあるため低め |
| 月単位法 | 1ヶ月分の給油レシートを合計し、同期間の走行距離を給油量合計で割る | レシート管理が必要だが中程度 |
| 燃費計算アプリ | 給油のたびに走行距離と給油量を入力。満タン法の計算を自動化 | 記録・グラフ化ができ管理に向く |
給油ランプ法は手軽ですが、ランプが点灯する残量は車種や走り方で一定しないため、参考値と割り切るのが現実的です。月単位法はレシートを1枚でも紛失すると計算が狂う点に注意してください。燃費計算アプリは入力さえ続ければ平均値や推移を自動で記録でき、給油ごとの数値の変化を振り返りやすいのが利点です。経費精算や家計管理を兼ねたい人にも向いています。
トリップメーターとオドメーターの違い
燃費計算に欠かせないのがトリップメーターですが、似た名前の「オドメーター」と混同しやすいため、違いを押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| オドメーター | 新車からの総走行距離を示す距離計。リセットできず、車検証や中古車の走行距離表示にも使われる資産価値の目安。 |
| トリップメーター | 任意の区間でリセットできる距離計。多くの車に「TRIP A」「TRIP B」の2系統があり、燃費計測やメンテナンス時期の管理に使える。 |
満タン法では、給油直後にトリップメーターをリセットし、次の給油までの距離を読み取ります。2系統あるトリップメーターのうち片方を「燃費専用」、もう片方を「オイル交換からの距離」といった使い分けにすると、実用面で管理がしやすくなります。
燃費を給油ごとに計算するメリット
給油ごとに車の実燃費を計算することで、「どうすれば燃費を向上できるか」を考えるきっかけになります。さらに、いつもより明らかに燃費が落ちたときは、タイヤの空気圧低下やエンジンの不調など、車からのサインに早く気づける点も見逃せません。実際のオーナーからも、燃費の数値変化で異常に気づいたという声は少なくありません。
燃費が悪くなりやすい行為
- 急発進・急加速の多用
- 夏場のエアコン使用
- 空気圧が低下したまま走行
- 常に重い荷物を積んだまま走行
- 適正サイズから大きく外れたタイヤの装着
エンジン回転を多用しがちな人は緩やかな発進・加速を意識する、タイヤ交換時以外に空気圧を確認していない人は1ヶ月に1回チェックするなど、燃費計算を続けるとメンテナンスにも自然に気を配る習慣がつきます。
車の燃費を把握しておくメリット
車の燃費を把握しておくと、ガソリンが減り給油ランプが点灯しても落ち着いて運転できます。メーターの目盛りを見て給油タイミングを判断する人が多いですが、「いつも給油する量」と「ガソリンタンク容量」を把握しておけば、概算の走行可能距離を算出できます。
概算走行可能距離の計算方法
1.ガソリン残量メーターの給油位置を決めておく
2.給油するごとに何リットル入ったか記録する
3.車の燃料タンク容量を確認する
4.タンク容量から通常給油量を引く
5.残量に実燃費をかける
例えば、残り1目盛りになったら給油すると決め、通常30リットル入る場合、車のタンク容量が45リットルなら、ガソリンメーター1目盛り時の残量は「45-30」で15リットルと計算できます。
そこに実燃費をかけると、15リットル×10km/Lなら、約150km走行可能となります。トリップメーターも併せて確認すると、給油ランプ点灯からどのくらい走れるかが分かります。
先ほどの例では、残り1目盛りでトリップメーターが300kmを示しており、給油ランプが350kmで点灯した場合、ランプ点灯から約100km走行可能と計算できます。
ただし、残量メーターの表示は正確ではなく、給油ランプ点灯後に走れる距離も車種によって大きく異なります。ギリギリまで我慢するとガス欠で動けなくなり、燃料ポンプに負担がかかることもあります。山間部や給油所の少ない地域、高速道路の長距離移動では、余裕をもって給油することを心掛けてください。
燃費を向上させる車の走り方
車の実燃費を把握したら、やはり今より良い数値を出したいものです。燃費を向上させる走り方のポイントは、「急」がつく運転を避けるエコドライブと、日々のメンテナンスにあります。特別な技術は必要なく、意識するだけで実燃費は変わってきます。
燃費を向上させる走り方
- アイドリングをしない
- 急発進・急加速をしない
- クーラーを使いすぎない
- タイヤの空気圧を適正に保つ
アイドリングをせずエンジンを切る
コンビニで買い物をする時や昼休みなどの休憩で車を停める時、エンジンを切らずにアイドリングすると燃料を消費し、燃費が悪化します。
アイドリング中のガソリン消費は排気量やエアコンの使用状況で変わりますが、おおむね1時間あたり1リットル前後が目安です。JAFの検証でも、2,000ccクラスでエアコンを使いながら10分間アイドリングすると、おおよそ130mlのガソリンを消費する結果が示されています。コンビニで数分の買い物や休憩時間の数十分だけなら大きな消費ではありませんが、1ヶ月単位で積み重なるとかなりのガソリンが無駄になります。
1ヶ月単位のコンビニや休憩時のアイドリング時間例
1回につき5分、平日に1回利用する場合
- 5分×5日×4週=1時間40分(100分)
休憩で暑い・寒いのでエンジンをかける場合
- 30分×5日×4週=10時間(600分)
コンビニだけの利用でも1リットル以上、休憩中に30分アイドリングすると1ヶ月で約10リットルものガソリンを無駄に消費する計算になります。コンビニに入るときはエンジンを切り、休憩中は暑ければ窓を開ける、寒ければ着込むなどして、無駄なガソリン消費を抑えましょう。
急加速をせず緩やかな運転を心がける
ガソリンはアクセルの踏み具合に応じてエンジンに供給され、消費されます。少し踏んだだけならガソリン供給も少量ですが、グッと踏み込むと大量に供給されます。
信号が青に変わり早く60km/hに加速したいときや、追い越しで強くアクセルを踏む運転ばかりをしていると、緩やかに加速する運転に比べてガソリン消費が多くなり、燃費が悪化します。
減速時も同様で、前方の信号が赤なのに停止線手前までアクセルを踏み続けるとガソリンが消費されます。アクセルから足を離してエンジンブレーキで減速し、必要に応じてフットブレーキで停止することで燃費が向上します。発進から加速までを一定のリズムで行う「先読み運転」を意識すると、街乗りでも実燃費が伸びやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アクセル操作と燃料供給 | アクセルを軽く踏めば燃料供給は少なく、強く踏み込むと大量に供給され燃費が悪化する。 |
| 急加速の影響 | 信号発進や追い越しで急加速を繰り返すと、緩やかな加速に比べてガソリン消費が大きく増える。 |
| 減速時の無駄な消費 | 赤信号手前までアクセルを踏み続けると無駄に燃料を消費してしまう。 |
| 燃費改善の工夫 | 早めにアクセルから足を離し、エンジンブレーキを活用しつつ必要時のみフットブレーキを使うと燃費向上につながる。 |
クーラーは使わず窓を開ける
車のエアコンは、車内の空気を冷却するためのコンプレッサーをエンジンの力で動かしています。夏場は外気や車内の空気を冷やす際に温度差が大きいため、コンプレッサーへの負荷が増え、エンジンも多く働くので燃費が悪化します。
冬場も、窓の曇りを取るため暖房とともにエアコン(A/C)を使用する場合がありますが、暖房はエンジン排熱を利用するため夏ほど負荷はかかりません。それでもA/C作動時はわずかに燃費が悪化します。
燃費を意識するなら、夏はエアコンを切って窓を開け、冬は曇ったときのみA/Cを使用するなど、なるべくコンプレッサー(A/C)を使わない運転がおすすめです。ただし高速走行では窓を開けると空気抵抗が増えて逆効果になりやすいため、高速道路ではエアコン、街乗りでは窓開けと使い分けると効率的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エアコン使用の燃費影響(夏) | 車内を冷却するコンプレッサーはエンジンで駆動されるため、夏は負荷が大きく燃費が悪化する。 |
| エアコン使用の燃費影響(冬) | 暖房は排熱利用で負荷は少ないが、A/C使用時はわずかに燃費が悪化する。 |
| 燃費を意識した運転方法 | 夏はエアコンを切り窓を開ける、冬は曇り時のみA/C使用など、コンプレッサーの使用を最小限にする。高速走行時はエアコン使用が有利。 |
タイヤの空気圧は適正に入れる
タイヤの空気圧が低下したまま走行すると、転がり抵抗が増えて前進により大きな力が必要になり、燃費も悪化します。これは空気が抜けた自転車が進みにくいのと同じ理屈です。
タイヤの空気圧を適正に保つとタイヤ本来の性能を発揮でき、燃費が良くなる傾向があります。少なくとも月に1回は、運転席ドア付近やドア内側に記載された適正空気圧に合わせて充填してください。空気圧の低下は燃費だけでなく、偏摩耗やタイヤ寿命の低下、最悪の場合はバーストにもつながります。わからない場合はガソリンスタンドのスタッフに依頼すると対応してもらえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 空気圧低下の影響 | 空気圧が低いと転がり抵抗が増え、前進により大きな力が必要となり燃費が悪化する。偏摩耗やバーストの原因にもなる。 |
| 適正空気圧の効果 | 適正空気圧に保つとタイヤ本来の性能を発揮でき、燃費向上やタイヤの長寿命化につながる。 |
| 管理の目安 | 月に1回程度、運転席ドア付近に記載された適正空気圧に合わせて充填。わからない場合はガソリンスタンドで対応可能。 |
実燃費が落ちやすい場面と季節による差
同じ車でも、実燃費は走り方や季節で大きく変わります。これを知っておくと、燃費が落ちたときに「故障かもしれない」と慌てずに済みます。
とくに燃費が落ちやすいのが、エンジンが温まりきっていない「冷間始動」直後の短距離走行です。買い物のたびにエンジンをかけては数km走って止めるという使い方は、暖機にエネルギーを使う割に走行距離が伸びず、実燃費が悪化しやすい代表例です。冬場はエンジンが温まるまでに時間がかかるうえ、暖房やデフロスターの使用も重なるため、夏に比べて1割から2割ほど燃費が落ちることも珍しくありません。
逆に、信号の少ない郊外路を一定速度で巡航する場面では、実燃費はカタログ値に近づきます。週末しか乗らない、近所の買い物が中心という使い方の人ほど実燃費は伸びにくいため、燃費の数値を比較するときは「いつもと同じような走り方・季節」で計測した値どうしを見比べるのがコツです。
燃費の計算方法が分かると自分の車が好きになる
自分の車の実燃費を給油ごとに計算すると、「どのように運転すれば燃費が上がるか」を意識し、愛車に気を遣う運転をするようになります。
前回の燃費より数値が上がると嬉しく感じますし、実燃費を把握していると給油ランプが点灯しても焦らず運転できます。また、タイヤの空気圧を意識するなどメンテナンスにも自然に気が向き、タイヤの寿命が延びるといったメリットも生まれます。
燃費を計算する方法は、「満タン給油から次の給油までの走行距離」を「給油したガソリンの量」で割るだけの、とても簡単な方法です。まずは次の給油から、トリップメーターをリセットして試してみてください。数値として把握できると、燃費はぐっと身近なものになり、愛車とのつきあい方も変わってくるはずです。