レクサスISの内装をコックピット・シートデザイン・ラゲッジルームを中心に徹底解説
レクサスISはLEXUSが販売するスポーティな4ドアFRセダンです。2013年に登場した3代目は2020年11月に大規模なマイナーチェンジを受け、2026年1月にも内外装と走りを刷新する改良が実施されました。日本仕様は2.5Lハイブリッドを積むIS300hのFRに一本化されています。
グレード構成はスタンダード、version L、F SPORTの3タイプが基本で、シート素材・インテリアカラー・オーナメントパネルの組み合わせが細かく分かれます。同じISでも、F SPORTとversion Lでは乗り込んだ瞬間の印象がまったく違う車といってよいほど性格が離れています。
レクサスISのコックピットは走りを最大限に楽しめるドライバー主体の設計
レクサスISのコックピットは運転する喜びを凝縮したドライバー主体の設計です。2020年11月の大規模マイナーチェンジで与えられた視認性に優れたオプティトロンメーターはメッキリングが上質感を引き立て、スポーティながら高級感のある雰囲気を演出しています。
設計思想としてわかりやすいのが、インストルメントパネルの高さに上限をあらかじめ設けている点です。その枠内にディスプレイを収めることで、走行中の視線移動を最小限に抑えています。背の高いSUVから乗り換えると視界の低さに戸惑いますが、2日も乗ればフロントフェンダーの位置がつかめる低さに落ち着きます。
マルチインフォメーションディスプレイはオプティトロンメーターの中央に配置されており、ナビディスプレイと連携して簡易ナビ表示やハンズフリー通話の通知など多彩な情報を表示します。交差点の手前で視線をセンターディスプレイに振らずに済むため、初めて走る道での負担が軽くなります。
10.3インチワイドディスプレイは視認性が高く、地図とメニューの同時表示にも対応しています。VICS WIDE・Bluetooth対応のSDナビゲーションシステムが標準装備でした。画面の操作はタッチに加え、センターコンソールのタッチパッドでも行えます。タッチパッドの前後には戻るボタンと、マルチメディアや空調のメニューを切り替えるサブファンクションスイッチが並び、画面に手を伸ばさずに操作を完結させられる配置です。
ステアリングホイールには高級感のある本革巻きを採用しています。パドルシフト付きで、MTのような感覚でシフト操作を楽しめます。実際に手を当ててみると、グリップの太さは握り込みやすい範囲に抑えられており、10時10分の位置に親指を掛けたときの収まりが自然です。IS300hは電気式無段変速機ですが、パドルを操作すると擬似的に段を刻むため、ワインディングでエンジン回転を保ったまま曲がれます。
合皮巻きのパームレストはドライバーの手にしっくりと馴染む仕上がりです。手首を置いた状態で指先だけを動かせるため、渋滞中の細かい操作で腕が疲れにくくなります。
GPS時刻補正機能付きのアナログクロックはLEXUS車の伝統ともいえる装備です。スタイリッシュな文字盤で視認性も良好で、ディスプレイの表示を切り替えなくても時刻を確認できます。
フロントコンソールサイドのニーパッドは膝をしっかり支え、長時間ドライブ時の疲労を軽減します。間近で見ると、膝が当たる面だけがわずかに盛り上がった形状になっており、コーナーで横Gがかかったときに上半身が流れるのを内側から押さえ込みます。シートのホールド性だけに頼らない姿勢保持の工夫です。
運転席・助手席にはそれぞれ8way調整式パワーシートを採用しています。ヘッドレストは前後・上下に調整可能で、自分に合った最適なポジションに設定できます。8wayという数字は、前後・上下・リクライニングに加えてランバーサポートまで電動で動かせることを意味します。スポーツセダンは着座位置を数ミリ変えるだけでペダルとの距離感が変わるため、この調整幅の広さが毎日の疲労差に直結します。
全車標準装備のオートエアコンは運転席・助手席で独立した温度調整が可能です。花粉除去モード付きで、花粉が気になる季節でもクリーンな車内環境を保てます。温度調整はバー状のタッチセンサー式スイッチを指でなぞる方式で、0.5度刻みの微調整に対応します。
ディンプル加工の本革ステアリング・本革シフトノブ・ステンレス製スカッフプレートなど、F SPORT専用デザインが随所に採用されています。特にアルミ製スポーツペダルはF SPORT限定の特別装備で、スポーティな足元を演出します。ドアトリムの一部には複数のエンボスラインを交差させた加飾が施され、光の当たる角度で陰影が変わります。車両後方に向かってエンボスが少しずつ消えていく処理は、写真では伝わりにくい部分です。
レクサスISのシート素材・インテリアカラーはグレードごとに豊富な選択肢を用意
グレードごとのシート仕様は以下のとおりです。
- スタンダード:ファブリック/L texシート
- version L:運転席ポジションメモリー・運転席&助手席ベンチレーション機能付きセミアニリン本革シート
- F SPORT(2WD):専用ファブリック/L texスポーツシート(メーカーオプションで本革スポーツシートに変更可)
- F SPORT(AWD):運転席ポジションメモリー・ベンチレーション機能付き専用本革スポーツシート
セミアニリン本革シートのカラーはブラック・ニュアンスブラック・シャトー・ノーブルブラウンの4種類で、オーナメントパネルにはレーザーカット本杢(ブラック)が設定されます。セミアニリン本革は表面の塗装膜を薄く抑えた革で、実際に触れてみると指先が沈み込む柔らかさがあります。そのぶん水分や油分の吸収も早いため、飲み物をこぼしたときにすぐ拭き取る手間は増えます。
F SPORT専用本革シートはブラック・ニュアンスブラック・F SPORT専用ダークローズの3タイプが用意されています。オーナメントパネルはF SPORT専用ダークグレーヘアラインが標準で、メーカーオプションでレーザーカット本杢(ブラック)または名栗調仕上げの本アルミ(シルバー)に変更できます。
F SPORT専用ファブリック/L texシートはブラックとF SPORT専用ダークローズの2カラー展開です。オーナメントパネルはF SPORT専用ダークグレーヘアラインが標準で、メーカーオプションで本アルミに変更できます。L tex(エルテックス)は合成皮革で、本革に近い見た目を持ちながら温度変化や汚れに強い素材です。真夏の炎天下に駐車したあと座面に手を当てると、本革より熱の持ち方が穏やかなことがわかります。
スタンダードのファブリック/L texシートはブラック・ニュアンスブラック・シャトーの3色が設定されており、オーナメントパネルはウォームメタル(シルバー)またはブラックメタリックから選択できます。
選び方の軸ははっきりしています。後席に人を乗せる機会が多く、長距離を静かに流したいならversion Lのセミアニリン本革です。逆にワインディングや高速道路で積極的に走らせるなら、サイドサポートが張り出したF SPORTのスポーツシートが体を支えます。見た目の好みで決めると、峠道でF SPORT以外を選んだことを後悔するケースが出やすい部分です。
なお、2018年8月に発売された特別仕様車「Black Sequence」には、専用のL texスポーツシートが設定されていました。黒をベースに燃えるようなフレアレッドの生地とステッチを配したコントラストの美しいデザインで、オーナメントパネルには特別仕様車専用の墨本杢調を採用し、洗練されたインテリアを演出していました。
レクサスISの後部座席の広さと快適性はどれくらいか
セダンの後席は実際に座って確かめないと判断を誤りやすい部分です。レクサスISのリアシートは、レッグスペースには余裕がある一方、ヘッドクリアランスは控えめという特性を持ちます。全高1,435mmという低い車体の制約がそのまま頭上に出るためで、身長175cmを超える方が後席に座ると天井が近く感じられます。
一方で、座面から前席前端部までの高さ、いわゆるヒール段差は低めに設定されています。通常ならひざが浮いて窮屈になる寸法ですが、前席の下につま先を差し込めるため、姿勢そのものはそれほど苦しくなりません。市街地の送迎や片道1時間程度の移動なら不満が出にくい作りです。
後席の中央背もたれを前に倒すとリアセンターアームレストになり、格納式のドリンクホルダーが2本分現れます。ただし収納はそれだけで、国産ミニバンのようなシートバックポケットの充実は期待できません。小さな子どもを乗せる機会が多いなら、後述する純正のシートバックストレージを組み合わせるのが現実的です。
レクサスISの車内の収納スペースは足りるのか
スポーツセダンの宿命として、収納の絶対量は多くありません。必要なものを必要な場所に置くという考え方で設計されています。
- フロントドア下:フタ付きのペットボトルに対応するドリンクホルダーと横長のドアポケット
- センターコンソール:ドリンクホルダーとコンソールボックス
- 助手席前:グローブボックス
- 後席:リアセンターアームレスト内の格納式ドリンクホルダー2本分
日常的に困るのは、サングラスやETCカード、充電ケーブルといった小物の定位置です。コンソールボックスはタッチパッドの操作スペースを確保する都合で容量が絞られているため、車検証や工具はトランク側に逃がし、コンソールは使用頻度の高いものだけに絞ると車内が散らかりません。
レクサスISのメーカーオプション・ディーラーオプションのおすすめ
レクサスISにはモデル専用のプレミアムサウンドシステムが標準搭載されていますが、よりこだわりたい方にはメーカーオプションのマークレビンソン プレミアムサラウンドサウンドシステムが候補になります。コンサートホールさながらの立体的な音場を車内で体感できます。セダンは走行中のロードノイズがハッチバックより低く抑えられるため、音の細部まで聞き取れる環境があり、音楽を聴く時間が長い方ほど投資の回収感が得られる装備です。
チルト・スライド式のムーンルーフは全グレードにメーカーオプションで装備可能です。開放感が増す一方で、ルーフの内張り分だけ頭上の空間が数センチ削られます。前席はシートを下げられるため影響は小さいものの、後席に背の高い方を乗せる頻度が高いなら、装着を見送る判断も理にかなっています。
ディーラーオプションのイルミネーション付きスカッフプレートは、車種によってライトの色が異なります。ハイブリッド車用はブルー、ガソリン車用はホワイトが設定されており、乗降時のアクセントになります。
革調素材を使用したクリーンボックスは、AWD車を除く全車にディーラーオプションで装着可能です。500mlペットボトルが2本入る容量があり、使わないときは折りたたんでコンパクトに収納できます。収納の絶対量が多くないISでは、ゴミの置き場所が決まっているだけで車内の散らかり方が変わります。
クリーンボックスと同じく革調素材のシートバックストレージも、収納を手軽に増やせる純正アクセサリーです。さりげない「LEXUS」ロゴ入りで、散らかりがちな小物類をすっきり整理できます。運転席側・助手席側のどちらにも装着でき、ボトル入りのウェットティッシュやボックスティッシュも収まるため、子どもを乗せる機会が多い方には実利の大きい選択です。
レクサスISのラゲッジルームはゴルフバッグも積めるセダンらしい使い勝手
レクサスISはリヤサスペンションのレイアウトを工夫することで荷室容量を確保しています。トランクルームの手前側は内張りをくり抜いた形状になっており、9インチのゴルフバッグをガソリン車で3個、ハイブリッド車で2個収められます。日本仕様がIS300hに一本化された現在は2個が目安です。
ゴルフバッグ2個という数字は、2人でのラウンドなら余裕があり、4人で出かけるなら2台に分乗するか、キャディバッグを後席に積むかという判断になるという意味です。スポーツセダンとしては健闘している水準ですが、同クラスのSUVやワゴンと比べれば割り切りが必要な部分です。
特筆すべきはセキュリティロック付きの6:4分割可倒式リヤシートをハイブリッド車でも備えている点です。駆動用バッテリーを積むハイブリッドセダンは、後席を倒せない、あるいは倒せても開口部が極端に狭い設計が一般的です。ISはバッテリーの搭載位置を工夫することで分割可倒を成立させており、スキー板やゴルフバッグのような長尺物を車内に通せます。中古車で他のハイブリッドセダンと比較する際、この点は実用面で明確な差になります。
2026年の改良でレクサスISの内装はどう変わったか
2026年1月の改良では、インストルメントパネル、センターコンソール、メーター、フロントドアトリムの意匠が刷新されました。最も体感差が大きいのは表示系です。センターディスプレイは全車12.3インチのタッチパネルディスプレイに統一され、メーターも12.3インチのフル液晶に変更されています。
インテリアカラーには新規開発色の「PROMINENCE(プロミネンス)」が加わりました。太陽を覆う紅炎をイメージした彩度の高いカラーで、F SPORTのスポーティな室内の印象をさらに押し出します。装備面では高度運転支援技術「アドバンスト ドライブ」が採用され、高速道路の渋滞時にハンズオフ走行が可能になりました。長距離移動の多いオーナーほど効果を実感しやすい進化です。
2026年10月に発売された改良モデルでは寒冷地仕様が標準化され、グレード別の価格は以下のとおり設定されています。
| グレード | 新車価格(税込) | 選ぶ軸 |
|---|---|---|
| IS300h | 590万円 | 基本装備と購入費用のバランス |
| IS300h version L | 620万円 | シートの快適装備と室内の仕立て |
| IS300h F SPORT | 645万円 | AVSとスポーツシート、専用内外装 |
| IS300h F SPORT Mode Black Ⅵ | 695万円 | BBS製鍛造ホイールと専用素材の内装 |
version Lはベースモデルとの差額30万円で、運転席メモリーと前席ベンチレーション、三眼フルLEDヘッドランプ、電動リヤウインドゥサンシェード、アッシュ材と本革を組み合わせたステアリングが加わります。後席に人を乗せる機会が多いなら、電動サンシェードだけでも価格差に見合う装備です。
中古でレクサスISを選ぶとき内装で確認したいポイント
ISは2013年から長く作られてきたモデルのため、中古車市場には年式も仕様も幅広い個体が流通しています。内装を基準に選ぶなら、確認する場所はある程度絞り込めます。
- セミアニリン本革シートの座面:塗装膜が薄いぶん、乗り降りで擦れる運転席の外側から色落ちや硬化が進みます
- タッチパッドの反応:指を滑らせたときにカーソルが飛んだり止まったりしないかを確認します
- シートベンチレーションの作動音:version LとF SPORT(AWD)に備わる機能で、送風の強弱が切り替わるかを見ます
- アナログクロックの指針:GPS補正が働いているか、停車中に時刻がずれていないかをチェックします
- ムーンルーフのレール:開閉時の異音と、閉じたときの水染みの有無を確認します
長期使用で指摘されやすいのは、ディンプル加工の本革ステアリングです。穴の部分に手の脂が溜まりやすく、走行距離が伸びてくると握る位置だけ黒光りしてきます。交換すれば解消しますが、費用がかかる部位なので、試乗の段階でステアリングの表面状態を見ておくと予算の見通しが立ちます。
レクサスISの内装はスポーツセダンらしいデザインと高品質素材が融合した充実の仕上がり
レクサスISの内装は、爽快な走りを思わせるスポーティなデザインと、本革・L tex・本杢・アルミ系ガーニッシュといった上質な素材が融合した仕上がりです。どのグレードも質感の高い素材が採用されており、高級志向のオーナーも十分に満足できる内容です。
向き不向きははっきりしています。後席の頭上空間や荷室の大きさを最優先するなら、同価格帯のSUVやワゴンのほうが満足度は高くなります。一方で、低い着座位置から前方を見渡し、ニーパッドに膝を預けてコーナーを抜ける感覚を求めるなら、国産のFRハイブリッドセダンでISに代わる選択肢はほとんどありません。
ドライバー主体のコックピット設計、ハイブリッド車でも分割可倒できるリヤシート、グレードごとに選べる豊富なシートカラーと素材など、デザイン性と実用性を高い次元で両立しているのがレクサスISの魅力です。シート素材とオーナメントパネルの組み合わせまで含めて比較すると、自分の使い方に合う一台が見えてきます。