スズキ・バレーノは2020年7月に日本市場を撤退 モデルチェンジを待たず一代限りで販売終了
スズキのバレーノは、インドのマルチ・スズキで生産され、日本へ逆輸入という形で2016年3月に発売されたコンパクトハッチバックです。全長4m以下ながら全幅1,745mmの3ナンバーサイズで、コンパクトカーとしては余裕のある室内を備えていました。
しかしバレーノは日本での販売台数が伸びず、日本向けの改良を待つことなく2020年7月頃に販売を終了。一代限りで日本市場から姿を消しました。現在、初代の生産国であるインドでは2代目へフルモデルチェンジしていますが、日本には導入されていません。一方で、バレーノとプラットフォームを共有する派生SUV「フロンクス」が2024年10月に日本へ導入されています。
バレーノは2020年7月頃に日本販売を終了 逆輸入の終了で一代限りに
スズキのコンパクトハッチバック、バレーノは2020年7月上旬に日本の公式サイトから姿を消し、以降は在庫のみの販売となりました。もともとインドからの輸入がこのタイミングで終わる計画だったとされ、販売台数の低迷も重なって、日本向けは改良版を待たずに終了となりました。
同時期には、同じく販売が振るわなかったSX4 S-Crossも日本で販売を終えています。スズキは販売台数の少ない車種を整理し、ジムニーやハスラーといった売れ筋モデルへ注力する方向へと舵を切りました。なお、バレーノ自体はインドでは継続生産されており、日本市場からの撤退=グローバルでの生産終了ではありません。
2代目バレーノはインドで2022年にフルモデルチェンジ 日本には未導入
2代目バレーノはインドを中心にアフリカ・中南米・中東でも展開
2022年2月、マルチ・スズキはバレーノをフルモデルチェンジし、2代目を発売しました。全長3,990mm・全幅1,745mm・全高1,500mmの扱いやすいサイズで、大胆さを強調した新しいデザインをまとっています。インドを中心に、アフリカ・中南米・中東などでも販売される世界戦略車です。同年10月にはCNG仕様「バレーノ S-CNG」も追加されました。
この2代目バレーノは、日本市場へは導入されていません。またスズキはバレーノをトヨタへOEM供給しており、インドでは「グランザ(Glanza)」の名でもトヨタから販売されています。日本のスズキ公式もニュースリリースを出しましたが、日本再導入は現時点で発表されていません。
バレーノ系の派生SUV「フロンクス」は2024年10月に日本発売
かつて「バレーノをベースとしたコンパクトSUVが登場し、いずれ日本にも来るのでは」と語られていた噂は、実際に形になりました。バレーノとプラットフォーム(Heartect)を共有するクーペスタイルSUV「フロンクス」が、2023年1月にインドで発表され、同年4月から各国で販売を開始。そして2024年10月16日には、日本でも発売されました。
日本仕様のフロンクスは、1.5Lのマイルドハイブリッドに6速ATを組み合わせ、価格は254万1000円から273万9000円。4WDは日本専用に設定されるなど、日本市場向けに専用開発されています。ダイハツ・ロッキーやトヨタ・ライズと競合するこのクラスに、バレーノ譲りの素性を持つフロンクスが加わった形です。バレーノそのものは日本に戻ってきませんでしたが、その系譜は派生SUVという形で日本市場に根づいたといえます。
撤退前に噂された日本向けマイナーチェンジ その後どうなったか
バレーノの日本撤退前には、インドで実施された改良版が日本でも販売されるのではないか、という見方がありました。結果として日本にその改良版が導入されることはなく、日本は撤退という選択になりました。ここでは、当時インドで行われた改良の内容を振り返ります。
インドで実施されたフェイスリフト ライト類はLED化
改良後はグリルが立体的になり、フォグランプが独立したデザインに
インドで実施された改良後のバレーノは、グリルが立体的なデザインとなり、フォグランプがラジエーターグリルから独立してガーニッシュを備えました。従来はディスチャージド式だったヘッドライトはLED化され、前方をより明るく照らします。
プロジェクター式LEDヘッドライトの下に導光タイプのポジションランプ
ヘッドライトはプロジェクター式のLEDとなり、下部には目頭から目尻まで繋がる導光タイプのポジションランプを配置。上部のメッキガーニッシュはグリルガーニッシュと連続したデザインです。
独立したデザインとなり黒いガーニッシュで囲まれたフォグランプ
初期型でグリル内にあったフォグランプは独立し、黒いガーニッシュで囲まれました。
インテリアはブラック基調にリフレッシュされシックな雰囲気に
インテリアはオートエアコン周辺やルーバー周りのシルバー加飾がガンメタカラーとなり、よりブラック基調に。ファブリックシートは座面と背もたれの一部をブルーとしたツートンへと変更されました。
安全装備の強化 日本向けには導入されなかった改良
安全装備の強化も図られたが、日本向けには導入されなかった
初期型の日本仕様は、エンブレム部からミリ波レーダーを用いるレーダーブレーキサポート2を搭載していました。改良では、車両に加えて歩行者にも対応する予防安全へと強化が図られましたが、こうした改良版が日本仕様として導入されることはありませんでした。当時想定されていた安全装備は次のような内容です。
当時想定されていた安全装備(日本向けには未導入)
- デュアルセンサーブレーキサポート
- 誤発進抑制制御機能
- 先行車発進お知らせ機能
- 車線逸脱抑制機能
- ブラインドスポットモニター
- ふらつき警報機能
- リヤクロストラフィックアラート
- アダプティブクルーズコントロール
日本で販売されていた初代バレーノのスペックは以下のとおりです。1.0Lターボ(K10C)と1.2L自然吸気(K12C)の2本立てでした。
| 全長 | 3,995mm | |
|---|---|---|
| 全幅 | 1,745mm | |
| 全高 | 1,470mm | |
| ホイールベース | 2,520mm | |
| 最低地上高 | 120mm | |
| 車両重量 | 950kg | 910kg |
| 搭載エンジン | K10C | K12C |
| 種類 | 直列3気筒ターボ | 直列4気筒 |
| 排気量 | 996cc | 1,242cc |
| 最高出力 | 75kW/5,500rpm | 67kW/6,000rpm |
| 最大トルク | 150Nm/1,700〜4,500rpm | 118Nm/4,400rpm |
| 燃費 | 19.6km/L | 24.6km/L |
インドからの逆輸入という成り立ち
インド生産のため、日本では逆輸入という形をとっていた
バレーノはインドのマルチ・スズキで生産され、日本へは逆輸入という形で導入されていました。この成り立ちのため、オーダーから納車まで時間がかかる傾向があり、機動的な商品改良も難しい面がありました。こうした事情も、日本向けの改良版が投入されないまま撤退へと至った一因といえます。日本仕様の駆動方式はFFの2WDのみで、4WDは設定されていませんでした。
バレーノのモデルチェンジ遍歴
バレーノはスズキのハッチバックで、インドを主戦場とする世界戦略車です。日本での販売は2020年に終えましたが、マルチ・スズキが2代目をインドで展開し、累計100万台以上を販売する主力モデルとなっています。車名の「バレーノ」はイタリア語で「閃光」を意味します。
バレーノ 初代 WB32S/42S型(2015年〜2022年/日本は2016〜2020年)
2015年10月、インドで販売を開始。インド仕様は1.2Lガソリンと1.3Lディーゼルを設定。
2016年3月9日、日本で発売(当初は1.2Lの「XG」のみ)。5月に1.0Lターボの「XT」、11月に「XS」を追加し、12月に廉価な「XG」を廃止。
2018年5月、「XT」をプレミアムガソリンからレギュラーガソリン仕様へ変更。
2019年1月、インド仕様でマイナーチェンジを実施しフロントフェイスを刷新(LED化など)。
2020年7月頃、日本での販売を終了。一代限りで日本市場から撤退しました。
バレーノ 2代目(2022年〜)
2022年2月、インドでフルモデルチェンジし2代目へ。10月にはCNG仕様「バレーノ S-CNG」を追加。トヨタへOEM供給され「グランザ」としても販売されています。日本には導入されていません。なお、同じ車台から生まれた派生SUV「フロンクス」は2023年にインドで発売され、2024年10月に日本へも導入されました。
| バレーノのモデル | 販売年表 |
|---|---|
| 初代 WB32S/42S型 | 2015年〜2022年(日本は2016〜2020年) |
| 2代目 | 2022年〜(日本未導入) |
バレーノは3ナンバーサイズの室内が魅力だった隠れた実力派 その系譜はフロンクスへ

バレーノは、スイフトやソリオほど名前を聞く機会は多くないものの、全長4m以下のコンパクトクラスながら全幅1,745mmの3ナンバーサイズで、5ナンバーのコンパクトカーより横方向の余裕がある一台でした。運転席・助手席のゆとりやトランク容量の広さは、実際に使うと魅力の大きいポイントでした。
日本向けの改良版が期待された時期もありましたが、それが実現することはなく、バレーノは2020年に一代限りで日本市場を去りました。2018年5月にハイオク仕様からレギュラー仕様へ変更されて維持しやすくなっていただけに、惜しむ声もあった一台です。
とはいえ、その素性が完全に途絶えたわけではありません。バレーノとプラットフォームを共有するクーペSUV「フロンクス」が2024年に日本へ導入され、バレーノの系譜は形を変えて日本市場に受け継がれています。バレーノ本体の日本再導入は現時点で発表されていませんが、その実力は派生モデルを通じて今も生きているといえます。


















