「ハイエース」VS「キャラバン」10人乗り車の比較
現在、新車で購入できる国産の10人乗り車はトヨタの「ハイエース」と日産の「キャラバン」です。ここでは、ライバル関係にある両車を比較します。
ハイエースやキャラバンは普通免許で運転できるため、祖父母を連れての旅行や、友人と大人数で出かける際にレンタカーとして利用される方が多くいます。また、両車は商業車としても幅広い業界から支持を集めています。
トヨタのハイエースはどんな車?
ハイエースは、トヨタが1960年代から製造・販売しているワンボックスタイプの車です。耐久性やエンジン性能、荷物の積載量に優れているため、建設業や宅配業、マイクロバス、乗合タクシーなどの商用車としても人気があります。
ハイエースには乗車定員が3人、5人、6人、9人のモデルもあります。10人乗りのグレードは「グランドキャビン」「GL」「GX」です。また、4tトラックやマイクロバスを運転できる中型免許が必要な最大14人乗りのコミューターワゴンもラインナップしています。
ハイエースは海外でも人気が高く、中古市場への転売を狙った盗難被害が多く発生しています。日本損害保険協会の調査では、2007年から7年連続で被害台数がワースト1という記録もあります。そのため、トヨタは盗難対策に力を入れ、2012年のモデルチェンジで盗難防止システムを全車に標準装備しました。
2016年のマイナーチェンジでは、スマートエントリーシステムが導入され、キーを鍵穴に入れて回す必要がなくなりました。
車体後部に設置されたカメラの映像をインナーミラーで確認できるシステムを搭載しており、安全面も充実しています。車体サイズが大きいハイエースにとって、便利な機能です。
特徴 | 内容 |
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車種タイプ | ワンボックスタイプで商用車としても人気。建設業や宅配業、マイクロバス、乗合タクシーに利用される |
乗車定員 | 3人、5人、6人、9人モデルあり。10人乗りは「グランドキャビン」「GL」「GX」。最大14人乗りのコミューターワゴンもラインナップ |
盗難対策 | 海外での人気が高く盗難被害が多発。2012年モデルチェンジで盗難防止システムを全車標準装備 |
便利装備 | 2016年マイナーチェンジでスマートエントリーシステムを導入、鍵穴にキーを入れる必要なし |
安全装備 | 車体後部のカメラ映像をインナーミラーで確認可能。大きな車体でも安心して運転できる |
ハイエースワゴン グランドキャビン
グランドキャビンは、名前の通り10人が乗車できるハイエースのグレードの中で、ボディサイズや価格、性能面で最上位のモデルです。
シートは座り心地が良く、まだら模様の色合いやフロアマットの色合いが調和しています。シートベルトのホールド性も高く、体を窮屈に感じさせずしっかりと包み込みます。
運転席周りも最上位クラスの貫禄があります。USBなどの端子に対応したオーディオシステムを搭載しており、大人数でのドライブ時に音楽を聴いたり、スポーツ中継を楽しんだりと、快適で話題のあるドライブをサポートします。
全長 | 5,380mm |
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全幅 | 1,880mm |
全高 | 2,285mm |
室内長 | 3,525mm |
室内幅 | 1,695mm |
室内高 | 1,565mm |
ホイールベース | 3,110mm |
車両総重量 | 2,590kg |
燃費 | 9.5km/L |
最小半径 | 6.1m |
項目 | 内容 |
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グレード | ハイエースワゴン「グランドキャビン」は、10人乗車可能でハイエースの中でもボディサイズ・価格・性能面で最高ランク |
シート | 座り心地が良く、まだら模様の色合いとフロアマットの組み合わせが抜群。シートベルトのホールド性が高く体をしっかり包み込む |
運転席・コクピット | 最上位クラスの貫禄ある運転席。USBなど接続可能なオーディオシステムを搭載し、大人数でのドライブや音楽・実況中継を楽しめる |
ハイエースワゴンGL
GLはミドルクラスのグレードで、グランドキャビンよりボディサイズがやや小さめです。そのため、最小回転半径が約1m短く、小回りが利き運転しやすくなっています。また、燃費面でも優れています。
室内空間は、後部座席がグランドキャビンとは異なる2‐2‐4の配置です。空いているスペースにはテーブル付きのカップホルダーが設けられており、快適に過ごせます。
全長 | 4,840mm |
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全幅 | 1,880mm |
全高 | 2,105mm |
室内長 | 3,715mm |
室内幅 | 1,695mm |
室内高 | 1,390mm |
ホイールベース | 2,570mm |
車両総重量 | 2,520kg |
燃費 | 9.7km/L |
最小半径 | 5.2m |
項目 | 内容 |
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グレード | ハイエースワゴン「GL」はミドルクラスで、グランドキャビンよりボディサイズが小さく小回りが利くため運転しやすく、燃費も優れる |
室内レイアウト | 後部座席は2‐2‐4のフォーメーション。空いているスペースにはテーブル付きカップホルダーが設置されている |
ハイエースワゴンDX
DXは10人乗りハイエースの中で最も手頃な価格帯のグレードです。車体サイズはGLと同じですが、室内長はGLの方が長く、室内高はDXの方が高くなっています。そのため、身長の高い方でも快適に乗車できます。
後部座席はグランドキャビンと同じ2‐3‐3の配置で、全席に3点式シートベルトを装備しています。さらに、リヤクーラーにより各席ごとに個別で空調調整が可能など、必要十分な機能が備わっています。
全長 | 4,840mm |
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全幅 | 1,880mm |
全高 | 2,105mm |
室内長 | 3,525mm |
室内幅 | 1,730mm |
室内高 | 1,390mm |
ホイールベース | 2,570mm |
車両総重量 | 2,480kg |
燃費 | 9.7km/L |
最小半径 | 5.2m |
項目 | 内容 |
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グレード | ハイエースワゴン「DX」は10人乗りハイエースシリーズで最も価格が手頃。車体サイズはGLと同一だが、室内長はGLの方が長く、室内高はDXの方が高い |
室内レイアウト | 後部座席は2‐3‐3のフォーメーション。全席3点式シートベルト装備。リヤクーラーにより各席で個別空調が可能で必要十分な機能を備える |
日産のキャラバンはどんな車?
日産キャラバンの初代モデルは1970年代に販売が開始され、以来、商用車や乗用車として国内外で広く親しまれてきました。2012年には11年ぶりのフルモデルチェンジが行われ、5代目モデルから「NV350キャラバン」と車名が変更されました。ちなみに、NVのNはNissan、VはVanの頭文字で、350は車両総重量3,500kgクラスを意味しています。2019年8月21日には限定モデル「NV350キャラバン プレミアムGX アーバンクロム」が登場しました。このモデルは最上級グレードのプレミアムGXをベースとしており、エクステリア・インテリアともに質感が高く、装備も充実しています。
NV350キャラバンでは、日産のセーフティシールド「クルマが人を守る」というコンセプトに基づき、ボディの高剛性化が施されています。また、エマージェンシーブレーキの搭載により安全性が向上し、プッシュエンジンスターターなどの先進技術も導入され、キーを回さず瞬時にエンジンを始動できます。
項目 | 内容 |
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モデル概要 | 日産キャラバンは1970年代から販売されるワンボックス型車。2012年に5代目モデルで「NV350キャラバン」と改称。NVはNissan Van、350は車両総重量3,500kgクラスを示す |
限定モデル | 2019年8月に「NV350キャラバン プレミアムGX アーバンクロム」登場。最上級グレードをベースにエクステリア・インテリアの質感や装備が向上 |
安全性能 | セーフティシールドに基づきボディ高剛性化。エマージェンシーブレーキ搭載で安全性を強化 |
先進装備 | プッシュエンジンスターター搭載でキーを回さずに瞬時にエンジン始動可能 |
NV350キャラバン・ワゴンDX
NV350キャラバンシリーズには多数の車種がありますが、10人乗りモデルのひとつが「NV350ワゴンDX」です。
ライバルのトヨタ・ハイエースと比べると、ボディサイズはややコンパクトで、流線形のボディラインが印象的でハイエースよりおしゃれなデザインです。
インテリアは、モノトーンカラーが中心のハイエースに対し、ワゴンDXはツートンカラーを基調としています。シートには防水加工が施されており、ダイビングスーツと同等の撥水性を誇ります。
全長 | 4,695mm |
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全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,990mm |
室内長 | – |
室内幅 | – |
室内高 | – |
ホイールベース | 2,555mm |
車両総重量 | 2,410kg |
燃費 | 9.1km/L |
最小半径 | 5.2m |
項目 | 内容 |
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モデル名 | NV350キャラバン・ワゴンDX |
乗車定員 | 10人乗りのワゴンタイプ |
ボディサイズ・デザイン | ハイエースより若干小ぶりで、流線形の彫りが印象的。スタイリッシュでお洒落な外観 |
インテリア | ツートンカラー基調でモノトーンカラーのハイエースより明るい印象。シートは防水加工で撥水性が高い |
NV350キャラバン・ワゴンGX
ワゴンDXの上位グレードである「ワゴンGX」は、ボディサイズは同一ですが、DXより若干車両総重量が増えています。これは、GXにはフォグランプ、プッシュエンジンスターター、エンジンイモビライザーが装備されているためです。
後部座席の配置はDXと同じ2‐3‐3ですが、シートやフロアの色のコントラストにより、車内はより落ち着いた雰囲気に仕上がっています。
全長 | 4,695mm |
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全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,990mm |
室内長 | – |
室内幅 | – |
室内高 | – |
ホイールベース | 2,555mm |
車両総重量 | 2,440kg |
燃費 | – |
最小半径 | 5.2m |
項目 | 内容 |
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モデル名 | NV350キャラバン・ワゴンGX |
乗車定員 | 10人乗り、後部座席は2‐3‐3配置(DXと同一) |
ボディ・重量 | ワゴンDXと同サイズだが総重量は若干増加。GXにはフォグランプ、プッシュエンジンスターター、エンジンイモビライザーを装備 |
インテリア | シートとフロアの色にコントラストを付け、落ち着いた雰囲気の車内空間 |
10人乗りの車「ハイエース」と「キャラバン」どちらを選ぶ?
長年ライバル関係にあるトヨタのハイエースと日産のキャラバンですが、現行モデルを比較すると、ボディサイズ、燃費、価格帯、最小回転半径などに大きな差はほとんどありません。そのため、レンタカー利用時やセカンドカーとして購入する場合など、どちらを選ぶか迷うこともあるでしょう。
最終的には、好みで決めるという選択も十分にありです。両車は高いレベルで競い合ってきたため、どちらが優れているかという優劣をつけることは難しいと言えます。