キューブのモデルチェンジ

日産キューブは2019年に生産終了し後継なし 2026年頃の復活の噂とThe Arc後の現在地

キューブは復活するのか、後継はどうなったのか。2020年に消滅した経緯と、e-POWER後継やスライドドア化の予想が外れた理由、The Arcから再建計画Re:Nissanへ移る中での復活の可能性まで、現時点の情報でまとめました。

日産キューブは2019年に生産終了し後継なし 2026年頃の復活の噂とThe Arc後の現在地

キューブは2019年12月に生産終了 2020年3月に販売を終え後継もなし

日産のトールワゴン「キューブ」は、フルモデルチェンジを受けないまま2019年12月に生産を終了し、2020年3月末に販売を終えました。1998年の初代登場から約21年、3代にわたって続いたキューブは、後継モデルが用意されることもなくラインアップから姿を消しています。販売終了は2019年8月下旬に販売店へ通知されており、明確な理由は公表されていませんが、モデルの古さと販売台数の落ち込みが背景にあると見られます。オーストラリアなど海外市場では、それ以前にすでに販売を終えていました。

キューブは衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を最後まで搭載せず、安全性能の面で新しいモデルに見劣りする部分がありました。一時はフルモデルチェンジも期待され、次期型で安全装備を強化して登場するのでは、という噂もありましたが、それを待たずに終幕を迎えています。日産のラインアップからはトールワゴンが消え、間接的な受け皿は小型ハッチバックの2代目ノートと、軽ハイトワゴンの3代目ルークスが担う形となりました。

生産終了した日産キューブが2026年頃に復活か その後の現在地

2020年に姿を消したキューブについては、2026年頃に新型として復活するのではないか、という噂が流れました。

発端は、2024年3月に日産が発表した経営計画「The Arc」のプロモーション映像に、キューブを思わせる車両らしきシルエットが映り込んでいたことです。新しいプラットフォームとスライドドアを採用し、トヨタのシエンタやホンダのフリードに対抗するプチミニバンとして復活するのでは、と語られました。

ただし、その後の状況は流動的です。The Arcは3年間で30車種を投入する意欲的な計画でしたが、日産はその後に業績が急速に悪化し、2025年には販売規模を抑えても利益が出る体質を目指す再建計画「Re:Nissan」へと舵を切りました。これにより車種投入計画は事実上見直され、The Arcで示された構想の多くが不透明になっています。キューブ復活について日産からの正式な発表はなく、現時点ではあくまで噂・観測の域を出ません。実現の可否は、日産の経営再建の行方に大きく左右されると見るのが妥当なところです。

かつては2021年のフルモデルチェンジ・小型ミニバン化が予想されたが実現せず

3代目キューブが登場から10年を迎えるころ、そろそろモデルチェンジするのではないかという噂がありました。ここからは、当時語られていた予想と、それが実際にはどうなったのかを振り返ります。

当時は、2代目ノートや5代目セレナに載る「e-POWER」を積むのか、どんなエクステリアになるのか、2代目のキューブキュービックのように3列シートを備えてホンダ・フリードの対抗馬になるのか、といった予想が飛び交っていました。結論から言えば、こうした「新型キューブ」はいずれも登場せず、キューブは改良も後継投入もないまま2020年に消滅しています。以下では、当時の予想を実際の結果と照らし合わせていきます。

「2021年に生産終了しe-POWER後継へ」という読みは外れ 後継自体が用意されず

かつては、キューブがモデルチェンジせず2021年に生産終了する、という情報が語られていました。
2003年の最盛期には年間139,570台を記録してコンパクトカーの一角を占めたキューブですが、長らくモデルチェンジがなく、2017年の販売台数は7,351台まで落ち込んでいました。

予想では、キューブは生産終了後にe-POWERを積むミニバンタイプの後継車へ移行し、両側スライドドアや4WDを備えて使い勝手を高める、とされていました。ライバルのフリードやシエンタの需要を取り込み、コンパクトミニバンで大ヒットする可能性も、と期待されていました。
しかし実際には、生産終了は予想より早い2019年12月で、e-POWER後継どころか後継車そのものが設定されませんでした。キューブは静かにラインアップを去っています。

「ボディ拡大+スライドドア」というエクステリア予想も市販化されず

TEATRO for DAYZのフロントビュー

東京モーターショー2015で公開されたコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」は軽自動車デイズ系の次期コンセプトでしたが、どこかキューブに通じるテイストを持ち、このデザインが次期キューブに活きるのではとも見られていました。

TEATRO for DAYZのリヤビュー

テールランプは3代目キューブと同様にボディ端まで伸びるデザインで、ナンバープレート左右のランプがウインカーを担うと考えられていました。

TEATRO for DAYZのサイドビュー

サイドはボディに埋め込まれたアウタードアハンドルを持つスムージングされた造形で、フロントドアには「ゼロエミッション」ロゴが見えるEVパワートレインでしたが、キューブではガソリンが採用されると予想されていました。

TEATRO for DAYZの内装

ドアはコンセプトカーらしい観音開きで、市販モデルではリアにスライドドアを採用すると見られていました。

3代目のボディサイズは全長3,890mm・全幅1,695mm・全高1,690mmで、3列シートには手狭なため、キューブはシエンタやフリードのように全長4,200mmほどへ拡大するのでは、と考えられていました。下表はその際に語られていた予想値です。いずれも実現していません。

当時語られた予想ボディサイズ(実現せず)
全長 4,200mm
全幅 1,695mm
全高 1,690mm
ホイールベース 2,750mm

「プロパイロット搭載」の予想も、キューブでは実現しないまま終了

ノートのエクステリア

次期キューブには、2代目ノートや5代目セレナのe-POWERが載ると予想されていました。

3代目キューブの燃費は1.5Lガソリン+FFで19.0km/L。e-POWERのノートはJC08モードで34.0〜37.2km/Lを記録しており、同等ボディのキューブでも同程度の燃費になるのでは、と期待されていました。

プロパイロットのイメージ画像

5代目セレナに初搭載された同一車線運転支援「プロパイロット」も、次期キューブに載る可能性がある、と語られていました。当時はセレナ・エクストレイル・リーフに展開されており、残るはセダンとコンパクトカー、という文脈でした。

しかし、キューブ自体が新型を持たずに消滅したため、キューブにプロパイロットが搭載されることはありませんでした。プロパイロットはその後、ノートをはじめ他のモデルへと広がっていきました。

「既存エンジン+e-POWER追加」というパワートレイン予想も不成立

キューブに搭載予定と予想されたエンジン

搭載が予想されていたのは、2代目ノートの「HR12DE」「HR12DDR」と「e-POWER」の3本立てでした。

「HR12DE」「HR12DDR」はノート前期型のエンジンで、1,200cc直列3気筒。「HR12DDR」には過給機としてスーパーチャージャーが備わります。

当時予想されていた搭載エンジン(実現せず)
HR12DE HR12DDR
種類 直列3気筒 直列3気筒
排気量 1,198cc 1,198cc
過給機 – スーパーチャージャー
最高出力 79PS/6,000rpm 98PS/5,600rpm
最大トルク 106Nm/4,400rpm 142Nm/4,400rpm

HR12DDRはスーパーチャージャーで1.5L NA並みのパワーを持ちながら26.2km/Lの低燃費でした。3代目キューブ(HR15DE)の19.0km/Lと比べ、ダウンサイジングで燃費も向上するはず——という読みでしたが、こうしたパワートレインを積む新型キューブは登場していません。

「2021年発売・180万円から」という発売時期・価格の予想も外れる

キューブのエクステリア

かつては次期キューブの発売は2021年と見られ、3代目の価格帯162万〜213万円に対し、4代目は180万円からになるだろうと予想されていました。

3代目はX・Gのほか、アクシス・ライダー・ライダー パフォーマンススペック・ライダー ブラックライン・マイキューブなど多くの特別仕様車を展開し、2017年10月18日には限定400台の「デコ・キューブ」も加わりました。ただ、これらの予想価格や新型の発売は、後継が用意されなかったことで実現していません。下表は当時の3代目の価格一覧です。

3代目キューブの販売価格一覧(終売時点の一例)
グレード 駆動方式 販売価格
15X 2WD 1,620,000円~
15X Vセレクション 2WD 1,782,000円~
15X Vセレクション マイキューブ 2WD 1,854,360円~
15G 2WD 1,987,200円~
ライダー 2WD 2,030,400円~

「後継車として登場か、別の新型車になるか」の予想も、実際は後継不在に

ラフェスタのエクステリア

3代目末期は月間1,000台ほどまで落ち込み、「4代目キューブ」ではなく別名の新型車になるのでは、あるいはマツダ・プレマシーのOEM「ラフェスタ ハイウェイスター」を取り込んで3列シートのコンパクトミニバンになるのでは、といった見方もありました。しかし現実には、そのいずれも起こらず、キューブは後継を持たないまま消滅しました。

立方体を意味するキューブのモデルチェンジ遍歴

キューブは日産が販売していたトールワゴンで、ボンネットの存在を感じさせない四角いユニークなデザインが特徴でした。プラットフォームはマーチ譲りのものをベースにしています。

キューブ初代 Z10型(1998年~2002年)

1998年2月、初代キューブが誕生しました。廉価版「F」、標準の「S」、装備が充実した「X」、オーテックジャパンのドレスアップモデル「ライダー」の4グレード構成です。12月にはオーテックジャパンの特別仕様車「イエロージャパン」が期間限定で発売されました。

1999年4月、オーテックジャパンから特別仕様車「プレミアム」を設定。11月のマイナーチェンジでトランスミッションをCVTへ変更し、四輪駆動車を追加。12月には特別仕様車「スペシャルエディション」を発売しました。

2000年5月に特別仕様車「Sリミテッド」、6月に「NAVIエディション」を発売。9月のマイナーチェンジではフロントマスクを変更し、同時にオーテックジャパンの特別仕様車「スクエア」を設定、12月には「アルテ」を発売しました。
2001年5月、撥水シートなどを備えるコールマンとのタイアップ「コールマンバージョン」を期間限定で発売。8月には期間限定車「バージョン-S」「バージョン-S-α」を12月まで販売しました。
2002年10月、2代目と入れ替わりで販売を終了しました。

キューブ 2代目 Z11型(2002年~2008年)

2002年10月、2代目へモデルチェンジ。左右非対称のリアデザインが話題を呼び、大ヒットしました。
2003年5月、日産創立70周年記念の特別仕様車「SX 70th」を発売し、10月に第2弾「SX 70th-II」を追加。12月にはオーテックジャパンのSUVテイストの特別仕様車「トラビス」を設定しました。
2004年5月、7月末までの期間限定で英国コンラン&パートナーズとのコラボ「キューブ プラス コンラン」を1,000台限定で、特別仕様車「SX Limited」「EX Limited」も発売。8月には「SX」ベースの「Aggiaktive」を追加、12月には「SX MD/CDセレクション」「EX MD/CDセレクション」を発売しました。

2005年1月、期間限定車「HDDナビエディション」を「ライダー」「トラビス」に追加。5月のマイナーチェンジでHR15DEエンジン搭載モデルを追加し、特別仕様車「15M プレミアムインテリア」を発売しました。

2006年1月、インテリジェントキーやオートライトを備える「Vセレクション」を発売。5月に「ライダーアルファII」、10月に「Plus navi」を発売。
2007年1月、マイナーチェンジでフロントを変更し「ライダー」を一時休止。6月に「KAGAYAKI Edition」、10月に「ライダー 10thアニバーサリー」、11月に「Music room」を発売しました。

2008年2月、シートやドアトリムの柄が異なる特別仕様車「15M Art room」を、5月に期間限定車「プラスナビHDD SP」を発売。11月、3代目と入れ替わりで販売を終了しました。

キューブ 3代目 Z12/NZ12型(2008年~2020年)

2008年11月、3代目が登場しました。
2009年4月に燃費を向上させ、特別仕様車「15X Mセレクション」「15X FOUR Mセレクション」を発売。5月には北米で2009年モデルと「Krōm」を発売。11月には「15X/15X FOUR インディゴセレクション」を翌年3月まで期間限定で発売しました。
2010年11月、「15X/15X FOUR パーティレッドセレクション」を発売し、走行性能も向上させました。

2011年5月に「15X/15X FOUR こもれびGreenセレクション」、6月に「15X/15X FOUR インディゴ+プラズマ」を発売。8月には韓国でも「1.8S」「1.8SL」を販売開始。
2012年10月のマイナーチェンジで2WD車にアイドリングストップを搭載し燃費を向上、FF全車がエコカー減税に適合。ボディカラーを大幅入れ替えし、「15S」「15S FOUR」を整理しました。
2013年10月、特別仕様車「15X/15X FOUR ロルブーセレクション」を発売。

2014年5月に創立80周年記念「80th Special Color Limited」、11月に「15X コダワリセレクション」を発売。
2015年10月の仕様変更で内装色を拡大。
2017年5月、特別仕様車「15X Vセレクション My cube」を発売。
2018年4月の仕様変更でステアリング形状をフェアレディZやジュークと共通化し、「ライダー」のフロントグリルをダーククロムメッキとしました。
そして2019年12月に生産を終了し、2020年3月末に販売を終了。キューブは3代22年の歴史に幕を下ろしました。

キューブのモデルチェンジ遍歴
キューブのモデル 販売年表
初代 Z10型 1998年~2002年
2代目 Z11型 2002年~2008年
3代目 Z12/NZ12型 2008年~2020年

スライドドアのコンパクトミニバン化は実現せず 復活の噂だけが残る

キューブ

ダイハツ・トール、トヨタ・ルーミー、スズキ・ソリオのようにスライドドアを備え、3列シートのコンパクトミニバンへ進化し、シエンタやフリードのライバルになる——。次期キューブにはそんな期待が寄せられていました。しかし現実には、キューブはフルモデルチェンジも小型ミニバン化も果たせず、後継を持たないまま2020年に姿を消しています。

年間10万台以上を売った全盛期の人気を取り戻すことなく静かに退場したキューブですが、その名は今も語り継がれています。2024年のThe Arcを機に復活の噂が浮上したものの、日産の経営再建が続くなかで先行きは不透明で、正式な発表には至っていません。あの四角い個性が現代のプチミニバンとして甦るのか——キューブの名の行方は、日産の立て直しの成否とともに見守っていきたいところです。