タイミングベルトの交換

タイミングベルトとは?切れた時の影響・交換時期の目安

タイミングベルトはエンジンを動かすための良い状態を維持する上で非常に重要な車のパーツ。バルブなどの動きを調整し、空気の出し入れをスムーズにしガソリンの不完全燃焼を防ぐ。タイミングベルトの適切な交換時期や切れた時にはどうなるのか紹介。

タイミングベルトとは?切れた時の影響・交換時期の目安

タイミングベルトが切れてしまったら?その役割や適切な交換時期

タイミングベルトは車のパーツの中でマイナーな存在かもしれません。タイヤやハンドルなどのように表に出ている訳ではなく、タイミングベルトを交換する回数も、18歳から70歳近くまでに車に乗り続けたとしてもそう多くはありません。

タイミングベルトはエンジン内にあって、車を動かすのに非常に重要な役割を果たしています。タイミングベルトはエンジン内でどんな働きをしているのか、適切な交換時期や、もしも切れてしまった時にどうなるのかについて詳しく紹介します。

タイミングベルトのおかげで不完全燃焼が避けられる

タイミングベルトの仕組み

エンジンを効率よく良好な状態で作動させ続けるためには、燃料であるガソリンに新鮮な空気を送りこんで、燃焼反応により劣化した空気を外へ排気する必要があります。その過程において、重要な役割を果たしているがタイミングベルトです。

タイミングベルトは、回転部であるカムシャフトとクランクシャフトと内側の凹凸部分で連結し、動きを調整することで空気の出入口とつながっているバルブの開閉のタイミングを整えています

ガソリンを燃焼させてエネルギーに変える際に、空気の出入りがタイミングよく行われないと不完全燃焼が起こります。不完全燃焼が起こると車を動かすための動力が下がってしまうだけではなく、身体に有害な一酸化炭素が発生してしまいます。

タイミングベルトが問題なく作動することで、エンジンの各工程「吸入行程~圧縮行程~燃焼行程~排気行程」がスムーズに行われ、不完全燃焼を避ける事ができます。

タイミングベルトの交換時期:走行距離10万kmはあくまでも目安

車のタイミングベルト

もしも、タイミングベルトに不具合が生じてしまえば、エンジンの故障にも繋がりかねません。エンジンの故障は事故につながってしまいます!

エンジンの故障や事故を未然に防ぐために、タイミングベルトの適切な交換時期を知っておく必要があります。

長く使い続けるためにはエンジンオイルとクーラントの交換が必要

タイミングベルトを長く使い続けるためには、エンジンオイルとクーラントを定期的に交換する必要があります。タイミングベルトの素材は特殊ゴムですが、特殊加工されているとはいえ「熱に弱くひび割れする」などゴムの性質を有しています。

エンジンオイルの状態が悪くなると、エンジンの回転部の滑らかさが失われタイミングベルトに大きな力が加わってしまいます。冷却効果のあるクーラントの補充が充分ではなければ、エンジン内は高温状態となりタイミングベルトにダメージが加わってしまいます。

エンジンオイルやクーラントの交換は、エンジンの状態の維持に直接繋がります。それらを定期的に交換する事は、実はタイミングベルトの寿命を延ばす事にもつながります。そういった意味も含めて、エンジンオイルとクーラントの交換はとても大切です。

走行距離10万kmはメンテナンスなどをしっかりと行った理想的状態の数値

タイミングベルトの張りを確かめる整備士

某自動車メーカーのHPでは、タイミングベルトを交換する必要があるのは走行距離10万Kmが目安であるとうたっています。

しかし、その数値はあくまでもエンジンオイルやクーラントを定期的に交換し、安全運転を心掛けているなど、理想的な条件の基で定められています。それらの条件を満たしていなければ、タイミングベルトの耐用走行距離は減ってしまいます。事実、走行距離が10万Km以下の8万Kmであっても切れてしまうケースも実際あります

エンジンオイルなどの交換以外にも、急発進や急ブレーキは、タイミングベルトに負荷がかかって寿命を縮めてしまう要因であるため控えるようにしましょう。

タイミングベルトの交換はディーラーかカー用品店などに依頼

タイミングベルトの交換をする整備士

タイミングベルトの交換はそう頻繁には行わないし、ある程度の車の知識とテクニックが必要ですので、ディーラーか自動車整備工場などプロの手に任せた方が安心です。

タイミングベルトの部品代は5,000円前後が相場です。交換するには労力と技術力を要するため、工賃は2万円以上にも膨らんでしまいます

タイミングベルトに不具合が生じている時期には、ウォーターポンプやファンベルトなどのパーツも交換が必要になるケースも多く、そうなってしまった場合は費用が10万円を超えてしまう事もあります。タイミングベルトの交換には、ある程度の額を覚悟しておきましょう。

もしも、金銭面での負担を嫌って交換のタイミングを遅らせてしまうと、エンジンが故障してしまう恐れがあります。エンジンが故障してしまえば費用はもっとかさんでしまいますので、事前に事故を防ぐというリスク管理の面においても、タイミングよく交換する事をお勧めします。

タイミングベルトが切れるとエンジンの破損に繋がる

エンジンベルトが切れてしまうと、カムシャフトの回転運動が遮断され連動して動いていた吸気部バルブを開閉する事ができなくなります。すると、ガソリンの燃焼が行われないためエンジンがストップしてしまいます。

ベルトが切れるとピストンバルブなどの各パーツが調整役を失ったために、互いの動きが互いを邪魔してしまって故障を招いてしまいます。最悪の事態として、エンジンが使えなくなってしまうケースもあります。

タイミングベルトの代替品としてタイミングチェーンがある

金属製のタイミングチェーン

タイミングベルトの代替品として「特殊ゴム」ではなく金属を素材に用いたタイミングチェーンがあります。

以前のタイミングチェーンでは、作動している時の音がうるさくて、ベルトと比較すれば性能は低いものでした。しかし、タイミングチェーンの製造技術が進歩した事で、静粛性と高精度を同時に達成した商品が開発されました。

それを機にベルトではなくタイミングベルトではなくタイミングチェーンを採用する車が増えています。あなたが乗っている車も、もしかしたらタイミングチェーンを採用しているかもしれません。

タイミングベルトの交換の「タイミング」は遅らせないように

タイミングベルトは、エンジンを働かせるため性能を維持する上で極めて重要な車の部品です。そのため耐久性に優れた素材と構造が採用されているので、交換する機会はそう多くはありません。

タイミングベルトの交換費用は安くはないし、どのタイミングで交換すれば良いのか判断に迷う事もありますが、交換のタイミングが遅れてしまうと、エンジンの交換が必要となったり、事故を招いてしまう事もあります。

タイミングベルトの交換は余裕をもって、走行距離のメーターが7万キロを超えた辺りから意識しておきましょう。交換は行わなくとも、状態をチェックしてもらう事も車に乗り続けていくためには必要な事です。